ビッグベンやバッキンガム宮殿などの建造物、
ストーンヘンジやジャイアンツ・コーズウェイなどの文化や自然、
そしてただ街並みを眺めるだけでも十分に堪能できる国、
イギリス
さまざまな楽しみ方がありますが、
今回取り上げるのは「パブ」です。
ふらっと立ち寄って気軽に食事をしたり、友人とお喋りをしたり、スポーツ観戦で盛り上がったりと、多様な楽しみ方ができるのが魅力ですよね。
しかし独自の文化やシステムがあるため、何も知らないまま行ってしまうと十分に楽しむことができないかもしれません。
今回の記事では、そんなパブの文化、料理、マナーなどをまとめていきます。
イギリスのパブ文化を知ろう
まず、「パブとは」という基本的なところから見ていきましょう。
なんとなく「お酒を飲むところ」という認識はありますね。
イギリスの人たちにとってパブとは、どのような場所なのでしょうか?
イギリスにおけるパブの役割
お酒を飲む場所と認識されていますが、パブにはそれ以上の役割があります。
それは「社交の場」です。
そもそもパブの語源が「パブリックハウス」なので、お酒よりもそちらがメインなんですね。
そのため、たいていのパブにはお茶やコーヒーが置いてありますし、家族向けのパブなどもあります。
歴史的遺産とも言えるパブ
日本にも「江戸時代から続く老舗料亭」などがありますが、イギリスにも数百年の歴史を持つパブがいくつも存在します。
日本のようにどこもかしこも密集していたり、大きな地震が頻繁に起こるわけではないので、古い建造物が残りやすいんですね。
イギリスではそのような歴史的遺産とも言えるパブを、立ち入り禁止にして保護したりすることなく、建てられた時と同じように交流の場として扱っています。
パブの種類
・トラディショナルパブ
「パブ」と画像検索すると真っ先に出てくるような、木造の古めかしいパブです。
・スポーツパブ
スポーツ観戦を楽しめるパブです。大きいスクリーンがある場所もあり、同じチームを応援する人たちが集まることが多いです。
・ファミリーパブ
家族向けのパブです。食事メニューが充実しており、どちらかというとレストランに近い雰囲気です。
・ガストロパブ
ガストロは「ガストロノミー」の略で、美食という意味です。食事メニューが豊富で、近年になって主流になってきています。
人気のパブ料理と飲み物
日本の居酒屋でいうとりなんこつとか、お刺身みたいに、イギリスのパブでも「とりあえずこれは頼んでみて」という定番メニューがあります。
迷った時のために覚えておきましょう。
ビール
パブといえば、やはりビールですね。
ギネスやペールエールビールなどの有名どころから、その地域でしか飲めないご当地ビールなどを多く取り揃えているお店が多く、目移りしてしまうかもしれません。
知っておきたいのが、イギリスではビールは「じっくり飲んで味を楽しむ飲み物」ということです。
イメージ的にはワインに近い感じですね。味を楽しむことを意識してみてください。
サイダー
パブでサイダーというと、清涼飲料水ではなく
「リンゴ酒」のことです。アルコール飲料ですね。
リンゴの甘味と炭酸のシュワシュワ感のため、ジュースのような飲み口になっています。
アルコール度数もそこまで高くないので、ビールが苦手な人が飲むことが多いです。
フィッシュ&チップス
「イギリスといえば...」というイギリスの代表料理ですね。
白身魚をバター味に揚げたものにフライドポテトが添えられた料理です。
イギリスではフライドポテトのことを「chips」と言います。
アメリカでは「French fries」ですね。
イギリスの99%のパブには
フィッシュ&チップスが置いてあります。
ブレックファースト
ブレックファーストは「朝食」のことですが、朝食で食べるようなメニューのことをそう呼ぶこともあります。
ガストロパブやファミリーパブなどの食事メニューが充実しているところでは、しっかりとした朝食メニューが用意されていることがあります。
イギリスのパブでの注文方法
パブでの注文方法が分からないから、なんとなく行くのが怖い…という人も少なくないはずです。
たしかにパブでの注文方法は独特ですが、知っておけば全く難しいものではありませんし、お店によってそこまで違うこともありません。
事前に予習しておいて、現地では堂々と楽しみましょう。
席を確保する
まずパブに入ると、席を自由に決められるタイプか、店員さんに案内されるタイプを見極めます。
店員さんに案内されるタイプだったら、通常のレストランと同じように店員さんに従います。
しかし多くのパブが自分で席を選ぶタイプなので、まずは空いてる席を自分で決めます。
席番号を覚えてカウンターで注文
席のどこかに、番号が書いてあるはずです。それが注文の時に使う「席番号」なので、覚えましょう。
そしてカウンターに行き、注文したい飲み物や料理、そして席番号を伝えます。
支払いはたいていその場で、注文するごとに支払うことが多いですが、退店時にまとめて支払う場合もあります。
メニューはテーブルにあったり、カウンターまで行かないとなかったりとさまざまです。
また、席を離れる際は、連れの人に荷物番として留まってもらうか、1人で行くのなら必ず貴重品は持っていきましょう。
飲み物はその場で、料理はテーブルで
注文したら、飲み物はその場で出てくるので、そのまま待ちましょう。
食事メニューは店員さんがテーブルまで持ってきてくれます。
パブでのマナーとルール
そこまで厳しいしきたりがある、みたいなことはありませんが、最低限のマナーは知っておきましょう。
日本の居酒屋みたいな感覚で行くと、少し恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。
騒がない
お酒が入るとついつい大きな声が出てしまったり、気分が高揚してしまいます。
日本の飲み屋だと、そこでワイワイと騒ぐのも、たいていは大目に見てもらえますよね。
紳士の国イギリスでは、そうはいきません。
気分が良くなっても、マナーと自制心は維持するようにしましょう。
身分証を携帯する
欧米諸国の多くでは、未成年の飲酒が固く禁じられています。
飲酒によってなにか事件を起こさなくても、「お酒を飲んだ」という事実だけで重い実刑を受けることもあります。
そのため、成人であることを証明できるように、身分証明書は持っていきましょう。
ちなみにイギリスでは18歳から飲酒が可能です。
お店のルールに従う
それぞれのお店には、それぞれのルールがあります。
「いつもの店ではこうなんだ!」など、自分の常識を押し付けず、そのお店のルールに丁寧に従うようにしましょう。
アイルランドのパブ文化
パブと聞くと、
「アイリッシュパブ」を想像する方もいるのではないでしょうか?
アイリッシュパブも独自の文化があり、イギリスと比べてみるのも面白いかもしれませんね。
アイリッシュパブの歴史
アイリッシュパブの前衛的な施設ができたのは10世紀ごろのことです。もとは王族たちが所有していた醸造施設でした。
パブとして初めて認識されたお店は、1198年に建てられた The Brazen Head です。
そして時代に合わせてパブも形を変え、90年代には経済が急成長したこともあり、家族連れ向けに食事やノンアルコールを提供するようになりました。
さまざまなお店と兼業していた
19世紀ごろに、アイルランドで飲酒量を減らす動きが全国的に盛んになりました。
その動きに大打撃を受けた各地のパブは、兼業という形で生き残る術を探します。
あるパブは雑貨屋を、あるパブは金物屋を、あるパブは冷蔵設備を利用し葬儀屋をやるようになりました。
その兼業の名残は、現代でも残っています。
ただお酒を飲むだけの場所ではない
イギリスのパブを紹介する際、「パブはお酒だけでなく、社交の場としても大きな役割を果たしていた」と述べましたね。
アイルランドではさらに、家族の誕生日や記念日を祝ったり、亡くなった人の弔いをするのに集まったりなど、冠婚葬祭の行事でも使われます。
パブで役立つ英語フレーズ
最後に、パブでよく使う英語フレーズを紹介します。
注文自体はそこまで複雑な会話にはなりませんが、知らないと伝わらない内容もありますので、知っておいて損はないでしょう。
A pint of
"A pint of~" は、
「1パイントの〜」という意味です。
パイントとは、ヤード・ポンド法の容積の単位で、約0.57リットルを表します。
"Can I get a pint of beer?" で
「ビールを1パイントください」という意味になります。
だいたい一杯くらい注文したい時に使うと良いでしょう。
I’ll have
"I’ll have" は
「私は持つだろう」という訳になりますが、カウンターで使うと「〜をください」という意味になります。
"Can I get〜?" と同じように使えます。
Keep the change
"Keep the change" は
「お釣りはとっておいて」ですね。
イギリスにはチップ文化があります。
支払いとは別で紙幣を渡してもいいのですが、大きめの紙幣で支払って、そのままお釣りでチップを払う、というスマートな方法もあります。
まとめ
一般的な観光地に比べると、パブはやや上級者向けな場所に感じるかもしれません。
しかし現地の人からすると、誰もが気軽にお酒や食事を楽しむ場所なので、ぜひこちらも気軽に楽しみたいですね。
また、もしパブで現地の人とお喋りをしてみたい、というのであれば、ぜひネイティブキャンプでの学習を検討してください。
ネイティブキャンプでは、24時間365日いつでもオンラインでマンツーマンレッスンを受けることができます。
仕事が忙しくて、旅行までに英語を勉強する時間がない、という場合でも、寝る前の20分、昼休憩の15分を利用して英語を学ぶことができます。
無料体験レッスンも行っているので、ぜひネイティブキャンプのホームページを覗いてみてください。
◇経歴
・アメリカ、オクラホマ州の四年制大学を卒業
・英語学習に関するブログを中心に、英語ライター・翻訳家として活動(現在)
◇資格
・TOEFL503点(大学入学時)
・Bachelor of Arts(文学士号)
◇海外渡航経験
・高校卒業後に、アメリカのオクラホマ州にあるNortheastern州立大学へ5年間の正規留学を経験
◇自己紹介
高校時代にアメリカの音楽文化に興味を持ち、アメリカへの大学留学を決意したことが、英語学習を本格的に始めることになったきっかけです。渡米後に3ヶ月の語学研修とTOEFL試験をクリアし、正規入学を果たしました。音楽学部にてJazz Studiesを専攻し、複数のバンドでギタリスト・ベーシストとして活動したことは一生の財産です。言葉はその人の価値観を定義付け、語学の習得は世界の見え方を変えます。自分が今も現在進行形で経験している、言語の魅力を発信するために、日々、英語・語学に関する情報発信をしています。