海外留学の目的は、人それぞれです。中には、バレエの技術を磨くために留学したい、と考える人もいるでしょう。
日本人学生にとって留学先として人気の国、カナダにバレエ留学したい、という方が留学先の候補としやすいのが、
カナダ・ナショナル・バレエ・スクールです。
カナダで最も大きな都市、トロントにあるこの学校は、世界屈指のバレエ・スクールの一つです。
北米で唯一、ダンスのトレーニングと学科教育、そして寮の3つを兼ね備えた学校といわれています。
今回はカナダ・ナショナル・バレエ・スクールについて、深堀していきたいと思います。
レベル別のカリキュラムと特徴
カナダ・ナショナル・バレエ・スクールは、アルバータバレエスクールなどと並ぶ、カナダの著名なバレエ・スクールです。
この学校のカリキュラムは、大きく2つのコースに分けられます。
一つ目が、学生向けのプロフェッショナル・バレエ・アカデミック・プログラム。
そして二つ目が、卒業生向けのカンパニー・ライフ・プログラムです。
それぞれのプログラムについて、詳しく見ていきましょう。
プロフェッショナル・バレエ・アカデミック・プログラム
プロフェッショナル・バレエ・アカデミック・プログラムは、主に11歳~18歳(小学6年生~高校3年生)を対象としたコースです。
ダンスのトレーニングと学科教育がセットになっていて、学年は基本的に9月に始まり、6月に期末を迎えます。
毎日ダンススタジオで2~4時間のバレエトレーニングを実施できます。
上級学年になると、世界各地の提携校との交換プログラムも用意されていて、定期公演を含む学校公演への参加のチャンスの他、カナダ国立バレエ団の「くるみ割り人形」公演に出演するチャンスまであるようです。
ダンス・トレーニングはとても評価が高く、最新のクラシック・バレエやコンテンポラリーダンスを学べます。
それに加えて、身体運動科学をベースとしたトレーニングを実施。
さらに、技術だけでなく人間性を高めるためのトレーニングまで用意されています。
学科教育の面でも非常に充実していて、評価が高いです。
このバレエ・スクールはオンタリオ州教育省の認可を受けた学校のため、卒業時にはオンタリオ州の卒業認定を受けられます。
これにより、卒業時にはバレエ・ダンサー以外の進路も候補に入れやすくなるので、ライフプランの変更にも対応可能です。
学生寮での生活も人気を博しています。
カンパニー・ライフ・プログラム
カンパニー・ライフ・プログラムは、主に18歳以上のプロのバレエ・ダンサーを目指す人向けのコースです。
プロフェッショナル・バレエ・アカデミック・プログラムを修了した生徒、またはそれと同等の力がある生徒のみが出願資格を持っています。
こちらは9月から7月までのプログラムです。
朝のトレーニングに始まり、午後にはリハーサルやパフォーマンスをして過ごすのが通例です。
さまざまなジャンルで活躍するプロを講師として招き、プロの世界でやっていくために必要な、多種多様なアプローチやダンスのスタイルを獲得していくのが、このプログラムの強みです。
Betty Oliphant Theatreというキャンパス内にある劇場で、観客を前に演技する機会もあります。
カナダ国立バレエ団とのつながりの強い学校なので、入団できる可能性も用意されています。
学生からプロへの移行期にあるバレエ・ダンサーにとって、必要なカリキュラムがたくさん用意されているコースです。
これらのコース以外にも、夏期講習やバレエ講師を目指す人向けのカリキュラムなども用意されています。
学費はいくら?留学にかかる費用
カナダ・ナショナル・バレエ・スクールでは、いったいどれほどの学費が必要なのでしょうか。
これだけたくさんのカリキュラムが用意されたコースだと、学費が気になりますよね。
カナダ・ナショナル・バレエ・スクールはその名の通り、カナダの学校なので、カナダの学生向けの授業料と海外からの留学生向けの授業料が異なります。
留学生は現地の生徒よりも高い授業料が設定されています。
プロフェッショナル・バレエ・アカデミック・プログラムの場合
まず、プロフェッショナル・バレエ・アカデミック・プログラムの学費ですが、学生寮を利用する場合は61,670カナダドルです。
現在のカナダドル円相場は大体1ドル=105円前後くらいなので、650万円弱でしょうか。
学生寮を利用せずに日中だけ通う場合の学費は、40,010カナダドルです。
日本円だと、最近の相場でいうと420万円ほどでしょうか。
授業料に加えて、学生寮の利用の有無にかかわらず、この授業料にプラスして登録料110カナダドル、事故保険に16カナダドル、最終学年の12年生(日本でいう高校3年生)にはポートフォリオ用の500カナダドルが別途必要となります。
さらに、留学生は健康保険に加入するための630カナダドルの支払いが必要となります。
これらすべてを合計すると、1,256カナダドル、日本円で13万円ほどになります。
このような追加費用が発生することも、念頭に入れておく必要があります。
まとめると、プロフェッショナル・バレエ・アカデミック・プログラムでは
授業料:61,670カナダドル(学生寮利用)または40,010カナダドル(通いの生徒)
登録料:110カナダドル
事故保険:16カナダドル
ポートフォリオ用費用:500カナダドル(最終学年のみ)
健康保険:630カナダドル
上記が、必要な留学費用となります。
カンパニー・ライフ・プログラム
カンパニー・ライフ・プログラムの場合は、プロフェッショナル・バレエ・アカデミック・プログラムと比較すると若干、費用が少なくなります。
学生寮を利用する場合は56,290カナダドル、利用しない場合は34,630カナダドルの授業料が必要です。
日本円にすると、学生寮を使うならば600万円弱、学校まで毎日通う場合には、360万円ほどと考えればよいでしょうか。
この授業料に加えて、健康保険などの追加費用が必要となる場合があります。
なお、このページに記載した費用については、今シーズンの学費になります。
費用は年ごとに変わる場合があるため、真剣に留学を考えている場合は、公式ホームページで最新の情報を確認するようにしてください。
(公式サイト:https://www.nbs-enb.ca/)
オーディション対策と合格のコツ
カナダ・ナショナル・バレエ・スクールに入学するためには、オーディションに合格する必要があります。
オーディションは、2段階の方式があります。
また、オーディションを受けるためには参加費用を支払う必要があります。
第一次オーディションは1対1で行われます。対面方式あるいはビデオ通話で実施します。
この段階で良い成績を収めた人だけが、次の第二次オーディションに進むことを許されます。
第二次オーディションは、学年によって方式が異なります。
6~8年生(日本でいう小学6年生から中学2年生)として入学したい場合には、7月に行われる夏期講習に参加します。
9~12年生(日本でいう中学3年生から高校3年生)として入学したい場合には、1月~4月の間に行われるカナダ・ナショナル・バレエ・スクールでの一週間のオーディションに参加します。
これらに参加したうえで自身の力を証明できた人だけが、正規の学生としてプログラムに参加することを許されます。
全校生徒は大体180人ほどとのことなので、なかなかに厳しい挑戦になりそうです。
日本では、カナダ・ナショナル・バレエ・スクールのワークショップやオーディションが定期的に行われています。
日本からこの学校に入学し、世界中で活躍している先輩方もたくさんいます。
オーディション対策や合格のコツが知りたい方は、これらのワークショップに参加したり、日本人の先輩方と交流できる機会を持ったりすると良いでしょう。
サマースクールの魅力と申込方法
カナダ・ナショナル・バレエ・スクールでは、毎年7月にサマースクールという名前の夏期講習が実施されています。
1カ月間、現地の寮で生活し、毎日クラシックやポアント、コンテンポラリーなどのダンスレッスンを受けます、1か月間みっちりレッスンが行われるため、かなり実力が身に着くといわれています。
寮生活をしながら1カ月バレエのレッスンに没頭できるのが、大きな魅力です。
しかしながら、このサマースクールに参加するのは簡単なことではありません。
オーディションの項目でも記載した通り、この夏期講習はオーディションの二次審査です。
そのため、オーディションの一次審査に合格した人しか、参加できません。
オーディションには、通年の留学プログラム参加を目指す人しか参加できないため、留学を目指す人のみが申し込むことができます。
2025年の参加枠も、まだ残っていそうです。
奨学金はある?金銭面のサポート情報
バレエで留学する場合、コンクールの奨学金やスカラシップ制度を利用する人が多くいます。
では、カナダ・ナショナル・バレエ・スクールにはどのような金銭面での援助があるのでしょうか。
カナダ・ナショナル・バレエ・スクールでは、若手ダンサー向けの経済支援プログラムが複数用意されています。
しかしながら、その詳細は個別の問い合わせが必要です。
留学生への補助の有無についても、明確な言及はありませんでした。
その一方で、日本の有名なバレエ・コンクールにおいて、カナダ・ナショナル・バレエ・スクールを奨学金の対象としているものが複数あります。
例えば、例年夏に開催されるジャパングランプリでは、カナダ・ナショナル・バレエ・スクールが協力校としてスカラシップの対象となっています。
また、例年冬に開催されるNBA全国バレエ・コンクールでも、優秀成績者には補助金が与えられ、カナダ・ナショナル・バレエ・スクールがその対象に入っています。
他にも、公的な奨学金や一般企業が奨学金制度を設けている場合などもあります。
これらの情報を調べて活用してみるのはいかがでしょうか。
まとめ
さて、今回はカナダ・ナショナル・バレエ・スクールについて、まとめてきました。
いったいどのようなカリキュラムがあるのか、留学費用にはどれぐらいかかるのか、オーディションはどのようにして行われるのか、サマースクールや金銭面でのサポートなど、気になる情報を深堀しています。
カナダ・ナショナル・バレエ・スクールは、世界水準でもレベルの高いバレエ・スクールです。
バレエと学科両方へアプローチした教育を生かして、卒業生たちの多くは多方面で活躍しています。
バレエでの留学を夢見る方に、おすすめのバレエ・スクールの一つです。

◇経歴
・都内私立大学の英米文学科に入学
・大学院にてイギリス文学を専攻し、修士号取得
・翻訳専門学校にて英日翻訳の基礎コース修了
◇資格
・TOEIC 890点
◇留学経験
イングランド・グロスターシャー大学夏期文化研修(大学夏期休暇中)イングランド・オックスフォードの言語学校(大学夏期休暇中)
◇海外渡航経験
カナダ・バンクーバー、カルガリー(部活)
アメリカ・ニューヨーク(旅行)
◇自己紹介
幼いころから英語が好きで、ディズニーとマザー・グース、NHK教育テレビで育ちました。小学2年生で「ハリー・ポッター」シリーズと出会い、それ以降は大のPotterhead道を突き進み、イギリス文学と文化研究にいそしみ続けています。物語がとにかく好きで、映画、ドラマ、音楽、小説などを通じて、日本にいながらして毎日英語を浴びています。
少しでも役立つ情報を発信できればと思っています。よろしくお願いします!