フィリピンへの留学を考える日本人学生が年々増えています。
英語環境での学習や安い学費が魅力のフィリピンですが、
大学選びの際に「偏差値」や「難易度」をどう捉えれば良いのか迷う方も多いでしょう。
この記事では、フィリピンの大学システム、入学難易度、主要大学のランキングなどを詳しく解説します。
日本との教育制度の違いを知り、自分に合った大学選びの参考にしてください。
フィリピンの大学に偏差値は存在するのか?
フィリピンの大学入試制度は日本と大きく異なります。
まず、日本でよく知られている「偏差値」という概念がフィリピンの大学にはありません。
フィリピンでは統一した全国模試や共通テストがなく、各大学が独自の入学試験(College Entrance Exam)を実施しています。
入学審査では、高校の成績、大学独自の入学試験の得点、面接結果、志望理由書などが総合的に評価されます。
特にトップ大学では入学試験の合格率が10〜30%程度と低く、高い競争率となっています。
フィリピンの大学の難易度を測る指標として、「合格率」「入学試験の難易度」「高校の要求水準」などが使われることが多いです。
例えば、フィリピン国立大学(UP)の入学試験「UPCAT(University of the Philippines College Admission Test)」はとても競争率が高く、数学や科学、言語能力、読解力を総合的に問う難関試験として知られています。
また、フィリピンの高等教育委員会(CHED)が認定する大学のランクも、間接的に難易度を示す指標となります。
「Center of Excellence(COE)」や「Center of Development(COD)」の称号を持つ学部・学科は、教育の質が高いと評価されています。
フィリピンのトップ大学とその難易度
フィリピンには約2,000の高等教育機関がありますが、その中でも特に入学難易度が高く評価されている大学があります。
これらは「Big 4」と呼ばれることもあり、フィリピン国立大学(UP)、アテネオ・デ・マニラ大学(ADMU)、デ・ラ・サール大学(DLSU)、聖トーマス大学(UST)が含まれています。
これらのトップ校では、高校の成績で85〜90%以上(日本の4〜5段階評価で4以上に相当)が要求されることが多く、入学後も厳しい成績評価システムがあります。
学部によっては在学中にも「シフティング」と呼ばれる学内選考があり、常に高い学力が求められる環境です。
フィリピンでは首都マニラとその周辺に位置する大学と地方大学では入学難易度に明確な差があります。
マニラ首都圏の主要大学は高い競争率を誇る一方、地方大学は比較的入学しやすい傾向にあります。
ただし、シリマン大学(ドゥマゲテ)やセントラル・フィリピン大学(イロイロ)など、地方にあっても高い教育水準と厳格な入学基準を持つ優良校も多くあります。
都市部の大学は施設・設備が充実し、国際的なプログラムも多く展開していますが、その分競争も激しくなります。
マニラ周辺の一流大学では高い英語力に加え、課外活動の実績や推薦状なども重視されます。
地方大学でも専門分野によっては非常に評価が高い学科があります。
例えば、セントラル・ミンダナオ大学の農学部や西ヴィサヤ州立大学の水産学部などは、その地域の特性を活かした特色ある教育と研究で知られています。
各大学の入学条件と必要な英語力
フィリピンの大学入学には、一般的に高校の成績証明書、入学試験のスコア、そして英語力が必要です。
フィリピンの高等教育は主に英語で行われるため、留学生には英語力証明が必須となります。
主要大学の入学に必要な英語力の目安としては、TOEFL iBT 80点以上、IELTS 6.0以上が一般的です。
トップ校のフィリピン国立大学やアテネオ・デ・マニラ大学ではさらに高いスコア(TOEFL iBT 90点以上、IELTS 6.5以上)が必要になることもあります。
日本人留学生の場合、英検準1級以上あれば多くの大学で対応してもらえますが、学部や専攻によって異なります。
留学生向け選考では、まず入学願書の提出から始まり、英語力証明、高校の成績証明書(公証・翻訳付き)、財政証明書、健康診断書などの書類審査があります。
その後、多くの大学では独自の入学試験か面接、あるいはその両方が実施されます。
医学部や法学部などの専門職大学院では、学部卒業後の入学となり、さらに厳しい条件が課されます。
例えば医学部では、学部でのGPAが高いことに加え、全国医学部入学テスト「NMAT」で上位の成績が必要です。
英語力が入学基準に達していない場合でも、大学が条件付き入学を認めていることもあり、大学付属の語学センターなどで集中英語コースを受講した後に正規課程へ進むこともできます。
入学条件は毎年少しずつ変更される場合があるため、志望大学の公式ウェブサイトや日本の留学エージェントを通じて最新情報を確認することをおすすめします。
また、奨学金に応募する場合は、通常よりも高い基準が設けられていることが多いため注意が必要です。
フィリピンの大学ランキングと世界での評価
フィリピンの大学は東南アジアで一定の評価を受けていますが、世界的なランキングでは上位に食い込む大学は少ないです。
QS世界大学ランキングやTimes Higher Educationなどの国際的な評価では、フィリピン国立大学が国内トップとして400位前後にランクインしている状況です。
フィリピン国内のトップ10大学は以下の通りです。
第1位:フィリピン国立大学ディリマン校(University of the Philippines Diliman)
第2位:アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)
第3位:聖トーマス大学(University of Santo Tomas)
第4位:フィリピン大学・システム(University of the Philippines System)
第5位:デ・ラ・サール大学 (De La Salle University)
第6位:フィリピン工科大学(Polytechnic University of the Philippines)
第7位:フィリピン大学マニラ校 (University of the Philippines Manila)
第8位:シリマン大学(Silliman University)
第9位:マプア大学(Mapúa University)
第10位:フィリピン大学ロスバニョス校 (University of the Philippines Los Banos)
参考:https://www.4icu.org/ph/
これらの大学は国内での評価は高いものの、研究出版数や世界的なレベルでは、シンガポールや香港、日本、韓国などの東アジアの主要大学に比べるとまだ発展途上の面があります。
ただし、近年は国際化への取り組みを強化しており、外国人教員の採用や国際共同研究プログラムの拡充など、世界基準での学力向上を目指しています。
日本の大学との比較と留学のメリット
フィリピンと日本の大学システムには、入試制度、教育スタイル、学費など様々な違いがあります。
これらの違いを意識すれば、フィリピン留学にどんなメリットがあるかわかるでしょう。
まず教育スタイルの違いとして、フィリピンの大学はアメリカの教育システムを取り入れており、学期中の課題やプレゼンテーション、クラス参加度などが成績評価に大きく影響します。
日本の期末試験重視の評価方法と比べ、毎日の学習への取り組みが重視される点が特徴です。
学費面では、フィリピンのトップ私立大学でも年間50〜100万円程度と、日本の私立大学より安い傾向にあります。
さらに生活費も日本より低く抑えられるため、留学にかかるコストは手頃です。
国立のフィリピン大学に入学できれば、さらに学費を抑えることもできます。
英語の環境に身を置けるメリットも大きく、フィリピンでは授業、課題、試験、日常会話まですべて英語で行われるため、自然と実践的な英語力が身につきます。
日本の英語教育では得られない「使える英語力」を養えることが最大の魅力と言えるでしょう。
卒業後の進路においても、フィリピンの学位は基本的に国際的に認められており、医学、看護学、エンジニアリングなどの分野では海外就職への足がかりになることもあります。
日本企業のアジア展開が進む中、フィリピンでの学位と経験を持つ人材への需要も高まっています。
ただし、日本の大学と比較した場合のデメリットもあります。
研究設備やインフラが日本の大学ほど充実していない点や、分野によっては最先端の研究に触れる機会が少ない場合もあります。
また、日本企業への就職を希望する場合、日本での就職活動に乗り遅れる可能性もあるため、就活を見据えるのならその準備も必要になるでしょう。
フィリピン留学は、語学力向上と異文化体験を重視する学生、将来東南アジアで働くことを考えている学生、また経済的に欧米への留学が難しい学生にとっては、一考の価値ありと言えるでしょう。
まとめ
フィリピンの大学は日本の偏差値のような指標ではなく、入学試験の難易度、合格率、国際ランキングなど複合的に評価されています。
特にUP、アテネオ、デ・ラ・サール、聖トーマスといった「Big 4」は入学競争が激しく、高い教育水準を誇ります。
留学生には高い英語力が求められるので、日本で英語力を磨き上げる必要があります。
日本より安い学費と生活費、多文化社会で学べることはメリットなので、グローバル志向の学生は考えてみても良いのではないでしょうか。

◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇留学経験
イングランドのオックスフォードのOxford English Centreに3週間の語学留学と、スコットランドのエディンバラのUniversity of Edinburghに1年間の交換留学をしていました。
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。