「ホバート(Hobart)」と言われても、すぐにピンとくる人はあまり多くないかもしれません。都市の名前ですが、確かに、それほど頻繁には聞くことはないかも。
でも最近、語学留学や大学・大学院留学先の候補地としてとっても注目度が高まっている都市、その一つがオーストラリアのホバートなんです。
いったいホバートのどのようなところが留学先として魅力なのか?
今回は、 オーストラリアのホバートについて、基本情報はもちろん、ホバートに留学するメリットやデメリット、現地で楽しむことができる観光やアクティビティなどについて、詳しく解説・説明していきたいと思います。
ホバートとは? タスマニア州の州都の魅力
オーストラリアの都市、ホバートについて、まずは、基本的な情報からお伝えしましょう。
オーストラリアの南に浮かぶ島タスマニア
オーストラリアは、日本のほぼ真南に位置します。最大都市シドニーへは、直行便の航空機で片道9時間程度です。
オーストラリアは広大な国です。そして、6つの「州」と2つの「準州」で構成されています。以下に、各地域の地域名と中心となっている都市名を挙げましょう。
州名・準州名 | 中心都市 |
ニューサウスウェールズ州 | シドニー |
クイーンズランド州 | ブリスベン |
ビクトリア州 | メルボルン |
南オーストラリア州 | アデレード |
西オーストラリア州 | パース |
タスマニア州 | ホバート |
ノーザンテリトリー(準州) | ダーウィン |
首都特別地域(準州) | キャンベラ |
今回この記事でご紹介するのは、 タスマニア州の州都であるホバートです。
タスマニア州は、首都特別地域を除く他の州と比べると、比較的小さな州です。オーストラリアの東南部にあるビクトリア州(州都はメルボルン)の南に浮かぶタスマニア島とその周辺の島から構成される地域です。
タスマニア島の面積は、北海道よりやや小さいくらいです。ホバートはこのタスマニア島に位置します。
日本からは航空機の直行便は今のところありませんので、シドニーやメルボルン、ブリスベンといったオーストラリア国内の大都市から乗り継いで行くのが一般的です。
大陸から離れたホバートの魅力
オーストラリア大陸からちょっと離れたホバートは、豊かな自然と落ち着いた都市環境が融合した魅力的な留学先として 注目度がアップしています。都市部の喧騒から離れ、静かで学びに適した環境を求める人にとって、 理想的な場所と言えるかもしれません。
ホバートは1804年に イギリスの植民地として設立され、シドニーに次ぎ オーストラリアで2番目に古い都市としての歴史を持っています。
そんなホバートに留学するメリット・デメリットを次に詳しく見ていきましょう。
ホバートに留学するメリット
ホバートは、留学先として多くの利点を持つ都市です。大都市に比べてコンパクトでありながら、 学業と生活の両面で充実した環境が整っている点が特徴です。ここでは、ホバートに留学する主なメリットを紹介します。
自然と調和した学習環境
ホバートは、都市の利便性と豊かな自然が見事に融合した場所です。
タスマニア大学をはじめとする教育機関では、先端的な研究環境が整っており、学問に集中することができます。
また、周囲の大自然は、ストレスを軽減し、リラックスした学習環境を提供します。ウェリントン山や美しいビーチでリフレッシュしながら勉強できる点は、ホバートの大きな魅力です。
比較的低い生活費
オーストラリアのシドニーやメルボルンといった大都市と比べると、 ホバートの生活費は低めです。家賃や食費が抑えられるため、限られた予算でも充実した留学生活を送ることができます。特に、留学生向けのシェアハウスや学生寮を選択すれば、経済的な負担を軽減できます。
治安の良さと安心できる環境
ホバートはオーストラリアの中でも 治安が良いことで知られています。犯罪率が低く、夜間の外出も比較的安全なため、留学生にとって安心できる環境が整っています。地元の人々も フレンドリーで、留学生を温かく迎えてくれるため、新しい環境でもすぐに馴染むことができるでしょう。
また、日本との時差が1時間(夏季は2時間)しかないため、時間をほとんど気にせず日本と電話などで連絡がとりやすいのも安心のポイントです。
国際的な学習環境
ホバートには世界各国からの留学生が集まり、多文化が共存する環境が広がっています。英語を学ぶ環境として良好であり、異文化交流を通じて グローバルな視点を養いながら英語力をアップすることができます。
豊かな食文化を満喫
ホバートの魅力としては、その食文化も挙げられます。タスマニア州は清らかな水と肥沃な土地に恵まれており、新鮮なシーフードやオーガニック食材、ワインが楽しめます。特にタスマニア産の サーモンや牡蠣は世界的にも評価が高く、ホバートのレストランや市場で手軽に味わうことができます。
ホバートに留学するデメリット
ホバートは多くのメリットを持つ留学先ですが、同時にいくつかのデメリットも存在します。事前にデメリットを理解しておくことで、対策を考えながら快適な留学生活を送ることができるでしょう。
大都市に比べて選択肢が限られる
ホバートはシドニーやメルボルンと比べると小規模な都市であり、大学の数や語学学校の選択肢が限られています。特に特定の分野を専門的に学びたい場合、大都市の大学と比べると 選択肢が少ない点はデメリットとなるでしょう。また、アルバイトの 求人も限られているため、仕事を探す際には早めの行動が必要です。
けっこう寒い期間が多い
オーストラリアの中では 最も南(南極側)に位置するホバートの気候は、他のオーストラリアの都市と比べて 寒冷です。特に冬は気温が低く、風が強い日も多いため、防寒対策が必要です。
また、一日の中でも気温差が大きいため、服装の調整が難しい点もあります。寒さが苦手な人にとっては、少し厳しい環境かもしれません。
交通の利便性がやや低い
ホバートは公共交通機関の選択肢が少なく、特にバスの運行頻度が低いため、 移動に時間がかかることがあります。夜間や週末はバスの本数が減るため、移動手段を事前に確認しておく必要があります。車を持っていると便利ですが、留学生が車を購入するのは現実的ではないため、住む場所を選ぶ際には 交通の利便性を考慮することが重要です。
都会的なエンターテイメントの少なさ
ホバートは落ち着いた環境が魅力ですが、大都市に比べるとナイトライフや エンターテイメントの選択肢が少ないです。クラブや大型ショッピングモール、映画館の数が限られており、都会的なライフスタイルを求める人には少し物足りなく感じるかもしれません。
ホバートでのアクティビティと観光スポット
上の「ホバートに留学するデメリット」の中に「都会的なエンターテインメントや娯楽施設の少なさ」がありましたが、だからといって楽しいアクティビティや観光スポットが全然ないわけではありません。
いやむしろホバートは、留学生が学業の合間に楽しめるさまざまなアクティビティと観光スポットに恵まれていると言えるでしょう。 自然を満喫するアウトドアアクティビティから、 文化や歴史を体験できるスポットまで幅広い選択肢があります。
以下に、ホバートおよび近郊にある代表的なものをご紹介しましょう。
ウェリントン山(クナニ/マウント・ウェリントン)
街の背後にそびえ立ち、 ホバートのシンボルともいえる標高1271mのウェリントン山(Mt. Wellington)は、市街地からわずか30分ほどの距離にあり、登山やハイキングが楽しめます。山頂からの絶景は圧巻で、ホバート市内やタスマニアの自然を一望できます。冬季には雪が積もることもあり、四季折々の風景を楽しむことができます。
なお、ウェリントン山はクナニとも呼ばれています。これはタスマニア先住民の言語で「山」を意味するそうです。
サラマンカマーケット
毎週土曜日に開催されるサラマンカマーケット(Salamanca Market)は、 ホバートで最も人気のある市場の一つです。地元のアーティストが作る工芸品や新鮮な食材、手作りのスイーツなど、多彩なアイテムが並びます。マーケットを訪れることで、地元の文化に触れながら、ユニークな買い物を楽しむことができます。
モナ(MONA)
現代アートの最前線を体験できるモナ(Museum of Old and New Art)は、 革新的で挑戦的な展示が特徴の美術館です。岬にあり、陸路でも海路(フェリー)でも訪れることができます。アート好きはもちろん、初めて美術館を訪れる人でも楽しめるスポットです。
タスマニア博物館・美術館(TMAG)
TMAG(Tasmanian Museum and Art Gallery)は、 タスマニアの歴史や文化を学ぶことができる博物館・美術館です。タスマニアの先住民文化や南極探検の歴史など、幅広い展示が楽しめます。
ブルーニー島
ホバートからフェリーで行けるブルーニー島(Bruny Island)は、自然が豊かで、 野生動物と触れ合えるスポットです。また、 シーフードやチーズの名産地として知られ、グルメツアーも人気があります。
その他
ホバートの港は南極探検の拠点としても知られています。歴史的な建築物とモダンな施設が融合したウォーターフロントエリアは、多くの観光客や地元住民に親しまれています。
ホバート留学のための準備と手続きガイド
ホバートでの留学を成功させるためには、適切な準備と手続きを踏むことが不可欠です。ここでは、ビザの取得から現地での注意事項まで、留学前に押さえておくべきポイントを紹介します。
学校選びと入学手続き
ホバートには タスマニア大学(University of Tasmania)をはじめとする世界的にも有名な高レベルの教育機関がありますが、前述のように、語学学校などを見た場合、大都市に比べて選択肢はやや限られるのが現実です。
留学エージェントと相談し、希望する学習内容に合った大学、大学院、あるいは語学学校を選び、入学要件を確認しましょう。
英語学校の例としては、タスマニア大学付属英語学校などがあります。
パスポートと適切なビザの取得
パスポートを持っていない人は取得しましょう。持っている人は 有効期限が大丈夫かを確認しましょう。留学中に有効期限が切れる場合、現地の大使館等で更新するなどの方法があります。
パスポートに加えて ビザ(査証)の取得が必要です。3カ月以内の短期の語学留学であれば旅行ビザで大丈夫ですが、 3カ月以上の留学をする場合、学生ビザの取得が必要です。
旅行ビザは スマホの専用アプリから自分で申請します。費用はオーストラリアドルで20ドルです。学生ビザの取得もやはりオンラインでできますが、具体的な方法やタイミングは 留学エージェントと相談するのがいいでしょう。
保険の加入
学生ビザを申請する際は、オーストラリア滞在中の病気治療費などをカバーしてくれる 海外留学生健康保険(OSHC)に入ることが義務付けられています。これも 留学エージェントと相談するのがいいでしょう。
旅行ビザの場合は保険への加入は必須ではありません。しかし万一のことを考えて、海外旅行保険に入っておくことをお薦めします。
住居の確保
留学中に住む場所を選びます。学生寮、シェアハウス、ホームステイ、ホテルなどの選択肢があります。これも 留学エージェントと相談するのがいいと思います。
学生寮:
大学キャンパス内または近郊にあり、勉強に集中できる環境が整っています。
シェアハウス:
一つの家を複数の人でシェアして暮らす形態です。比較的安価で、 多文化交流の機会が多くなります。
ームステイ:
地元の家族の家で暮らします。食事も出してくれるところが多いです。
ホテル:
快適ですが相当のお金がかかります。短期留学の人には向いています。
その他の注意事項
ホバートは年間を通して冷涼な気候で、夏場でも平均最高気温は約22度です。特に冬は寒いため、 暖かい服装を用意しましょう。
また、オーストラリアは南半球にありますので、日本とは夏と冬が逆になります。日本が夏ならばオーストラリアは冬です。
太陽も南側ではなく北側に登ります。特に生活に支障はないですが、太陽や影を頼りに方向を見定める際には注意が必要です。
まとめ
今回の記事では、オーストラリアのタスマニア州の都市ホバートについて、留学先としての魅力を解説・説明しました。
ホバートは歴史、自然、文化、食の魅力が凝縮された街であり、留学生活を充実させる要素が豊富にそろっています。
語学学校・コースの選択肢がやや少ないのが難点とはいえ、ホバートでの留学は、学問と自然が調和した特別な経験を提供してくれるでしょう。美しい自然の中で、学びとリフレッシュを両立できる点が大きな魅力です。
シドニーやメルボルンといった大都市への留学を検討する際に、ホバートなど地方都市への留学にも目を向けてみるのもいいかもしれませんね。

◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。