イギリス訛りの英語の発音の違いは?容認発音と訛り9種類を解説!

イギリス英語, 訛り, ネイティブキャンプ

英語を学習していると、単語やフレーズ、綴りなどにイギリス英語とアメリカ英語で大きな違いがあることが分かります。発音にしても、Rの強弱などで異なる特徴があります。

そして、イギリス英語には、地域によって「イギリス訛り」があり、その数は40にものぼるということは知っていますか?

この記事では、イギリス訛りの英語の発音やアクセントに焦点を当て、標準語とともに地域ごとの訛りを9種類まとめて一覧で紹介します。在英18年、イギリス人の夫と暮らし、以前ヨークシャー訛りで苦労した筆者がお届けします!

イギリス訛りの英語は多種多様!標準的な発音とは?

皆さんはイギリス英語、アメリカ英語のどちらを習得したいと考えていますか?英語力をアップできるならどちらでもいい、という人もいるかもしれませんね。

しかし、もしロンドンへの旅行やイギリス留学を予定しているのであれば、イギリス訛りについて知識を持っておくことをおすすめします。

例えば、標準語はどのようなものか、イギリス訛りにはどんな種類があるのか、のようなレベルでもよいでしょう。イギリスに存在する階級がアクセントの違いに現れている側面があることも見逃せないポイントです。

まずは、イギリス英語の標準語とされている容認発音(RP)について解説します。

容認発音(RP)とは

容認発音は英語でReceived Pronunciation、略してRPです。RPは方言(dialect)ではなく、発音のみを指します。

RPは、イギリス国内でも特にロンドンとイングランド南東部といった地域で、階級社会で身分の高い人、または教養のある上流エリートの人たちが使う英語の発音です。

容認発音(RP)の特徴

RPは基本的にAやOの母音を強調するフラットなアクセントで、地域的な訛りのない発音です。

RPは過去20年間ほどでいくつかの変更がありましたが、主に母音の位置のわずかな変更に限定されています。

イギリス英語と言えば、クイーンズ・イングリッシュまたはBBCイングリッシュのイメージがあります。これらこそRPです。

従って、エリザベス女王のスピーチなどでRPを聞くことができ、イギリス英語の訛りには階級が影響していることがわかる例になります。

このように、RPは上流階級の発音であることから、実際に話す人は一部の人たちのみと言えるのです。

さて、次からは聞き取れないなどと言われるイギリス英語訛り9つを紹介していきましょう。

地域ごとのイギリス訛り9種類

イギリス訛りの英語発音・アクセント・方言などは、地域や階級の違いだけでなく、職業や年齢層によってもさまざまで、細かく分類するとご紹介しきれないほど多く存在します。

ここでは、おもな地域ごとのイギリス訛りで代表的な9種類を見ていきましょう。

コックニー(Cockney)

Cockney(コックニー)はイギリス訛りのなかでももっとも有名で、多くの方が聞いたことがある訛りかもしれません。

コックニーを話す有名人といえば、元イングランド代表のデイビッド・ベッカムでしょう。

この訛りはロンドン、それも東のエリアであるイーストエンドで話される英語アクセントです。

最近でこそ、トレンド発信地として、ファッションやアート、人気のカフェやレストランがあるクールなエリアと変わってきていますが、100年前はロンドンで最も貧しい地区でした。

このような歴史からみても、コックニーアクセントは労働者階級や下位中産階級のルーツを持つロンドン市民に使われていたのです。

大きな特徴として、Aをエイではなく「ア」と発音、強調します。例えば、Fridayをフライダーイというパターンです。

また、単語の頭にHがくるときにそれを発音しないという特徴もあります。例えば、haveであればaveになるというパターンです。

コックニーにはユニークな表現も多くあります。ひとつ例文を挙げてみましょう。

I'm going upstairs.はコックニーになるとI'm go up the apples.です。このように韻を踏んだスラングを「コックニー・スラング」と呼びます。面白い言い回しですね。

ヨークシャー(Yorkshire)

ヨークシャーはイングランド北部にある地方で、ヨーク、リーズやシェフィールドのような街があり、それぞれにラッセルグループの大学もあります。

冒頭で、筆者は以前ヨークシャー訛りで苦労したとお話ししました。イギリス人夫の母がヨークシャー出身で、18年前に渡英した時、ヨークシャー訛りの強い義母とのコミュニケーションが難しかったことを思い出します。

発音の特徴としては、子音より母音を強くする傾向があり、loveをアブのように発音します。

スコティッシュ(Scottish)

次はガラッと変わってスコットランドに飛びましょう。

イギリスの北3分の1を占める地域で、素晴らしい自然、エジンバラやグラスゴーなどの美しい街、スコッチウイスキーなどが頭にすぐ浮かびます。

スコットランドはヨーロッパ最古の歴史を持つ王国とされており、そこで使われているのがスコットランド英語のスコティッシュです。

スコティッシュの特徴に、ai(アイ)がエイになる、ei(エイ)がイーになるというものがあります。

また、単語の中間にTがある場合、それを促音「ッ」のように発音するというものがあります。ですから、waterはウォッアァのような感じになります。

一方、Tが末尾にある場合、feetをフィーのようにほぼTを発音しません。この特徴を知らないと、日本人は文脈を理解するのに混乱しそうですね。

他にも、Rの使い方で舌を巻く傾向がある点も挙げておきましょう。筆者もスコティッシュの知り合いと日本へ出張の機会がありますが、慣れるのに時間がかかっています。

ノーザンアイリッシュ(Northern Irish)

3つ目は北アイルランドの訛り、ノーザンアイリッシュです。

イギリス英語を学びたい英語学習者ならご存じのように、イギリスは4つの国で構成されています。

そのうちのひとつが北アイルランド(他はイングランド・スコットランド・ウェールズ)です。ちなみに、アイルランドは1937年にイギリスから離脱し独立しています。

ノーザンアイリッシュの特徴は非常に固く、他のイギリスアクセントよりも短く発音するところです。加えて、疑問形のように最後を尻上がりにすることが多いです。

アルスター・スコットランド語と呼ばれる北アイルランドの英語もあります。スコットランド移民の多い北アイルランドでは、訛りがスコットランドと似ているとも言われています。

ウェルシュ(Welsh)

ウェルシュとは、ウェールズの人やウェールズ語を表す表現です。言語はケルト系であり、一般的な英語とは似ても似つかない言葉です。

ウェルシュ訛りは、歌を歌うかのようにハイピッチとローピッチが混在するイントネーションが特徴です。

また、イギリス英語では母音をあまり長く発音しないところ、ウェルシュでは「ハロー」が「ハローー」と少し長めにします。

ジョーディー(Geordie)

ジョーディーというのはどこの訛りなのか、あまり一般的に知られていないかもしれません。ジョーディーは、ニューキャッスルというイングランドでもっとも北に位置する工業都市で使われるアクセントです。

映画「Billy Elliot」はイングランド北東部の炭鉱の町を舞台に、少年ビリーがボクシングからバレエダンサーを目指すストーリー。

この映画にジョーディーがバンバン出てきます。ジョーディーが、スペルに忠実に発音する英語であることの例として、セリフの See you Monday, then.にあるMondayを、ビリーの先生が「モンディ」と言うシーンがあります。

スカウス(Scouse)

イギリス好きであれば、The Beatlesファンは多いでしょう。60年代に人気絶頂だったビートルズ4人の生まれ故郷であるリバプールこそ、スカウス訛りを話す人たちが住む街です。

このため、ビートルズのポール、ジョン、リンゴ、ジョージが話す英語は、生粋のスカウス。そしてリバプール出身の人たちは、リバプーディアンもしくはスカウサーと呼ばれています。

スカウス訛りは、鼻にかかったような独特の発音、そして話の途中や終わりにイントネーションが上がります。単語の語尾 -yを強く発音する特徴もあります。

また、飲み物(特にアルコール飲料を意味する場合も)をbevvy(beverageの略)、foodをscranと言うなど、表現も標準英語と多くの違いがあります。

エセックス(Essex)

エセックスといえば、イギリスのリアルTV「The Only Way is Essex」が有名です。

エセックスに住むモデル志望、クラブのプロモーター、ガールズバンドのメンバー、バーのスタッフなど、どちらかと言うと派手な印象の人たちが登場します。

エセックスの発音は、thinkをfink、NoをNA-hwと言うような特徴があります。エセックスからロンドンへは、通勤圏内という距離感からイメージしてください。

ここで話はコックニーに戻りますが、その定義は「Bow Bellsの音が聞こえる範囲で生まれた人」です(Bow Bellsの音とはSt. Mary-le-Bowの鐘のこと)。

しかし、この定義は時代とともに変わってきていて、近年はエセックス・バジルドンの若者たちもコックニー訛りに接して育っていると言われています。

ウェストカントリー(West Country)

イギリス南西部特有の訛りがウェストカントリーです。

例えば、アフタヌーンティーのスコーンに欠かせないクロテッドクリーム名産地のコンウォールやデヴォンがこのエリアにあります。

このように、農家のある地域で使われるこの訛りは、アングロサクソンの古英語に最も近いと言われています。

ウェストカントリーの特徴には、Rを舌を巻くようにする、-ingのgを言わずにインと発音するなどがあります。

イギリス英語の学習におすすめのサイトや動画を4つ紹介

さまざまなイギリス訛りがありますが、はじめのうちは標準的なイギリス英語を使えるようになることを優先して勉強することをおすすめします。

ここでは、British Englishを学ぶためのおすすめサイトを4つ紹介しましょう。

BBC Learning English

1943年以来、イギリスの英国放送協会(BBC)の国際放送サービスによって運営され、膨大な数のイギリス英語の動画が提供されているサイトです。

このサイトでは、世界の英語学習者が無料の音声、動画、テキスト教材を利用することができます。

そのコンテンツは、英文法、発音、単語、ニュース、ドラマからビジネス英語、そして自分のレベル発見に試してみることができるテストまで多岐に渡ります。

https://www.bbc.co.uk/learningenglish/

British Council

1934年、British Councilはイギリスの公的な国際文化交流機関としてスタートし、日本では1953年に組織が立ち上がり活動が始まりました。

子どもから大人を対象に、英語のエキスパートと一緒に英語を学ぶ各コースや、イギリスへの留学や各種試験対策のサポートなども行なっています。

また、レッスン体験会などイベントも開催され、日本でイギリスを感じる機会になります。

https://www.britishcouncil.org
日本語サイト:https://www.britishcouncil.jp/

English with Lucy

イギリスの小さな田舎町で育ったルーシーは、世界中の人々が自信を持って英語を流暢に話せるようにしたいという大きな夢を持っていました。

そして、無料サイト「English with Lucy」を立ち上げます。

動画のタイトルも「You are absolutely fluent in English if you can understand these」「What is YOUR English level? Take this test!」など、観てみたい、チャレンジしてみたいと思えるものになっています。

https://englishwithlucy.com

Learning English | Cambridge English

イギリスの名門ケンブリッジ大学が運営する英語学習サイトです。

5分~10分程度でできるレッスンプログラムの種類は、2025年8月時点で170以上提供されています。ちょっとした時間を見つけて英語学習を積み重ねていきたい方に向いています。

発音に慣れるためのリスニング練習やライティング力を高めるプログラム、各種テスト対策なども利用できるため、さまざまな角度から英語力アップを図ることが可能です。

https://www.cambridgeenglish.org/learning-english/

まとめ

本記事では、イギリス訛りの解説として、標準語とされる容認発音(RP)と、9つの地域ごとの訛りに分けてご紹介しました。

これらはほんの一部であり、驚くことに実際にはもう30個ほどあると言われています。

例えば、前イギリス首相のボリス・ジョンソンの発音は「オクスブリッジ」と言われています。

オクスブリッジとは、オックスフォードとケンブリッジを掛け合わせた言葉で、ジョンソン氏はイートン校出身オックスフォード大卒の特有の発音と言われています。

イギリス人と話すことがあれば、出身を聞いてみるのも良いでしょう。そして、そのエリアに行く機会があれば、ぜひその土地特有のイギリス訛りを実際に体験してください。

分からなくても当たり前!イギリス人もスコティッシュには字幕が必要だ、なんて言うくらいですから。

イギリスには本当に多くの訛りがあり、それを面白いと思えることが英語学習の楽しさにつながるでしょう。

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