EF英語能力指数(EF EPI)によると、フィリピンの英語力はアジアの中でシンガポールに次ぐ第2位と、英語レベルの高い国として評価を受けています。実際、フィリピンでは9割以上の人が英語を話せると言われていて、今や日本人にとっての英語留学先としての地位を築いています。
今回はフィリピン人が英語を話せる理由、そしてフィリピン英語にはどんな特徴があるのか、見ていきたいと思います!
参考:https://www.efjapan.co.jp/epi/regions/asia/philippines/
フィリピン人が英語を話せる理由
フィリピン人の英語が上手い理由は、歴史的な背景や教育面など多くの理由があります。ここではフィリピン人が英語を話せる理由について見てみましょう。
アメリカ植民地時代の影響
1898年からの約40年間、フィリピンはアメリカの植民地下にありました。この間、フィリピンの公用語は英語と定められ、教育もすべて英語で行われていました。その後、1947年に植民地支配が終わりましたが、独立後も英語は公用語として残り続け、現在も学校の授業は英語で行われています。このような歴史的背景から、フィリピンでは学校教育を受けた人たちのほとんどが流暢に英語を話します。
就職の幅が広がる
フィリピンでは、学校を卒業して就職してからも、英語力が非常に重要視されます。英語が堪能であれば、英語学校やコールセンター、海外企業など職業の選択肢が広がり、チャンスも大きくなります。英語スキルは、フィリピン人にとって貧困から脱する望みでもあり、英語学習に対するモチベーションも高いのです。
米国文化の影響
歴史的な背景もあって、フィリピンはアメリカ文化の影響を色濃く受けています。ファストフードやホームパーティ、映画や音楽などのコンテンツ、また街中の看板や道路標識も全て英語表記です。フィリピン人は幼い頃からこうした環境で育つことで、自然と英語が身に付いているのです。
共通言語としての英語
フィリピンでは、生まれた地域の言葉を母国語として身につけます。さまざまな島からなるフィリピンには80以上もの地域言語があるともいわれていて、異なる出身地同士の人たちが意志疎通をする際には英語を使うことが一般的です。
フィリピンの公用語にはフィリピノ語という言語もあるのですが、英語が共通言語として使われることの方が多いようです。
フィリピン英語の特徴
アメリカによる植民地時代が長かったこともあり、フィリピンで話される英語は発音や表現など含め、アメリカ英語がベースになっています。東南アジアの国々で話される英語はイギリス英語がほとんどなので、実はアメリカ英語を話すフィリピンは少数派です。
フィリピンにはネイティブ並みのきれいな発音で英語を話す人も多く、アメリカ人と聞き分けられないくらい流暢な人も少なくありません。フィリピン英語の特徴として、会話のスピードが欧米のネイティブスピーカーに比べるとゆっくりだと言われていて、英語の勉強を始めたばかりの初心者にとっては、聞きやすい英語になっています。
また、フィリピン英語には、元々のアメリカ英語にはない独特の言い回しや表現があり、フィリピンの第一言語であるタガログ語を混ぜて使うこともあります。これは「タグリッシュ」と呼ばれ、フィリピン独特の英語だと言われています。そもそもタガログ語は、アルファベット表記でもあることから英単語がそのまま使われていることも多く、英語との親和性が高いのです。
フィリピン英語にはなまりがある?
フィリピン人は英語ネイティブに近い人が数多くいます。しかし、彼らにとって、英語はあくまで第二言語。日常生活ではタガログ語などの現地語を話しているので、全くなまりがないわけではありません。
どこの国でもそうですが、話される英語にはその国のなまりがあります。英語が公用語となっているシンガポールやマレーシアも、「シングリッシュ」や「マングリッシュ」と呼ばれる独特のなまりがありますし、インド人の英語は英語圏の人にとっても難解だと言われます。これらに比べると、フィリピンでは正しいアメリカ英語による教育が長年行われて来ていることもあって、理解しやすいものです。
ネイティブのようなスラングやリエゾンも少なく、日本人にとってとてもわかりやすい英語です。
フィリピン英語とアメリカ英語の違い
フィリピン英語は発音や文法には特徴がありますが、慣れれば理解しやすい英語です。ここではアメリカ英語との違いについて解説します。
発音
フィリピンで話される英語は、タガログ語の影響で以下のような特有の発音が存在します。
「f」が「p」に近い発音になる
「f」を発音する場合、「p」の音に近くなります。例えば、Philippines(フィリピン)は「ピリピン」、fantastic(ファンタスティック)は「パンタスティック」、traffic(トラフィック)は「トラピック」のように聞こえます。
「z」が「s」に近い発音になる
cars、those、toysなど、「z」の発音を「s」の音で発音します。例えば、cars「カーズ」は「カース」のように聞こえます。
「th」が「t」や「d」に近い発音になる
Thanks、threeなどの言葉は、「th」が「t」に変わるため、「tanks」、「tree」のように聞こえます。また、that、theなどは「d」に変わり、「dat」、「da」のように聞こえます。
「v」が「b」に近い発音になる
vinegarは「bineger」、victoryは「bictori」、videoは「bideo」のように聞こえます。
語尾の「r」は短く発音する
単語の最後に「r」が付く言葉は、短く発音するか、発音されない傾向があります。例えば、waterは「wata」、Septemberは「Septemba」といった具合です。
単語
アメリカとイギリスで異なる単語があるように、フィリピンでも独自の単語を使うことがあります。以下が代表的なものです。
Comfort Room
アメリカやイギリスでは、トイレのことを、restroomやwashroomと言いますが、フィリピンではcomfort roomと呼びます。
Open/Close the light
アメリカやイギリスでは、電気を付けたり消したりする場合、turn on/off the lightと言いますが、フィリピンではopen/closeを使うのが一般的です。
Brownout
停電はblackoutですが、フィリピンではbrownoutとなります。これは一時的な停電を指し、「Our building had a brownout last night」などと言います。
For a while
「ちょっと待って」と言う場合、「Just a minute」や「please wait」が通常ですが、フィリピンでは「for a while」を使うのが一般的です。
フィリピン留学のメリット
近年、オンライン英会話学校や語学学校などが急増し、語学留学先としても有名になったフィリピン。欧米と比較して、フィリピン留学にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
留学費用が格安
フィリピンの物価は日本の約5分の1程度と言われています。フィリピン留学の最大のメリットと言えるのが、留学費用が格安であることです。
欧米をはじめとした英語圏は、世界的に見ると物価が非常に高い国が多く、例えば、アメリカに1ヶ月間留学する場合は100万円ほどかかるのに比べ、フィリピンの場合は35万円ほどと、なんと約3分の1です。生活費や各種費用も安く、経済的な負担が少ないのです。
日本と近く、時差がない
フィリピンは日本から5時間ほどのフライトで、時差も1時間しかありません。時差ボケもなく、緊急時はすぐに帰国することもできますし、仕事や家庭の関係で日本と頻繁に連絡を取らなければならない方でも安心です。
欧米への留学の場合、頻繁に行き来することは出来ませんし、時差もあるので日本と時間を合わせることも難しいです。
渡航手続きが簡単
ビザ関連手続きが簡単なこともフィリピン留学のメリットの一つです。30日までの滞在の場合、SSPという留学許可証を取得することで、ビザなしで滞在することができます。SSPの取得は現地で行うことができて、事前に大使館等でビザ申請を行う必要もありません。
留学先によっては、渡航前にビザ申請が必要な上に、複数の書類提出が求められます。事前準備の負担が少ないことがフィリピンの良いところです。
講師の質が高い
フィリピンでは、外国人への英語教育という業界が確立しています。フィリピンの英語講師は、普段から英語を使って仕事をしている人も多く、発音がきれいで、教える能力が高い人だけが採用されています。
また、高い英語力を持つとはいえ、フィリピン人にとって英語はあくまで第二言語です。自身で苦労して英語を習得した経験があるからこそ、同じように第二言語として英語を学んでいる人の気持ちを理解した、分かりやすい指導が可能なのです。
遊びも楽しめる
フィリピンには、セブ島をはじめとしたビーチリゾートがあるので、平日は存分に勉強して、休日は海で思いきり遊ぶこともできます。マリンスポーツを楽しんだり、島々を巡るアイランドホッピングなど、日本では出来ない経験をすることも可能です。思い切り勉強して、思い切り遊べるのがフィリピンの良いところです。
まとめ
今回ご紹介したとおり、フィリピン人の英語力は高く、英語教育におけるスキルも経験も豊富な国です。日本から近くて、留学費用を抑えつつ、徹底的に英語に取り組みたいならフィリピン留学がおすすめです。たくさんのメリットがあるフィリピンを是非、留学先の選択肢の1つとして検討してみてください。