ショルダーバッグやリュックサック、トートバックなど、かばんには色々な種類がありますよね。
英語にはカバンを総称する名詞として “bag” という単語がありますが、「リュック」や「ポシェット」「トートバッグ」など、個々のバッグが英語でどんな風に呼ばれているのか、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
今回は、リュックサックを始めとした色々なバッグを英語で表現するときの言い方について、詳しく説明していきます。
- バックパック(backpack)とリュックサック(rucksack)の違い ※rucksackの発音は英語だとラックサック
- 英語ではどちらの表現が自然?
- おまけ knapsackは古い呼び名
- おまけ 「バッグ」と「バック」の違いとは
- 様々なバッグシリーズ
- まとめ
バックパック(backpack)とリュックサック(rucksack)の違い ※rucksackの発音は英語だとラックサック
背中に背負うタイプのバッグはリュックサックやバックパックと呼びますよね。大きな荷物や寝袋を背負って世界中を旅する人のことを「バックパッカー」と呼んだりもします。
リュックサックとバックパックって同じものなのでは?と思うかもしれませんが、実はリュックサックとバックパックにはそれぞれ異なる由来や背景があります。
1930年代、日本ではワンダーフォーゲルブームがありました。ワンダーフォーゲルというのは18世紀末にドイツで始まった青年たちによる野外活動のことで、山や野原を歩いて旅行し、大自然の中で生活しながら語り合い、心身を鍛練することを目的とした活動です。
そのワンダーフォーゲル活動に欠かせないのが、「リュックサック」です。「リュックサック」はもともとドイツ語で「背負うための袋」という意味の言葉です。
ドイツ語由来の「リュックサック」は、英語になると少し発音が変化して ”rucksack”(ラックサック)と呼ばれます。
ワンダーフォーゲルに勤しむ人たちは、リュックサックにテントなどの道具を詰めて活動していました。
本来、ワンダーフォーゲルは山に限らず海や野原など自然全体を舞台として活動するのですが、日本は地形的に山が多いため、ワンダーフォーゲルの舞台は山になりがちでした。そのため、ワンダーフォーゲル文化の影響を強く受けて、1930年以降の日本の登山文化ではいろいろな登山グッズの名称がドイツ由来になりました。たとえば、「アイゼン」や「カラビナ」といった言葉はドイツ由来の名称です。
さらに日本では、小学校の遠足が登山に設定されていたり、休日に近くの山へ趣味で登山する人も多かったりと登山文化への接点が多く、「リュックサック」という登山グッズの名称がいつのまにか一般的にも広く使われるようになった・・・というわけです。
一方、「バックパック」は英語に由来する言葉で、「背中の荷物」という意味を持っています。綴りは ”backpack” です。”back”=背中、”pack”=荷物ですので、そのまま「背中の荷物」ですね。
1960年代のアメリカでは、古いルールや常識に縛られず、定職も持たずに放浪し、自由な生活を送るというヒッピー文化が流行しました。
ヒッピーの人々は定住せずに放浪するため、家財一式をすべて持ち歩かなくてはなりません。衣類はもちろん、食料や寝袋など、生活に必要なものはすべてまとめて背中に背負い、国内や国外を放浪しました。これが、バックパックの由来です。
登山用のリュックサックは、登山やワンダーフォーゲルの邪魔にならないようになるべく小さく軽くコンパクトにする必要があるのですが、ヒッピーのバックパックは背負える限界までの大容量にしても移動さえできれば良い、ということで大荷物になりがちです。
このような違いから、現在ではサイズの点で「リュックサック」=小さめの背負式カバン、「バックパック」=大きめの背負式カバンというようなイメージが定着するようになりました。
英語ではどちらの表現が自然?
「リュックサック」と「バックパック」の由来や違いがわかったところで、英語ではこういった背中に背負うタイプのカバンをどう表現すればよいのかについて見ていきましょう。
英語では、リュックサックやバックパックなど背中に背負うタイプのカバンを ”backpack” で総称することができます。
たとえ登山に使うとしても、英語の場合は背中に背負うカバンは ”backpack” と表現して差し支えありません。特にアメリカ英語圏であれば、”rucksuck” よりも ”backpack” を使うほうがより一般的ですし、伝わりやすくて自然です。
富士山に登るなら大きいバックパックを買うべきだよ。
ちなみに、バックパックを「背負う」とか「担ぐ」と言いたいときには ”wear”(着る、身につける) や ”put on”(身につける)を使います。
※ ”worn” は ”wear” の過去分詞
バックパックはもう背負った?
彼女は出発の30分前にバックパックを背負った。
おまけ knapsackは古い呼び名
リュックサックやバックパックに似ている言葉に、「ナップサック」あるいは「ナップザック」があります。
日本では、小学生が体育着を入れる袋として大きめの布製の巾着袋を使ったりしますが、そういった類の背中にかつぐことのできる布製の巾着袋のことをナップザックと呼びます。
実はナップザックというのはもともと英語からきた言葉でした。英語では ”knapsack” と綴ります。
英語の ”knapsack” の場合は、日本のように「布製の」「巾着の」といった縛りは特になく、アメリカ英語における ”backpack” と全く同じように「背中に背負うカバン、荷物」といった意味になります。
”knapsack” は今でもイギリス英語や、アメリカ英語圏でも60代以上の方などを中心に使われています。
ちなみに英語で「巾着袋」と言いたいときには、”drawstring bag”(ドロウストリングバッグ)と言います。 ”draw”=引っ張る、”string”=ひも、”bag”=カバン、袋という意味なので、繋げると「紐を引っ張る式の袋」、つまり巾着袋という意味になります。
おまけ 「バッグ」と「バック」の違いとは
「バッグ」と「バック」、どちらが正しい言い方なのか、ご存知ですか?
”bag” の場合は、「バッグ」の方が正しい読み方になります。英語の綴りが ”g” で終わっているので、濁った音で終わる方が正解という理屈です。
「バック」は、”back”=後ろ、という意味の英単語をカタカナ表記したものだということになります。英語の綴りが ”ck” で終わっており、発音としても「ク」の音になりますので、カタカナ表記も「グ」ではなく「ク」になるというわけですね。
様々なバッグシリーズ
bag(バッグ)といっても、小さいものから大きいものまで、用途によってもその形状はいろいろありますよね。
ここからは様々なバッグについて、英語での表現方法を合わせながら解説していきます。
クラッチバッグ clutch bag
クラッチバッグは、持ち手や肩ひもがない、小ぶりなサイズのバッグを指します。他の大きなバッグの中に入れて持ち運ぶこともあるので、セカンドバッグと呼ばれたりもします。
英語では、 ”clutch bag” と呼びます。”clutch” とは、「しっかり掴む」という意味です。手のひらでカバン全体をぐっと掴んで持つことから、こう呼ばれているようです。
もともとは女性がドレスアップした際、ポケットのないドレスを着ていても口紅やハンカチなど最低限の荷物を持ち運べるように、アクセサリーを兼ねて持てるようなおしゃれで小型のカバンを指してクラッチバッグと呼んでいました。
彼女のおばあさんは、彼女に同じ布地でできたドレスとクラッチバッグを作ってくれた。
しかし最近では、肩ひもがつけられるようになっていたり、手首を通すループがついていたりと、クラッチバッグにも色々な種類のバリエーションが増えてきています。
小ぶりなのでファッションの邪魔にならず、アクセサリー感覚の小物の一つとしてカジュアルファッションにも取り入れやすいバッグといえますね。
ポシェット pochette
ポシェットは、小型のバッグに長めの紐がついているバッグの総称です。肩にかけたり、斜めがけにして両手を使うことができるので、お出かけや買い物にも便利ですよね。
ポシェットはもともとフランス語で、 ”pochette” と綴ります。
実は英語には「ポシェット」をひとことで表せるような単語がありません。
小型でかわいらしいバッグは ”purse” や ”handbag” と呼ばれますが、 ”purse” や ”handbag” には「長い紐がついた」とか「斜めがけの」といったニュアンスがあるわけではないので、そこを強調したい場合には次のように英語を組み合わせて表現します。
斜めがけの小型のカバンsmall crossbody bag
ボディーバッグ/ウエストポーチ crossbody bag・sling bag
ボディバッグやウエストポーチは、体にフィットした状態で使えるカバンで、ストラップなどを使って体に密着させます。斜めがけをするものはボディバッグ、ウエストに巻きつけるタイプのものはウエストポーチと呼ぶことが多いようです。
英語ではこういったカバンのことを ”crossbody bag”(クロスボディバッグ)や ”sling bag”(スリングバッグ)と呼びます。
”crossbody bag”は体をクロスする=斜めに横切るバッグという意味があり、いわゆる斜めがけカバンの総称です。
”sling bag” の ”sling” は「吊る、ぶら下げる」といった意味の英単語で、肩から紐や布を使ってぶら下げるタイプのカバンを指します。
ハンドバッグ handbag・purse
持ち手が付いていて、ハンドルを手で握って持ち運べるようなバッグのことをハンドバックと呼びますが、英語ではハンドバッグのことを ”purse” や ”handbag” と呼びます。
”purse” はアメリカ英語で「ハンドバッグ/女性が持つ小さめのカバン」という意味です。
ただ、イギリス英語では「女性用の財布」という意味になり、「ハンドバッグ」という意味ではなくなりますので注意してくださいね。
また ”handbag” は文字通り、「手で持つバッグ」=ハンドバッグのことです。
=I bought a handbag for my mother.
私は母にハンドバッグを買いました。
トートバッグ tote bag・tote
ガバっと大きく開いて上からものを出し入れすることができ、開口部の両側に取っ手がついているシンプルな形状のカバンのことをトートバッグと呼びます。
英語でトートバッグは ”tote bag”、もしくは単に “tote” と言います。発音も日本語と同じように「トート」といえば通じます。
トートバッグは男女問わず便利に使えます。
トートバッグに明確な定義があるわけではありませんが、ハンドバッグと違い、取っ手が長めで肩掛けをすることができるものが多いようです。
ボストンバッグ traveling bag
日本では、大きめで手持ちも肩掛けもできる底マチの広い旅行用カバンのことを「ボストンバッグ」と呼びますが、実は「ボストンバッグ」は和製英語です。
英語では、旅行用の大きめのバッグ全般を ”traveling bag” と呼びます。ただ ”traveling bag” には、キャスターでコロコロ転がせるようなキャリーバッグも含まれます。
日本の「ボストンバッグ」を英語で表現したい場合は、”gym bag” (ジムバッグ)と言う方が適切かもしれません。ジムバッグは、文字通りジムに通うときに使うカバンのことで、たくさんの衣類やタオル、ジムシューズなどを入れられるように底マチが広く取られています。
あなたのジムバッグ、パンパンに見えるけど、何が入ってるの?
まとめ
リュックサックを始めとして、いろいろなバッグを英語で表現する方法について解説してきました。
日本語と英語では別の言い方をしたり、英語だと思っていた呼び名が実は他の国の言葉に由来するものだったりと、意外な発見があったのではないでしょうか?
普段の英会話はもちろんのこと、実際に英語圏へ旅行にいったときなど「カバン」にまつわる会話をするチャンスがあったら、今回の記事を参考にしてぜひ実際に英単語を使ってみてくださいね!

◇経歴(英語を使用した経歴)
高校時代にイギリスへ短期留学。
大学院進学の傍ら、TOEICスコアアップや海外留学、海外旅行を経験。
社会人生活を経て、現在は英語に関するWEBコラム記事を執筆中。
◇資格
TOEIC900
◇留学経験
・ロンドン:2週間 Harrow School
・ハワイ島:2週間 Universal English Academy
・バレンシア:3週間 don Quijote Valencia
◇海外渡航経験
留学:イギリス、ハワイ、スペイン
旅行:イタリア、チェコ、アメリカ、メキシコ、韓国、モロッコ、フランス、デンマーク、フィンランド、スイス、ハンガリー、ベルギー、オーストリア
◇自己紹介
ラジオ基礎英語をきっかけに英語の世界へ。理系専攻ながら英語を磨き、留学や旅行で色々な国を訪れた。結婚を機にWEBライティングを始め、現在は二児と共に英語ライフを楽しんでいる。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.