日本人はチップ文化になじみがなく、欧米諸国をはじめとしたチップ文化のある国へ行くと戸惑うことも多いのではないでしょうか?
「チップはどのタイミングで渡すべきものなの?」
「いくら渡せばいいの?」
「そもそもイギリスにはチップの習慣はあるの?」
ここでは、そんな疑問にお答えするため、イギリスでのチップ事情と、知っておくべきチップに関する情報を詳しく紹介します。
イギリスでチップは必要?
イギリスではチップはいらないといわれることも多いですが、結論から言うと、イギリスではチップを意識した方がいい場所があります。
チップとは、規定の料金とは別に、サービスへの満足度に応じて感謝の気持ちを表すために渡すものです。
アメリカでは、チップの受取りを前提に給与が設定されているためチップを渡すのはマナーとされていますが、イギリスではチップはもともとの意味の通り、サービスへの感謝の気持として任意で渡すものとされています。
ただし、イギリスではほとんどの場合チップは不要とされますが、ホテルやタクシー、レストランではチップを支払った方がいいとされています。
イギリスのチップ事情とは?
基本的に、イギリスではチップは不要という考え方で問題ありませんが、場所や状況に応じて払っておいた方がいい場合がある点に注意が必要です。以下、状況別に整理してみましょう。
ホテル
イギリスでは、チェックインやチェックアウトの際、スーツケースなどを運んでくれたポーターにチップを渡すのが一般的です。スーツケース1つにつき50ペンス〜1ポンドを目安に渡すといいでしょう。
また、ルームサービスを頼んだときにも、50ペンス〜1ポンドを目安に渡すとスマートです。
高級ホテルやラグジュアリーな宿泊施設であれば、ベットメイキングにもチップを払った方がいいことが多いですが、一般的なホテルであればチップは特に期待されていません。
ただし、あまりにも部屋を汚してしまったときや、よりよいサービスを期待したいときはチップを渡すといいでしょう。
その場合、1〜2ポンド程度が目安になります。
タクシー
「ブラック・キャブ」の名で親しまれるロンドンのタクシー利用では、10〜15%ほどのチップを払うのが普通です。
厳密にパーセンテージを考えて払うというより、端数に少し上乗せしてチップを払うことが多くあります。たとえば、12.80ポンドの請求なら、14ポンドを払うようなイメージです。
チップを渡したら、お釣りはいらないと伝えるか、感謝の言葉をかけてさっとタクシーを降りればスムーズです。
最近では、Uberなどの配車アプリを利用するケースも増えており、この場合は基本的にチップの支払いは不要となります。
ただし、期待以上の対応を受けたなら、アプリの機能を経由してチップを払ったり、直接手渡しでドライバーに渡してもよいでしょう。
レストラン
テーブルで会計を済ませるようなレストランでは、あらかじめ「service charge」として料金にサービス料が含まれていることがあります。
請求書をもらったら、サービス料が含まれているのかどうかをチェックしましょう。
サービスチャージがあれば、追加でのチップの支払いは不要です。
サービス料の請求がないようなら、10〜15%程度を目安にチップを払いましょう。
カフェ
イギリスのカフェでは、カウンターでの注文時に料金を払うシステムが一般的なので、チップの支払いは不要です。レジ横にチップ用の瓶やボックスがあることが多く、もし接客や雰囲気が良く、感謝を伝えたければその場でチップを入れても問題ありません。
あくまでチップを渡すのは任意であり、必須ではないと理解しておいてよいでしょう。
カフェとは異なる場所ですが、ファストフード店やチェーン店でもチップは不要です。
パブ・バー
パブやバーも、カフェ同様カウンターで代金を支払って注文する形式となるため、チップの支払いは不要です。
カウンターでの注文を繰り返す中でサービスへの感謝を伝えたければチップを払ってもかまいませんが、払わないことで気まずい思いをすることはありません。
ただし、パブやバーでも、テーブル席に料理を持ってきてくれるタイプのところは、レストランと同様の感覚でチップを支払った方がいいでしょう。
美容院・マッサージ店
美容院やマッサージ店で施術を受けたときは、担当者にチップを渡すのが一般的です。サービスの満足度にもよりますが、施術料の10%が目安になります。
エステやスパなどでは、すでに料金にサービス料が含まれていることもあり、この場合はチップの支払いは不要です。
イギリスでチップを払わないとどうなる?
イギリスではチップを払った方がいい場所があることが分かったと思いますが、もしもチップを払わないとどうなるのでしょうか?
冒頭でも解説した通り、チップはあくまでサービスに対し謝礼として払うもので、法律などで義務付けられているものではありません。
チップを支払わなかったことで、罰則を受けたり、不利な状況になることはありません。
チップに関するよくある誤解
チップを払った方がいい場所もありますが、払わなくても罰則はないという話を聞くと、「チップを払わなくてもいいのでは?」と感じる人もいるかもしれません。
確かに、レストランでサービスに満足ができなかったときは、チップを払わなくても問題はありません。洋服にシミをつけられたり、あからさまに差別的な対応をされたりしたら、チップを払わないという選択肢もあります。
しかし、ホテルやレストランなどチップ文化のある場所では、担当者もその点を理解し丁寧に接客してくれることがほとんどです。
店員やスタッフにとっても気持ちよく働けることが大切なので、よほどのことがなければチップを払うのが普通です。
日本人全体のイメージとして、「日本人はチップを払わない」「日本人はケチ」と思われてしまうのも残念なことなので、気持ちの良いサービスを受けたならチップを払うのがいいでしょう。
チップの渡し方
チップは、場所やサービスにより現金で渡した方がいい場合や、カードで支払える場合があります。
1. 現金でチップを渡す
ホテルやタクシーでは、担当者に直接現金でチップを渡します。
「Thank you」など、感謝の言葉を添えて渡しましょう。
タクシードライバーへの支払いの際は、お釣りは不要と伝えるとスムーズにチップを渡せます。
レストランで現金でチップを払いたいときは、先にテーブルで会計を済ませ、席を立つ際にチップをテーブルに残しておく流れで問題ありません。
2. クレジットカード・デビットカードでチップを払う
レストランなどの場所では、カードで支払いをしようとするときに、カードリーダーの操作でチップの金額を入力し、チップの額も含めた支払いができることが多くあります。
他にも、店員が明細書を持ってきて自分でチップ額を書き込むか、口頭でチップを含めた額を伝えて、まとめてカードで払う方法もあります。
チップを渡す時の英語フレーズ
実際にチップを渡す時に使える英語フレーズも紹介します。
イギリスのレストランでの英語フレーズ
レストランでは、レジでの会計ではなくテーブルでの支払いとなるため、まずは店員に支払いの意思を伝えましょう。アメリカで請求書は「check」と言いますが、イギリスでは「bill」と言います。
会計をしたい時に使えるフレーズ
Can I have the bill, please?
請求書をもらえますか?
Could we have the bill, please?"
請求書をいただけますか?*より丁寧な言い方
請求書が来たら、サービス料を意味する「gratuity」「service charge」「tip」といった項目があるかチェックしましょう。あらかじめサービス料金が含まれているようならチップの支払いは必要ありません。
レストランによっては、メニューに下記のように記載されていることもあります。
Service charge of 13.5% is included.
13.5%のサービス料が含まれています。
A 15% service charge will be added to your bill.
会計に15%のサービス料が加算されます。
A gratuity of 14% will be added to the bill.
会計に14%のチップが追加されます。
サービスチャージが含まれるかがわからないときは聞いてみるのも方法です。
Is the service charge included?
サービス料は含まれていますか?
サービスチャージがなく、チップを別途払うには、「チップの渡し方」で紹介したようにテーブルにチップを残していくか、カードで支払いましょう。
イギリスのタクシー利用での英語フレーズ
タクシーの運転手に運賃と一緒にチップを渡すときは、以下のようなフレーズが使えます。
Please keep the change.
おつりは取っておいてください。
チップを運賃とは別に渡すときは以下のフレーズが使えます。
Thank you. This is for you.
ありがとうございました。これはあなたにです。
まとめ
以上、イギリスのチップについてまとめました。
イギリスではチップは必須ではない場合も多いですが、場所によっては払う方がいい場合もあります。
サービスを受けた自分も、サービスを提供してくれた相手にとっても気持ちのよいものとなるよう、必要な場面ではチップを渡すようにしましょう。
その際、この記事で解説したチップの相場も参考にしてみてください。
イギリスのチップ文化についても理解を深め、イギリスでの滞在を楽しみましょう!
◇経歴
・ワーホリ3ヵ国経験あり
・海外企業の営業・マーケティングで5年の経験あり
・留学サポート経験あり
◇資格
・ケンブリッジ英検 FCE
・TOEIC 900点以上
◇留学経験
・イギリス・エディンバラ大学附属の語学学校にて1ヶ月の語学留学経験あり
◇海外渡航経験
・ニュージーランド、カナダ、アイルランドでワーホリを経験
・アイルランドの企業で営業・マーケティングを担当(出張でマルタやイギリス、アジア圏の国々にも行きました)
・これまで仕事や旅行で訪れた国は20ヵ国以上
◇自己紹介
留学サポートの経験も経て、現在はWebライターとして活動しています。
大学から本格的に英語を学び始め、留学・ワーホリ経験を通して、世界各国の人たちと交流する楽しさを知りました。現在は、日本で国際交流・異文化理解の場を作るお手伝いもしています。