私たちの日常生活で、コミュニケーションは人間関係を築くうえでも大切なことですよね。その代表的なコミュニケーション方法が「会話」です。会話には、言葉やボディランゲージなどのあらゆる表現方法があります。
そして、時代や文化を常に反映し続けているのが、人々の生活の中で生まれた言葉「スラング(Slang)」。スラングは、英語圏や日本だけではなく、さまざまな国の言語で生まれ、年代や場所によって変化しています。SNSでよく見かける略語をはじめ、映画の中でアメリカ人やイギリス人が話すネイティブな英語の中にも、スラングを使った英語表現が満載です。
スラングは自分でも口には出すし、なんとなく理解はしているからスラング自体を使うことはあるけれど、実際に「スラングとは何ですか?」と聞かれたら、少し考えてしまいませんか?
この記事では、そんな「スラングとは、どういう意味ですか?」「誰にでも使っていいの?」という疑問に答えていきます。
さらに、これから英会話を始めたい人、まさに今勉強中の英語学習者にも覚えやすく魅力的なスラングや、インターネットでよく使う「ネットスラング」、日本語や韓国語のスラングなど、友達との日常会話ですぐに使いたくなる厳選したフレーズもご紹介します。
スラングとは?
スラングとは、英語で俗語を意味する言葉です。俗語といっても、普通に広く知られているものとは少し違って、正式な言葉でもないので英語学習だけで習得できるものでもなく、スラングは同音異義語を連想させる音の響きのように「言葉遊びを意味する」ものだといわれています。
海外の一般的な会話で、スラングが使われる頻度を考えてみましょう。日本語でいうと「ヤバい」「マジで?」「ウケる」などの言葉を日常的に使っていることを振り返ってみれば、どれだけ日常でスラングが使われているか想像しやすいですよね。
スラングという言葉の文化は不思議なもので「自分たちだけで楽しみたいから、あまり周知されたくないのかな……」と思いきや、若者たちの言葉、カルチャー用語、業界用語、職業用語やインターネット用語など、特定の人たちの間で使われていた隠語から派生したものが口語として多くの人に使われるようになったことで、一般化したスラング用語もあるほどなんです。
【なぜスラングを使うのか】
スラングを使うのには以下のような理由があります。
・仲間意識を高める:共通のスラングを使うことで、仲間意識を高めることができる。
・表現の幅を広げる:標準語では表現しにくいニュアンスをスラングで表現することができる。
・楽しさ:スラングを使うことで会話がより楽しくなる。
スラングは、若者や特定の人たちとのつながり、その国の文化を理解するうえで重要な要素です。
特に、英語を学習している方にとって、テキストで学んでいる表現とスラングの表現は大きく異なるため、実際に留学先やオンライン英会話などで、ネイティブの表現に触れて混乱してしまうこともあるかもしれません。
ただし、辞書にはないスラングでも、ドラマやバラエティ番組、SNSなどで自然と耳にする機会も多いので、流行に敏感な人であれば覚えるのも難しくないでしょう。
【スラングを使う際の注意点】
すべてのスラングがどこでも使えるわけではありません。スラングの中には、差別的な意味があったり、特定の状況でしか使えないものもあるので、状況や相手に合わせて適切な言葉を選ぶようにしましょう。新しいスラングが常に生まれているため、最新の情報を把握しておくことも大切です。
スラングとは、簡単にいえば「日常生活の中で仲間同士でカジュアルに使う言葉」だと理解しておけば大丈夫です。礼儀を重んじるフォーマルな場やビジネスシーンで使うことはないので注意してくださいね。
英語のスラングやネットスラングの種類
ここでは、よく使われている英語スラングやネットスラングについて解説していきます。
スラングとは、気軽なコミュニケーションで使うことが前提ですので、公式な文書は当然ですが、ビジネスの場面での使用も避けましょう。手紙のように気持ちを文字で伝えるときも、スラングを多く使うより、正確に伝わる言葉を使って想いを届けることをオススメします。
【英語スラング(挨拶編)】
①"Hey~~"「やあ」
アメリカの英会話でよく使われるカジュアルな挨拶。男性相手への挨拶なら"Hey man" "Hey brother" "Hey bro"、男女問わず複数への挨拶の場合は「Hey guys(やあ、みんな)」というように使うことができます。イギリス英語やオーストラリア英語では、"Hey mate"という言い方もします。
例)"Hey man, How are you?"「やあ、みんな元気?」
②”How’s it going?”「調子はどう?」
"How are you?" よりカジュアルな感じで、好んでよく使われています。フランクな表現ではありますが、ビジネスでも失礼にならないのでとても使いやすいフレーズです。
例)"Hi, How’s it going?-It’s going well."「やあ、調子はどう?-調子はいいよ」
③"Sup?"「よう / 調子どう?」
"What’s up" を短縮した形で、メールやSNSなどでよく使われています。"What’s up?" と同じように「よう!」というニュアンスで使い、相手への返事も同様に "Sup?" と返してOKです。
④"Are you OK? / alright?"「調子どう?」
イギリスでは、"Are you OK?" や "Are you alright?" を「How are you doing?(調子はどう?)」と同じ意味で使います。英語学習のために英国留学や旅行を検討されている場合は、覚えておくと便利なワンフレーズです。
例)"Are you OK?-Not bad."「調子はどう?-悪くないよ」
【英語スラング(日常会話編)】
①"Literally"「本当に / マジで / まさに」
本来は「文字通り」と言う意味ですが、ネイティブに間では「本当に」「マジで」のようなカジュアルな強調フレーズとしての英語表現使われています。
例)"It’s literally freezing cold out there!"「マジで外がめちゃくちゃ寒いよ!」
②"Awesome!"「すごい / イケてる / ヤバい」
この言葉も映画やネイティブの会話ではお馴染みのスラング表現です。「素晴らしい」と言う意味で、日本語でいうところの「ヤバい」に近いニュアンスですが、こちらはポジティブな「ヤバい」で、ネガティブな意味ではありません。
アメリカ英語では"Awesome"をよく使いますが、同じ英語を使う国であるイギリスではあまり聞くことがありません。英語圏でも、その国ごとに英語やスラングにも特徴があります。
③"No way!"「嘘でしょ! / ありえない!」
信じられないようなことが起こったときに、驚きの感情を表すスラング表現です。
例)"I caught Otani's home run ball! - No way!"「大谷選手のホームランボールをキャッチしたよ!-まさか、嘘でしょ!」
④"Nasty"「ヤバい/ 不快 / 嫌な / エグい 」
"Nasty" は良い意味と悪い意味があり、スラング表現ではむしろ良いことに使われるフレーズです。日本語の“ヤバい”にとても近い用語でもありますが、これはかなり砕けた表現なのでビジネスシーンでは使用するのはやめておきましょう。
例)"He's a nasty tennis player!"「彼はヤバいくらい上手なテニスプレイヤーだね!」
【英語スラング(名詞編)】
①"Bucks"「米ドル / お金全般」
アメリカ人が "Dollars" の代わりによく使う表現です。
②"Flick"「映画」
映画を意味するスラング表現。例えば、"Family flick(ファミリー映画)"や"Chick flick(女性をターゲットにした恋愛系映画)"などの使い方ができます。
③"Wheels"「車 / 愛車」
本来は、車輪(ホイール)を意味する言葉ですが、スラングでは車自体を表す名詞になります。
【ネットスラング】
ネットスラングとは、インターネットという限られたコミュニティで若者を中心に使う俗語です。いわゆるスラングのネット用語版ですね。英語圏のインターネットスラングはSNSやメッセージをやりとりする際に、スラングと同様に文字の省略、顔文字を用いた表現方法でコミュニケーションを取ります。
ここでは、SNSやチャットなどでネイティブの人たちと会話するときに思わず使いたくなるネットスラングをまとめてみました。
・THX = Thanks(ありがとう)
・ASAP = As soon as possible(できるだけ早く)
・OMG = Oh my god(マジ / ヤバい)
・BTW = By the way(ところで)
・JK = Just kidding(冗談だよ)
・brb = be right back(すぐ戻ります)
・K = OK(了解)
・SRY = Sorry(ごめんなさい)
・SRSLY = Seriously(本気で / ガチで / 真面目に)
・IDK = I don’t know(わからない / 知らない)
・np = no problem(問題ない / 大丈夫)
・ily = I love you(大好き)
・HBD = Happy Birthday(お誕生日おめでとう)
・lmk = let me know(教えて)
・BFF = Best Friend Forever(一生の親友)
【英語スラング、ネットスラングを使うときの注意点】
英語スラングの中には、かなりパワーのある危険な言葉もあるので、ネイティブではない人が海外で使うことは控えた方が良いでしょう。英語での生活環境に慣れて、ある程度の英語力が身につくまでは「こんな意味があるんだ」と知識を増やすくらいがベストです。
ラップやヒップホップのスラング
誰もがどこかで耳にしたことがあるのが「ヒップホップ」や「ラップ」の音楽でしょう。ヒップホップやラップには、ラッパーが生み出す「Lyric(リリック):歌詞」「Rhyme(ライム):韻を踏む」「Flow(フロー):歌い回し」など、たくさんの要素があり、多くのスラングが登場するのもヒップホップやラップなんです。
だからこそ、スラングを少しでも知っておくと、ラッパーが伝えたい歌詞の意味をより正しく理解しながら音楽を楽しめますよ。
それでは、エミネムなどの人気ラッパーたちのリリックに登場するスラングの一例をみていきましょう。
・"baller"「羽振りのいいやつ / すごいバスケットプレーヤー」
"I know you want a baller"
「君が羽振のいいやつを求めているのはわかってるよ」
・"beef"「口論 / 喧嘩」
"Got beef with radio"
「ラジオとの喧嘩」
・"been through"「〜を経験した」
"I been through the storm and it turned me to a G"
「嵐を経験して、ギャングスターになった」
・"bestie"「親友 / マブダチ」
"She my bestie"
「彼女、俺のマブダチだよ」
・"cop"「〜を手に入れる」
"Cop you what you want"
「君が欲しいものを手に入れる」
・"dawg"「仲の良い友達 / 仲間」
"I took a couple of my dawgs on a lick"
「俺のダチ2〜3人を仕事に連れて行く」
・"dip out"「こっそり立ち去る」
"Get a bag and we dip out of town"
「バッグを持って、こっそり街を出よう」
・"dope"「イケてる / ヤバい」
"I’ve been dope"
「俺はずっとイケてる」
日本語のスラングについて
日本語にもスラング表現があり、使い方としては英語スラングと同じで、日常会話やSNSで使います。
ただ、日本語スラングは移り変わりが激しく、すぐ使わなくなることもあります。使ってはいけないシーンも英語スラングと同じです。目上の方やフォーマルな場面、シリアスを求められる瞬間やビジネス上での会話のときには、いつもの口癖が出てしまわないように気をつけてくださいね。その点を理解しつつ、日本でよく使うスラングをみていきましょう。
【日本語スラング】
①「ヤバい」
不都合な状況や困ったときに使うネガティブ要素と、幸せで嬉しいときの興奮状態を表す「最高である」「すごくいい」というポジティブ要素の両方をもつ言葉。
例)「ちゃんと起こしたのに」「え!遅刻したらヤバいんだけど……」
②「ガチ」
真剣、真面目、本気、本当という意味。何かに一生懸命なときや、信じてほしいときに使われます。
例)「本気でやるの?」「今回はガチだから!」
③「マジ」
ガチと同様、真剣にという意味をもっていますが、もっとも多くの日本人が普段使いしている日本語スラングのひとつです。
例)「それホント?」「うん、マジ」
④「推し」
心惹かれている、好きな人、応援したい対象のことを表します。
例)「推しのライブに行く」
【日本語スラング(動詞編)】
①「イケる」
問題なくできる、良い、上手、うまい、おいしいという意味を含んだ言葉。
例)「この企画書採用されるかな」「イケる思う!」
例)「このお酒おいしいね」「うん、イケる」
②「ウケる」
面白い、笑えるときに使う言葉。
例)「めっちゃウケる!」
③「ミスる」
失敗すること。
※この「ミス」という言葉は英語の”mistake(ミステイク)”から派生した「和製英語」です。
例)「あーミスっちゃった!」「たまにはミスることもあるよ」
④「ググる」
Googleで調べること。日本人でインターネットをするならよく使うスラングです。
例)「あれ調べてくれた?」「今、ググるから待って!」
日本語のスラングを英語で説明すると?
Japanese also has a variety of slang, often used on social networking sites and in casual daily conversations. However, be aware as Japanese slang changes rapidly and may become obsolete soon. The situations in which it should not be used are also the same as in English slang.
【Japanese slang】
①「ヤバい(Yabai)」
This word has both a positive and negative meaning. It is used when you are in an inconvenient situation or trouble, and in a positive situation such as "it's great", which expresses the excited state when you're happy.
②「ガチ(Gachi)」
It means “seriously”, “sincerely” and “truly”. It is used when you are “working hard on something” or when you “want people to believe” in you.
③「マジ(Maji)」
It means "really", “seriously"and "for real". Like "Gachi", it means seriously and is one of the Japanese slang words that many Japanese people use on a daily basis.
④「推し(Oshi)」
A person or thing that fascinates you. Favorite things and people, or it represents something you want to support.
【Japanese slang(verb)】
①「イケる(Ikeru)」
Means "doable without problems", "good" or "tasty.
②「ウケる(Ukeru)」
Means "interesting” or "funny".
③「ミスる(Misuru)」
Means to make a mistake. The word "Misu" is a "Japanese English word" derived from the English word "mistake."
④「ググる(Guguru)」
Means to look up things you don't understand on Google. This word is always used by Japanese people who use the Internet.
韓国語のスラングについて
スラングは、英語圏や日本語のほかに韓国語にもあります。韓国語のスラングとは、やはりネット文化が早くから浸透していた韓国ならではのネットスラングが有名ですが、スラングのトレンドは若者を中心に日々生まれ変わり、年齢層によって理解度に違いがあったり、相手への感情や出来事に対するスラングだったりと、その種類は各国同様に多岐にわたります。
ここでは、簡単で覚えやすい韓国語スラングの例を挙げています。
①「ㅋㅋㅋ(ククク)」=(笑)や「www」のように笑いを表す定番のネットスラングです。
②「ㅇㅋ(オク)」=「OK」の略。同意を表しています。
③「꿀잼(クルジェム)」=「꿀(はちみつ、甘くておいしい)」と「잼(楽しい)」の略語。
「楽しい」「とても面白い」という意味。「재미있어요(チェミイッソ)」 を短縮した言葉で、これだけだと直訳で「面白い」になりますが、このスラングを使えばもっとプラス要素が強まるので、より幅広く使われています。
④「대박 (テバク)」= 「ヤバい、すごい、成功」という意味。
韓国の人たちが、一般的に使う韓国語スラングのひとつです。何かに成功して良い結果が出たり、感動や嬉しい気持ちを表現する言葉です。「大当たり」「大成功」の意味としても使用できます。
⑤짱 (チャン) =「すごい、最高、イケてる」という意味。
韓国語のスラングの中で「イケてる」を表すもうひとつの表現です。別の単語と組み合わせれば、新しい韓国語のスラングもできます。例えば、韓国ドラマやK-popの影響もあり、日本でも知られている韓国語スラングの「얼짱(オルチャン)」。「얼(オル)=顔」と組み合わせるだけで「最高にイケてる顔」というスラングが生まれました。
⑥「현웃 (ヒョンウ)」 =日本語の「めっちゃ笑う」にあたる言葉。
「현실에서 웃음(ヒョンシレソ ウッスム)」 を短縮したもので、直訳すると「今まさに声を出して笑っている」となります。リアルタイムで笑っているときに、韓国のチャットでよく使うスラング。
まとめ
楽しく会話することが英語力を上げる一番の近道です。まずは、自分の学習ペースを大切にしながら、基本的な文法や単語を学ぶことから始めて、スラングを正しい文脈で使えるように理解しつつ、ネイティブとの会話にもチャレンジしていきましょう。語学力とコミュニケーション力を高めるにはスラングはとても役立つ用語ですので、参考にしてくださいね!