「伸びしろがある」という表現は、教育やビジネスのシーンをはじめとして日常生活でも広く使われていますよね。
以前には、有名スポーツ選手がインタビューで口にして、話題になったこともありました。
「まだ成長する余地がある」「改善できる部分がある」というような意味をもつ「伸びしろ」という言葉ですが、英語ではどのように表現すればよいのでしょうか。
今回は「伸びしろ」を意味する英語表現はもちろんのこと、成長に関する英語表現についても深掘りしてご紹介していきたいと思います。
伸びしろとは
そもそも「伸びしろ」とは何を意味する言葉なのでしょうか。
オンライン国語辞典にて「伸びしろ」を検索してみると、以下のように書かれています。
※ Weblio辞書より引用
ひとことでいうとしたら、「伸びしろ」とは「成長する余地」のことだと言えそうですが、英語ではどのように表現すればいいのか、意外と分からなかったりしますよね。
「伸びしろ」をひとことで完全に表現する英単語はないのですが、色々な単語を組み合わせたり、似たような意味をもつ言葉を使うことによって、「伸びしろ」と同じ意味を表すことができます。
room for growth
”room for growth” は、直訳すると「成長のための部屋」という意味になる英語表現です。
”room” は「部屋」を意味する単語ですが、実は他にも「余地、スペース」といった意味も持っています。
”growth” は「成長」と言う意味ですので、”room” と合わせて”room for growth” というフレーズにすると「成長のための部屋、余地、スペース」、つまり「伸びしろ」を意味する表現になります。
日本の自動車産業にはまだ成長の余地があると考えられている。
=日本の自動車産業にはまだ伸びしろがあると考えられている。
彼の運動能力に伸びしろがあるのは明らかでした。
potential
”potential” は「可能性、将来性、潜在力」を意味する英単語です。日本語でも「彼には高いポテンシャルがある」「大きなポテンシャルを秘めている」などと言ったりしますよね。
今はまだ実現していないけれどこれから何かを達成するかもしれない、という「成長の余地」を意味していることから、「伸びしろ」を表す英語表現として使うことができます。
彼にはまだ大きなポテンシャルがある。
=彼にはまだ大きな伸びしろがある。
あなたはこの分野において本当に大きな伸びしろを持っていると思うわ。
”成長”の英語表現
ここまで「伸びしろ」を意味する英語表現を見てきましたが、先述したとおり、「伸びしろ」とはつまり「成長の余地」のことでした。ここからは、「成長」に関する英語表現についてもご紹介していきます。
日本語の「成長」という言葉は、精神的な成長と物理的な成長の両方に対して使うことができますが、英語では「成長」の種類によって、使う言葉や表現を使い分ける必要があります。ここは日本語と英語で少し違うところですね。
例えば、英語の ”growth” という単語は和訳すると「成長」になりますが、実際には物理的な成長に対して使われるのが一般的です。
英英辞典で ”growth” の定義を確認してみましょう。
1 an increase in amount, number, or size
2 an increase in the value of goods or services produced and sold by a business or a country
3 the development of the physical size, strength, etc of a person, animal, or plant over a period of time
※ ロングマン英英辞典より引用)
”growth” は、「①量や数、サイズの増加、②会社や国が販売・提供する商品やサービスの価値の増加、③人間や動物、植物における、時間の経過とともに見られる体のサイズや強さなどの発達」といった意味を持っているとされています。
どれも、人や動植物が大きくなるとか、会社などが経済的に規模が大きくなる、発展するなど、具体的な何かのサイズや量が増えるといった変化を表していますよね。このことからも、”growth” が精神的に向上するといった意味での成長というより、物理的な成長に対して使われるのが一般的であることがわかります。
このように、英語では「成長」を意味する表現が複数あります。関連表現も含めて、順番にご紹介していきます。
raise
”raise”は、「持ち上げる、育てる」という意味の動詞です。”raise” は他動詞で、何か対象となる人や物を「向上させる、成長させる」といった使い方をします。
ベスはこの学校の1年目でスコアを670点まで上げた。
あなたはいつも私を元気づけてくれる。
点数や価格を引き上げたり、物体を物理的に上に挙げるという意味のほか、子供を養い育てたり、植物や動物を飼育栽培するという意味でもよく使われます。
彼女は子どもたちを女手一つで育てました。
make progress
成長とは現時点の状態よりもより向上した状態になることですが、それを言い換えると「進歩する、上達する」ということだとも言えます。
もともと英語には「進歩、進捗」を意味する"progress" という名詞があるのですが、その単語の前に ”make” をつけて "make progress" というイディオムにすることによって、「進歩する、前進する」という意味になります。
彼はとても短い期間に大幅な進歩を遂げた。
彼のライティングはすごく良くなった。
"make progress" は技術や能力が伸びたり、学習の状況が良くなっているといったスキル面での成長が見られるときに使うのが適しています。
彼女は最初、英語で話すことが全くできなかったが、今では素晴らしく進歩している。
アナは日々、目標に向かって前進している。
improve
成長するということは、現在よりも良い方向へ変化する、改善するということでもあります。
英語の ”improve” は、「改善する、向上させる、高める」といった意味を持つ動詞で、「成長する」と同じような意味を表現することができます。
私の目標は、英語のスピーキングスキルを向上させることです。
息子は今年、数学の成績が上がりました。
”improve” の方が若干「改善する」「改良する」というニュアンスが強くなりますが、どちらも人の成長や進歩を表すのによく使われます。”make progress” と同じニュアンスを表すバリエーション表現として、ぜひ覚えておいてくださいね。
How far I've come
ネイティブスピーカーがよく使うちょっと面白い英語表現として、”How far I've come” があります。
”How far I've come” は、直訳すると「どれだけ遠い道のりをやってきたのか」という意味になります。といっても、実際に歩いてきたとか、旅行してきたとかいう内容を伝えたいわけではありません。
比喩的な意味で、以前いた地点や状況からある程度の時間をかけて現在の地点まで来た、自分はその間に成長し、進歩したのだということを「道のり/距離」に例えて表現した言い方であるといえます。
”far” というのは「遠い」という意味ですので、「私が歩んできた道はどのくらい遠かったのか」=「とても長い道のりを歩んできた」=「最初のころより随分遠いところにたどり着いた」=「最初のころとは比べ物にならないくらい成長した」という意味になるのですね。なかなか回りくどいようにも思うかもしれませんが、端的にいうと「すごく成長した」といいたいわけです。
ちなみに、主語の ”I” を別の人称や人の名前にしたり、団体や組織などの名称にすることもできます。
子供たちがここまで成長したのを見て、私はとても感動しています。
新しい調査はトヨタがこの分野においてどれだけ成長を遂げてきたかを示しています。
”How far I've come” は、過去を振り返り、最初のころは今よりもずっと能力やスキルが無い状態であったのに、努力を続けてスキルを磨き続け、ついに今ここまで来た、という感慨深さを表現できるとても英語らしいイディオムといえます。
まとめ
「伸びしろ」や「成長」を表す英語表現について、ご紹介してきました。
“grow” の他にも、”make progress” や ”How far I've come” など、ニュアンスの異なる色々な英語表現があることをおわかりいただけたのではないかと思います。
英語学習の中でも、いろいろな「伸びしろ」や「成長」を実感する場面がありますよね。そんなとき、ぜひご紹介した英語表現を使って自分の気持ちを表現して、日々の英語学習や英会話に役立てていってくださいね!
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.