初めてワーホリに行くとなった時に、 海外に住所変更をして住民票を抜くべきなのか迷う人は多いです。何も気にしなくても海外には行けますが、そのままだと税金などの面で損をする可能性があります。
本記事では、 住民票を抜く時の基準やメリット・デメリット、手続きの方法や注意点を解説していきます。これからワーホリに行くことを考えている人は、自分が住民票を抜くべきかどうか確認しておいてください。
住民票を抜く・抜かないは海外滞在の期間による
ワーホリで住民票を抜くかどうかは、 海外に滞在する期間によります。基本的には、 1年以上滞在するか1年未満で戻ってくるかで判断してください。 1年以上の場合は、住民票を抜く必要があります。1年未満で戻ってくる場合は、必ず住民票を抜かないといけないというわけではありません。これは、1年未満だと一時的な短期滞在者として扱われるからです。
ただし、住民票を抜かないと、 住民税を払い続けなければならないなどのデメリットが生じます。 1年未満でも住民票を抜くことはできるので、1年未満の場合はメリットとデメリットを比較して好みの方を選びましょう。
オーストラリアや イギリスといったワーホリ期間を年単位で延長できる行き先の場合は、 1年以上と考えて住民票を抜いておいた方が便利です。途中でワーホリを止めて帰る人もいますが、期間は出発時点の予定で問題ありません。
住民票を抜くメリット
住民票を抜く時のメリットは、以下のようなものが挙げられます。
住民票を抜くメリットは 金銭面で軽減される点です。特に長期間ワーホリに行く人にとっては大きなメリットとなります。
住民税を支払う必要がなくなる
住民票を抜くと、住民税を支払う必要がなくなります。実際には、住民票を抜いた時点で支払い義務がなくなるのではなく、 1月1日にどこにいるかで決まります。
1月1日に住民票を抜いて 海外にいる場合は、 支払い義務がありません。1年間ワーホリをする場合は、1度は住民税の支払いが免除されるということです。反対に、1月1日を跨がない短期間のワーホリなどは、恩恵が小さくなります。
国民健康保険を支払う必要がなくなる
日本に住民票がない場合は、 国民健康保険に加入することができません。そのため、住民票を抜くことで支払い義務はなくなります。ただし、実際には 世界各国対応のフリーランス向けの保険か、 現地の保険に加入することになるでしょう。
カナダやオーストラリアなど、ワーホリで人気な国は 保険料も高めになります。日本の海外向け保険よりは安いですが、負担が軽くならない場合も多いです。しかし、ワーホリでは保険に入らない人もいるため、入らない場合は大きなメリットになります。
国民年金を支払う必要がなくなる
住民票を抜いた海外居住者には、 国民年金を支払う義務はありません。令和7年度の国民年金の保険料は 月額17,510円、1年で210,120円にも達します。ワーホリ予算が少ない場合は、大きなメリットとなるでしょう。
反対に、住民票を抜いたとしても国民年金を払い続けることもできます。 老後の年金支給額を減らしたくない場合は、年金は払い続けることをおすすめします。任意で決められるため、住民票を抜く手続きをする前に決めておいてください。
住民票を抜くデメリット
住民票を抜く時のデメリットは、以下のようなものが挙げられます。
公的書類が使えないことによる不便さや、手間が増える点がデメリットです。とはいえ、前もって準備するなどして対応できるので、あらかじめ確認しておきましょう。
銀行口座やクレジットカードなどの新規発行ができない
住民票を抜くと、 新しく銀行口座やクレジットカードを作ることが難しくなります。保険証などが失効し、日本在住を証明する本人確認書類が使えなくなるからです。 銀行口座とデビットカードを用意すれば、海外にいても日本からの仕送りを受け取りやすくなります。
また、緊急時に クレジットカードを利用したいこともあるでしょう。ワーホリの場合は、基本的に現地の銀行口座が作れますし、仕送りも現地銀行を使えば可能です。とはいえ、前もって日本で銀行口座やクレジットカードを作っておくと、いざという時の保険になっておすすめです。
自身で海外保険などに加入しなくてはならない
住民票を抜くと、 国民健康保険に加入し続けることができません。また、 社会保険だったとしても、ワーホリで住所が日本にない場合は加入できなくなります。そのため、 自分で海外用の保険や現地の保険などに加入しなくてはなりません。ワーホリで1年以上海外に行く場合は、費用面を考えて 現地の保険に入ることになるでしょう。
しかし、まだ ワーホリ1年目となると、全て英語の保険に契約することは億劫で、多くの人にデメリットになりやすいです。どちらにしても海外では国民健康保険は使えませんが、 国民健康保険がある場合は 制限付きで帰国後に一定額の支給を受けられます。また、保険無しでワーホリを終える人も存在します。自分に合った保険プランを考えてみてください。
マイナンバーカードの切り替えも必要
住民票を抜いた後は、 国外転出向けマイナンバーカードに切り替える必要があります。もともと、住民票を抜くタイミングでマイナンバーカードは返却することになっていました。しかし令和6年5月27日から、 日本国籍であれば住民票を抜いた後も海外で利用できるようになります。
海外と日本間の間で送金によく利用される WISEなど、 マイナンバーがないと使えないサービスは増えてきました。また、稀に海外の新規口座開設時にもマイナンバーを聞かれることがあります。聞かれてマイナンバーがわからなかったとしても、口座開設に問題はないでしょう。しかし、 公的書類として徐々にマイナンバーが普及しつつあるため、 国外向けに切り替えておくに越したことはありません。
住民票を抜く場合の手続き
住民票を抜く場合の手続きは、 住んでいる市区町村の役所で行います。運転免許証やパスポートなどの身分証明書と印鑑を持って行ってください。健康保険証なども使用できるため、前もって役所のホームページを確認しておきましょう。
海外に行く場合は、 航空券をチェックされる場合もあるので注意してください。役所に行った後は、指定の海外転出届に氏名や生年月日などの必要事項を記入し、転出届を提出するだけで完了します。
郵送や代理人申請も可能
本人が何らかの理由で役所に行けない場合は、 郵送や代理人を使って手続きを進めることもできます。海外転出届を出せる期間は変わりませんが、郵送の場合は投函から手続き完了までに時間がかかるので注意してください。代理人申請の場合は、 本人が作成した委任状が必要になります。郵送用の転出届や委任状のフォーマットは自治体のホームページでダウンロードできるので、チェックしてみてください。
住民票を抜くことを忘れてしまった場合
住民票を抜くことを忘れてしまった場合でも、パスポートの出入国スタンプやeチケットなどがあれば 後から申請できる場合もあります。ワーホリに行く場合、口座開設など様々な場所で航空券を使う場合もあるので、 eチケットや航空券は捨てないようにしましょう。自治体にもよりますが、海外から郵送などを使って住民票を抜くことを許可している場合もあります。まずは、自分が住んでいた地域の自治体のホームページを見てみるか、電話で自治体に確認してみてください。
マイナンバーカードや保険証の返納
海外への転出届を出すと、 マイナンバーカードや保険証の返納を求められます。別途手続きが必要になりますが、転出届を出した時に案内されるので問題はありません。出発日までの間に保険証を使う予定がある場合は、役所で返信用の封筒をもらった後に郵送をしましょう。
マイナンバーカードは国外用に切り替えられるようになったため、持っておきたい場合は 国外継続利用申請書を提出してください。国外継続利用申請書の提出は、 出発予定日の前日までです。国外継続利用申請書を提出せず返納もしなかった場合は、 転出予定日にマイナンバーは失効します。
住民票を抜く手続きの注意点
住民票を抜く手続きの注意点は、以下の2点です。
病院に行ったり公的な申請をする場合には、 住民票を抜くタイミングに注意しましょう。
手続きは出発日の14日前〜当日
住民票を抜くための手続きは、ほとんどの自治体で 出発日の14日前〜当日に可能になります。早めに手続きを済ませておくことはできないので注意してください。ただ、これは多くの自治体で採用されているルールですが、自治体共通の絶対的なルールというわけではありません。多くの役所のホームページでは受付が可能になる日程が案内されているので、あらかじめチェックしてから手続きに向かいましょう。
国内にいても非居住者扱いになる
住民票を抜いた後は、国内に滞在していたとしても 非居住者として扱われます。 住所証明が必要なサービスが 利用できなくなる可能性があるため注意してください。 新規口座開設などは、住民票を抜く前に行いましょう。
また、住民票を抜いて国内に長期間滞在し続けた場合は、調査された場合に 居住者と扱われる可能性があります。その場合、 払っていなかった税金などを後から請求されるかもしれないため注意してください。
まとめ
住民票を抜くかどうかは、海外に1年以上滞在するかどうかで決まります。1年以上の場合は抜く必要がありますが、1年未満の場合はどちらでも問題ありません。住民票を抜くと税金などの金銭面で負担が軽くなり、手間や不便さという点で負担が大きくなります。
とはいえ、万全の準備をしてワーホリに行った場合は、日本のサービスを利用できなくて不便を感じる局面は少ないです。住民票を抜くと非居住者になってしまうので、期日の範囲内でタイミングを考えて手続きを行いましょう。