
2012年に本格的にスタートした日本のLCC(格安航空会社)は、今や日本の空の旅に欠かせない存在になりました。国内外をリーズナブルに移動できるのが魅力で、飛行機が利用しやすくなったと評判です。
一方で、これまで大手航空会社の利用に慣れてきた人たちの間では、料金やサービスなどの違いにとまどうという声も少なくありません。
この記事では、LCCの基礎知識として、メリット・デメリット、利用にあたっての注意点などを解説しています。おすすめのLCCも紹介していますので、LCCについての疑問解決のためにぜひ参考にしてみてください。
- LCCとは|大手航空会社と比較して解説!
- LCC利用のメリット・デメリット
- 国内線での旅行におすすめのLCC
- アジアの旅行におすすめのLCC
- ヨーロッパ旅行におすすめのLCC
- LCCの利用はどんな人におすすめ?
- LCC利用時の注意点
- まとめ
LCCとは|大手航空会社と比較して解説!
LCCとは、「ローコストキャリア/Low Cost Carrier」の略で、日本語では「格安航空会社」と呼びます。機内食やドリンクの提供や手荷物受託サービスなどのオプションを最低限に絞り込み、運賃を大幅に抑えて、格安航空券を提供しています。
一方、これまで日本の空の旅を担ってきた日本航空や全日空のような大手航空会社はFSC(フルサービスキャリア/Full Service Carrier)と呼ばれており、機内食や手荷物無料預かりは航空券代に含まれています。
こちらはLCCとFSCの特徴を比較したものです。
LCC |
FSC |
|
運賃・価格設定 |
格安だが、オプション料金が発生する場合がある。 |
基本運賃は高いが、サービスは料金に含まれている。 |
空港 |
地方空港や、サブターミナルを利用することが多い。 |
主要空港・主要ターミナルを利用。アクセスがしやすい。 |
オプション |
座席指定、食事、ドリンク、受託手荷物が有料。 |
食事、ドリンク、受託手荷物が無料。 |
座席の広さ、快適さ |
FSCよりも座席間隔が狭い。ファーストクラス、ビジネスクラスの設定がない。 |
快適性が高いシート。クラス設定が豊富。 |
マイレージ、ラウンジ利用 |
マイレージ、ラウンジ利用制度は基本的になし。 |
マイレージプログラム有り。一定クラス以上の航空券または高ステータス会員向けのラウンジ有り。 |
※すべての航空会社に当てはまるわけではありません。詳細は各航空会社の公式サイトで確認してください。
LCC利用のメリット・デメリット
LCCが初めて日本の空を飛んでから10年以上、私たちが航空会社を選ぶときにLCCの選択肢が増えてきました。手ごろな価格で飛行機を使った旅行ができる一方、デメリットを感じる人も少なからず存在します。
ここでは、LCC利用のメリットとデメリットを見ていきましょう。
LCC利用のメリット
【航空券の安さ】
LCC利用の最大のメリットは航空券の安さです。SALE時期には国内線が数千円の料金で利用できることから、予算に余裕がない人でも気軽に利用できます。
【必要なサービスはオプションで追加可能】
安い運賃で無駄を省いた旅行が実現できるため、必要なサービスだけ自分で選択して追加できることはメリットです。
短いフライト時間では、機内食やブランケット、機内エンタメなどがなくても問題ないという人もいるかもしれません。また、旅行に使うバッグを機内持ち込み可能なサイズ・重さ・個数だけにすれば、受託手荷物(預け入れ荷物)にかかる料金も不要です。
【急な旅行や弾丸トリップにも対応】
格安の航空券なので、電車感覚でチケットを購入して旅行に出発できます。「週末は弾丸で韓国に行こう!」といった思いつきの旅でも、LCCなら叶えられるかもしれません。このようなLCCの使い方はフットワークの軽い人たちから支持されています。
LCC利用のデメリット
【サービスが最小限】
LCCはサービスを最小限にとどめることで、料金を安く設定できます。そのため、従来の飛行機のサービスを期待して搭乗してしまうと、物足りなさを感じるかもしれません。
【座席が狭い】
LCCは、コストを抑えるために1機あたりの座席数を多く設定しています。それにより、座席前後のスペースや座席幅が狭く、背の高い人や体格の良い人が快適に過ごすには不十分かもしれません。短距離のフライトであれば問題ないかもしれませんが、2時間以上のフライトになると、疲れを感じやすくなる可能性があるため、注意が必要です。
【荷物の制限が厳しい】
FSCでは無料で預けられていた手荷物も、LCCでは基本的に有料で、荷物の量によっては高額な追加料金が発生します。事前に荷物に関する情報を調べて、予約時に受託手荷物のオプションを追加しておくほうが、当日空港で支払うよりも割安になることが多い傾向にあります。荷物の超過料金で「LCCのお得感」がなくなってしまうと、LCCを選ぶ最大のメリットが得られないため、事前に荷物の重量や個数は必ずチェックしておきましょう。
国内線での旅行におすすめのLCC
LCCを利用した国内旅行のプランを立てるために、おすすめサイトや予約サイトをリサーチする方も多いでしょう。航空会社はどこがいいのか決められないと感じている方のために、ここでは国内線でおすすめのLCCをご紹介します。各社の運航路線は日本の主要空港を押さえているので、旅行や帰省の際にぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
ピーチ・アビエーション(Peach Aviation)
日本でLCCという言葉が浸透したのは、「Peach」の登場がきっかけとも言われています。フーシャピンクの機体とフレンドリーなフライトアテンダントの制服は、非常にインパクトがあり、若者を中心に人気の航空会社です。
大阪・関西国際空港に本社を置き、国内線・国際線ともに関西・羽田・成田・中部などの主要空港の発着路線を多数展開しています。現在はANA傘下のLCCとして、安全基準の遵守や安定した運営基盤を持ちながらも、低価格で航空券を提供しています。
ジェットスター・ジャパン(Jetstar Japan)
ピーチ・アビエーションと同時期に登場したのが「ジェットスター・ジャパン」です。オーストラリアのLCC大手「ジェットスター」を母体とし、カンタス航空やJAL、三菱商事による出資で、2012年に誕生しました。
成田国際空港を拠点としており、国内線・国際線を合わせて計20路線以上を運航しています。ジェットスター・ジャパンはカンタス航空の安全基準を採用しており、LCCを初めて利用する人も安心なのではないでしょうか。
フライトアテンダントの鮮やかなオレンジ色の制服は、ブランドのイメージを象徴していると言えますね。ジェットスター・ジャパンは男性クルーが多い点も特徴です。
ジップエア(ZIPAIR Tokyo)
2020年から運航を開始したジップエアは、国際線中距離LCCです。ピーチやジェットスターが就航していなかった路線をカバーし、新たな客層の需要に応えています。
ジップエアはJALの完全子会社で、成田国際空港を中心にアジアや北米に路線を展開しています。北米行きの長距離路線を運航しているため、ビジネスクラスのような広い座席が用意されている点も特徴です。
基本的にはLCCのサービスに則っており、座席指定や荷物の預け入れ、機内食などにはオプション料金がかかります。
アジアの旅行におすすめのLCC
ここからは、海外旅行におすすめの国際線LCCを地域別に見ていきましょう。まずは、アジア圏内の旅行におすすめの格安航空会社から4社を選んでご紹介します。
【韓国】チェジュ航空(Jeju Air)
チェジュ航空は韓国最大のLCCで、日本の複数の空港とソウル(仁川・金浦)や釜山を結んでいます。日本の主な就航都市は関西・成田・中部・福岡・新千歳・沖縄(那覇)空港などです。日本の各都市から気軽に韓国にアクセスできるため、韓国好きな旅行者に人気です。
【台湾】タイガーエア台湾(Tigerair Taiwan)
タイガーエア台湾は、日本国内の20カ所以上の空港から台北(桃園)への直行便を運航し、日本から気軽に行ける台湾旅行の人気を支えています。尾翼のデザインは虎の模様で、この柄は会社名にちなんだものです。
【シンガポール】スクート(Scoot)
LCCの世界ランキング「World’s Best Low-Cost Airlines 2025」で第2位のスクートは、シンガポール航空の子会社で、成田や関西からシンガポール・チャンギ国際空港への直行便を運航しています。なお、2026年3月1日から、羽田からシンガポールへの直行便が就航する予定です。
機体にポケモンがデザインされた「ピカチュウジェット」では、機内の内装やアメニティまでがポケモンデザインとなり、ファミリー層からも注目されています。
【フィリピン】セブ・パシフィック航空(Cebu Pacific Air)
セブ・パシフィック航空はフィリピン最大のLCCで、国内線・国際線ともに豊富な路線網を持っています。成田・関西・中部・福岡・新千歳からマニラやセブまでの直行便が手ごろな運賃で運航されており、旅行者や留学生に人気です。
ヨーロッパ旅行におすすめのLCC
ヨーロッパの国を周遊する旅行でも、LCCを利用すると低予算でのプランが可能です。ヨーロッパでおすすめのLCCから2社を選んでご紹介します。
【アイルランド】ライアンエアー(Ryanair)
ヨーロッパ最大級のLCCといえば、ダブリン(アイルランド)に本社を置くライアンエアーです。設立は1984年と、日本のLCCよりも歴史が長く、LCCのパイオニア的存在です。2025年10月時点で、ヨーロッパの29カ国と、アフリカのモロッコに運航路線があります。
【イギリス】イージージェット(easyJet)
白とオレンジの機体がトレードマークのイージージェットは、イギリスに本社を置くLCCです。ロンドン近郊の空港やグラスゴーの発着便も多く、ヨーロッパのLCCを初めて利用する人にも使いやすいのではないでしょうか。
LCCの利用はどんな人におすすめ?
LCCにはLCCならではのさまざまな特徴があり、利用するには事前にそれらを理解しておくことが重要です。ここでは、お得なLCCを快適・便利に使いこなせる「LCC利用に向いている人」の特徴を紹介します。
時間に余裕がある人
LCCでは、自社の機体をフル活用して効率的に運航しているため、少しの遅延や天候不良が、あとのスケジュールに大きな影響を与えることがあります。乗り継ぎ予定のある人や、仕事のアポがある人にとっては、数十分の遅れが命取りになることもあるため、遅延の可能性がある方法はあまりおすすめできません。
旅程に余裕がある人や、「多少遅れても問題ない」と割り切れる人には、LCCはコスパの良い移動手段となるでしょう。
飛行機利用が多く旅慣れている人
旅行や出張などでよく空港や飛行機を利用する人は、LCCの特徴をしっかりと理解しています。さらに、旅慣れている人は空港内の位置関係や搭乗までの流れもよく把握して、急なゲート変更などにも柔軟に対応できる人が多いため、LCCには向いていると言えるでしょう。
料金の安さを重視したい人
LCCの特徴は何といっても料金の安さ。セール時期に購入すれば、驚くほどの最安値で空の旅をかなえることも可能です。とにかく安く移動したい人や、サービスは最小限で良いと考える人には、LCCはぴったりです。
LCC利用時の注意点
ここまで、LCCの特徴や日本や海外のLCCについて紹介しました。では、実際にLCCを利用する際、どんなことに注意すべきでしょうか?
時間厳守は基本!
LCCはチェックインが1分でも遅れた場合、搭乗できないことがほとんどです。FSCのように融通が利くことはほぼないと言っても良いでしょう。LCC利用の際は時間に余裕を持ってチェックインしましょう。
ドリンク、スナック類は搭乗前に購入しておく
ドリンクや機内食のサービスが有料で提供されるLCCですが、機内に用意している在庫が限られています。そのため「機内で買おう」と思ってドリンクや軽食を持たずに乗り込むと、機内のドリンク、スナック類がすべて売り切れていたなど、予想外のことが起こる可能性があります。フライト中に空腹やのどの渇きでストレスを感じないよう、保安検査場通過後に必要なものを購入して搭乗することをおすすめします。
寒さ対策をしっかりと
海外の航空会社では、機内の温度設定が低く、日本人には少々寒いと感じられることがあります。LCCでは貸出ブランケットの用意がないため、羽織ものや薄手のコンパクトダウンを用意しておくと安心です。
空港情報を細かくチェック
出発・到着する空港の場所は旅行者にとって非常に重要です。特にヨーロッパのLCCの場合、大都市行きの記載があるチケットでも、実は都市部から大きく離れた空港を利用していることもあります。発着する空港の場所や都市部やホテルへのアクセス方法は事前に調べておきましょう。
まとめ
LCCを利用する場合はいくつか注意点がありますが、特徴をつかめばコスパの良い移動手段です。必要なサービスだけを選んでオプションを追加するスタイルは、無駄な費用をかけたくない人にぴったりでしょう。
ただし、予約のキャンセルや変更に手数料がかかったり、遅延や欠航時の対応が柔軟ではなかったりするため、事前の情報収集や時間に余裕を持った旅行計画が必要です。航空会社選びで大切なのは、運賃だけでなく、条件や自分の旅のスタイルに合っているかということです。
海外のLCCを使う場合は、サービス品質が日本のものとは異なる場合があるため、利用した人の体験談や口コミで評判を確認しておくと安心ですね!
ぜひ次の旅行では、LCCを選択肢に入れてみてくださいね。
◇経歴(英語を使用した経歴)
・オーストラリアのカフェで半年間勤務
・国内/国際線客室乗務員として5年間勤務
◇英語に関する資格(資格、点数など)
TOEIC、英検受験経験有り
アメリカのコミュニティカレッジにてEarly Childhood Educatorコース修了
◇留学経験
・オーストラリア シドニーへ1か月間の短期留学。
→週5日で語学学校へ通う。
・ワーホリでオーストラリア・ゴールドコーストに1年間滞在。
→Gold Coast Institute of TAFEの語学コースで学ぶ。
・2020年から4年間、家族の仕事でアメリカに滞在。
→州立のコミュニティカレッジでEarly Childhood Educationコース及びアカデミック英語コースを学ぶ。
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容(仕事、留学、旅行など)
仕事→韓国、中国、台湾、香港などアジアを中心とした国
旅行→アメリカ(ハワイ、グアム、サイパン含む)、カナダ、
シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ドイツ、イタリア、
ギリシャ、クロアチア、ベトナム、タイ、バハマ、オランダ領セント・マーティン島など
◇自己紹介
旅行、海外生活関連のwebライター。
最初の短期留学の経験のおかげで、人生が変わったと言っても過言ではないと感じています。海外に滞在することがきっかけで、人生の選択肢が大きく広がり、成長を続けていきたいと思うようになりました。海外での長期滞在・留学経験者の視点から、皆さまにわかりやすい記事を書いていきたいと思っています。