「検討します」英語で言えますか?ビジネスで気をつけたい日本人が陥りやすい間違い!

最終更新日:2019-07-07

スーツのビジネスマン

クライアントとのミーティングなどビジネスの場面で英語を使うことが多くなると、自然に自分の英語がどんどん磨かれていくことに気がつきます。

気遣いやもてなしの英語表現を身につけることがその理由かもしれません。そんなビジネス特有の英語表現の使い方を身につけると、少し大人になったような気分がするものです。

あなたは、日本語には気遣いの言葉やおもてなしの言葉が他の言葉より多く存在していると思ってはいませんか。

私の経験からすると、それは間違いです。逆に、英語の方が気遣いの言葉やおもてなしの言葉が数多く存在すると思います。

今回は、「ビジネスで気をつけたい日本人が陥りやすい間違い!」と題して、辞書で調べるだけではわからない英語でビジネスをする時に気をつけたいことを考えていきたいと思います。

言語はその国の文化・習慣などが強く影響するということを踏まえ、ビジネス英会話にぜひお役立てください。

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(1)ビジネスシーンでの沈黙について

以前に「英語で資料をうまく作るコツ!【プレゼンテーション編】」の中で、アメリカ人と日本人の人となり、文化、経済面での違いをテーマに製作されたアメリカの喜劇映画「Gung Ho」(1986)の中の2分程度の短いクリップをご紹介しました。

動画の中で、日本人の聴衆の沈黙に打ち勝とうと次から次へいろいろなことを話しているアメリカ人を私は非常に健気だと思いました。

彼の気遣いや自分の話で、日本人の聴衆を楽しませてあげようとするエンターティナー的な話しぶり、つまりおもてなしの精神を高く評価します。

特に、英語を使ってのビジネスの場面でしてはならないこと、それは、沈黙を続けること、寡黙であることです。

同意や質問、またコメントをしないなど何を考えているのか分からない相手とはビジネス上での良い関係も築けませんね。

ビジネスの場面で英語を話す時にはこの動画のクリップ中のアメリカ人の主人公のように気遣いやエンターティナー的な話しぶり、つまりおもてなしの精神から話術で相手を楽しませる姿勢が必要だと思います。

ご参考のために是非とも「Gung Ho」(1986)の短いクリップの動画をご覧ください。

Gung Ho (1/10) Movie CLIP - Japanese Board Meeting (1986) HD

(2)価値観の違い:仕事への取組み方

英語ネイティブも私たち日本人も仕事をしていかなければ社会が成り立ちません。

アメリカは、建国200年を待たずに世界の超大国になった国ですから、国民は非常に勤勉です。ただ、同じく勤勉な日本人と比較すると仕事に対する考え方が少し違うような気がします。

日本の高度成長をけん引されてきた多くの日本人たちは、それこそ5時の退社時間が過ぎても家に帰る事ができず、夜の商用接待で翌朝の午前1時に帰宅する毎日でした。

もしもこれをアメリカでやれば、妻から訴訟を起こされ離婚訴訟もそれに加わり完全敗訴で莫大な慰謝料を支払うことになるでしょう。

まずアメリカ人とは生活に対する考え方、人生に対する考え方が根本的に違う気がします。

なぜ働くのか、それは、夕方6時から就寝までの家族との団欒と週末に家族と過ごす時間のために働くのです。そして、それは何物にも譲れないことなのです。この価値観を日本人も尊重することが重要です。

それでは、アメリカには商用接待がないかというと、それはあります。ビジネスランチと言われるものです。

通常、週末の前日の金曜日が多く、秘書がボスのために前もって高級レストランを予約しておきます。そこで重役は、招待客とマティーニなどのカクテルを飲み、主菜とワインを楽しみます。ランチが終われば社に戻り、5時の退社時間まで何をするではなく重役室で酔いを醒まして帰宅します。

ここだけ聞くとなんともゆったりとした環境だと感じますが、結果を出すという意味では厳しい世界であり、時間だけ費やせば良しといった風潮がまだまだある日本との違いではないでしょうか。

アメリカでは夜の社交場で若い女性を横にして商接待を受けるような習慣はありません。もしもビジネスの相手がビジネスよりも家族を最優先するという価値観を共有していなければ、いずれどこかでお互いの相違点が出てくるかもしれません。

つまり、仕事最優先の価値観しか持たないビジネスマンは、人間として信用できないとされる場合もあるわけです。

日米企業の考え方はそれぞれの方針だけではなく国としての感覚やイメージ、ニュアンスのとらえ方など気にしないと気づけない部分などもあります。

ビジネスメールにおいては社内で確認をしてから送信などはできますが、口頭でのやりとりとなると一度話してしまったことを無かったことにすることはできません。

「忖度」と言った言葉が日本では流行りましたが、忖度に見合うぴったりの英訳はありません。

そのような概念を持ち合わせない外国の企業相手に忖度を期待することは避けましょう。仕事の取り組み方考え方も違いますのでトラブルにならないよう最低限の英会話ができることが大切です。

(3)価値観の違い:訴訟にならないために

日常生活でタブーとされるものは、会社には持ち込まないことが重要です。

アメリカには日本の大企業である総合商社の現地法人が各地に所在しています。

当然、ニューヨークが最重要拠点の一つですが、各大都市の中枢部分のビルには支店が置かれています。

その本店、支店には日本から派遣された多数の選ばれた日本人駐在員が常駐しています。

以前、アメリカのある大都市で働いていた時にこういう話を耳にしました。

アメリカに派遣されている日本人社員が、出張で東京に行きアメリカの現地法人に帰って来た時の話です。

彼は、日本で購入した週刊誌を飛行機の中で読み、それを持参してオフィスに戻りました。そして、社内の同僚にその週刊誌を渡そうとして机に置いていると、その週刊誌が秘書であるアメリカ人の白人女性の目に留まります。

問題は、明らかに裸の写真のページが、つまり女性の全裸のヌード写真のページが開けられて机に置かれたということです。

このことで、その現地法人と日本人の男性派遣社員は秘書からハラスメントの疑いで訴えられます。アクションを取るということではアメリカは迷いがないですね。

日本では、このような事件が訴訟の対象になるのかはわかりませんが、アメリカではどんなことでも訴訟の対象になります。

このようにアメリカは、世界一の訴訟大国なのです。

訴訟は長引き中々示談になりません。相手の弁護士がその企業から莫大な示談金を引き出せると確信しているからです。

これは、作り話ではなく本当にあった話です。

アメリカでは、日常でタブーとされているものは、その取り扱いに大きな注意が必要ですから、ビジネスの場面には持ち込まないことです。

日本的な感覚でこういうデリケートな事柄に対処すると、大きな問題になる可能性があることを常に意識してください。

特に注意すべきものを挙げてみると、人を不快にするものや険悪を感じさせるものばかりです。

ポルノ的なもの(写真、絵画、デザインや本など視覚から感じられるもの、話や歌など聴覚から感じられるもの、その他各種)、プライバシーや人権に関するもの(性別、セクシャルオリエンテーション、年齢、結婚歴、体型、病歴やその他多種多様な事柄について)には、繊細な気配りが必要です。

履歴書一つとっても、写真や年齢を書くことのないといったような日本との違いはこのような考えから来ていると言えます。

言い方や伝え方一つ注意することで不要なリスクを回避することができます。

ビジネスシーン(1)尊重と前向きな表現

ビジネスは、結局は人と人のコミュニケーションで行われる活動です。

従って、お互いを尊重することが非常に大切です。そういったことを考えるとき、避けたい英語表現は多数あります。

特に一番気をつけたいのは、相手の意見に反対する時です。

自分の印象を悪くしないように相手に合わせて決断を曲げるということではありませんが、特に目上や上司に反対する時には意味合いを伝える際に何らかの工夫が必要です。そうすることで相手に自分の気持ちが伝わります。

こちらでは例文を交えてお伝えいたします。

1.相手を全面否定する避けたい英会話フレーズ

I can't believe you.
「あなたを信じることができない」

I don't believe you.
「あなたを信じません」

I can't trust you.
「あなたを信頼することができません」

I don't trust you.
「あなたを信頼しません」

I don’t agree with you.
「あなたに同意しません」

これらは、当事者の全面否定で非常に厳しい評価を相手に下していることになります。
ビジネスの場面では、使われることのないようにお勧めします。

相手を否定するのではなく、その人の意見、提案や計画に対して不賛成や不同意を示しましょう。

I don’t agree with you.
「あなたに同意しません」ではなくて、
I don’t agree with your opinion.
「あなたのご意見には同意しません」

I don’t agree with your suggestion.
「あなたのご提案には同意しません」

I don’t agree with your plan.
「あなたのご計画には同意しません」などです。

2.婉曲的な不賛成・不同意をするときの返事

バッサリ切り捨てるような否定は避けるべきですが、ではどのように返事をすべきなのでしょう。

クライアントとの英会話で使える返事の会話例をご紹介しましょう。

残念ながら同意できない、不同意を表明しなければならないと知らせる。

I’m afraid I disagree.
「残念ですが、不同意です」

I’m sorry but I don’t agree.
「申し訳ないですが、賛成しません」

I’m sorry but I disagree with you on this.
「申し訳ないですが、これについては反対です」

I’m afraidI’m sorryを先に入れて、残念ですが、申し訳ないですが、と少しオブラートに包んで言います。

婉曲的にI’m not sureを使って不賛成や不同意を知らせる。

I’m not sure I agree with you on …
「あなたの…について賛成できるかの確信がない」

I’m not sure I go along with that view…
「その…のご意見に賛成できるかの確信がない」

これも先ほどと同様に、I’m not sureーと確信はできないと、オブラートに包んで言います。

相手の意見を(高く)評価尊重しているが、不賛成や不同意を知らせる。

I (really) respect your point. But I have a different opinion (view).
「あなたのご指摘を(本当に)尊重しますが、私は、異なる意見を持っております」

I (highly) respect your point. But I’m not sure I go along with that view…
「あなたのご指摘を(高く)尊重しますが、その…のご意見に賛成できるかの確信がない」

相手の意見を尊重した上で、But以下で自分の本音を伝えます。

ビジネスシーン(2)検討しますの価値観

英語でも相手の意見に対して反対する場合、デリケートな表現ができることが分かりました。

婉曲的と言うか、少し曖昧なI’m not sureなどを使う表現があります。ただ日本で働くネイティブから日本人が使う言葉で、少し曖昧というよりも、かなり曖昧な表現でどう対応すべきなのか困るという日本語表現があります。

それが「検討します」という日本語表現です。取引先との会議などで、取引の情報や改善策またはオファーを受けた後によく使われます。

もちろん英語の表現にも同じ表現はあるのですが、日本人は、検討する気も殆どないのにこの表現を多用します。

仕事上、日本人同士ならお互いにビジネス儀礼の一つだと割り切り、聞き流すこともできますが、そんな習慣のないネイティブビジネスパーソンには耐え難いものなのでしょう。

外国人ビジネスパーソンは日本人とのビジネスで、 会議に参加した日本人がその場で決断ができず、持ち帰って上司や部署と情報をシェアした後でしか返事ができない
決断できない・時間がかかる ということをよく言います。

この「検討します」がまさしくそれを表していますね。

このネイティブスピーカーからかなり曖昧な日本語表現だと指摘される「検討します」を、それにあたる英語表現を挙げながら少し考えてみました。

「検討します」を英語で言うと

やはり一番に頭に浮かぶのは、
I’m gonna (going to) think about it.

I’ll think about it.
でしょう。

ビジネスの場面ならI'll consider it.が定番ですが、家族や友人との間の日常会話では、I’ll consider it.は、殆ど使わないでしょう。

どの表現にしても、itの代わりに「名詞」「to+動詞」または「動詞+ing」を使うことができます。

<例>
I’ll think/consider to use the product.
I”ll think/consider using the product.

(この製品を使うことを検討します。)

他には、もちろんI’ll think it over.が使えます。

think over を使えば、considerと同等に相手の慎重な対応が感じられます。

I’m gonna think it over.やI'll think it over.なら家族や友人の間の日常会話でも使えます。

どちらかと言うと、considerとthink overは、何らかの決定をする過程でいろいろなことを考慮、検討をして判断を下すという感じです。

例えば、マンションを買おうか、家を買おうか、どちらにするかを検討しています。

「さあ、どちらがいいだろう」、こんな感じです。

一方、think aboutの方は、マンションを所有している自分を思い浮かべて、はっきりした決定の方とは関係なく「いつかきっと、多分な」というような、漠然的に自分がマンションを所有している状態を思い浮かべている感じです。

それでは、「検討します」を英語で表現すると。

I’ll think it over.
「検討します」

I'll consider it.
「検討します」

英語でのこれらの表現は、日本語の「検討します」とは違います。

本当に「検討します」という意味で、いろいろな考慮や検討がされるはずです。日本語で「検討します」と言われると、多分だめだなと言う感じがしますが、I’ll think it over. とI'll consider it.にはある程度期待が持てると思います。

一方、
I’m gonna think about it.
(I’m going to think about it.)

「考えてみます(検討します)」

こちらの表現に含まれるthink about it. 「考えてみます(検討します)」については、ネイティブの方でこれもI’ll think it over. やI'll consider it.に近い表現だという人もいますが、私は、そうでもないような気がします。

何故なら、アメリカでよく女性をデートに誘いましたが、I’ll think about it.と言われた後にデートに応じてもらったことは、殆どなかったからです。。たはははは!・・・

だから、今でも何かを依頼したりする時、ネイティブからI’ll think about it.と言われたら、私は、笑顔でOK!とは言うものの、心の中では、 No, you won’t. I know that.
「いいえ、あなたは、検討なんてしないね、分かっているよ(いつもの社交辞令さ)」 とつぶやきます。

まとめ

英語でビジネスをする上では、仕事上での提案や交渉の仕方に関しての良し悪しの評価には厳しい面もあります。

しかしながら、仕事上で対面する個人に対しては、ある種の尊敬が払われてビジネスが進められていきます。

このお互いを尊重しながらビジネスを進めていこうとする過程で、気遣いやおもてなしに近い英語が頻繁に使われていくのです。それは、実際に仕事をしていると強く感じられるもので、そんな英語の表現は確実に吸収してなければならないと思います。

ただ、英語でも日本語でもビジネスを進めていく上では、根本にあるものは共通です。

例えば、日本語の「検討します」に対するネイティブの不信感は日本人とネイティブの考え方の違いを表しているという人もいますが、私は、I’ll think about it.という表現は、多かれ少なかれ日本語の「検討します」の意味に近い場合もあると思います。

一度、ポジティブな回答を期待してネイティブに話し続けていると、
I said (that) I’d think about it, right.
「検討すると言ったでしょ」
と嫌な顔をされて言われたことがありました。

やはり英語にも日本語同様、ビジネスシーンだけでなく「検討します(本当は検討する気など無い)」のような社交辞令的な表現はあるものだと感じます。

最後に、今回お話しした「英語を使うビジネスで気を付けたいこと!」がご参考になれば、幸いです。