イングランドとイギリスの違いとは?4つの国の関係性を解説

イングランドとイギリス、ネイティブキャンプ、オンライン英会話

世界の中でも歴史の古い国であるイギリス。きっと多くの英語学習者にとってイギリスは憧れの国とも捉えられるでしょう。

ところで、皆さんはイギリスとイングランドの違いはご存知ですか?

この記事では、いまさら聞けないイギリスのこと、イギリスとイングランドの違いから歴史や国旗のデザインまで幅広く紹介します。イギリスの文化やイギリス英語に興味のある皆さん、特にご参考にしてください。

イングランドとイギリスの違いとは?

結論からいうと、イングランドはイギリスを構成する4つの国の1つです。より正確に理解するために、まずはイギリスの正式名称をみてみましょう。

イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」です。名前の通り、イギリスは以下の国が連合して成り立っている国家です。

イングランド

スコットランド

ウェールズ

北アイルランド

首都ロンドンがあるイングランドは連合王国の中で最も面積が大きく、人口も集中しているため、しばしばイギリスの象徴として認識されます。

「イギリスの大きな割合を占めているのがイングランドである」という事実が、イギリスとイングランドが混同されやすい大きな理由です。

イギリスは4つの国が集まった連合国家全体の呼び名であり、イングランドはその中の1つと覚えておけば間違いありません。

イギリスの歴史的背景

ここで、イギリスの歴史や基本情報をお届けしましょう。

UK Parliament(英国議会)のホームページにあるAct of Union 1707(1707年連合法)によれば、1707年5月1日にグレートブリテンと呼ばれる統一王国が誕生しました。その後、英国議会はこの年の10月に初めて開催されました。

その後、スコットランドでは2013年に連合から独立するかどうかを決める住民投票が行なわれています。今後、どうなっていくか注目です。

引用:UK Parliament “Act of Union 1707”
https://www.parliament.uk/about/living-heritage/evolutionofparliament/legislativescrutiny/act-of-union-1707/#:~:text=The%20Acts%20of%20Union%2C%20passed,first%20time%20in%20October%201707.

イギリスの基本情報

イギリス留学や旅行などを考えている場合、現地の基本的な情報を事前に知ることが大切です。それぞれの英語表記と首都を紹介します。

イギリスを構成する4つの国

  1. イングランド(England)首都=ロンドン
  2. スコットランド(Scotland)首都=エディンバラ
  3. ウェールズ(Wales)首都=カーディフ
  4. 北アイルランド(Northern Ireland)首都=ベルファスト

皆さんもご存知の通り、イギリスには王室がありそのメンバーはロイヤルファミリーと呼ばれています。立憲君主制のイギリス国家として政治や行政への役割は担っておらず、イギリスの看板として国民や国際関係との良好な関係を維持する公務に当たります。

それ以外の情報を以下、挙げてみましょう。

  • 人口 約68,300,000人(2023年)
  • 首都 ロンドン
  • 国歌 God Save the King
  • 通貨 ポンド(GBP)
  • 電圧 240V

日本との時差は-9時間 ※サマータイム中は-8時間
その他、イギリス有名人·食文化·教育·ボランティア事情などについては筆者のブログ「イギリス文化を知りたい!イギリス人の気質や文化など一気に紹介!」をぜひご参考にしてください。

https://nativecamp.net/blog/20191017_UK_culture

イギリスを構成する4つの国

ここでは、イギリスの構成国であるイングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドが、どのような魅力を持っているのかを紹介します。

イングランド(England)

グレートブリテン島の南部に広がるイングランドは、連合王国全体の人口の8割以上が集中するイギリスの中心地です。

首都ロンドンには、バッキンガム宮殿や大英博物館など世界的に有名な観光名所が集まっています。

しかし、イングランドの魅力はロンドンだけではありません。シェイクスピアの生誕地ストラトフォード・アポン・エイヴォンやビートルズを育んだリバプールなど、文化的に重要な都市が点在しています。

また、少し郊外へ足をのばせば、はちみつ色の家が並ぶコッツウォルズのような絵本のように美しい田園風景に出会えます。

スコットランド(Scotland)

グレートブリテン島の北部に位置するスコットランドは、荒々しくも美しい雄大な自然で知られています。

ネス湖やハイランド地方の壮大な景観は、多くの旅行者を魅了してやみません。

バグパイプの音色や男性がまとう伝統衣装「キルト」に象徴されるように、スコットランドは独自のケルト文化を色濃く残しています。

首都エディンバラの歴史的な旧市街を散策すれば、まるで中世にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。

世界的に有名なスコッチウイスキーの蒸留所を訪ねるのも、スコットランドならではの楽しみ方です。

ウェールズ(Wales)

グレートブリテン島の西部に位置するウェールズは、城の国とも呼ばれるほど数多くの古城が点在する神秘的な土地です。

国のシンボルが赤い竜であり、神話や伝説が今なお息づいていることが感じられます。

ウェールズの大きな特徴は、英語と共に独自の言語「ウェールズ語」が公用語として広く使われている点です。

街中の標識などにもウェールズ語が併記されており、他の地域とは異なる文化圏であることを実感させてくれます。

スノードニア国立公園をはじめとする美しい自然景観も豊かで、ハイキングや登山を楽しむのにも最適な場所です。

北アイルランド(Northern Ireland)

アイルランド島の北東部を占めるのが北アイルランドです。

首都ベルファストは、かつて世界最大の豪華客船タイタニック号を建造した造船業の街として栄えました。

近年では、人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の主要なロケ地となり、世界中からファンが訪れる聖地となっています。

自然が創り出した奇跡の絶景、世界遺産「ジャイアンツ・コーズウェイ」の六角形の石柱群は、一度はみておきたい圧巻の光景です。

他の3国とは島が異なるため、また一味違ったケルト文化の雰囲気を楽しめます。

イングランドの首都ロンドンの位置を地図で確認

イングランドはイギリス国土の約3分の2を持ち、全人口の80%が住んでいる地域です。ロンドンはイングランドのど真ん中にあるわけではなく、南東部に位置します。地図をみればかなり下に位置していることが分かります。そして、ロンドンには有名なテムズ川が東西に走っています。

ロンドンのすごいところはほぼ2,000年に渡って、主要な居住地であり続けている点です。ロンドン市内には、ローマンウォールという防御壁が何ヶ所か残っています。

ロンドンでもエリアによって雰囲気がまったく違うところが面白いのですが、特にウエストエンドとイーストエンドは対照的です。

イングランドとイギリスの国旗の違いを解説

フットボールのワールドカップや欧州選手権になると、多くの家々が国旗を窓にディスプレイしている光景をみかけます。次に、イングランドとイギリスの国旗の違いをみていきましょう。

イングランドの国旗「セント・ジョージ・クロス」

イングランドの国旗は、「セント・ジョージ・クロス」と呼ばれる白地に赤い十字を描いたシンプルなデザインです。

旗の起源は、イングランドの守護聖人とされる「聖ジョージ(St. George)」にあります。

聖ジョージは竜を退治した伝説で知られるキリスト教の聖人で、勇敢さからイングランドの象徴とされてきました。

国旗にある白地に赤い十字のデザインは、十字軍の時代からイングランドの兵士たちが用いていたとされています。

現在では、サッカーやラグビーの国際試合でイングランド代表を応援するサポーターたちがイングランド国旗を掲げる光景を目にできます。

イギリスの国旗「ユニオンジャック」の成り立ち

一方、イギリスの国旗として広く知られているのが、青・白・赤の複雑な模様が特徴的な「ユニオンジャック(Union Jack)」です。

ユニオンジャックは、連合を意味するユニオンの名が示す通り、複数の旗を組み合わせて作られました。

ユニオンジャックの成り立ちは連合王国の歴史そのもので、以下の3つの国の旗が統合されてできています。

①イングランドの「セント・ジョージ・クロス」(白地に赤十字)

②スコットランドの「セント・アンドリュー・クロス」(青地に白の斜め十字)

③アイルランドの「セント・パトリック・クロス」(白地に赤の斜め十字)

まず1606年に、イングランドとスコットランドが同君連合となったことを機に、①と②が組み合わされて最初のユニオンフラッグが誕生しました。

その後、1801年にアイルランドが加わって連合王国が成立した際に③のデザインが加えられ、現在のユニオンジャックが完成した流れです。

ここで、「ウェールズの旗はどこに?」と疑問に思う方がいるかもしれません。理由は、最初のユニオンフラッグが制定された17世紀の時点でウェールズがイングランドに併合されており、法的に一体とみなされていたためです。

イングランドの英語の特徴と他国との違い

イングランドの英語を初めて聞く日本人は、アメリカ英語となんて違うんだろうと感じるはずです。筆者もその1人、2003年のワールドカップでディビット·ベッカムの英語を聞いたときは、巻き舌とは違うカチカチした英語にインパクトを受けました。彼の英語はロンドンの下町で使われる庶民の英語コックニーです。

イングランドの英語といっても地域的に差があるということが前提ですが、例えばスコットランドの英語スコティッシュでは北アメリカの英語に似ていたり、Tを発音しないやり方だったりします。もちろん、ウェールズや北アイルランドにもそれぞれ特徴があります。これは文化の違い、また、それぞれの国が公的に認められた言語(ゲール語など)があることからも想像ができることです。

もっと詳細なイギリス訛りを知りたい、という人にはこれも筆者のブログ「イギリス英語の訛りは?渡航前に知りたい10のアクセントを紹介」をおすすめします。

https://nativecamp.net/blog/20240518-British_English

イギリスの呼び方は日本だけ特別?由来を解説

ところで、日本人はなぜグレートブリテン及び北アイルランド連合王国のことをイギリスと呼ぶのでしょう?これは日本の歴史を遡ることで分かります。

日本は江戸時代に鎖国が完成しました。外国との通交を絶ったわけですが、オランダとは取引を続けました。そして、オランダ語Engelschがエゲレスと読まれ、それがイギリスになったといわれています。また、同様にポルトガル語Inglezのイングレスもイギリスといわれるようになったという説があります。

【シーン別】イングランドとイギリスの違いで注意したいポイント

今までみてきたイングランドとイギリスの違いを踏まえ、シーン別に注意すべきポイントについて解説します。

会話編:出身地を尋ねるとき・話すとき

現地の人々と会話する際に出身地を尋ねるとき・話すときは、相手のアイデンティティに配慮した対応が必要です。

特に、スコットランドやウェールズ、北アイルランドの人々に対して、「Are you English?(あなたはイングランド人ですか?)」と尋ねるのは避けましょう。彼らは自身の国に対して誇りを持っているため、「English」と一括りにされることを快く思わない人も少なくありません。

出身地を尋ねる際は、以下のように無難な表現を使うのがおすすめです。

Are you British?(あなたはイギリス人ですか?)

Where are you from in the UK?(イギリスのどちらのご出身ですか?)

観光編:地域ごとの文化の違い

イングランドとイギリスの違いを最も体感できるのが、複数の地域を巡る周遊旅行です。例えば、下記のようにそれぞれの国が独自の食文化、言語、景色を持っています。

イングランドでは、洗練されたロンドンの街並みや美しい田園地帯で伝統的なアフタヌーンティーを楽しめる

北上してスコットランドに入れば、バグパイプの音色が響く古都エディンバラや雄大なハイランドの自然が待っている

西へ向かいウェールズを訪れれば、ウェールズ語の響きに触れながら数々の古城を巡れる

そのため、旅の計画もイングランド旅行と限定するのではなく、イギリス全体を周遊する旅行として捉え直すのもおすすめです。

スポーツ観戦編:サッカーやラグビーで代表が分かれる理由

サッカーやラグビーの試合ではイギリス代表ではなく「イングランド代表」や「スコットランド代表」など各国で代表が分かれます。

理由は近代スポーツの国際的な統括団体が設立されるより前に、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドが独自の協会を設立していたためです。

そのため、ワールドカップなどの大会では4つの協会が独立した代表チームとして出場することが認められています。

一方で、オリンピックは国家単位での参加が原則であるため、イギリス内の各国はイギリス(Team GB)としてチームを結成します。

まとめ

在英もうすぐ20年の筆者がお届けしましたがいかがでしたか?混同されがちなイギリスとイングランド、本記事によってはっきりとしました。

いずれにしても、イギリスまたはイングランドに行く場合や話すときには、イギリスであればUKという、イングランドであればEnglandとし、間違わないようにしていくことが大切です。もちろん、スコットランド·ウェールズ·北アイルランドも魅力的な国です。英語でのコミュニケーションは、これらの違いに驚いたり、それについて現地の人と話したり、貴重な時間になることは間違いありません。

nativecamp.net

nativecamp.net

nativecamp.net