オーストラリアはとっても“おいしい国”です。
筆者もオーストラリアに3年ほど住んでいましたが、滞在中、いろいろなおいしい食べ物を満喫しました。
オーストラリアは大好きな国といつも言っている私ですが、その一番の理由が「おいしい料理をたくさん食べられるから」です。
今回の記事では、オーストラリアに行ったら絶対食べたい、おいしい料理・食べ物を、スイーツなども含めてご紹介したいと思います。
イギリスの影響と移民による多様化
18世紀後半からイギリスによって開拓され、また現在もイギリス連邦の一員であるオーストラリアは、当然ながら、いろいろな面がイギリス風です。
英語にしても、例えばエレベーターは「lift(リフト)」、ビルなどの1階は「1st floor」ではなく「ground floor(グラウンドフロア)」など、語彙や使い方は基本的にイギリス流です。
「食」という重要な文化においてもそれは同様です。
以下でご紹介するオーストラリアの有名な食べ物の中には、イギリスの料理と共通するものも少なくありません。
またその一方で、オーストラリアの広大な土地や河川・海からとれるさまざまな食材を利用した、オーストラリア独自の料理も発展してきました。
つまり大まかに言えば、オーストラリア料理とは、イギリス系のものとオーストラリア独自のもの、またそれらがミックスしたものということができるでしょう。
さらに加えてオーストラリアの食を考える際、大事になってくるのが、オーストラリアの積極的な移民受け入れ政策と、それによる食文化の多様化です。
一時期、人種差別的な政策をとった時期もあったオーストラリアですが、現在では、世界中からの移民を積極的に受け入れる、いわば“移民大国”になっています。
中国人街、韓国人街、イタリア人街など、ある国や地域の人々が集合して暮らしたり飲食店をはじめとするビジネスを展開しているエリアがたくさんあります。
これによって、オーストラリアの食文化は本当に多様化しています。
中華料理、韓国料理、イタリア料理、インド料理、マレーシア料理……それから日本料理まで、オーストラリアでは世界中の美味しい料理が、近くのショッピングセンターのフードコートなど、身近な場所で手軽に味わえるのです。
このように、世界中の美味しい料理が簡単に食べられるオーストラリアですが、今回の記事では、世界からの料理は別の機会にゆずり、イギリス伝承のものも含めオーストラリアで発達してきた料理に焦点を当ててご紹介していきたいと思います。
オーストラリアの代表的な料理とは?
さてでは、まずはオーストラリアの代表的な料理です。
ステーキ(steak)
広大な国土を活用し、畜産が盛んなオーストラリア。
牛肉のステーキはそんなオーストラリアの代表的な料理の一つと言えます。
日本でもオーストラリア産の牛肉は多く輸入され、「オージービーフ」という名前で知られていますよね。
オーストラリアの牛肉の特徴は、日本産の牛肉に比べて比較的脂身が少なくさっぱりしていること。
筆者の場合、日本産の脂ののった牛肉のステーキは150gくらいでお腹いっぱいになりますが、オーストラリアに滞在している時、300gのステーキをペロリと食べてしまい、我ながらびっくりしました。付け合わせのフライドポテトも大量にありましたが、けっこう食べてしまいました。
かつてはたった5ドル(400〜500円)で大きな肉が食べられる「5ドルステーキ」などというものもありオーストラリア名物として人気を博していましたが、さすがに最近ではその価格のものは見かけなくなったようです。
でも今でも比較的安い値段でお腹いっぱいステーキが食べられるのは、オーストラリアの大きな魅力に違いありません。
焼いたものを持ってきてくれる店、目の前で焼いてくれる店、自分で焼く店など、提供の仕方もさまざま。
味だけでなく、そうした違いも楽しめます。ステーキにつけるソースもいろいろな種類があり、食べ比べて自分の好みを探すこともできます。
なお、飲食店では、ステーキの量は「g」(グラム)で表されていることが多いですが、スーパーなどでは、牛肉をはじめ肉の量は「lb」(ポンド)で表記されていることが多いです。
1ポンドは約450グラムです。
ちなみに、牛肉に限らず、豚肉なども含め、日本でよく見る細切れの肉、スライスした肉はスーパーなどではほとんど見かけません。
ほしい場合は、アジア系の食材店で探すことになります。
ラムチョップ(lamb chop)
オーストラリアやお隣の国ニュージーランドでは羊の飼育も盛んです。
牛肉に並び、子羊の肉であるラムもオーストラリアを代表する料理の一つです。ラムは、だいたい生後1年未満の子羊の肉を指します。歳をとるとマトンと呼ばれます。
ラムチョップは、あばら骨のついたラム肉を焼いた料理のこと。
骨付き羊肉のステーキですね。日本でもオーストラリアやニュージーランドから輸入されたものが売られていますが、本場の新鮮な肉はまた一味違う感じがします。
日本で食べるより比較的安価な場合が多いです。
ちなみに、日本には羊の肉の薄切りを使ったジンギスカン料理がありますが、私が滞在していた時は、やはり一般のスーパーでは薄切りの羊肉を見かけることはありませんでした。
カンガルー料理(kangaroo)
カンガルーといえばオーストラリアを象徴する動物の一つですが、実は食用にもなっています。
近所のスーパーに行けば牛肉や豚肉、羊肉などと一緒に、ごく普通に並んでいるのです。
「カンガルーミート」、あるいは略して「ルーミート」と呼ばれることも多く、高タンパクで低脂肪なため、ヘルシーなお肉として健康志向の人々に人気です。
食べ方としては、牛と同じく、焼いてステーキにするのが一般的です。
オーストラリア旅行から日本に帰って、友人などに「カンガルー食べたよ」なんて言って驚かせるためにも、試してみる価値があるかもしれません。
なお、カンガルー以外にもオーストラリアっぽい動物の料理としては、クロコダイルの料理というものもあります。クロコダイルはオーストラリアなどに生息するワニです。
ミートパイ(meat pie)
料理としても、また、ちょっとしたスナックとしても、オーストラリアの人々に愛されている国民的な食べ物の一つがミートパイです。
サクサクとしたパイ生地に、グレービーソースなどで味付けした肉をぎっしりと詰めて焼き上げたものです。
肉は牛、羊、ラムなどさまざま。ミンチの場合もあれば、ゴロッとした角切りのものが使われていたりします。
マッシュルームや玉ねぎなどの野菜が入っているものもあります。熱々のパイにケチャップをかけて食べる人が多いようです。
ミートパイは、オーストラリアではスポーツ観戦の時などによく持っていきます。
街にはミートパイ専門店がけっこうありますし、専門店でなくても、ファストフード店、惣菜店、ベーカリーの多くで買うことができます。カフェのメニューでもよく見かけます。
手軽な食べ物ですが、肉がぎっしり詰まっていて、十分1回の食事になります。
フィッシュアンドチップス(fish and chips)
フィッシュアンドチップスは、揚げた白身魚とフライドポテトのコンビ。
もともとはイギリス生まれの料理・スナックですが、イギリスと縁の深いオーストラリアでもソウルフード的な存在です。
オーストラリアの有名な食べ物ランキングでは、必ず上位に登場します。
街のあちらこちらでフィッシュアンドチップスを売っている店を見かけます。歩きながら食べている人もいたりします。
サワークリームや、店独自のソースを付けていただきます。
チップス(chips)はフライドポテトのことです。これはイギリス英語です。
アメリカ英語だとフライドポテトは一般的にフレンチフライ(ズ)(French fries)と言います。フライドポテトは日本語(和製英語)なんですね。
フィッシュアンドチップスは、見た目はどの店のものもだいたい同じ感じなのですが、けっこう味が違っていたりします。
いくつか食べ比べて自分好みの店を探すのも楽しいです。ただし、かなり量が多い場合もあるのでご注意を。
チキンシュニッツェル(chicken schnitzel)
後ほどご紹介しますが、オーストラリアには「パブ」と呼ばれる店が街中にたくさんあって、お酒だけでなく、豊富なスナックや料理をそろえています。
お酒を飲まずに食事だけを楽しむ人も多くいます。コーヒーを飲むためだけに訪れる人もいます。
そんなパブの定番メニューの一つがチキンシュニッツェルです。
鶏むね肉や鶏もも肉を薄く叩いて柔らかくした後、パン粉をまぶして揚げたり焼いたりします。サクサクとした衣とジューシーなチキンが特徴です。日本でいうカツレツに似ています。
もともとはヨーロッパ発祥の料理ですが、ドイツやオーストリアからの移民の影響でシュニッツェルが広まり、オーストラリア流にアレンジされ、現在ではオーストラリアらしい料理として定着しています。
グレイビーソースやレモンを絞って味付けすることが多いです。
バラマンディ(barramundi)
バラマンディは、オーストラリアで人気の高い魚の一つです。
低カロリーで高タンパクな食品として健康志向の人々からも支持されています。
白身でくせがなく、さっぱりとしていてとても食べやすい魚です。
調理法はさまざま。グリルで焼く、フライにする、蒸し焼きにする、カレーに入れるなど、いろいろな食べ方ができます。
レストランで高級料理風に調理して出される場合もありますし、上で紹介したフィッシュアンドチップスの材料としても使われます。
オーシャントラウト(ocean trout)
魚の2種類目はオーシャントラウトです。トラウト(trout)はマスのこと。
オレンジがかった美しい色合いの身で、サーモンに似ています。脂肪分を適度に含み、しっとりとした食感が楽しめます。
こちらも調理法はさまざまです。シンプルにグリルで焼くほか、スモークしたスモークトラウトも人気です。
さらに、新鮮なものだと、刺身や寿司としても提供されています。
養殖魚であるオーシャントラウトは、オーストラリアではタスマニアが主な産地です。
オーストラリアのスイーツ一覧
では次に、オーストラリアで人気のスイーツ・お菓子類について、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。
パブロバ(Pavlova)
卵白を泡立てたメレンゲをケーキのように焼いて生クリームやフルーツを載せたもの。
それがパブロバです。外側はカリッとしていて、内側はマシュマロのように柔らかいのが特徴です。
クリスマスや誕生日などお祝いの食卓では定番となっているオーストラリアのデザート。
もっとも、好きな人はそうした祝祭日に限らず楽しんでいます。
レストランなどで食べたり、完成品を買って帰るのに加え、多くの家庭では自分たちで作ったりもします。
メレンゲを焼くところから始めてもいいし、スーパーには焼いた台の部分だけ売っていたりするので、家では生クリームやフルーツの飾りつけをするだけ、ということも可能です。
ロシアの有名なバレリーナ「アンナ・パブロワ」にちなんで名付けられたとされています。
載せるフルーツには、ベリー類、キウイ、マンゴー、パッションフルーツなどがよく使われます。
ラミントン(Lamington)
ラミントンはオーストラリアの伝統的なお菓子です。
立方体にカットしたスポンジケーキをチョコレートでコーティング。その全面にココナッツパウダーがたっぷり振りかけられています。
ココナッツパウダーのシャクっとした食感が特徴の、とっても甘いデザートです。スポンジの間にクリームやジャムをはさんだものもあります。
どこのスーパーでも見かけるお菓子で、大きな袋にぎっしり詰められていたりします。紅茶やコーヒーによく合います。
ちなみに、ラミントンというのは固有名詞や商品名ではありません。
名前の由来にはいろいろな説がありますが、その一つに、19世紀末のクイーンズランド州の総督「ラミントン卿」の名にちなんだというものがあります。
また、オーストラリアには「ラミントンの日」(National Lamington Day)もあります。7月21日です。
ティムタム(Tim Tam)
ティムタムは、クリームをはさんだビスケットをチョコレートでコーティングしたお菓子。
アーノッツ(Arnott’s)というオーストラリアの大手お菓子メーカーが製造販売しています。
ティムタムも歴史の長い、オーストラリアの人気スイーツですが、こちらは商品名です。「オリジナル」に加え、「チョコミント」「キャラメル」などいろいろな味の種類があります。
最近では世界展開にも積極的で、日本でも多くのスーパーで見かけるようになりました。
ただ、オーストラリアでしか買えないバリエーションもあったりするので、旅行のおみやげとしての人気は衰えていません。
その他のスイーツ一覧
以下、その他のオーストラリアの人気スイーツを一覧でご紹介します。
フェアリーブレッド(Fairy Bread)
バターを塗ったパンにカラフルなスプリンクルをまぶした子供向けの定番スナック。
チョコレートクラックル(Chocolate Crackle)
ライスクリスピーをチョコレートと混ぜて固めたお菓子。
アンザックビスケット(Anzac Biscuits)
オーツ麦、ココナッツ、ゴールデンシロップを使った伝統的なビスケット。
アイスドヴォーヴォー(Iced VoVo)
ピンクのアイシングとジャムが載ったショートブレッドビスケット。
フロッグインザポンド(Frog in the Pond)
ゼリーの中にチョコレートのカエル形のお菓子を入れたデザート。
ジャムドーナツ(Jam Doughnut)
ジャムを詰めた揚げドーナツ。
パイナップルランプ(Pineapple Lumps)
パイナップル風味のチューイングキャンディをチョコレートでコーティングした菓子。
キャラメルスライス(Caramel Slice)
ビスケット生地にキャラメルを重ね、チョコレートで覆ったデザートバー。
バニラスライス(Vanilla Slice)
サクサクのパイ生地に濃厚なカスタードをはさみ、アイシングで仕上げたもの。
フルーツミンスパイ(Fruit Mince Pies)
ドライフルーツを詰めた小さなパイ。
ハニージョイ(Honey Joys)
コーンフレークをバターと蜂蜜で固めた簡単なスナック。
ゴールデンゲイタイム(Golden Gaytime)
バニラアイスをキャラメルとビスケットクランチでコーティングしたアイスバー。
ブラックフォレストケーキ(Black Forest Cake)
ドイツのケーキだが、オーストラリアでアレンジされ親しまれている。
現地で楽しむグルメ体験
ここまで、オーストラリアで有名な料理やスイーツをご紹介してきました。
さて、では現地で実際に楽しむにはどのような方法があるのでしょうか。
もちろん、普通のレストランに行けば、料理やスイーツが楽しめます。でも実は、オーストラリアでは、それに加えて、食事をとっても楽しめる特徴的な場所があるのです。「フードコート」と「パブ」です。
フードコート
オーストラリアのショッピングセンターなど大型商業施設には、多くの場合フードコートが併設されています。中にはフードコートだけが入ったビルなどもあります。
形式としては日本で見かけるフードコートと同じ。壁に沿っていろいろな店がずらりと並んでいて、食事を受け取ったら席に持っていって食べる、セルフサービス方式ですね。
でもオーストラリアの特にシドニーなど都市部のフードコートの多くで驚かされるのは、その巨大さです。ものすごく広いワンフロア全体がフードコートになっているようなショッピングセンターもあります。もちろんその分、食事の種類も豊富。オーストラリア料理から世界のさまざまな料理を楽しむことができます。
巨大なショッピングセンターの巨大なフードコートに行って、いろんな料理を試してみることをおすすめします。事前に人気のフードコートを調べておくというのも大事ですね。
パブ
前の方でも少し述べましたが、オーストラリアでは「パブ」と呼ばれる飲食店を、街中のあちこちで見かけます。このパブ、お酒ももちろん出すのですが、食事のメニューも充実しているところがほとんどです。「ごはんを食べにパブへ」というのも、ごく当たり前なのです。
パブの食事メニューには、今回ご紹介したようなオーストラリアで有名な料理がそろっています。
オーストラリアの雰囲気を満喫しながらオーストラリアの料理を食べたいという時は、パブはうってつけです。
最初はちょっと入りにくいかもしれませんが、お酒を一滴も飲まなくても全然大丈夫なので、良さそうなパブを見つけたら試してみましょう。コーヒー一杯でもOKです。ただし、夜は酔っ払いが多いのも事実です。昼食から始めてみるのがいいかもしれません。
ちなみに、都市部のたいていのパブは、飲食せずにトイレを借りるだけでも快く受け入れてくれます。
ただし、借りる前は「May I use your toilet?」と尋ね、使用後は「Thank you.」というようにきちんとコミュニケーションをとるように心がけましょう。
また、パブの中には名前に「Hotel」と付いているところがあったりします。
これは、宿泊施設も兼ねていた昔の名残であり、ホテルという名なのに今では宿泊機能はもう無いお店がけっこうあります。
まとめ
今回はオーストラリアで有名、あるいは人気のあるオーストラリア料理やスイーツをご紹介しました。旅行や留学でオーストラリアへ出かける際のご参考になれば幸いです。
ただ、いろいろ種類があって、どれがどれだかわからなくなってしまう、といったこともあるかもしれません。
レストランなどで注文する時、料理の名前を忘れたり、うまく通じない時のために、あらかじめお目当ての料理の写真やイラストをスマホに保存しておいて、それを見せながらオーダーするというのも一つの手です。
それではまた。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。