イギリス英語の訛りは?渡航前に知りたい10のアクセントを紹介

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英語を学習していると、単語やフレーズなどにイギリス英語とアメリカ英語で大きな違いがあることが分かります。発音にしても、Rの強弱などで異なる特徴があります。

そして、イギリス英語と一口に言っても地域で訛りがあり、その数は40にものぼるということは知っていますか?

この記事では、イギリス英語の発音に焦点を当て、代表的なアクセントを10個紹介します。在英18年、イギリス人の夫と暮らし、以前ヨークシャー訛りで苦労した筆者がお届けします!

イギリス英語は多種多様!主なアクセントを10個紹介

皆さんはイギリス英語、アメリカ英語のどちらを習得したいと考えていますか?英語力をアップできるならどちらでもいい、という人もいるかもしれませんね。しかし、もしロンドンへの旅行やイギリス留学を予定しているのであれば、イギリスの方言について知識を持っておくことをおすすめします。

例えば、標準語はどのようなものか、イギリス英語の訛りにはどんな種類があるのか、のようなレベルでもよいでしょう。イギリスに存在する階級がアクセントの違いに現れている側面があることも見逃せないポイントです。

さっそくイギリス英語の訛りの一覧を紹介します。容認発音とは?ジョーディーとはどこの方言?など、ぜひ楽しくお読みください。

容認発音(RP)

まず、ひとつ目に「容認発音」をあげます。容認発音は英語でReceived Pronunciation、略してRPです。RPは方言(dialect)ではなくアクセントを指します。

RPは、イギリス国内でも特にロンドンとイングランド南東部といった地域で、階級社会で身分の高い人、または教養のある中流~上流エリートの人たちが使う英語であり発音です。

RPはQueen's English/BBC English

RPは基本的にAやOの母音を強調するフラットなアクセントです。RPとみなされるためには、地域のアクセントがまったく含まれないといった標準英語との違いがあります。過去20年間ほどでいくつかの変更がありましたが、しかしそれは主に母音の位置のわずかな変更に限定されています。

イギリス英語と言えば、Queen's EnglishまたはBBC Englishのイメージがあります。これらこそRPです。従って、エリザベス女王のスピーチなどでRPを聞くことができますし、イギリス英語の訛りには階級が影響しているという分かりやすい例になります。逆に言えば、RPを話す人はごくわずかだと言えるのです。

さて、次からは聞き取れないなどと言われるイギリス英語訛り9つを紹介していきましょう。

コックニー(Cockney)

Cockney(コックニー)はイギリス英語の訛りのなかでももっとも有名で、多くの方が聞いたことがある訛りかもしれません。コックニーを話す有名人といえば、元イングランド代表のデイビッド・ベッカムでしょう。

発音の特徴の一つに、単語の頭にHがくるときにそれを発音しないというものがあります。例えば、haveであればaveになるというパターンです。

この訛りはロンドン、それも東のエリアであるイーストエンドで話される英語アクセントです。最近でこそ、トレンド発信地として、ファッションやアート、人気のカフェやレストランがあるクールなエリアと変わってきていますが、100年前はロンドンで最も貧しい地区でした。このような歴史からみても、コックニーアクセントは労働者階級や下位中産階級のルーツを持つロンドン市民に使われていたのです。

大きな特徴として、Aをエイではなく「ア」と発音、強調します。例えば、Fridayをフライダーイというパターンです。

コックニーにはユニークな表現も多くあります。ひとつ例を挙げてみましょう。I'm going upstairs.はコックニーになるとI'm go up the apples.です。このように韻を踏んだスラングを「コックニー・スラング」と呼びます。面白いですね。

ヨークシャー(Yorkshire)

ヨークシャーはイングランド北部にある地方で、ヨーク、リーズやシェフィールドのような街があり、それぞれにラッセルグループの大学もあります。

冒頭で、筆者は以前ヨークシャー訛りで苦労したとお話ししました。イギリス人夫の母がヨークシャー出身で、18年前に渡英した時、ヨークシャー訛りの強い義母とのコミュニケーションが難しかったことを思い出します。

発音の特徴としては、子音より母音を強くする傾向があり、loveをアブのように発音します。

スコティッシュ(Scottish)

次はガラッと変わってスコットランドに飛びましょう。

イギリスの北3分の1を占める地域で、素晴らしい自然、エジンバラやグラスゴーなどの美しい街、スコッチウイスキーなどが頭にすぐ浮かびます。スコットランドはヨーロッパ最古の歴史を持つ王国とされており、そこで使われているのがスコットランド英語のスコティッシュです。

スコティッシュの特徴に、ai(アイ)がエイになる、ei(エイ)がイーになるというものがあります。また、単語の中間にTがある場合、それを促音「ッ」のように発音するというものがあります。ですから、waterはウォッアァのような感じになります。一方、Tが末尾にある場合、feetをフィーのようにほぼTを無くしてしまいます。この特徴を知らないと、日本人は文脈を理解するのに混乱しそうですね。

他にも、Rの使い方で舌を巻く傾向がある点も挙げておきましょう。筆者もスコティッシュの知り合いと日本へ出張の機会がありますが、慣れるのに時間がかかっています。

ノーザンアイリッシュ(Northern Irish)

3つ目は北アイルランドの訛り、ノーザンアイリッシュです。

イギリス英語を学びたい英語学習者は知っているでしょうが、イギリスは4つの国で構成されています。そのうちのひとつが北アイルランド(他はイングランド・スコットランド・ウェールズ)です。ちなみに、アイルランドは1937年にイギリスから離脱し独立しています。

ノーザンアイリッシュの特徴は非常に固く、他のイギリスアクセントよりも短く発音するところです。加えて、疑問形のように最後を尻上がりにすることが多いです。

アルスター英語と呼ばれる北アイルランドの英語もあります。スコットランド移民の多い北アイルランドでは、訛りがスコットランドと似ているとも言われています。

ウェルシュ(Welsh)

さて、ウェルシュとは、ウェールズの人やウェールズ語を表す表現です。言語はケルト系であり、一般的な英語とは似ても似つかない言葉です。

ウェルシュ訛りですが、歌を歌うかのようにハイピッチとローピッチが混在するイントネーションが特徴です。また、イギリス英語では母音をあまり長く発音しないところ、ウェルシュでは「ハロー」が「ハローー」と少し長めにします。

ジョーディー(Geordie)

ジョーディーというのはどこの訛りなのか、あまり一般的に知られていないかもしれません。ジョーディーは、ニューキャッスルというイングランドでもっとも北に位置する工業都市で使われるアクセントです。

映画「Billy Elliot」はイングランド北東部の炭鉱の町を舞台に、少年ビリーがボクシングからバレエダンサーを目指すストーリー。この映画にジョーディーがバンバン出てきます。ジョーディーはスペリングに忠実に発音する英語である例として、セリフの See you Monday, then.にあるMondayを、ビリーの先生が「モンディ」と言うシーンがあります。

スカウス(Scouse)

イギリス好きであれば、The Beatlesファンは多いでしょう。60年代に人気絶頂だったビートルズ4人の生まれ故郷であるリバプールこそ、スカウス訛りを話す人たちが住む街です。このため、ビートルズのポール、ジョン、リンゴ、ジョージとも生粋のスカウス、そしてリバプール出身はリバプーディアンもしくはスカウサーと呼ばれています。

スカウス訛りは、鼻にかかったような独特の発音、そして話をするなかで途中や終わりにイントネーションが上がります。単語の語尾 -yを強く発音する特徴もあります。

また、drinkをbevvy(飲み物を意味するbeverageからと予測)、foodをscranと言うなど、表現も標準英語と多くの違いがあります。

エセックス(Essex)

エセックスといえば、イギリスのリアルTV「The Only Way is Essex」が有名です。エセックスに住むモデル志望、クラブのプロモーター、ガールズバンドのメンバー、バーのスタッフなど、どちらかと言うと派手な印象の人たちが登場します。

エセックスからロンドンへは、通勤圏内という距離感からイメージしてください。ここで話はコックニーに戻りますが、その定義は「Bow Bellsの音が聞こえる範囲で生まれた人」です(Bow Bellsの音とはSt. Mary-le-Bowの鐘のこと)。しかし、この定義は時代とともに変わってきていて、エセックス・バジルドンの若者たちもコックニー訛りに接して育ってきました。

ウェストカントリー(West Country)

イギリス南西部特有の訛りがウェストカントリーです。例えば、アフタヌーンティーのスコーンに欠かせないクロテッドクリーム名産地のコンウォールやデヴォンがこのエリアにあります。このように、農家のある地域で使われるこの訛りは、アングロサクソンの古英語に最も近いと言われています。

ウェストカントリーの特徴には、Rを舌を巻くようにする、-ingのgを言わずにインと発音するなどがあります。

ここまで、ざっとイギリス英語の訛り10選を紹介しました。

イギリス英語を学ぶのにおすすめのサイトや動画を3つ紹介

ここでは、British Englishを学ぶためのおすすめを3つ紹介しましょう。

BBC Learning English

1943年以来、膨大な数のイギリス英語の動画が提供されているサイトです。このサイトでは、世界の英語学習者が無料の音声、動画、テキスト教材を利用することができます。そのコンテンツは、英文法、発音、単語、ニュース、ドラマからビジネス英語、そして自分のレベル発見に試してみることができるテストまで多岐に渡ります。

https://www.bbc.co.uk/learningenglish/

British Council

1934年、British Councilはイギリスの公的な国際文化交流機関としてスタートし、日本では1953年に組織が立ち上がり活動が始まりました。子どもから大人を対象に、英語のエキスパートと一緒に英語を学ぶ各コースがあったり、イギリスへの留学や各種試験対策のサポートなども行なっています。また、レッスン体験会などイベントも開催され、日本でイギリスを感じる機会になります。

https://www.britishcouncil.org

English with Lucy

イギリスの小さな田舎町で育ったルーシーは、世界中の人々が自信を持って英語を流暢に話せるようにしたいという大きな夢を持っていました。そして、無料サイト「English with Lucy」を立ち上げます。動画のタイトルも「You are absolutely fluent in English if you can understand these」「What is YOUR English level? Take this test!」など、観てみたい、チャレンジしてみたいと思えるものになっています。

https://englishwithlucy.com

まとめ

本記事では、イギリス英語の10個の特徴ある訛りについて紹介しました。これらはほんの一部であり、驚くことに実際にはもう30個ほどあると言われています。

例えば、前イギリス首相のボリス・ジョンソンの発音は「オクスブリッジ」と言われています。オクスブリッジとは、オックスフォードとケンブリッジを掛け合わせた言葉ですが、ジョンソン氏はイートン校出身オックスフォード大卒の特有の発音と言われています。

イギリス人と話すことがあれば、出身を聞いてみるのも良いでしょう。そして、そのエリアに行く機会があれば、ぜひその土地特有の訛りを実際に体験してください。分からなくても当たり前!イギリス人もスコティッシュには字幕が必要だ、なんて言うくらいですから。

イギリスには本当に多くの訛りがあり、それを面白いと思えることが英語学習の楽しさにつながるでしょう。

nativecamp.net

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