英語を学び、実践していく上でとても重要な項目の一つが「to不定詞」です。
すでになにげなく使っている人も多いかもしれませんが、ここであらためて、to不定詞及び用法の基本、さらに用法の見分け方についても確認してみましょう。
さまざまな用途があるto不定詞を自分のものにすることで、使える英語の幅がグンと広がるはずです。
では、まずは、to不定詞の基本から説明しましょう。
- to不定詞の基本
- to不定詞の3つの用法の使い方
- to不定詞「名詞的用法」
- 名詞的用法の注意点
- to不定詞「形容詞的用法」
- to不定詞「副詞的用法」
- 副詞的用法~①目的(〜するために)
- 副詞的用法~②結果・連続(〜そして〜)
- 副詞的用法~③原因・理由(〜なので)
- to不定詞の用法まとめ
- クイズで「to不定詞」の理解度UP!
to不定詞の基本
「to」と「動詞の原形」をペアにした「to+動詞の原形」を「to不定詞」あるいは単に「不定詞」と呼びます。
動詞の原形というのは動詞の基本的な形。ほとんどの場合、現在形と同じ形です。
「to+動詞の原形」ですから、例えば、
to play
to have
to run
to go ........
というようになります。「is」「are」「am」「was」「were」などの「be 動詞」の原形は「be」ですので、be動詞をto不定詞にすると「to be」となります。
私はディナーを食べるためにそのレストランに行きました。
この文では、「to eat」が「to不定詞」と呼ばれる部分です。「to+動詞の原形」ですね。ここでは「食べるために」という意味になっています。
ちなみに、この文の中の「to the restaurant」の「to」は、場所を表す名詞「restaurant(レストラン)」の前に付いた、「~へ」という意味の前置詞です。
不定詞の「to」も前置詞と呼ばれますが、「〜へ」という場所を表す前置詞とは違うものだと覚えておいてください。
to不定詞の3つの用法の使い方
to不定詞には以下のように3つの用法があります。
「~すること」という意味になります。
名詞を修飾し、「~すべき」「~のための」などと訳されます。
to不定詞の副詞的用法は、さらに、①目的(〜するために)、②結果・連続(〜そして〜)、③原因・理由(〜なので)、の3つに分かれます。
なお、「to不定詞」という言葉には「詞」と付いていますが、「現在分詞」「過去分詞」「動名詞」などと同様、これは品詞を表す名前ではありません。動詞が変化したもの、という意味と考えておけばいいでしょう。
さて、では、これらto不定詞の3つの用法について、それぞれを例文とともに詳しく説明していきましょう。
to不定詞の3つの用法の見分け方
文中でto不定詞がどの用法で使われているかを見極めるには、以下のポイントに注目すると良いでしょう。状況によっては例外もありますが、基本的な判断基準として役立ててください。
名詞的用法の見分け方
名詞的用法のto不定詞は、文の中で主語、目的語、または補語として使われます。見分けるポイントは、to不定詞が文の要素(主語・目的語・補語)になっていて、「~すること」と訳せる場合、それは名詞的用法です。
例)I like to read books.
この場合、to read books がlikeの目的語として機能しており、名詞的用法となります。
形容詞的用法の見分け方
形容詞的用法のto不定詞は、直前の名詞や代名詞を修飾します。見分けるポイントは、to不定詞が直前にある名詞や代名詞にかかっているかどうかです。「~すべき」「~のための」と訳される場合、それは形容詞的用法です。
例)She has something to tell you.
to tellがsomethingを修飾しており、形容詞的用法です。
副詞的用法の見分け方
副詞的用法のto不定詞は、動詞や形容詞を修飾します。見分けるポイントは、to不定詞が文の要素ではなく、単純に動詞や形容詞を修飾しているかどうかです。「~するために」「~して」などと訳される場合、それは副詞的用法です。
例)He studied hard to pass the exam.
to pass が studied を修飾しており、目的を示す副詞的用法です。
3つの用法の見分け方ポイント解説
文の要素かどうかを確認
to不定詞が主語、目的語、補語として使われている →名詞的用法
文の要素になっていない →形容詞的用法、又は、副詞的用法
直前の名詞との関係を確認
直前に名詞があり、その名詞を修飾している →形容詞的用法
直前に名詞がない、名詞があっても修飾していない →副詞的用法
以下は全て副詞的用法
目的を表す=「~するために」
原因や理由を表す=「~なので」「~のために」
結果や連続を表す=「~して、そして~」
to不定詞「名詞的用法」
「〜すること」という名詞のような役割をするのが、to不定詞の名詞的用法です。
例えば、「to eat」ならば「食べること」、「to run」ならば「走ること」という意味です。
名詞的用法のto不定詞は、普通の名詞のように、動詞の目的語や文の主語、補語になります。
動詞の目的語になる場合
動詞の目的語というのは、例えば「He ate lunch.」の「lunch」、「She likes dogs.」の「dogs」の部分です。
一般的な動詞の後ろに来る言葉です。日本語にした時に「〜を」「〜が」などとなることが多いです。
目的語には普通は名詞が入りますが、名詞的用法のto不定詞も目的語になることができます。
彼女は本を読むことが好きです。
この文の中のto不定詞である「to read」は「本を読むこと」という意味です。「〜すること」という名詞のような意味になっています。
彼はゴルフをすることが好きです。
彼は先生になることを望んでいます。
弊社は御社との相互関係の好転を希望しています。
ただし、どんな動詞でもto不定詞を目的語にすることができるわけではありません。ある動詞がto不定詞を目的語にできるかどうかは覚えておく必要があります。あるいは都度、辞書で調べるくせをつけましょう。
文の主語になる場合
名詞的用法のto不定詞は文の主語として使うこともできます。
一般的に文の最初に来て、「〜することは」「〜であることは」といった訳になることが多いです。
映画を見ることは楽しい。
この文では「To see movies(映画を見ること)」というto不定詞が文の主語として使われています。
親友を作るのは、簡単なことではない。
形式主語構文で「意味上の主語」として使われる場合
to不定詞を主語にした文は形式主語構文に書き換えることができることも多いです。
英語を一生懸命勉強することは、重要です。
これは形式主語の「It」を使って以下のように書き換えられます。
英語を一生懸命勉強することは、重要です。
つまり後ろの方にto不定詞が来ることになりますが、この場合もto不定詞が実質的な主語(「意味上の主語」)になっています。
補語になる場合
「This is a pen.」のような文でbe動詞の後に来る「a pen」の部分を補語と言います。名詞的用法のto不定詞は補語になることもできます。
ジョージの仕事は商品を分配・配送することだ。
その母親は子供が外で遊ぶのを許した。
この文では「to play」の部分が第5文型における補語になっています。
名詞的用法の注意点
to不定詞の名詞的用法における注意点を2つほど挙げましょう。
・前置詞の後にはto不定詞は来ない
名詞的用法のto不定詞は「〜すること」という名詞のような働きをしますが、普通の名詞のように前置詞の後に置くことはできません。
✕ I’m interested in to go abroad.
このように、前置詞「in」の後に「to go」などとすることはできません。
・動名詞との使い分けに注意
「〜すること」という意味を表す時には動詞の「-ing」形である「動名詞」を使うこともできます。
そして、名詞的用法のto不定詞と動名詞では、互いに交換が可能な場合、交換すると意味が変わる場合、交換できない場合、の3通りがあります。
交換可能で意味も同じ場合
私は本を読むことが好きです。
映画を見ることは楽しい。
私は歩くことを好みます。
定期的に運動することは重要です。
交換すると意味が異なる場合
本を買うのを忘れた。≠ 本を買ったことを忘れた。
本をこれから買うことを覚えている。 ≠本を買ったことを覚えている。
彼は話すために立ち止まった。≠ 彼は話すのをやめた。
彼女はメールを送ることを覚えていた。≠ 彼女はメールを送ったことを覚えていた。
交換できない場合
動名詞しか目的語にしない動詞、逆に、to不定詞しか目的語にしない動詞、があります。この場合はどちらか一つしか使うことができません。
✕ I enjoyed to swim.
動詞「enjoy」はto不定詞を目的語にすることはできません。
to不定詞「形容詞的用法」
to不定詞が、名詞を修飾する形容詞のような役割を担うのが形容詞的用法です。
to不定詞は名詞の後に置かれ、後ろから名詞を修飾します。
to不定詞の部分は、日本語にすると「~すべき」「〜のための」「~する」などと訳されます。ただ、そのままだとぎこちない日本語になることが多いので、ちょっと言い換えられたりします。
飲むための何かを持っていませんか?⇒ 何か飲み物を持っていませんか?
この文では、to不定詞の「to drink」が、後ろから名詞「something」を修飾(説明)しています。「something to drink」で「飲むための何か」という意味になります。
ジョージは彼を助けてくれる友人をたくさん持っている。
ナンシーには自分の家族を養うための十分な収入がある。
ビンセントには家を出ていく意思はない。
to不定詞「副詞的用法」
to不定詞の副詞的用法には、冒頭でも述べたように、①目的(〜するために)、②結果・連続(〜そして〜)、③原因・理由(〜なので)、の3つの使い方があります。
副詞的用法~①目的(〜するために)
まず一つ目が「目的」を表す使い方です。
この使い方のto不定詞を聞いたり目にしたりすることが非常に多いですね。よく「~するために」と訳されます。
私は英語を勉強するために図書館に行った。
上の例文の場合は、「to study」がto不定詞です。「to study English」で「英語を勉強するために」という「目的」を表しています。
なお、「to the library」の「to」は、「〜へ」という意味を表す普通の前置詞です。
私は法律家になるために法律を勉強している。
上の場合は「to become」がto不定詞です。「to become a lawyer」で「法律家になるために」という「目的」を表しています。
また、目的を表すto不定詞は、文頭に置くこともできます。文頭に置く方が、より目的を強調しているように見えます。
法律家になるために、私は法律を勉強している。
電車に乗るために早起きしました。
彼女は新しい車を買うためにお金を貯めた。
彼はスキルを向上させるために毎日練習した。
in order to+動詞の原形
目的を表すto不定詞は、「in order to+動詞の原形」と書き換えることもできます。
「in order to」を使った方が「〜のために」という目的を表していることを明確にできます。ただし、ちょっと文が重くなりますので注意しましょう。
ラッシュアワーを避けるために、私は家を午前7時までに出なければならない。
これは、
I must leave my house by 7:00 am to avoid rush hour.
でも同じですが、「in order to」を使った方が「避けるために」という意味がはっきりします。
否定の「not」と組み合わせて
否定の「not」と組み合わせて「〜しないように」という意味を表すこともよくあります。この場合、「not」はto不定詞の前に置くのが一般的です。
先生を怒らせないように私は黙っていた。
上の場合、「not to offend the teacher」で「先生の気分を害さないように」という意味です。
「in order not to」という形も使えます。
彼にショックを与えないように彼女の交通事故のことは知らせなかった。
彼女は健康を維持するために定期的に運動しています。
私たちは家を買うためにお金を貯める必要があります。
彼は試験に合格するために一生懸命勉強しました。
副詞的用法~②結果・連続(〜そして〜)
to不定詞の副詞的用法には、「結果・連続」を表す使い方があります。
後ろからではなく前から訳していきます。「〜そして〜」「〜して〜になった」などという意味になります。
息子は成長して野球選手になりました。
この文では、「成長した」→「野球選手になった」という時間の経過の結果がto不定詞で表わされています。
空港に到着するとそこには誰もいなかった。
この文では、「到着した」→「そこには誰もいなかった」という時間の流れが描かれています。
■More例文!彼女がドアを開けると、友人たちが待っていた。
彼はゴールラインを越えて、自分が勝ったことに気づいた。
猫はテーブルから飛び降り、優雅に床に着地した。
副詞的用法~③原因・理由(〜なので)
to不定詞の副詞的用法の3つ目は、「原因・理由」です。
「〜して」「〜なので」「〜のために」などと訳されることが多いです。
私はあなたに会えてうれしい。
私の両親はその知らせを聞いて喜んでいました。
彼はそのプレゼントを見つけて驚きました。
彼女は試験が終わってほっとしました。
彼らは試合に負けてがっかりしました。
to不定詞の用法まとめ
いかがでしたか。今回は、to不定詞の基本的な使い方と3つの用法をご紹介しました。
to不定詞にはいろいろな使い方があることが、あらためておわかりいただけたかと思います。
もっとも、細かな文法の理屈をすべて覚える必要はなく、基本的には英文を読んで意味が分かれば大丈夫です。
ただ、どういう意味なのかよく分からない時は、今回のように文法の基本を振り返ってみるのも、とても有効ではないかと思います。
クイズで「to不定詞」の理解度UP!
Q1: to不定詞にはいくつの基本的な使い方がありますか?
a) 1つ
b) 2つ
c) 3つ
d) 4つ
Q2: 名詞的用法のto不定詞が使われる場面として正しいものはどれですか?
a) 動詞の目的語になる
b) 名詞を修飾する
c) 動詞を修飾する
d) 形容詞を修飾する
Q3: to不定詞が動詞の目的語として使われる場合、次の文のどれが正しいですか?
a) I enjoy to read books.
b) I like to read books.
c) I am looking forward to read books.
d) I avoid to read books.
Q4: to不定詞の形容詞的用法について、正しい説明はどれですか?
a) 文の主語として使われる
b) 名詞や代名詞を修飾する
c) 動詞の目的語になる
d) 動詞や形容詞を修飾する
Q5: 以下の文で、to不定詞が「目的」を表す副詞的用法として使われているものはどれですか?
a) He studied hard to pass the exam.
b) She is happy to see you.
c) I came to help you.
d) The door is difficult to open.
Q6: 「前置詞の後にはto不定詞が来ない」というルールに関して、次の文のどれが正しいですか?
a) I am interested in to learn English.
b) She is good at to play tennis.
c) They are looking forward to seeing you.
d) We are thinking about to go shopping.
Q7: 「to不定詞」と「動名詞」の使い分けについて、交換すると意味が異なる例として正しいのはどれですか?
a) I stopped to smoke. / I stopped smoking.
b) I like to swim. / I like swimming.
c) He began to study. / He began studying.
d) They prefer to walk. / They prefer walking.
【解答】
Q1: 正解: c) 3つ
Q2: 正解: a) 動詞の目的語になる
Q3: 正解: b) I like to read books.
Q4: 正解: b) 名詞や代名詞を修飾する
Q5: 正解: a) He studied hard to pass the exam.
Q6: 正解: c) They are looking forward to seeing you.
Q7: 正解: a) I stopped to smoke. / I stopped smoking.

◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.