英語を学ぶ留学先として人気を集めているフィリピンですが、フィリピンには 質が良い大学がいくつも存在します。その学費は、日本の大学より手頃なケースが多いです。しかし、残念ながらフィリピンの大学進学率はあまり高くありません。
この記事では、 フィリピンの大学進学率と大学事情についてまとめました。フィリピンの大学に進学したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
フィリピンの大学進学率
2023年に世界各国の大学進学率をユネスコが調査した結果を参考にすると、フィリピンの大学進学率は 約44.24%程度です。世界ランキングでは 88位に該当し、決して高い数値とは言えません。
※参照:GLOBAL NOTE「世界の大学進学率 国別ランキング・推移」
日本を含む他国の大学進学率と比較
次に、同調査の大学進学率ランキングにおけるTOP10を表にしました。
順位 | 国名 | 大学進学率(短期大学を含む) |
1 | ギリシャ | 166.67% |
2 | マカオ | 129.15% |
3 | トルコ | 127.58% |
4 | フィンランド | 108.13% |
5 | アルゼンチン | 107.10% |
6 | チリ | 104.73% |
7 | オーストラリア | 104.65% |
8 | 韓国 | 102.81% |
9 | 香港 | 100.46% |
10 | キプロス | 98.30% |
※参照:GLOBAL NOTE「世界の大学進学率 国別ランキング・推移」
上位10位以内に含まれる国は、ほぼ全ての国が100%以上の大学進学率を誇っています。 ちなみに 日本はランキング51位であり、大学進学率は 64.63%です。
フィリピン近郊の東南アジアの大学進学率は、タイが46.18%・マレーシアが37.27%・インドネシアが44.88%・ベトナムが44.75%であり、フィリピンと同じような結果になっています。
フィリピンの大学進学率は家庭の経済状況によって大きく異なる
フィリピンで大学に進学できる家庭は 富裕層がメインです。富裕層の半数近くの子供が大学に通うのに対して、 貧困層の大学進学率は20%未満かつ 30%以上の生徒が大学中退を余儀なくされています。日本と比較して大きな差がないように感じるフィリピンの大学進学率ですが、 貧困層と富裕層では大学進学の難易度が異なると考えてください。
フィリピンの大学進学率が低い理由
フィリピンの大学進学率が低い理由について説明します。フィリピンでは、 貧困・出稼ぎ・進学前の結婚妊娠など、さまざまな要因で学生の大学進学率が下がっています。
家庭の金銭的な問題
フィリピンは 貧富の差が激しい国です。裕福層の世帯年収が日本円で400万円を超えるのに対し、 貧困層は世帯年収15万円程度、つまり 毎月1万円強で生活をしています。そのため、大学だけでなく学校に行かずに働かなければいけない子供も多いです。
フィリピンでは、裕福層と中間層を合わせて全世帯の10%、残りの 90%が貧困層に該当します。さらにフィリピンは子供の数が多く、 一家族に約3人の子供がいます。子供一人ひとりにかけられる学費は削られ、大学進学の難易度を高めているのです。
大学進学よりも出稼ぎで家族を養う
フィリピンでは親が大学進学を重要視せず、 「子供は早く社会に出て家計を助けるべきである」と考える慣習があります。そのため、多くの子供は大人の教えに従い、 大学進学よりも都市部や海外に出てお金を稼ぐという選択をするのです。そもそも大学進学前の段階で通学ができていなかった場合には、 大学進学を希望することも難しいと言えるでしょう。特に貧困層の子供は教育の重要性を理解しないまま育ち、自分の子供にも同じような家庭の方針を示します。結果的に 何世代にもわたり負の連鎖が続くことで、十分な教育を受けられない子供が増えてしまうのです。
進学前に結婚・妊娠する子供が多い
フィリピンでは10代のうちに 結婚・妊娠する子供が多いです。年々減少傾向ではあるものの、20代だけでなく10代の少女の妊娠も多く、貧困層には 一家族に5〜8人の子供がいる例も珍しい話ではありません。フィリピン国民の80%がカトリックであり 避妊と中絶が禁止されていることから、妊娠・出産の回数が多いのです。さらに、 「子供は働いて家計を助ける」という思考から、貧しい家ほど子供が多い傾向です。大学進学前に妊娠をすれば、必然的に 大学進学を諦める結果になるでしょう。
フィリピンで就職に強い大学
大学進学率が低めの傾向であるフィリピンですが、国内には 就職に強い大学が複数存在します。この章では、特に高い就職率を誇るフィリピンの大学を3校紹介しましょう。
デ・ラサール大学マニラ校
デ・ラサール大学マニラ校は、フィリピンの有名校であり、 IT・ビジネス・エンジニアリング・教育・サイエンスなど、さまざまな学部が政府の 優良認定を受けています。整った設備が特徴的で、他の大学と比較して 学費は上がるものの、 質が高い教育を受けられるでしょう。
学費:約50万円〜/年
マプア大学
エンジニア・IT系の学部が強い私立大学で、どちらの学部も政府の 優良認定を受けています。4学期制を設けていることから、 本来6年間かけて学ぶプログラムを3年半で修得できるという特徴を持ちます。
学費:約40万円〜/年
サンカルロス大学
セブ島に位置する私立大学であり、セブ周辺の優秀な学生が集まります。 教育・サイエンス・エンジニアリング・IT・ビジネス系など、複数の学部が政府の 優良認定を受けています。
学費:約15万円〜/年
フィリピンの国立大学・私立大学の違い
フィリピンには、日本と同じように 国立大学と私立大学が存在します。この章では、両者の違いについて説明します。
フィリピンの国立大学(Public University)
フィリピンの国立大学は、文字通り国や地方自治体などの政府機関の出資で建設された大学です。フィリピンには 607校の国立大学が存在します。国立大学の学費は フィリピン人であれば無料になることから、 貧困層の子供にも学びのチャンスが与えられます。外国人である留学生は学費を支払う義務がありますが、大半の場合は 1年間3万円前後という非常に手頃な学費で大学に通えるのです。
しかし、私立大学と比較して 学校設備が古いなどのデメリットが存在します。また、 入学の難易度は高く、英語・数学・科学などの科目試験以外にも、 堪能な英語を話せなければいけません。特に留学生はフィリピン国内の優秀な生徒と競い、 限られた定員枠を勝ち取る必要があるのです。
フィリピンの私立大学(Private University)
フィリピンの私立大学は、 個人や財団などの私費で建設・運営されています。フィリピン国内には国立大学の倍以上になる 1,573校もの私立大学があります。私立大学の学費は 年間10〜50万円程度であり、国立大学と比較すると高くなりますが、日本を含む世界の大学と比べれば手頃な価格だと言えるでしょう。また、質が高い施設・設備のキャンパスに通学できるというメリットも得られます。フィリピンの私立大学への入学難易度は学校により異なります。名門校を目指す場合には、 高い英語力と学力が求められるでしょう。
一方、 入学試験がない学校も存在し、積極的に留学生を受け入れています。試験がない学校は質が悪いのではなく、 学校の方針で試験を設けていません。
フィリピンの大学に留学するときの注意点
フィリピンの大学に留学を考えている方は、以下の注意点を把握しておきましょう。充実した大学生活を送るために、しっかり事前調査をしてください。
英語初心者はESL(English as a Second Language)からスタート
フィリピンの大学の 授業は英語で行われます。そのため、英語初心者は ESL(English as a Second Language)の授業を受けるようにしましょう。 英語が十分に理解できない状態で、大学の授業を受けることは不可能です。最初に大学付属のESLを受講して、英語力を向上させてください。
フィリピンの歴史や文化を学んでおく
フィリピンには 日本とは異なる文化や歴史があることから、留学生は事前にフィリピンについて理解を深めておくべきです。何も事前調査をせずに現地の大学に通うと、日本では普通の行動であってもフィリピンでは失礼にあたる行動をしてしまう可能性があるのです。現地の学生とトラブルを起こさないためにも、 事前に留学先の文化や歴史を学びましょう。
留学の目的とゴールを設定しておく
目的やゴール設定が曖昧な取り組みは、 モチベーションが上がりにくく期待する効果が得られない恐れがあります。自分が なぜフィリピンに留学するのか考え、明確なゴールを設定しましょう。ゴールから逆算して学びと行動を選択すれば、留学終了時には思い描いていた成果が手に入ります。
また、この記事で説明したように フィリピン人の大学進学率は低いことから、フィリピンの学生は 勉強熱心な方が多いです。彼らのモチベーションに刺激を受けながら、充実した学校生活が送れるようになりましょう。
必要な書類は早めに準備する
フィリピンの大学に留学するためには、さまざまな書類の提出が求められます。大学によって内容は異なりますが、 成績証明書・残高証明書・志望理由書などを用意する必要があるでしょう。これらの書類は全て 英語で提出しなければならず、多くの大学生が苦労します。書類を集める作業には時間がかかることを把握しておき、早めに準備を始めましょう。また、自分で書類を準備できない場合は、エージェントに手続きを任せるという手段もあります。
まとめ
フィリピンの大学進学率は他の国と比較して低い傾向があり、さらに大半の学生が富裕層です。このような理由から高いモチベーションを持つ生徒が多く、勉強に集中できる環境が整っていると言えるでしょう。また、フィリピンには国立大学・私立大学があり、国立大学の方が学費が低いものの私立大学の方が留学生の受け口が広いです。
この記事を参考に、フィリピン留学について考えてみてください。

◇経歴
バックパッカーとして東南アジアの遺跡巡り
◇留学経験
フィリピン短期留学・マレーシア母子留学
◇海外渡航経験
バンコク・フィリピン・カンボジアに1〜3ヶ月滞在経験あり
現在はマレーシアに暮らして4年目
◇自己紹介
オンライン英会話歴5年。ゆるゆるながら英語の勉強を継続しているライターです。
現在は子どものサポートのためにマレーシアに暮らしています。