panという単語を聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか。このpanは名詞だけでなく動詞にもなり、動詞になるとまるで違う意味で使われることは知っていますか?
この記事では、英語panの意味や正しい使い方を解説します。普段使っている単語で日常会話の幅を広げられるようにしていきましょう。
「Pan」の意味
panという言葉を聞くと、パン屋やスーパーマーケットで買う食パンや菓子パンのような「パン」を連想するかもしれません。しかし、この食べるパンの英語は一般的にbreadと言います。
では、本記事で取り上げるpanにはどのような意味があるのでしょうか?
Panの意味とは?
そもそもpanは接頭辞で使用するとギリシャ語に由来し、「すべて・汎・総」といった意味を付け加える働きになります。単語panの意味を辞書で調べてみましょう。
panは大きく分けると名詞と動詞の意味がありますので、それぞれを例文とともに解説します。
名詞のPan
まず最初に、名詞からみていきます。名詞としてのpanには、以下の意味があります。
【調理用の浅い鍋・ひら鍋・フライパン】
種類のあるお鍋のなかでもpanにはある特徴があります。それが、いわゆる丸い形のお鍋だという点です。
I used a pan for cooking tonight.
今夜の料理に鍋を使いました。
このpanの例文は、夕食づくりに食べ物のパンを使ったわけではありません。冬によく食べる食事のお鍋でもありません。調理器具のひとつであるお鍋を使ったという意味です。
また、「鍋・フライパン」という意味のpanには丸型という特徴があることを述べましたが、フライパンでも四角のものがありますね。そういった場合には、a square panにして伝えることができます。
My British friend cooked ramen in a pan.
イギリス人の友達が鍋でラーメンを作りました。
外国人にも人気のラーメンに鍋はつきものですね。このように、panは日常会話に出てくる単語です。
How many pans do you have?
I have at least 6 pans as I love cooking.
お鍋をいくつ持っていますか?
料理が好きなので、少なくとも6つの鍋は持ってますね。
panは可算名詞ですので、この例文のように2つ以上であればpansと複数形にすることを忘れないようにしましょう。
ちなみに、フライパンを略せずに英語で言う場合にはfrying panですし、フライパンを使って調理することをpan fryingと表現します。そして、私たちがよく使う片手鍋であればsaucepanになります。
【それ以外の名詞panの意味】
鍋・フランスパンの意味以外に、「天秤の皿・スチールパン(打楽器)・砂金を分ける鍋・塩田」などがあります。これらをイメージすると、どれも鍋と同じで丸型ですね。
動詞のPan
次に、panが動詞になったときの意味を紹介します。実は、鍋やフライパンとはかなり異なる意味を持っています。
【厳しく批判する】
お鍋のイメージとはまったく異なり、panは動詞になると「何かを酷評すること・ひどくけなす」という意味になります。
なぜ鍋と厳しい批判が同じ単語なのかと言えば、「フライパンを使い火で炙ったりローストするイメージから」、または「攻撃するのに重い鋳鉄製のフライパンが効果的である」という比喩からきていると言われています。
The new film has been panned by many newspapers. That’s why this film is getting a lot of attention from many people.
その新しい映画は多くの新聞によって酷評された。だからこそ、映画は人々の注目を集めているのだ。
上記の例文は酷評される対象を主語にすることで、panを受け身の形(has been panned)で使っています。
The teacher panned the student in front of others.
教師は他の学生の前でその生徒をひどくけなした。
【それ以外の動詞Panの意味】
何かを酷評すること・ひどくけなすことの意味以外に「鍋料理にする・良い品をピックアップする・カメラをパンする・カメラをぐるっとまわして撮影する」などがあります。
「Pan」を含む英語表現
panはイディオムやスラングなどにも使われる単語です。そこで、それらのpanが含まれる表現を説明します。
Go down the pan
go down the panはpanを使ったイディオムで「水の泡になる」という意味です。水の泡とは努力などが無駄になることであり、失敗に終わることを指します。
He has been working hard to be a national football player, but all of his work went down the pan after he got a big injury.
彼はフットボールの国の代表選手になるため一生懸命努力してきましたが、大きな怪我を負ってしまったため、その努力は水の泡になってしまいました。
ちなみに、go down the panの置き換えとしてgo down the drainというフレーズにすることもできます。drainは「下水管・排水管」の意味なので、panより過激な表現ですね。
Pan out
2つ目は「成功する・計画がうまくいく」や「報われる・良い結果を出す」という意味のpan outです。1つ目のgo down the panと反対のイメージですね。
I hope things will pan out as I expected.
私の期待どおりに物事がうまくいくことを願ってるんだ。
Unfortunately, the project he was working on didn’t pan out.
残念ながら、彼が取り組んでいたプロジェクトは成功しなかった。
スラング Pan
ここで、pan関連のスラング表現も紹介します。
panがスラングになると「the face」という意味になります。顔を意味するスラングとして、panは19世紀以来使われています。鍋と同様に、人の顔が広く浅く丸に近い形だからです。ちなみに、関連表現にdeadpanという言い方があります。これは無表情なことを意味します。
もう1つ紹介します。それがアニメで有名な永遠の少年peter panです。スラングでpeter panと言えば、若々しく、少年っぽい未熟な男性を指します。または、大人でも大人になりたくない人のことも含みます。
「Pan」との使い分け。批判の英語表現3選
動詞のpanには「厳しく批判する」という意味がありました。しかし、他にも批判の英語があります。panをさらに深く理解するための情報として代表的な言葉3つを紹介し、それらとpanとの使い分けを解説しましょう。
Criticise
批判の英語で、ネイティブスピーカーによって一般的に使われる単語がcriticiseです。criticiseはイギリス英語であり、アメリカ英語ではcriticizeとスペリングが異なります。その発音はカタカナでクリテサイズという読み方になります。
panとの表現の使い分けですが、panが強い批判である一方、criticiseは軽い批判も含みます。
It’s easy to criticise.
批判することは簡単だ。
I was tempted to criticise my friend, but I didn’t and tried to understand the whole situation first.
私は友人を批判したくてたまらなかったけれどそうはせず、まず状況全体を理解しようとしたんです。
be動詞+tempted to =~したくなる、~する気にさせられる
感情的に批判しようという気持ちになったものの、一度立ち止まり状況把握をすることにしたという例文です。criticiseは話し言葉だけでなく、文章でも使われる表現です。criticiseをスラングにすると、to rip into / to trashなどが使われます。
Accuse
accuseはネイティブスピーカーによく使われる言葉で「責める・避難する・糾弾する」といった意味を持ちます。一方で、告発のニュアンスでも使われる表現です。このことから、公的な意味合いを持つ点がpanと異なります。
I decided to accuse her of stealing my car.
私は車の窃盗で彼女を告発することにした。
Blame
blameにも、人を「非難する・とがめる・責める」の意味があります。それ以外にも「~の責任にする・~のせいにする」という意味で使われることからも、何かの失敗に対してその責任を押しつけて非難するというニュアンスがあります。
The coach blamed just one player, yet it was the whole team that performed badly!
コーチはたった1人の選手を責めましたが、パフォーマンスが悪かったのはチーム全体だったのです!
まとめ
本記事では、鍋やフライパンの意味のpanを、さらに動詞も含めて理解することができたと思います。すでに知っている単語の持つ他の意味を知ると語彙が増える=英語力アップになって嬉しいですよね。
お料理関係で鍋についての会話だけでなく、何かを批判したくなったり、けなしたくなったりしたら、そこはフライパンでガツンとするイメージでpanを使ってみましょう。

◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.