
日本人の英語力は、2024年版のEPI英語能力指数で過去最低の世界92位の結果でした。
上記の結果を見て、「なぜ日本人はこれほど英語が苦手なのか?」と疑問に思った方も多いでしょう。
本記事では、日本人の英語力に関してEFエデュケーションの最新データに加えてTOEFLの統計も交えながら解説します。
さらに、英語力が低迷する根本的な理由を深掘りし、明日から実践できる具体的な学習アプローチまでを徹底的に解説します。
本記事を読めば、日本人の英語力に関して現状を正しく把握可能です。自身の英語力を正しく把握し、最適な方法で苦手を克服しましょう。
- 日本人の英語力世界ランキング
- 英語力は世界的に低下傾向?日本が抱える課題とは?
- なぜ日本人は英語が苦手なのか?
- 日本人の英語力を上げるには?4つの実践的アプローチ
- 日本人の英語力に関するよくある質問
- まとめ
日本人の英語力世界ランキング
以下では、日本人の英語力を世界と比較したランキングについてEFエデュケーションの調査とTOEFL iBTスコアから紹介します。
EFエデュケーション調査では全体92位・平均スコア (454)
スウェーデン発祥の語学学校「EFエデュケーションファースト」の調査データによると、2024年版のEPI英語能力指数において、日本は国・地域別ランキングで過去最低の92位となり、「英語力が低い国・地域」最下位に位置しました。
EFエデュケーション調査の統計データ
EFエデュケーション「世界最大の英語能力指数ランキング(https://www.efjapan.co.jp/epi/)を紹介します。
TOEFL iBTスコアで見るスキル別の課題
EPIのランキングだけでなく、世界的な英語試験「TOEFL iBT」のスコアからも日本の課題は明確です。
2023年の「TOEFL iBT」における日本人の平均スコアは、項目別に以下のとおりとなっています。
| 項目 | 平均スコア |
| リーディング | 19点 |
| リスニング | 19点 |
| スピーキング | 17点 |
| ライティング | 18点 |
| 合計 | 73点(120点満点中) |
出典:TOEFL iBT® Test and Score Data Summary 2023|ETS
上記のデータが示すのは、日本の英語教育で重視されてきた「読む・聞く」に比べ、「話す」のスコアが低い点です。
EPIランキングの低迷と合わせ、日本の英語学習がスピーキングを中心とした実践力に大きな課題があるのを裏付けています。
英語力は世界的に低下傾向?日本が抱える課題とは?
世界と比較した際の日本における英語力の課題について、以下の2点から詳しく解説します。
世界的に英語力が低下傾向に
最新の調査によると、前年より平均スコアが低下した国・地域は全体の60%にのぼり、世界的に英語力の低下傾向が見られます。
観光やビジネスの国際化が進む中で、英語力の重要性は増す一方ですが、各国ともに対応が求められています。
日本の英語力は依然として低水準で推移
そのような中で、日本は英語能力指数(EPI)で92位と、世界的に見ても低水準にとどまっており、「英語力が低い」カテゴリーに分類されています。
特にアジア諸国と比較しても順位は芳しくなく、背景には文法偏重の受験英語や、英語を使う場面の少なさといった教育・文化的課題があると指摘されています。
一方で、オンライン英会話や留学などを通じて英語力を高めようとする若者も増えており、こうした個人の努力が今後の底上げにつながることが期待されます。
制度的な改革と個人の意識変革の両面から、日本の英語力向上が求められています。
なぜ日本人は英語が苦手なのか?
日本人の英語力がなかなか伸びない背景には、大きく2つの要因があります。
1つは、英語と日本語のあいだにある「言語距離」。
もう1つは、これまで行われてきた英語教育の方法です。
ここでは、それぞれの要因について詳しく見ていきます。
1.英語と日本語の「言語距離」が大きい
■ 英語と日本語の語順は根本的に違う
英語と日本語は、言語体系が大きく異なります。
英語はインド・ヨーロッパ語族に属し、主語-動詞-目的語(SVO)の語順を取る一方、日本語は主語-目的語-動詞(SOV)という順番です。
この語順の違いにより、日本語話者が英語の構文を理解しづらくなる傾向があります。
■ 発音のハードルが高い
英語には、日本語に存在しない音や子音の組み合わせ(子音クラスタ)が多く含まれています。
たとえば「str」や「spl」といった発音は、日本語にはない音の並びであり、リスニングや発音の大きな障壁になります。
■ リズム・語彙が違う
英語は、強弱のあるストレスタイミングの言語であるのに対し、日本語は均等なリズムのモーラタイミング言語です。
この違いも、英語の自然なリズム感を身につける上での難しさにつながります。
さらに、語彙面でも共通の語源や借用語が少なく、英単語の習得にも時間がかかりやすいのが現実です。
2.教育が原因?日本の英語学習に足りない“実践力”
■ 試験に強くても会話は苦手
日本の英語教育は、長年にわたって文法や読解中心に進められてきました。
そのため、試験には対応できても、実際に英語を話したり聞いたりする力が育ちにくい傾向があります。
■ 実用性の低い授業と指導体制
授業スタイルも受動的で、生徒が英語を「使う」機会は限られています。
さらに、教師自身の英語力や指導力に差があることや、教科書の内容が現実の英語使用シーンと乖離している点も課題です。
こうした教育環境が、実践的な英語力の育成を妨げているのです。
日本人の英語力を上げるには?4つの実践的アプローチ
以下では、日本人の英語力を向上させるための方法として4つのアプローチを紹介します。
上記のアプローチを活用し、自身の英語力を効果的に向上させましょう。
1. スピーキング力を鍛える:話す練習は最優先
日本人の英語力向上において、最も不足しているのがスピーキングスキルです。
文法や読解が得意でも、話せなければ実践の場では力を発揮できません。
スピーキングを強化するには、とにかく話す機会を増やすことがポイントです。
英会話教室やオンライン英会話を活用すれば、ネイティブや他の学習者と気軽に実践練習ができます。
また、シャドーイングや音読を取り入れると、発音やイントネーションが自然と身につきます。
さらに、日記を英語で書いたり、ひとりごとを英語にしてみるのもおすすめ。英語を「使う」ことを日常化することが上達の近道です。
2. 完璧を目指しすぎない:間違えてOKの精神を持つ
「文法ミスをしたら恥ずかしい…」
そんな気持ちが、日本人が英語を話せない大きな原因の1つです。
しかし、言語は間違えながら身につくもの。完璧を目指すより、まずは伝えることを意識しましょう。ネイティブでさえ日常会話では細かなミスをします。
大切なのは、意思を伝えようとする姿勢です。小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションも維持しやすくなります。
たとえば、「英語であいさつできた」「短いメールを書けた」といったことも立派な進歩です。
失敗を恐れず、まずは話すという一歩を踏み出すことが成長につながります。
3. 周りの目を気にしない:気楽に話せる環境づくりを
「英語を話してる自分、変に思われないかな…」
そんな不安が、話すことへの抵抗感を生んでしまいます。しかし、学ぶことに集中するには、他人の目を気にしないことが大切です。
まず、自分が「なぜ英語を話せるようになりたいのか」を見直してみましょう。
目的が明確になれば、他人の視線より自分の成長に目を向けられるようになります。
また、英語を「勉強」としてではなく「趣味」に変えるのも効果的。
英語の映画や音楽、ポッドキャストを楽しめば、自然に英語への抵抗感が減ります。楽しむことが一番のモチベーション維持法です。
4. 自己表現力を鍛える:自分の考えを英語で持つ
英語をただ話すだけでなく、「何を話すか」も大切です。
英語で自分の意見や気持ちをしっかり伝えられるようになるためには、自己表現力を高めることが必要です。
まずは、日常の出来事やニュースについて「自分の考え」を持つ習慣をつけましょう。英語でその意見を言う・書くことで、自然と表現の幅が広がります。
さらに、英語で本や記事を読むことで、新しい表現を学ぶことができます。
ライティングにも取り組めば、論理的な思考力と表現力が同時に鍛えられ、スピーキングにも良い影響を与えます。
日本人の英語力に関するよくある質問
以下では、日本人の英語力に関するよくある質問と回答を2つピックアップして紹介します。
日本人の英語力に関して疑問点がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
日本人で英語を話せる割合はどのくらい?
結論として、ある程度の英語能力を持つと自己評価している日本人の割合は約10%と推定されています。
本推定値は、東アジアの成人を対象に実施された大規模な社会調査の分析結果に基づいています。
本調査は、回答者自身が「英語でどれくらいできるか」を自己評価する内容です。
具体的に2018年のデータを見ると、「フェア(少しはできる)」以上の英語能力を持つと自己評価した日本人の割合は以下のようになっています。
自己評価の基準にもよりますが、おおよそ10人に1〜1.5人が日常会話や簡単な読み書きができる状況です。
なお、「非常に良い(Very good)」と評価した高い英語能力を持つ日本人の割合は話す力で0.6%、読む力で0.8%となっています。
韓国や台湾では同程度の能力を持つ人の割合が約20%前後と推定されており、日本人の英語を話せる割合は比較的低い水準です。
文部科学省の英語力調査の結果は?
文部科学省の英語力調査には、毎年実施している「英語教育実施状況調査」があります。
令和6年度の調査によれば、中学校卒業段階で目標とされるCEFR A1レベル(英検3級)相当以上の英語力を持つ生徒の割合は52.4%でした。
また、高等学校卒業段階で目標とされるCEFR A2レベル(英検準2級)相当以上の生徒の割合は51.6%です。
上記の数値は国の目標である50%をいずれも達成しており、学校現場での英語力は着実に向上しているのが分かります。
一方で、本調査結果は自治体間での差が大きく、高校では学科による差も指摘されています。
教育現場での成果が見え始めているものの、日本全体の英語力向上にはまだ多くの課題がある状況です。
参考:令和6年度「英令和6年度「英語教育実施状況調査」(概要)語教育実施状況調査」(概要)|文部科学省
まとめ
日本人が英語力を上げる上で大切なことは、英語を単なる科目として捉えるのではなく、日常生活や仕事で役立つスキルとして習得することです。
今回ご紹介した方法を実践することで、日本人の英語力は確実に向上し、国際社会での競争力も高まるでしょう。
◇経歴
Webライター歴3年
◇留学経験
ニュージーランドのクライストチャーチ、2年
◇海外渡航経験
インドネシア、タイ、カナダ、イタリア、フランス
◇自己紹介
自身の経験を活かすことができるWebライターをしています。正確かつ為になる情報を発信していきます。
hikoblog『https://hiko001.com/』