はじめてTOEICを受験する時や就活で履歴書にTOEICの点数を書く時、最低でもどれぐらいの点数を取っておくべきでしょうか。
2023年にTOEICを受験した大学生の平均点は596点で、リスニング平均は325点、リーディング平均は271点でした。
これは全体の平均点で、目指すべき点は学年や専攻、志望する業界によっても異なります。
ここでは、さまざまなデータを見ながら、大学生が目指すべきTOEICの点数とスコアアップのポイントをまとめます。
参考:一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC) - TOEIC® DATA AND ANALYSIS 2024 2023年度 受験者数と平均スコア
大学生のTOEIC平均点(学年別)
一般社団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の2023年のTOEIC®(公開テスト)受験結果データによれば、大学生の学年別の平均点は以下の通りです。
学年(人数) |
平均点 |
リスニング平均点 |
リーディング平均点 |
大学1年生(26,144) |
549 |
300 |
248 |
大学2年生(43,053) |
580 |
318 |
262 |
大学3年生(115,608) |
599 |
328 |
272 |
大学4年生(79,131) |
611 |
332 |
279 |
参考:IIBC - TOEIC® DATA AND ANALYSIS 2024 2023年度 受験者数と平均スコア
TOEIC®(IPテスト *大学が主催する団体受験)の場合は、学校の決まりとして受験している人も多いせいか、平均は50〜100点ほど下がる結果となったようです。
公開テストの場合も、IPテストの場合も、学年が上がるにつれ平均点が上がる傾向にあり、これは、英語学習歴による習熟度の違いだけでなく、就職活動を視野に学習に力を入れる学生の割合が増えることによるものと考えられます。
大学生のTOEIC平均点(専攻別)
2023年のTOEIC®(公開テスト)の専攻別データについては、IIBC発表のものでは短大生や専門学校生、高専生のデータも含まれた平均点となりますが、以下のように発表されています。
専攻分野 |
平均点 |
リスニング平均点 |
リーディング平均点 |
文系(教育、美術、言語、文学、音楽、心理学) |
611 |
339 |
272 |
社会/法学系(国際、法律、政治、社会学) |
623 |
340 |
283 |
会計学/ビジネス/経済学/財政学/マーケティング/貿易 |
606 |
331 |
275 |
科学(農業、コンピュータ・サイエンス、数学、物理学、統計学) |
574 |
311 |
263 |
保険・医療 |
593 |
320 |
273 |
工学/建築 |
554 |
304 |
250 |
その他/なし |
542 |
308 |
234 |
参考:IIBC - TOEIC® DATA AND ANALYSIS 2024 2023年度 受験者数と平均スコア
専攻するコースの授業で英語に触れる機会が多いほど平均点が上がると分析できますが、やはり大学院進学や就職など、卒業後の進路に合わせた英語の必要度に応じて、平均点に違いが出ているとも分析できます。
就職活動で求められるTOEICの点数目安
IIBCが日本企業の人事担当者500人に調査した結果によると、「人事が評価するスコアの中央値は600点以上」です。まずは600点を目標点数としておくのがよいと言えます。
参考:IIBC - TOEIC® Tests受験者と人事担当者に調査「人事のリアルな意見が明らかに!履歴書に記載してもいい『TOEIC® Listening & Reading』のスコアは何点?」
外資系企業なら700点以上
TOEIC600点はあくまで企業側の示す中央値です。就職活動でTOEICの点数にどれほど重点が置かれるかは、志望する企業によっても異なります。
「TOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」によれば、「業務上も大きな支障はない」とされているのはTOEIC730点〜とされており、外資系企業であれば、700点は少なくとも持っておきたい点数です。
参考:IIBC - TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表
英語はアピールの武器になる
グローバル展開を進めている企業や外資系企業であれば、英語を重視するのは当然ですが、それ以外の企業でもビジネスパーソンにとって重要なスキルとして「英語」を挙げているというデータがあります。
また、IIBCがTOEICテストの活用について、2019年に企業・団体に実態調査した結果では、44.9%の企業・団体が新卒採用時にTOEICテストの結果を参考にしていると回答しています。英語を採用要件として出していなくても、実際は英語力も採用の参考情報となっていることを見ると、アピールポイントとして使えるよう、TOEIC600点を目指すところから始めるのがよさそうです。
参考:IIBC - 英語活用実態調査 企業・団体 ビジネスパーソン 2019
大学生がTOEICの点数を上げるためにできる勉強法
TOEICの点数を上げておくことの重要性がわかったところで、ここからは、TOEICで点数を上げるための勉強法について解説します。
TOEICの点数を上げるために必要な学習時間は?
オックスフォード大学出版局より出ている教師向けのTOEIC成功ガイドには、以下のような学習時間の早見表が掲載されています。
目標スコア |
||||||||
350 |
450 |
550 |
650 |
750 |
850 |
950 |
||
現在のスコア |
250 |
200時間 |
425時間 |
700時間 |
950時間 |
1150時間 |
1450時間 |
1750時間 |
350 |
225時間 |
450時間 |
700時間 |
950時間 |
1225時間 |
1550時間 |
||
450 |
225時間 |
450時間 |
700時間 |
975時間 |
1300時間 |
|||
550 |
225時間 |
450時間 |
725時間 |
1050時間 |
||||
650 |
225時間 |
500時間 |
825時間 |
|||||
750 |
275時間 |
600時間 |
||||||
850 |
325時間 |
表を確認すると、だいたいの目安として200〜250時間の勉強で100点のスコアアップにつながると読み取れますが、保有スコアが上がるほど100点を上げるのに必要な学習時間も増えるとわかります。
TOEICの点数を上げるにはしっかりと時間を確保し、地道に取り組む心構えが必要となります。大学のテストの感覚とは違い、短期集中で結果を残せるものではないと理解しておくことが重要です。
TOEICの点数アップのための学習設計
TOEICの点数を上げるためには学習時間の確保が必要ですが、その学習時間を効率よく使うこともとても重要なポイントです。
よくやりがちな失敗は「自分の現在の点数をよく理解せずに、はじめから高い目標設定をして、うまくいかずに挫折する」というもの。
最終的な目標点数を見据えるのも大切ですが、先に紹介した学習時間の表も参考にしながら、最終目標点数に到達する前の、中間目標点数をいくつか設定するようにしましょう。
以下で詳しくステップ解説します。
1. 自分の点数を知り、最終目標点数までの距離を理解する
受験経験がないからまずは勉強をして、時期を見定めて受験するというのももちろん悪くはないのですが、早い段階でテストを受け、点数を出しておくのがおすすめです。
自分の立ち位置を知ることで、学習プランや、中間目標となる点数を設定することがより現実的になります。
TOEICの教材では、どの点数保有者向けの教材かを明示しているものも多く、先に自分の点数がわかれば、適切な参考書を選びやすくなります。
2. 中間目標点数を決める
最終目標とする点数に到達するまでに、上げる点数が高い場合は、まずは中間目標となる点数を設定し、そこに向けた学習計画を立てましょう。1日どれぐらいの学習時間を取るか、次回受験日をいつにするかといったことも一緒に決めて取り組みましょう。
3. 中間目標点数達成のための学習を進める
点数が400点台までの人は、まだまだ英語への慣れが必要なので、基礎的なところから学習が必要です。
400点以上の点数が取れている人は、語彙力の強化や文法の細かなポイントの確認など、苦手意識のあるところにも集中して学習を進めるといいでしょう。
受験の度に最終目標点数を意識し、中間目標点数を調整して学習を続けましょう。
なかなか計画通りに学習が進められなかったり、行き詰まりを感じたりした時は、専門講師から学ぶのも一つですし、アプリなどを利用して習慣づけを徹底するのもおすすめです。
平均点到達のためのTOEIC対策
TOEIC対策では、時間内で問題に取り組めるようタイムマネジメント力を付けておくのはもちろん、できるだけ過去問や類似問題を解いてテストの形式に慣れておくことが重要です。
問題を解いて練習する中で、以下のポイントに注意して学習を進められると、さらに効率よくTOEICの点数を上げることにつながります。
単語・熟語対策
TOEICテストはビジネスパーソンのための試験のため、日常的な単語の他にもビジネスの現場で使う単語も多く登場します。
たくさんの問題を解きながら見つけた単語は、どんどん覚えて語彙力アップを図りましょう。
ビジネス単語以外で引っ掛かりが多い場合は、元々の語彙力が低い場合も多いので、TOEIC対策の単語集などを活用して学習を進めるのがおすすめです。
文法対策
TOEICの傾向を踏まえた文法書を使っての学習がおすすめです。
TOEIC学習者が陥りやすい文法ミスを理解しておくと、うまく対応できる問題も増えるようになります。
リーディング対策
段落ごとの意味を理解し、大枠で英文全体の構成や流れを理解できるようパラグラフリーディングの練習をしたり、英文を斜め読みしてだいたいの意味をつかむスキミングや、英文から特定の情報を見つけるために拾い読みするスキャニングの練習をしたりして、作業速度を上げるためのテクニックを磨くのがおすすめです。
日頃から、洋書を読むようにするなど、英文を読む機会を増やすのも有効な学習方法になります。
リスニング対策
聞こえた音に続いて自分で発音するシャドーイングや聞こえた英語を書き取るディクテーションなどに取り組んでおくと、英語の発音やリズムに慣れ、リスニング力の強化につながります。
リスニングパートについてもテクニックが重要で、問題と問題の間の時間で次の問題に目を通し、あらかじめ問題内容の先読みをできるよう練習するのもおすすめです。
また、リスニングで苦戦している場合、ライティング力やスピーキング力を磨くと、全体的に英語力を底上げすることとなり、結果的にリスニング力が上がることがあります。伸び悩みがある場合は、オンライン英会話で話す機会を作るなど、別のアプローチをしてみるのもおすすめです。
まとめ
以上、平均点を参考に大学生が目指すべきTOEICの点数と、点数を上げるためのポイントを解説しました。
就職活動を第一の目標にスコアアップを図る場合も多いですが、企業への実態調査や社会人アンケートの結果を見れば、会社に入ってからも英語スキルは重宝されるスキルの一つだとわかります。
卒業後のことも考え、企業が求めるTOEICの点数も参考に目標を立てて、大学生のうちからしっかり学習を進めておくのがおすすめです。

◇経歴
・ワーホリ3ヵ国経験あり
・海外企業の営業・マーケティングで5年の経験あり
・留学サポート経験あり
◇資格
・ケンブリッジ英検 FCE
・TOEIC 900点以上
◇留学経験
・イギリス・エディンバラ大学附属の語学学校にて1ヶ月の語学留学経験あり
◇海外渡航経験
・ニュージーランド、カナダ、アイルランドでワーホリを経験
・アイルランドの企業で営業・マーケティングを担当(出張でマルタやイギリス、アジア圏の国々にも行きました)
・これまで仕事や旅行で訪れた国は20ヵ国以上
◇自己紹介
留学サポートの経験も経て、現在はWebライターとして活動しています。
大学から本格的に英語を学び始め、留学・ワーホリ経験を通して、世界各国の人たちと交流する楽しさを知りました。現在は、日本で国際交流・異文化理解の場を作るお手伝いもしています。