英語学習の留学を考えるとき、最も人気のある国のひとつイギリス。
公用語はみなさんご存知の通り、世界の共通語である「英語」です。
それも、クィーンズイングリッシュとして有名ではないでしょうか?
文部科学省科学研究費基盤研究「創造された伝統としてのイギリス文化の価値に関する理論的・実証的研究」(2012年)のなかで
「イギリスと言えば?」というアンケートがありました。
トップ3が
紅茶(アフタヌーンティー)
王室
ビッグベン
その後に、ロンドン、ビートルズ、ユニオンジャック、紳士、フィッシュ&チップスと続いていきます。
他にも、シェイクスピア、フットボール・プレミアリーグ、悪天候など、イギリスのイメージは多岐にわたります。
歴史あるイギリス、王室からBrexitまで毎日さまざまなニュースが飛び交い、目が離せませんが、注目すべき文化をいくつも持っています。
ヨーロッパに属するものの他の国と全く違う文化を持ち、イギリス人たちも自分たちがヨーロッパの一国だという意識が低い印象があります。そして島国という面をとっても、日本ともまるで違う国。
この記事では、大変ユニークなイギリス文化の特徴に迫ります。ガイドブックでは調べきれないような情報も紹介しましょう!
- 伝統の国イギリスって、どういう国?
- 王室からシェークスピアまで。イギリスの有名人たち
- 芸術とスポーツをこよなく愛するイギリス
- コミュニケーションを基本とするイギリス人のマナー
- イギリス教育の強み
- イギリス人はお祝い好き?!
- 全然食べられます!イギリス食文化
- ボランティアが素晴らしいイギリス
- ロンドン在住14年目、住んで感じるイギリス
伝統の国イギリスって、どういう国?
最初にイギリスの基本情報を紹介します。
まずは、イギリスのイメージを掴んでいきましょう。
大英帝国時代から産業革命、そして現在まで
19世紀から北アメリカ・西インド諸島にカナダ・インド・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカなどの支配が始まり、地球上の6分の1が属したという大英帝国。
「太陽の没するところのない国」 と呼ばれました。
18世紀の半ば~19世紀に起こった産業革命も有名です。イギリスを皮切りに、その後ベルギー・フランス・アメリカ・ドイツ・ロシア、そして日本でも後を追うかのように順次、産業革命が起こりました。
ロンドン科学博物館は、1851年に開催された万国産業博覧会の収集品、そしてそれらの科学・技術史の資料を保存するために設立されました。
イギリスの通貨はポンドとペンスです。
European Union(EU)に加盟してからも、ユーロに変えることなくやってきました。
International Monetary Fund (IMF)によるGDPランキング(2019年)では、イギリスは国内総生産・世界第7位です。
Brexitの影響がどうでるか、国民のみならず世界から注目されています。
連合王国としてのイギリス
私たちがイギリスと呼んでいるのは、イングランド・ウェールズ・スコットランドそして北アイルランドという4つの国から成り立つ「連合王国」のことを指します。
英語表記では、 The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland です。
オリンピックなどは、「GBチーム」としての参加となります。
イギリスは多国籍・多宗教国家
イギリスの面積は242,495k㎡
人口は約6600万人です(2017年)。
日本と比べると国土は小さく、人口も約半分のイギリスですが、さまざまな民族、そしてその宗教が混沌と入り交ざる多様性がひとつの特徴となっています。
特に、首都ロンドンはまさしく
ダイバーシティです。
カリブ系・インド系移民に加え、EU加盟国からも多くの移民がやってきます。
宗教も、イギリスの公式宗教である英国国教会だけでなく、イスラム教、ヒンズー教や仏教などをも認める他信仰国家となっています。
差別にとても敏感
このように、多国籍・多宗教という特徴を持つイギリスならではかもしれませんが、「差別」に対して強い意識があり、人種・国籍・宗教による差別は法に反します。
学校にもイスラム教の学生がヘッドカバーをしていることが普通であり、それぞれをリスペクトすることが当然という文化が根ずいています。
そのためか、外国人にとっても比較的生活しやすい国と言える面があるのです。
医療費はほとんど無料
イギリスには、 NHS(National Health Service) という制度があります。
第二次世界対戦後、 「万人への普遍的な医療サービスの提供」 の考えのもと、基本的にどんな医療・手術も無料です。かかりつけ医制度が浸透しており、住まいの近くのかかりつけ医に登録します。
毎年、どれほどの予算がNHSに使われるかは国民にとって注目となっています。
ここまで、イギリスという国について紹介しました。イメージが掴めたでしょうか?
ここからは、さらに詳しくイギリスならではの文化を紹介していきましょう!
王室からシェークスピアまで。イギリスの有名人たち
ニュートン
ダーウィン
チャールズ・ディケンズ
チャーチル
サッチャー
ジョン・レノン
ホーキング博士、、、
イギリスの有名人は挙げたらキリがないほどです。
しかし究極の有名人と言えば、 王室・ロイヤルファミリーメンバー ではないでしょうか?
現クィーンのエリザベス女王は2012年に女王陛下在位60年を記念したダイヤモンド・ジュブリーのお祝いをしています。
90代でもさまざまな活動を続けている女王の夫フィリップ王はギリシャ人、3人息子の1人チャールズ皇太子はダイアナ元妃との離婚・死後、不倫関係にあったカミラ夫人と再婚、チャールズ皇太子の次男ハリー王子は2018年にアメリカ人であるメーガンさんと結婚しました。
イギリス王室は話題に事欠かず、常にイギリス国民の注目の的です。
日本の皇室が日本人、そして男系男子に限って皇位継承をしてきた歴史と比べると、かなり柔軟な王室と言えるのかもしれません。
もう一人挙げるのであれば、世界の文学を考えてもいつの時代も愛されてきたのが劇作家ウィリアム・シェークスピアでしょう。
「ハムレット」
「ロミオとジュリエット」
などはシェークスピアファンでなくても親しみのある作品です。現代でもイギリス各地でシェークスピア記念イベントや演劇が行なわれています。
芸術とスポーツをこよなく愛するイギリス
シェークスピアがでたところで、イギリスにおける芸術とスポーツもぜひ紹介しましょう。
イギリスでは、ロンドンをはじめ各地で芸術関連のイベントが開催されます。
美術館や博物館は入館料無料です。
これは どの階級の人でも本物の芸術に触れるべきだ という考えがもとになっています。
1768年設立の王立芸術院ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはイギリス最古の美術学校で、現在は大学院レベルの教育も行なっています。美術展が開催され、一般人も気軽に芸術に触れることができます。
また、毎夏にはプロムスと呼ばれるクラシック音楽の祭典が8週間にわたって開催されます。このイベントは、なんと1895年から続いており、どんな人でも音楽に触れることができる素晴らしいイベントとして有名です。
芸術とともに、イギリスでは
スポーツが盛んです。
イギリス発祥のスポーツはいくつあるのでしょう。
フットボール・ゴルフ・ラグビー・クリケット・ポロ、そしてバドミントンやスヌーカーもイギリス人陸軍将校たちがプレーしたのが起源と言われています。
「イギリス人は冷静で紳士」 とイメージがありますが、フットボールのプレミアリーグで盛り上がるイギリス人はとても冷静な人ばかりとは言えません・笑
ここで、イギリス人のマナーについて紹介しましょう。
また、少し関連付けて日本の皇后がフィリピンへ訪れた際の記事を載せておきます。気になる方はぜひ読んでみてください!
コミュニケーションを基本とするイギリス人のマナー
フットボールを観て興奮する、多くのイギリス人。
普段はさりげなくコミュニケーションを取ることができる達人たちです。相手の目をみて話す、相手に道をゆずる、高齢者や妊婦、体の不自由な人への配慮がとても上手です。
どんなに混んでいるロンドン内の主要駅でもほとんど人とぶつからない、電車やバスでは遠慮なく空席に座るけれど、高齢者などが乗ってくればスクッと立って席をゆずる確率の高さ、困っていそうな人へはお手伝いのオファーを自然にするなど、イギリス人は見ず知らずの人とのコミュニケーションに長けたマナーを持っています。
受け取る側が素直に親切を受け入れることができることにも注目したいですね。
このようにイギリスでは人と目が合えば、笑顔を交わすことも多々あり、とても気持ちよく生活をすることができるのです。このような文化こそ、「紳士の国」と呼ばれる所以でしょう。
イギリスで紳士淑女に育つには、どのような教育が行なわれているのでしょうか?
ここでマナーに関する記事を載せておきます!気になる方は合わせて読んでみてください!
イギリス教育の強み
「世界大学ランキング」で最も権威のあるイギリスの教育専門誌「Times Higher Education」が2020年ランキングを発表しまた(2019年9月)。
結果は、トップが
イギリスの
オックスフォード大学
92ケ国1300校以上の頂点です。
これは4年連続の快挙になります。
第3位には同じくイギリスのケンブリッジ、第10位にインペルアルカレッジ・ロンドンが入っています。ちなみに、日本の大学で上位は東京大学が36位、京都大学が65位です。
イギリスには、全寮制から公立までさまざまな学校があります。
イギリスと日本の教育の大きな違いは、 学生たちが自らの意思で活動できる力を養う という点でしょう。
授業の成績だけでなく、音楽やスポーツなど課外活動にいかに熱心に取り組んだかが大変評価されるシステムです。
ボランティア活動も大いに評価されます。思考力・想像力を養い、いかに有意義に生きる力を持っている人間なのかに重点を置いているのです。
日本からもイギリスの教育を受けさせたいという多くの家庭が、子どもを小学校から高校に留学させています。
イギリスの王室や教育について紹介しました。ここからは、さらにイギリス・イギリス人のことを知っていただくよう、もう少しソフト面の文化を紹介しましょう。
イギリス人はお祝い好き?!
生真面目なイメージがあるイギリス人。
しかし、何かのお祝いをすることにかけては、とてもノリが良いと言えます。
例えば、誕生日会。
子どもの誕生日には施設を予約し、20人、30人とお友だちを呼び盛大にすることが一般的です。それだけ招待すると、お呼ばれすることも多いわけで週末はしょっちゅう、誕生日会状態になることも(笑)そして、誕生日会は何も子どもだけのものではありません。30歳、40歳、50歳~90歳と大台に乗るごとに大きくお祝いをします。100歳になると、女王から手紙が届きます。
誕生日には、本人みずからオフィスにケーキを持参してお祝いするところも日本とは違うのではないでしょうか?
それから、イギリスの
グリーティングカード文化。
誕生日、進学祝い、引越し祝い、お見舞い、母の日、父の日、もちろんクリスマス、どんなお祝いにもカードを送り合うことがまだまだ続いています。カード専門店やスーパーマーケットのカード売り場のスペースは、イギリスではとても大きいのです。
休日はあくまでもリラックス、
でもホリデー大好き!
日本では、週末はいろいろ出かける楽しみを作るものではないでしょうか?
もちろん、イギリスでもフットボール観戦や映画、イベントなどありますが、基本はのんびり過ごすことが好まれます。
天気が良ければ家でBBQ、公園でピクニック、自然を求めてドライブなど、ゆるやかな時間を過ごすことが上手に感じます。クリスマスはもちろん、家族との時間を食べて飲んでゆったり過ごします。
オンオフ
を上手に切り替えていると感じます。
週末はゆっくり過ごす反面、
ホリデーが大好きです。
年に3回4回は必ず国内やヨーロッパに旅行をする人がとても多く、多少の家計への負担はかえりみていないのでは?と思わずにいられません(笑)
パブは交流の絶好の場。チップ文化も
イギリス文化といえば
「パブ文化」を外しては語れません。
パブというからにはお酒を売っていますが、キッズフレンドリーなパブがほとんどです。誕生日会をパブでする人、クリスマスディナーをパブで食べる人もとても多くいます。
「ラウンド」といって、一緒に行ったグループ内で1人づつみんなの飲み物を買い合う習慣もあります。だから、国内ビールの消費量がハンパないんでしょう(笑)
カウンターへ行き、好きな飲み物をオーダーします。テーブルでスタッフから声をかけられるまでは待ったり、「すみません!」などと声を張り上げるのはご法度です。
その場で精算をして、そのままカウンターで飲んだり好きなところへ座ったりします。
そして最近は、“カードオンリー”のパブも増えてきましたので少し注意しましょう。
ラガーに加え、エールなど冷たくないビール、ギネスなどの黒ビールなど様々な種類がありますし、コーヒーだけ飲みに行くこともできます。テーブルでイギリス食文化の代表のひとつパブ飯「サンデーロースト」を食べるのも良し、バーガーなど軽食を食べるのも良しです。
パブでの話題は、フットボールから政治まで何でもアリです。ひたすらビールを飲み続けても悪酔いする人はあまり見かけず、それぞれがおしゃべりを楽しんでいます。
ここでひとつ、注意点があります。
それがイギリスに存在する
「チップ制度」です。
チップはどこでも払うものではなく、学生は払わなくて良かったり、カウンターでオーダーする飲み物にはなくテーブルで食事をする場合に払うものといったルールがあります。一般的に、支払う額の10%が相場です。
イギリスに住みひとつ衝撃的だったのが、イギリスでは一般的に 「1パイントまでのビール(約600ml)」相当までであれば飲酒のあと運転して良い という現実です。
ですので、「飲んだら乗るな」という日本の法律とまったく違い、みんな車でパブに行きサクッとビールを飲み、車で帰っていくのです。そういう光景も今では普通に見えるので、慣れって怖いですね(汗)
ちなみに、2007年にはイギリス全土のパブ・レストラン・オフィスなど屋内では全面禁煙になっています。分煙はほとんど見当たりません。
全然食べられます!イギリス食文化
これまでどれほどの人が、 イギリスの料理はマズい! と言ってきたでしょうか?
しかし、イギリスの食もどんどん変化しています。日本食をはじめ、ヘルシーなメニューも増えています。ラーメンブームがあったり、2019年はココイチがロンドンに初上陸し、日本食はますます人気です。
特にロンドンにはベトナム人街、インド人街、韓国人街やアラブ街などそれぞれのエリアがあり、そのエリアにはその国のレストランが軒を連ねます。
イギリス人に合わせ味に変えることなく、本場の食を食べられるところがイギリス食文化で面白いところだと言えるでしょう。
伝統的なメニューのフィッシュアンドチップス、ローストディナー、シェパーズ・パイなどはどこのお店でも食べられ、新しいものを取り入れながらも伝統は失わないところがイギリス人気質に通じています。
そしてイギリス食文化といえば 「アフタヌーンティー」 がありますね。
19世紀なかば、ベッドフォード公爵夫人がゲストへ昼食と夕食の間にお茶とパンをだしたのが起源です。
ホテル、カフェなどで頂けますし、テーマのあるアフタヌーンティーを出しているお店もあります。
サンドウィッチ、クロテッドクリームをのせたスコーン、可愛いケーキをたっぷりの紅茶でいただくアフタヌーンティーは、その時間をおしゃべりしてゆったり楽しめるイギリスならではの食文化と言えるでしょう。
最後に、イギリス文化としてぜひご紹介したい「ボランティア」について話しましょう。
ボランティアが素晴らしいイギリス
イギリスは、
ボランティア先進国。
ある調査によると、2017年~2018年には、2000万人以上もの人がボランティア活動をしました。中学・高校でもボランティアを推進する活動がありますし、ボランティアをする機会が多く、その土台が整っているのです。
イギリスではコメディアンが大変人気ですが、そのコメディアンたちも毎年チャリティ活動をし、高額の寄付を集めます。
私も地元の文化遺産で毎週金曜にボランティアをしています。フロントデスクだけでなくスタッフとのミーティングに参加し、方向性や子ども向けのイベントなど一緒に決めたりします。ボランティアといっても、本当に多くの可能性が与えられます。
そして、イギリスでは繁華街に数軒ずつは絶対あるのが「チャリティショップ」。
ガンや子どもなどを対象とした様々な慈善団体が寄付によって集められた品を売り、その売り上げを活動に活かすという素晴らしいシステムです。
チャリティショップだけで1記事書けるほど、理にかなった完璧なシステムです。
ロンドン在住14年目、住んで感じるイギリス
私個人の感想になりますが、イギリスはとても住みやすい国だと感じます。不便と顔合わせの部分もありますが、人がリラックスしているところがとても快適です。
抱いていたイメージよりも、言いたいことをはっきりと言うイギリス人。それでも、ジョーク交じりに言うので、反対意見を言うときでも深刻になりすぎずにすみます。
いいと思ったら、「lovely!」と言うのも、イギリス英語の典型的な表現です。
おかげで、こちらもついつい本音トークになりますが、そのおかげで外国人同士でも理解が深まるのではと思っています。
日本から直行便で12時間のイギリス。
イギリスに住みだしたときは、サランラップの切れ味にストレスを感じるような生活でした。デリバリーも時間指定ができず丸1日待たされるなんてことも多々。
イギリス人には物事を改善しようとする気がないのか?!とストレスでしたが、それらはすべて日本と比べたストレス。
今では、それらをはるかに超えるイギリスの魅力を感じ日々過ごしています。
伝統と歴史のある国イギリスは、その特徴ある文化とフレンドリーな人たちが住む、大変魅力的な国です。語りたいことがたくさんありすぎで、長くなってしまいました(笑)
イギリス文化の特徴や魅力が伝わったようでしたら嬉しいです!

◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。