
お酒好きな人がたくさんいるイメージがあるオーストラリア。1人当たりの年間ビール消費量はおよそ76Lとされています。対して、日本の1人当たりの年間ビール消費量は約40Lですので、ビール好きなオーストラリアではたくさんビールを飲む国民性だということがうかがえます。
本記事では代表的なビールの種類、5種類のおすすめビールについて詳しく解説しています。オーストラリアでビールを注文するときに役立つグラスの種類や飲酒ルールについても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
- オーストラリアのビール事情
- オーストラリアで代表的なビールの種類
- おすすめのオーストラリアビール5選
- オーストラリアでのビール注文時に役立つグラスの名前
- 日本とは異なるオーストラリアの飲酒ルール
- まとめ
オーストラリアのビール事情
ビール好きが多い国として知られているオーストラリア。以下では、オーストラリアのビール事情について紹介します。
上位3社がシェア90%を占めるオーストラリア・ビール業界
オーストラリア国内のビール市場は、以下の上位3社がシェアの90%を占めています。
第1位 カールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズ(Carlton & United Breweries)第2位 ライオン(Lion)
第3位 クーパーズブルワリー(Coopers Brewery)
実は、上位3社のうち1位と2位の親会社は、日本の企業!
第1位のカールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズの親会社は、アサヒグループホールディングス、ライオンの親会社はキリンです。
したがって、純粋なオーストラリアのビール会社はクーパーズブルワリー一社のみ。これまで一度も人の手に渡ったことのないクーパー
ズブルワリーは、家族経営の伝統を守りながら現在も経営を続けています。
2000年代に突入して世界的に高まったクラフトビールの人気を受けて、大手のビール会社は小さなブルワリーを買収するなど、生き残りをかけた戦略を展開しています。
バラエティ豊富なビール
国土が広く、エリアによって気候が大きく異なるオーストラリアでは、地域によって異なるビールの特徴が見られます。
例えば、気温が高い地域のビールは、辛口でキリッとした味わい。温暖な気候で育まれたホップから作られたビールは、フルーティーで爽やかな風味が特徴です。
一方でメルボルンなどをはじめとした比較的涼しい気候の地域では、まろやかなコクのあるエールビールが好まれます。
ビールの温度にも細かいこだわり
ビールが大好きなオージーたちは、温度にもこだわります。ビールはキンキンに冷やして飲むものという日本のビール文化とは異なり、ビールの種類によって温度を変えて飲む人が多いのです。
例えば、ラガービールはしっかり冷やしてバーベキューやスポーツ観戦のときに楽しみたいという人が多いようです。一方で、IPAなどは8〜12度ぐらいにして飲むとその風味が引き立つと言われています。
銘柄に合わせて温度にもこだわる。文化の違いが見えるのが興味深いですね!
オーストラリアで代表的なビールの種類
オーストラリアで好まれるビールは地域によってさまざまです。定番のラガービールにくわえて、エールやスタウトなども人気です。
以下では、オーストラリアで飲める主なビールの種類をご紹介します。
Lager(ラガー)(LAGER)
日本や世界の他の国と同様に、オーストラリアでも最も消費されているのがラガーです。オーストラリアでは1800年代終盤に初めて国内で醸造が開始されました。
5度から12度ほどの低い温度で、約5週間ほどじっくりと熟成して作られます。
喉ごしがよく、さっぱりとした味わいが特徴です。冷やしてゴクゴクと飲むと美味しいので、赤道に近いエリアや、ブリスベンで人気があります。
Ale(エール)
ラガーよりもさらに香りや味を楽しみたい方はエールがおすすめです。20度と比較的高めの温度、かつ短時間の発酵でビールを作るため、強い味や香りが特徴です。
エールビールには以下のように、さまざまな種類があります。
・ペールエール(PALE ALE)
・IPA(INDIA PALE ALE)
・ゴールデンエール(GOLDEN ALE)
・サマーエール(SUMMER ALE)
・アンバーエール(AMBER ALE)
フルーティーな風味で、アルコール度数はラガーよりも高めで4.5〜7%程度のものが多いです。
Stout(スタウト)
スタウトとは、ローストしたモルトや大麦などをエールのように比較的高めの温度かつ短時間の発酵で完成させたビールです。
スタウトの中で最も知られているのが、アイルランドのギネス。強く濃厚な味わいで、苦味や酸味も強めです。ローストした大麦やモルトの香ばしい香りや風味を楽しめます。
スタウトといえば、かつてはアルコール度数が7%〜8%ほどが多数を占めていましたが、現在では4%ほどのアルコール弱めの銘柄もあります。
おすすめのオーストラリアビール5選
以下では、おすすめのオーストラリアビールを紹介します。
Victoria Bitter(ビクトリア・ビター)
通称「VB」と呼ばれるグリーンのラベルが貼られたビクトリア・ビターは、オーストラリアを代表する有名なラガービール。1854年に始まったカールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズで誕生した歴史のあるビールです。アルコール度数が4.9%と比較的高めで、苦みのある強い味が特徴です。
日本でも、スーパーやオンライン通販で購入できますよ!
XXXX Gold(フォーエックス・ゴールド)
爽やかな風味が特徴のXXXX Goldはクイーンズランド州で生まれたラガービールです。生産会社はライオンで、ライオンが保有する醸造所であるカッスルメインパーキンスにて作られています。
爽やかな風味かつ、アルコール度数が3.5%抑えめでさらっと飲めるので、ビール初心者の人にもおすすめです。
なお、もう少し苦みのあるビールがお好きな方にはXXXX Bitter(フォーエックス・ビター)がぴったり。こちらもXXXX Goldと同じくラガービールですが、アルコール度数が4.4%なのでビール好きな方も満足できるでしょう。
このXXXX Bitterはオーストラリアでは誰もが知っているビールで、オーストラリア国内で一番売れたビールとされています。
Foster’s Lager(フォスターズ・ラガー)
フォスターズラガーは、ビクトリア州メルボルン発祥の世界的に有名なラガービールです。1888年に生産が始まり、オーストラリアのビールの中では世界で最も売り上げた銘柄となっています。
スポーツ大会のスポンサーを努めることもあり、ロゴマークを目にしたことがある人は多くいるかもしれません。アルコール度数は5%、爽快で飲みやすく、特に暑い夏の日にぴったりのビールです。
メーカーはカールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズで、現在はアサヒグループホールディングスがライセンスを保有しています。
Carlton Crown Lager(カールトン・クラウン・ラガー)
カールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)が製造するプレミアムビールで、通常のラガービールにはないリッチな味わいが特徴です。
オーストラリア国内で作られるプレミアムビールのうち、最も有名で、値段も高め。
「プレミアムビール」と謳っているだけあって、瓶のラベルにも高級感が漂います。アルコール度数は4.9%。
一般的なビール瓶と違って、上に行くほど細くなるシャンパンボトルのような形をしています。
Coopers Sparkling Ale(クーパーズ・スパークリング・エール)
クーパーズ・スパークリング・エールとは、クーパーズブルワリーが醸造する、香り高く、濃厚なエールビールです。醸造元のクーパーズブルワリーの代名詞とも言われる製品で、オーストラリアで誕生した唯一のスタイルである、オーストラリアン・スパークリングというビールスタイルをとっています。
アルコール度数は5.8%。飲む前からスッキリとした香り高くも甘い香りの中に、麦芽のアロマを感じられる一品です。一口含むと口の中に広がるのはフルーティーなフレーバー。コクや旨みも十分あるものの、後味には強い苦味を楽しめます。
オーストラリアでのビール注文時に役立つグラスの名前
オーストラリアにはイギリスから影響を受けたパブ(Pub)の文化が根付いているため、日本人が居酒屋や立ち飲み屋で気軽にお酒を楽しむように、オーストラリア人はパブにふらっと立ち寄ってビールなどのお酒を楽しみます。
そんなパブやバーでビールを注文する際にスマートに注文できるように、以下ではオーストラリアのサイズ別グラスの名前について解説します。ぜひ参考にしてください。
Middy(ミディ)
軽く飲みたいときや、少量だけ楽しみたい人におすすめなのがミディ。容量が285mLとかなり少なめです。しかし、「せっかくオーストラリアに来たのだから色々な種類を飲んでみたい」という方には、ピッタリのグラスです。
ちなみに、ミディという呼び方は主にニューサウスウェールズや西オーストラリア地方で使われています。地域によって、以下のように呼び方が違うので一緒に覚えておきましょう。
ポット(Pot):ビクトリア州
テン(Ten):クイーンズランド州・タスマニア州
※他にハンドル(Handle)と呼ぶエリアもある
Schooner(スクーナー)
ミディアムサイズのグラスがスクーナーです。容量は425mLと、ビール好きの人には最も楽しみやすいサイズです。
ただし、このサイズのグラスは西オーストラリアとビクトリア州では取り扱いがないことが多いので、メニューを見るか、店員さんに確認してみましょう。
Pint(パイント)
日本の生中と生大の中間サイズのグラスがパイント(Pint)です。容量は568mLで、オージーに一番人気のグラスサイズです。また、容量が半分の284mLのハーフパイント(Half pint)というグラスも存在しており、これはビールを少しだけ楽しみたい方には、ハーフパイントをおすすめします。
Jug(ジャグ)
約1100mLの容量を持つジャグは、日本で言うピッチャーのようなサイズのグラスです。小さいグラスも一緒に提供されるため、友人や家族とシェアするときにも役立ちます。
ここでは一般的な呼び方を紹介しましたが、グラスのサイズや呼び方は州によって異なることもあります。事前にチェックしておくと安心ですよ!
日本とは異なるオーストラリアの飲酒ルール
日本とオーストラリアでは飲酒に関するルールが異なるので、オーストラリアでお酒を楽しむ際は参考にしてみてください。
飲酒可能年齢は18歳以上
オーストラリアでは18歳以上であれば飲酒ができます。日本人でも渡航すれば現地の法律やルールに従うことになるため、オーストラリア国内では飲酒が可能になります。
お酒を購入、またはお酒を提供しているお店に入店する際は、身分証明書の提示を求められます。特に日本人は実年齢よりも若く見られることが多いため、お酒を飲む予定がある場合は身分証明書を持っておくことをおすすめします。
身分証明書としては、パスポートが役立ちます。日本の運転免許証は日本語で記載されているため、身分証明にはなりませんので注意してください。
公共の場所での飲酒は禁止
オーストラリアでは公共の場所での飲酒は原則禁止されています。公園や路上の他に、ビーチやイベント開催場所での飲酒もできないので、注意してください。例外として、一部のバーベキューエリアや、イベント開催時には飲酒が可能なこともあります。
バーベキューなどをしていると外でお酒が飲みたくなるものですが、飲酒が許可されている場所なのかどうかを事前に確認することが重要です。
飲酒が禁止されている場所には「alcohol-free zone」や「AFZs」、「alcohol prohibited areas」などの表記があります。「free」は「自由」という意味ではなく、「禁止」を意味します。日本人は勘違いしやすいため、注意が必要です。
このように飲酒のルールに関してはわかりにくい部分もあるため、オーストラリアでは屋外での飲酒は避けておいたほうが無難だと言えますね。
※2025年8月現在の情報です。法律やルールに関しては常に最新の情報をチェックしてください。
まとめ
オーストラリアは広い国土を持つため、ビールの種類も非常に多様です。
ビールの種類やグラスの名前、英語での注文方法を知っておくことで、店員さんやパブで出会った人たちとコミュニケーションをとりながら、ビールを堪能してくださいね!
伝統的なブルワリーのビールから、革新的なクラフトビールまで楽しめるオーストラリアですが、お酒を飲むときにはさまざまなことに注意する必要があります。
特に海外での飲酒は、日本とルールが異なるため、知らない間に法律違反をしてしまうこともあるかもしれません。
オーストラリアの飲酒ルールや文化を知った上で、ルールを守って楽しくビールを飲みましょう。
◇経歴(英語を使用した経歴)
・オーストラリアのカフェで半年間勤務
・国内/国際線客室乗務員として5年間勤務
◇英語に関する資格(資格、点数など)
TOEIC、英検受験経験有り
アメリカのコミュニティカレッジにてEarly Childhood Educatorコース修了
◇留学経験
・オーストラリア シドニーへ1か月間の短期留学。
→週5日で語学学校へ通う。
・ワーホリでオーストラリア・ゴールドコーストに1年間滞在。
→Gold Coast Institute of TAFEの語学コースで学ぶ。
・2020年から4年間、家族の仕事でアメリカに滞在。
→州立のコミュニティカレッジでEarly Childhood Educationコース及びアカデミック英語コースを学ぶ。
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容(仕事、留学、旅行など)
仕事→韓国、中国、台湾、香港などアジアを中心とした国
旅行→アメリカ(ハワイ、グアム、サイパン含む)、カナダ、
シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ドイツ、イタリア、
ギリシャ、クロアチア、ベトナム、タイ、バハマ、オランダ領セント・マーティン島など
◇自己紹介
旅行、海外生活関連のwebライター。
最初の短期留学の経験のおかげで、人生が変わったと言っても過言ではないと感じています。海外に滞在することがきっかけで、人生の選択肢が大きく広がり、成長を続けていきたいと思うようになりました。海外での長期滞在・留学経験者の視点から、皆さまにわかりやすい記事を書いていきたいと思っています。