特集していくのは「アイルランド英語」についてです!英語には、話されている国や地域によって様々な特徴があるのをご存知ですか?
実は世界には50カ国以上の国々で英語が公用語として使われていますが、一言に英語といっても、発音の仕方やアクセント、使われる単語やスラングなどが英語圏の国々によって異なります。
主な英語圏の国々といえばアメリカ合衆国、イギリス、アイルランド、スコットランド、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどが挙げられますが、今回はその中でも独特の発音や表現があることで有名なアイルランドの英語について詳しく学習していきましょう。
まずはアイルランドで話されている英語の歴史的背景を確認した後、特有の訛りやアイルランドで使用される特徴的な英語の語彙と表現を知りましょう。最後に、アメリカ英語やイギリス英語と比較をし、相違点などをご紹介していきます。これからアイルランドへ旅行や留学へ行く方、仕事などで訪れる予定の方はぜひ、今回のコラムの内容を参考にしてみてくださいね。
アイルランド英語の歴史的背景
最初に、アイルランドで話されている英語の歴史的経緯、背景について学習しましょう。アイルランドという国、地域では、英語が話される前にもともとはゲール語 (アイルランド語とも呼ばれる)という言語が母国語として使用されていました。紀元前5年ごろ、当時のアイルランドにゲール人という民族が移動してきたことによりゲール語が広まったと言われています。
その後、時がたって16世紀のイギリスによる植民地支配により、それまで使われていたゲール語の使用自体が禁止になってしまったそうです。そのような政治的な規制により、アイルランドに住んでいた人々は強制的に英語を使うことになりました。これをきっかけにゲール語を話す人の数は衰退し、現在のように英語が主流、そして母語としての言語となっていきます。
もちろんもともと話されていたゲール語の影響が全くないわけではありません。現在も話されているアイルランド英語のアクセント、訛りはゲール語の発音から来るものが多いです。
また、アイルランド英語には標準的なアクセントというものが存在しないと言われています。首都ダブリンで話されている英語は比較的訛りが強くなく観光客も聞き取りやすいと言われていますが、北と南の地域ではアクセントが異なります。
参考資料:アイルランド英語の特徴と訛り | スクールウィズ
https://schoolwith.me/countries/IE/english
アイルランド訛りの特徴
英語を学習し始めると、どの国のアクセントで勉強しよう?と悩むこともあるかと思います。最終的には、どの国アクセントも問題なく聞き取れたり、どの国アクセントも許容できるようなリスニング能力を養うことが理想です。
アイルランド英語は、英語学習者の中でもアクセントや訛りが強いことで有名ではないでしょうか。具体的に、その訛りにはどのような特徴があるのでしょうか。特記すべき特徴は主に2つあります。
① 話すスピードが早い
アイルランド語を話す人たちの特徴として、英語を話すスピードが非常に早いということが挙げられます。早すぎて、ネイティブ同士でも相手が言ったことを聞き取れず、聞き返してしまうこともザラにあります。
もし、英語が聞き取れなくて困った時はもう少しゆっくりと話してもらえますか?とお願いしてみましょう。
② 籠ったように聞こえる発音
アイルランドはイギリスに植民地化されたことにより英語を話すように矯正された歴史があるとお伝えしました。この事実から、基本的にはアイルランド英語はイギリス英語のルールにしたがっています。
しかし、そこにゲール語の発音の影響があることからアイルランド英語は籠って聞こえるという人が多くいます、
特に籠って聞こえると言われるのが「i」と「u」の母音の発音です。例えば、通常は「アイ」と読まれる「i」 ですが、アイルランドでは「オイ」と発音されます。また、基本的に「u」をしっかりと「ウ」と発音をするため「bus」「ブス」という風に発音します。首都のDublinは「デュブリン」という発音になります。
参考資料:アイルランドの英語って、どんな感じで訛ってるの?? |TOKYO
https://www.jawhm.or.jp/blog/tokyoblog/%E6%B5%B7%E5%A4%96%E3%81%8A%E5%BD%B9%E7%AB%8B%E3%81%A1%E6%83%85%E5%A0%B1/6069/#:~:text=%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%AF,%E3%82%84%E3%80%8Cu%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%9F%B3%E3%80%82
アイルランド英語特有の語彙と表現
アイルランド英語の訛りについて理解したところで、続いてはアイルランド英語特有の英語表現を紹介していきたいと思います。
① Yes/Noに相当する語が使われない
実はアイルランドのとても独特な特徴の1つに、「Yes/Noに相当する単語や表現が存在しない」ということが挙げられます。
日本語を話す私たちは普段、Yes/Noをはっきり意思表示しないとよく言われますが、実はアイルランド英語を話す人々も、似たようなことが言えます。それは、「はい・いいえ」という意味を持つ英単語が存在しないからなんです。
そのため、誰かに質問をされた時には「I do.」「It does.」「They are.」「He did.」「No.」「Nah.」などのように答えるしかないのです。通常他の英語圏の国では、「Yes.」「Yeah.」「No. 」とまずははっきりさせますよね。しかしアイルランド英語を母語とする人たちはほとんどダイレクトに意思表示をしません。
具体的には、質問された文章の動詞をただ繰り返すことで質問に答えます。
Did you sleep well? → I did.
参考資料:アイルランド英語の特徴と訛り| スクールウィズ
https://schoolwith.me/countries/IE/english
② 物の表し方の違い
アメリカ英語やイギリス英語、同じ英語を話す国々の間でも、その国ごとにものを表す単語は多く異なります。アイルランドでも、様々なものが他の英語圏の単語と異なります。具体的には以下のような単語があります。
曇天の日:soft day
ソフトドリンク:minerals
お手洗い:a loo
アイルランド英語の発音の特徴
アイルランド英語の発音の特徴をより詳しくみていきましょう。
これらの特徴をよく知ることで、実際にアイルランド英語を発音する際だけでなく、アイルランド英語をリスニングする際の聞き取りやすさもぐんとアップしますよ!
① Rの発音
イギリスにより植民地とされていたことからイギリス英語のルールを引き継いでいるアイルランド英語ですが、実はRの発音のルールについては北アメリカの発音に近い部分があります。アイルランド英語では、母音の後のRをしっかりと発音するのです。
一方、イギリス英語の発音をルーツとするオーストラリアやニュージーランドでは母音の後のRは発音しません。
② 母音の発音
先ほども少し触れましたが、アイルランド英語の母音「aア」が「uウ」「oオ」となります。
そのため「luck」は「ロック」に、「other」は「オザー」のような発音に変化するのです。アイルランド英語の発音をする際にはこれらの母音の変化に注意をしてみましょう。
参考資料:アイルランド英語 | 神田外語大学 × 東京外国語大学 英語モジュール
http://labo.kuis.ac.jp/module/module/en_ie.html#/jp-00
典型的な発音のパターン
こちらに、上記のルールに基づいてピックアップした典型的な発音のパターンを紹介しておきたいと思います。
bus = ブス
other = オザー
Ireland = オイルランド
I am = オイアム
cup = クップ
muffin = モフィン
参考資料:アイルランド英語とは?発音の訛りと特徴を知って聞けるようになろう! - Islablog
https://islaeng.com/ireland-english/
アメリカ英語やイギリス英語との比較
最後に、アメリカ英語とイギリス英語とアイルランド英語の特徴の比較をしておきたいと思います。
日本の学校では主にアメリカ英語で教育をされることが多く、イギリス英語やその他の国の英語による教育も徐々にはじまってきたところです。アイルランド英語もそのうちの1つとして知っておきましょう。
アメリカ英語との違い
アメリカ英語では母音の音をはっきりと発音する傾向にありますが、アイルランド英語の母音の発音は「籠ったような発音」と言われます。また、「th」という英語特有の発音がアイルランドには存在しないため、「t」や「d」の音で発音します。
さらに、単語のスペルがアメリカ英語とは異なることが多いです。特に顕著なのが「center」や「theater」など「er」の部分。アメリカ英語では「er」の順番ですが、アイルランド英語では「re」の順で書きます。
イギリス英語との違い
基本的にはアイルランド英語とイギリス英語のルールは似ています。しかし、発音の点で「r」の発音のみ異なります。先ほども述べた通り、アイルランド英語では母音の後の「r」を発音するのに対し、イギリス英語では発音しません。
その他、英単語のスペリングの順番などは基本的に同じになります。
参考資料:アイルランドの英語・イギリス英語・アメリカ英語
https://ryugakuclub.com/ireland/irishenglish.html
まとめ
このコラムではここまで、アイルランド英語の特徴を特集してきました。いかがでしたでしょうか?
アメリカやイギリスとは異なる歴史的背景を持つことから、独特の発音やルールがあることがわかりましたね。英語学習者として、世界には様々な英語が存在していることを知っていることがとても大切です。

◇経歴
大学時代に、外国語がどのように学ばれるのかについて興味を持ち、日本の大学院で第二言語習得論•応用言語学の研究に励む。
修了後はインターナショナルスクールの先生や、小学生オンライングループ英会話のバイリンガル講師、日本の文化を海外に広める音楽スクールで活躍中。
◇資格
IELTS Academic module 6.5
(speaking 6.5 reading 7.0 listening 6.5 writing 6.0)
◇留学経験
高校時代、春休み中にニューヨークにある姉妹校のタウンゼント•ハリス高校へ研修に参加。
その後大学時代にニュージーランドに一学期間の留学を経験。語学学校に通ったのち、主に応用言語学を中心に学ぶ。
◇海外渡航経験
つい数ヶ月前、高校ぶりに訪れたニューヨークの空港でみつけたストリートピアノ。
つい弾きたくなりニューヨーク出身の作曲家ジョージ•ガーシュインの「ラプソディーインブルー」を弾いたら、メキシコのカンクン行きの搭乗を待っていた皆さんから盛大な拍手を貰いました!とてもいい思い出です。
◇自己紹介
これまでの海外経験や、日本で出会った留学生たちとの交流から、英語をはじめとした外国語を使うことで、私たちの視野や価値観はどんどん広がっていくと確信しています!
英語が好き!と言う気持ちを大切に、英語を学び続けられる燈を見つけられるよう行動すると、英語学習が楽しくなります!

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.