日本で知られている英語の検定の2トップといえば、英検とTOEICですね。英検は日本だけの検定ですが、TOEICは国際的にさまざまな国籍の人が受けている検定です。
そのTOEIC、なんとなく高得点が取れると良いというイメージがあるかと思いますが、実際にTOEICのスコアが有利にはたらく場面というのは、どういった時だと思いますか?
TOEICとは
TOEICとは、「国際コミュニケーション英語能力テスト」の略で、その英語名である「Test of English for International Communication」の頭文字を取ったものです。
試験結果は、合格・不合格というようなもので表されず、スコア表記になっています。スコアは990点満点となっていて、リスニングセクションもリーディングセクションも、それぞれ495点満点となっています。
スコアは、各セクションごとにも出ているため、自分がリスニングができたのか、リーディングができたのかがわかるようになっています。
全問題が同じ難易度というわけではなく、まだ初級レベルの人でも一定の点数が取れるようになっていて、とても簡単な問題もあります。
これは、TOEICには合格という概念がなく、最終的なスコアで実力を測るためです。これが、レベル別に分かれている英検などとは大きく異なる点です。
800点以上などのハイスコアが取れる人や、海外長期滞在経験がある人などは、リスニングセクションの方が簡単だと感じるでしょう。
900点以上の人になると、リスニングは満点だという人も珍しくありません。これは、テストに使われるようなリスニング問題は、スピードがナチュラルだったとしても、発音はとても明瞭だということが関係しているのかもしれません。
また、文字で見た時、リスニング問題は中級レベルの人でも理解できるようなシンプルなものになっています。そのため、リスニング力がある人にとっては、TOEICの点数は取りやすいものだと言えるでしょう。
大学進学に有利?
そんなTOEICですが、ハイスコアを取っておくと大学進学に有利になる場合があります。
例えば、600点程度とっておくと、英語試験の免除がされる大学があります。また、出願要件としてTOEICの一定の点数を求めている大学もあります。
大学に受かってからは、一定の点数を取っていれば単位認定されるようなこともあり、高校のうちにTOEICハイスコアを取っておけば、進学する大学によっては、とても役立つでしょう。
ちなみに、大学に在学中にTOEICを受けることが条件になっている場合や、ハイスコアを取ったことで成績がよくなるというようなことも、大学や学部によってはあるようです。
その辺りの詳細は、各大学の情報を確認してみてください。
就職活動時のTOEIC
TOEICは、大学進学のときよりも、就職活動時に使うというイメージが強いかもしれません。
日本で働く場合に、英語を使うような仕事に就きたいというときは、「TOEIC◯〇〇点以上」というのが、応募要件になっていることがほとんどです。
600点以上というものから始まり、800点・900点というような、プロフェッショナルレベルで英語が使える人を求めているような求人もあります。
また、特に英語を使うような業種ではなかったとしても、企業として応募者全員に一定のTOEICスコアを求めている企業もあります。
英語をそれほど使わないような職種でも、TOEICは割と誰でも知っているため、面接時の話題になります。
話の流れ次第では、同じ会社の英語を使う部門に採用されたり、英語に関する仕事を任せてもらえることもあるかもしれません。そういったケースはレアケースかもしれませんが、実際に私の身にはよく起きているので、「レアケース」というほど珍しいことではないのかもしれません。
TOEICで実際の英語力がわかるのか
さまざまな場面で有利になるTOEICですが、TOEICの点数で実際の英語力というのはわかるのでしょうか。
企業がTOEIC900点以上という応募要件を出している場合、それはほとんどネイティブレベルの人ということを求めている場合があります。
しかし、実際には900点取れても全くコミュニケーションはうまくできないという人もいます。聞いたり読んだり書いたりするのはできても、自然なコミュニケーションには慣れていないという人は多く、TOEICのハイスコアが取れるひとは、点数の割に自分は英語が話せないと感じている人が多かったりします。
「実際の英語力」というのが何をさすかによりますが、少なくともTOEICでハイスコアが取れるという人が、全く英語ができないということはないでしょう。
読み書きが得意なら、海外とのメールやりとりが中心の英文事務や、コミュニケーションが必要のない翻訳などの仕事なら、問題なくこなせるはずです。
コミュニケーション能力をアピールして、就職などに生かしたいという場合は、「TOEICスピーキングテスト/ライティングテスト」というテストがあります。
このテストを受けて高得点が取れれば、英語でのコミュニケーション能力も高いということになります。
普通のTOEIC、そしてこのTOEICスピーキング/ライティングテストの両方で高得点が取れるのであれば、実際の英語力も高いと思っていいでしょう。
海外ではTOEICは通用しない?
日本や韓国ではかなりメジャーな存在のTOEICですが、海外では知らない人も多いということはご存知でしょうか。
例えば、英語圏に語学留学をするとTOEIC対策のためのクラスがある学校は、それほど多くなかったりします。また認知度も低めで、たとえばヨーロッパ圏で英語を勉強しているという人で、TOEICを知らないという人もいます。
外国人として現地企業の求人に応募するというとき、地域によってはTOEICの知名度がなく、そのスコアでは十分な英語力をはかってもらえないかもしれません。
海外の大学に進学したいときも同様で、TOEICはほとんど意味がなく、別の英語の検定で一定のスコアをとっておく必要があります。
アメリカ・カナダなら、TOEFL、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドならIELTSというテストで、各大学の求めるスコアが取れていなければ、大学の試験を受ける資格もないのです。
TOEFLやIELTSはTOEICと同様に、合否判定ではなくスコアで成績が示されます。
これらのテストは、その国では知名度があるため、就職時にも英語に全く問題がないということが伝わります。そもそも、現地の大学を卒業したのであれば、それが英語力の証明にもなるでしょう。
イギリスやオーストラリア、ニュージーランドでは、ケンブリッジ英検も知名度があります。ケンブリッジ英検はレベル別にわかれており、合否判定もあります。合格の中でも、そのスコアによってA~Cで成績が表されますが、履歴書等でそれを書く必要はありません。
このケンブリッジ英検のFCEというレベル以上なら現地での就職に役立つでしょう。
イギリス・オーストラリア・ニュージーランドでは、このケンブリッジ英検のコースを設けている語学学校が多数存在しています。
まとめ
日本で進学や英語関係の就職をしたい場合、TOEICはとても役立ちます。問題内容もビジネスで使うような内容になっているため、TOEICの勉強をすることは、ビジネス英語の勉強をすることにもつながるでしょう。
英語を使った就職をしたい方は、TOEICの高得点もめざしながら、会話力はオンライン英会話で鍛える・・・という方法をおすすめします。