
フィリピンへの留学を考える日本人学生が年々増えています。英語環境での学習や比較的安い学費が魅力のフィリピンですが、大学選びの際に「偏差値」や「難易度」をどう捉えれば良いのか迷う方も多いでしょう。
この記事では、フィリピンの高等教育システムや基礎知識から、入学難易度、主要大学の最新ランキングまで詳しく解説します。日本との教育制度の違いを知り、自分に合った大学選びの参考にしてください。
- フィリピンの基礎知識と高等教育の特徴
- フィリピンの大学に「偏差値」は存在するのか?
- フィリピンのトップ大学とその難易度
- 各大学の入学条件と必要な英語力
- フィリピンの大学ランキングと各大学の特徴
- 日本の大学との比較と留学のメリット
- まとめ
フィリピンの基礎知識と高等教育の特徴
フィリピンの大学システムを理解するためには、まずフィリピンという国と、その独特な教育制度の背景を知っておくことが大切です。
公用語と歴史が背景にある教育環境
フィリピンは大小約7,600の島々からなる島国です。首都はマニラで、公用語はフィリピノ語と英語です。人口の約90%がカトリックなどのキリスト教徒という特徴も持っています。
フィリピンが共通語として英語を重視している背景には、350年以上にわたるスペインとアメリカによる植民地支配の歴史があります。この歴史的な経緯から、教育システムはアメリカ式が採用されており、授業や大学での日常会話、行政手続きに至るまで英語が広く使われています。
この教育環境のおかげで、留学することで授業、課題、試験、日常会話まですべて英語で行われるため、自然と実践的な英語力を身につけることが可能です。日本の英語教育では得られない「使える英語力」を養えることが、フィリピン留学の最大の魅力の一つと言えるでしょう。
義務教育制度は日本と大きく異なる
フィリピンの教育制度は、日本の「6・3・3・4制」と大きく異なります。
2025年時点のフィリピンでは、5歳から17歳までの13年間が義務教育期間とされています(幼稚園1年、小学校6年、中学校4年、高校2年)。この制度により、日本より就学年数は1年長くなりますが、幼稚園から就学が開始するため、フィリピンの学生が大学に進学する年齢は日本と同じ18歳となります。
・幼稚園:5歳
・小学校:6〜11歳
・中学校・高校:12歳〜17歳(K-12システム)
・大学:18歳〜22歳
また、授業科目にはキリスト教の教えを学ぶ道徳教育に力を入れる学校が多いのも特徴です。
フィリピンの大学に「偏差値」は存在するのか?
日本でよく知られている「偏差値」という概念は、フィリピンの大学にはありません。フィリピンでは統一した全国模試や共通テストがなく、各大学が独自の入学試験(College Entrance Exam)を実施しているためです。
大学の難易度を測る複合的な指標
フィリピンの大学入試制度は日本と大きく異なります。入学審査では、高校の成績、大学独自の入学試験の得点、面接結果、志望理由書などが総合的に評価されます。
特にトップ大学では入学試験の合格率が10〜30%程度と低く、高い競争率となっています。フィリピンの大学の難易度を測る指標としては、以下の要素が用いられることが多いです。
・合格率の低さ
・入学試験の難易度
・高校の要求水準(トップ校では高校の成績で85〜90%以上が要求されることが多い)
例えば、フィリピン国立大学(UP)の入学試験「UPCAT(University of the Philippines College Admission Test)」は、数学や科学、言語能力、読解力を総合的に問う難関試験として広く知られています。
高等教育委員会の認定ランク
フィリピンの高等教育委員会(CHED)が認定する大学のランクも、間接的に難易度を示す指標となります。「Center of Excellence(COE)」や「Center of Development(COD)」の称号を持つ学部・学科は、教育の質が高いと評価されています。
フィリピンのトップ大学とその難易度
フィリピンには約2,000の高等教育機関がありますが、その中でも特に入学難易度が高く評価されている大学があります。これらは「Big 4」と呼ばれることもあり、フィリピンの高等教育を牽引しています。
フィリピンを代表する「Big 4」
1.フィリピン国立大学(UP:University of the Philippines)
2.アテネオ・デ・マニラ大学(ADMU:Ateneo de Manila University)
3.デ・ラ・サール大学(DLSU:De La Salle University)
4.サント・トマス大学(UST:University of Santo Tomas)
これらのトップ校では、高校の成績で85〜90%以上(日本の4〜5段階評価で4以上に相当)が要求されることが多く、入学後も厳しい成績評価システムがあります。学部によっては在学中にも「シフティング」と呼ばれる学内選考があり、常に高い学力が求められる環境です。
都市部と地方大学の多様性
フィリピンでは首都マニラとその周辺に位置する大学と地方大学では、一般的に入学難易度に明確な差があります。
マニラ首都圏の主要大学は高い競争率を誇りますが、その分、施設・設備が充実し、国際的なプログラムも多く展開しています。
一方、地方大学は比較的入学しやすい傾向にありますが、シリマン大学(ドゥマゲテ)やセントラル・フィリピン大学(イロイロ)など、地方にあっても高い教育水準と厳格な入学基準を持つ優良校も多くあります。
都市部の大学に比べて、地方大学は多様な文化に触れられる機会が多いのも特徴です。世界中から学生が集まり、さまざまな国のクラスメイトとともに学べます。
また、地方大学でも専門分野によっては非常に評価が高い学科があります。例えば、セントラル・ミンダナオ大学の農学部や西ヴィサヤ州立大学の水産学部などは、その地域の特性を活かした特色ある教育と研究で知られています。
各大学の入学条件と必要な英語力
フィリピンの大学入学には、一般的に高校の成績証明書、独自の入学試験のスコア、そして高い英語力が必須です。
留学生に求められる英語力の目安
フィリピンの高等教育は主に英語で行われるため、留学生には英語力証明が必須となります。
主要大学の入学に必要な英語力の目安としては、TOEFL iBT 80点以上、IELTS 6.0以上が一般的です。トップ校であるフィリピン国立大学やアテネオ・デ・マニラ大学では、さらに高いスコア(TOEFL iBT 90点以上、IELTS 6.5以上)が必要になることもあります。日本人留学生の場合、英検準1級以上あれば多くの大学で対応してもらえますが、学部や専攻によって異なります。
留学中は、実用的な英語を日常的に使う機会が非常に多いため、英語力の習得を主な目的にする学生にとっては大きなメリットです。
また、フィリピンでは英語以外にタガログ語やビサヤ語などが使われており、日常会話や交流を通して多言語に触れる機会も得られます。語学に興味がある学生は、英語だけでなくフィリピンの主要言語を同時に学ぶことも可能です。
留学生向け選考の流れと条件付き入学
留学生向け選考では、まず入学願書の提出から始まり、英語力証明、高校の成績証明書(公証・翻訳付き)、財政証明書、健康診断書などの書類審査があります。その後、多くの大学では独自の入学試験か面接、あるいはその両方が実施されます。
英語力が入学基準に達していない場合でも、大学が条件付き入学を認めていることもあります。大学付属の語学センターなどで集中英語コースを受講した後に、正規課程へ進むことも可能です。
医学部や法学部などの専門職大学院では、学部卒業後の入学となり、さらに厳しい条件が課されます。例えば医学部では、学部でのGPAが高いことに加え、全国医学部入学テスト「NMAT」で上位の成績が必要です。
フィリピンの大学ランキングと各大学の特徴
フィリピンの大学は東南アジアで一定の評価を受けていますが、世界的なランキングで上位に食い込む大学は少ないです。QS世界大学ランキングやTimes Higher Educationなどの国際的な評価では、フィリピン国立大学が国内トップとして400位前後にランクインしている状況です。
【フィリピン国内トップ10大学(一例)】
フィリピン国内での評価が高い主要大学10校と、その特徴は以下の通りです。
1.フィリピン国立大学ディリマン校(University of the Philippines Diliman)
フィリピンで長い歴史を持ち、経済学・工学・法学が特に優れています。フィリピン大学システムの中核を担うメインキャンパスです。
2.アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)
カトリック系の私立大学で、社会科学・人文科学・経済学・法学で高い評価を受けています。教育熱心な家庭の生徒が多く在籍することで知られています。
3.サント・トマス大学(University of Santo Tomas)
世界最大級のカトリック大学であり、法学・医学・看護学・工学などの学術分野が優れており、広大なキャンパスを持ちます。
4.フィリピン大学・システム(University of the Philippines System)
国内に複数のキャンパスを持つフィリピンの国立大学群を指します。
5.デ・ラ・サール大学(De La Salle University)
カトリック系の私立大学で、工学・経済学・コンピューターサイエンスなどの分野が優れています。また、倫理的価値観やリーダーシップの育成に力を入れています。
6.フィリピン工科大学(Polytechnic University of the Philippines)
公立の大学として、コストパフォーマンスの高い教育を提供しています。
7.フィリピン大学マニラ校(University of the Philippines Manila)
フィリピン大学のキャンパスの中でも、医療分野で国内トップと知られています。フィリピンの医療機関・政府と強いつながりを持ちます。
ネグロス島のドゥマゲッティに校舎を構える地方の私立大学ですが、医学部門が高く評価され、国内のみでなく海外からも優秀な学生が集まります。
9.マプア大学(Mapúa University)
工学・情報技術の分野に特化した私立大学です。
10.フィリピン大学ロスバニョス校(University of the Philippines Los Banos)
マニラから車で2時間半ほどの緑豊かなロスバニョス市に所在し、都市部とは違った穏やかな雰囲気で学べます。農学分野などで高い評価を得ています。
※各大学の世界ランキング順位は評価機関により変動します
日本の大学との比較と留学のメリット
フィリピンと日本の大学システムには、入試制度、教育スタイル、学費など様々な違いがあり、これらを理解することでフィリピン留学の明確なメリットが見えてきます。
経済的なメリットと教育スタイルの違い
・学費を抑えられる
フィリピンの大学は私立でも日本の大学と比較して学費が非常に安いです。日本の私立大学の学費が4年間で約250万円〜500万円であるのに対し、フィリピンの私立大学は年間約10万円〜40万円程度の学費で通うことが可能です。ただし、上位私立校や医学・工学などのコースでは年間約40〜100万円かかる場合もあります。
さらに生活費も日本より低く抑えられるため、留学にかかる総コストは欧米や日本国内の大学進学よりも大幅に手頃です。国立のフィリピン大学に入学できれば、さらに学費を抑えることもできます。
・教育スタイル
フィリピンの大学はアメリカの教育システムを取り入れており、日本の期末試験重視の評価方法と比べ、学期中の課題やプレゼンテーション、クラス参加度などが成績評価に大きく影響します。毎日の学習への取り組みが重視される点が特徴で、より実践的な学習態度が身につきます。
グローバルな進路と将来性
・実践的な英語力
前述の通り、英語環境に身を置けるメリットは大きく、自然と実践的な英語力が身につきます。これがフィリピン留学の最大の強みです。
・卒業後の進路
フィリピンの学位は基本的に国際的に認められており、医学、看護学、エンジニアリングなどの分野では海外就職への足がかりになることもあります。日本企業のアジア展開が進む中、フィリピンでの学位と経験を持つ人材への需要も高まっています。
・デメリット
日本の大学と比較した場合のデメリットとして、研究設備やインフラが日本の大学ほど充実していない点や、分野によっては最先端の研究に触れる機会が少ない場合もあります。また、日本企業への就職を希望する場合、日本での就職活動に乗り遅れる可能性もあるため、計画的な準備が必要になります。
フィリピン留学は、語学力向上と異文化体験を重視する学生、将来東南アジアで働くことを考えている学生、また経済的に欧米への留学が難しい学生にとって、非常に価値のある選択肢と言えるでしょう。
まとめ
フィリピンの大学は日本の偏差値のような指標ではなく、独自の入学試験の難易度、合格率、国際ランキングなど複合的に評価されています。特にUP、アテネオ、デ・ラ・サール、サント・トマスといった「Big 4」は入学競争が激しく、高い教育水準を誇ります。
留学生には高い英語力が求められますが、日本より大幅に安い学費と生活費、そして実践的な英語を日常的に学べる環境が最大の魅力です。グローバル志向の学生や、費用を抑えて質の高い教育を受けたい学生にとって、フィリピンの大学進学は将来のチャンスを広げる一歩となるでしょう。
◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇留学経験
イングランドのオックスフォードのOxford English Centreに3週間の語学留学と、スコットランドのエディンバラのUniversity of Edinburghに1年間の交換留学をしていました。
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。