今回は、won'tの使い方を解説していきます。
おそらく、多くの方が未来を表す助動詞、willの否定形だと認識していることでしょう。しかし、実はそれ以外に使う場面もあるのです。
では、どういったシチュエーションで、どういう意味として使うのでしょうか。以下で確認し、英語力のさらなるアップを目指していきましょう!
won’tの意味と使い方
won'tは、未来を表す助動詞であるwillの否定形、will notの短縮形です。
ですから、won'tの意味を聞かれたら、「~しないだろう」と将来に起こることを否定するものだと解説します。
この未来の否定形という意味では、皆さんはすでにご存じでしょう。以下の例文も難なく訳せるはずです。
そのパーティーには行かない
未来を表すだけではなく、意思を持つ単語なので、そのパーティーに行きたくないという気持ちも汲み取ることができます。このように、won'tが持つ意味についてはあとで詳しく解説していきます。
今回、先に皆さんに知っていただきたいのは、won'tには「どうしても~しない」という意味もあるということです。こちらについては、一般動詞にはdon’tを使いがちなので、意外とこの用法を知らなかったという方も多いのです。
ではまず、以下の文章を見てください。
The PC won’t start.
won'tを使っていても、後者は未来のことを表しているわけではありません。どうしてもパソコンが立ち上がらないことを示しています。
未来のことを言っているのか、それとも「どうしても~しない」と訳すべきなのか、その違いは文脈で読み取ります。
ですから、上記のように例文が1つしかなく、前後の会話がわからない場合はどちらの意味もありえます。
では、don'tとwon'tの違いは何なのでしょうか。
上記の例文を訳すと、こんな感じになります。
パソコンが立ち上がらない
パソコンがどうしても立ち上がらない
日本語にすると、「どうしても」と入れてニュアンスが違うことを表すことが多いです。
don'tは、単にパソコンが立ち上がらないという事実を述べているだけです。多くの場合、なぜ立ち上がらないのか理由が明確な場合に使われます。
一方、won'tはものが通常通りに作動しないことや、人が話し手の思い通りの言動をしないことを表します。willには意思があるので、won'tは主語が拒絶をする意思を含んでいると思うとネイティブスピーカーの持つ感覚に近くなります。
ですから、後者でwon'tを使った例文では、いつもなら普通に動くパソコンが立ち上がらない理由がわからず、どうしても立ち上がらないことによりいらだちや焦りを含むことができます。
意思を表すことができるwillは、意思を持つ生き物しか主語になりえないと思うかもしれませんね。しかし、無生物も主語になりえます。この場合は、ものが自分を拒絶しているかのようなニュアンスを含みます。
英語では、生き物である動物をitで表すことができますが、ものが生き物のように意思を持っているかのように表現されることもあるのです。
何かに自分を拒絶されれば、出てくるのはいらだちや焦り、不満などの感情です。よって、won'tが使われている場合には、「どうしても~しない」に追加し話し手のネガティブな感情も含まれていることが多いです。
本来動くべきパソコンが動かない、流れるはずのトイレの水が流れない、開けられるはずの瓶の蓋が開けられないなど、ものを主語にして言えるものはたくさんあります。
また、won'tはもの以外の人を主語にすることもできます。
彼が全然起きない
彼女は家でどうしても数学を勉強しない
意地でも起きない、意地でも勉強しない、そんな人がいる場合、won'tを使って何をどうしても何かをしないと言うことができます。
文脈によって未来のことを表しているのか、それとも主語の拒絶の意思を表しているのか、正しく判断できるように文脈のつかみ方も大事ですね。
willの使い方
せっかくwon'tの使い方を習ったので、ここではその肯定を表すwillのこともおさらいしておきましょう。
willと言えば未来を表す助動詞として有名ですが、他にも推量や依頼の意味で使うことも復習しておきましょう。
未来
まずは、未来のことを表すwillについて解説していきます。
時間経過とともにやってくる未来の出来事を表す際には、willを動詞の直前におきます。動詞を原形に戻せば、それだけで未来のことを表現できるようになります。
よくある質問に、同じく未来を表すbe going to~との違いは何か、とあります。未来を表すのは同じですが、そのときに話し手が感じていることが異なります。
will:たった今決めたことについて話す
よりわかりやすくするために、以下の例文を読んで意味の違いを見つけてみてください。
I’m going to be a doctor.
どちらも、自分が将来なりたいものは医者であるという点では同じです。
しかし、前者はたった今医者になりたいと思ったのに対し、後者は以前から医者になりたいと思っています。友達と会話していて、「俺は弁護士になる」という流れになり、冗談で「じゃあ俺は医者になる」と言うのなら前者です。
しかし、子どものときからの夢として医者になりたいと思っている場合であれば、後者です。
また、willは名詞で「意思」と訳されるように、助動詞にも意思が含まれています。これは何度かすでに解説しましたね。
それがなぜ未来を表すようになったのかというと、意思決定してそれが現実になるのは必ず未来のことだからです。このようにイメージを作れば覚えやすいのではないでしょうか。
日本語訳だと、willもbe going to~も「~するでしょう」や「~するつもりです」と訳されるので、違いは感じられなくなりますよね。
実際、中学校まではwillもbe going to~も、どちらも同じであると教えられます。両者がイコールで結ばれ、どちらを使っても良しであり、丸がもらえます。
ただ、突き詰めてネイティブスピーカーの感覚を考えると厳密には違います。中学ではあくまで使いやすい英単語やざっくりとした文法を学び、高校以降でもう少し踏み込んだ解説がされていきます。
推量
推量のwillもよく使われます。「~なのだろう」という訳が使いやすいでしょう。
この推量も、実はwillが持つ意思の意味が関係しています。自分で意思決定ができない第三者の意思は、推し量ることしかできませんよね。ですから、自然と推量になってしまうのです。
自分のことなら意思を決められるので、推量のwillは第三者が主語になる特徴があります。
彼は午後からは家にいるんじゃないかな
その場で直接聞くことができない「彼」の意思は、推量となって相手へ伝えられます。
依頼
依頼のwillもよく耳にします。中学では、Will you~?とフレーズで覚えましたね。
意味は「~してくれませんか?」です。まさしく、相手に何かを依頼する際に使うものです。
ドアを開けてくれませんか?
こんな感じで相手にお願いができます。
依頼のwillも、やはり意思が関係しています。他人の意思を問うことが依頼ですからね。よって、willは突き詰めればすべて意思に行きつくのであり、わざわざ推量や依頼といった名前をつけて分けることはないのです。
これは、英語を母語としない日本人向けの解説で、willがあたかも意味を変えてしまうように見えるので違う意味を付与しています。
きちんとwillそのもののニュアンスがつかめていれば、逆にこういった説明はまどろっこしく、分ける必要性を感じないでしょう。
否定疑問文のwon't
won’tにするとwillの意味の否定になります。
明日、雨は降らないだろう
もし数学を勉強しないなら、PS5を買ってあげない
前者は単純に未来のことを言っただけなので簡単ですが、後者の理解には少し注意が必要です。
ifのように、副詞節を使う場合は、副詞節の中は未来のことでも現在形を使うと習ったと思います。しかし、例文ではしっかりと won’tが入っており、現在形ではありませんよね。
これはなぜかというと、副詞節の中で使えないのは未来を表すwillだけだからです。対して例文の中で使われている won’tは意思なので使えるわけです。この点には注意しておきましょう。
まとめ
今回は、 won’tについて解説しました。単に未来を表すだけではなく、「どうしても~しない」という意味を持つことも理解できましたね。
英語上級者でも意外と知らないことが多いので、ここでしっかり理解していきましょう。
そうすれば、未来形で訳して違和感がある理由もわかるようになります。また、willそのもののニュアンスも理解し、推量や依頼といった意味も持つことを把握しておきましょう。

◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇留学経験
イングランドのオックスフォードのOxford English Centreに3週間の語学留学と、スコットランドのエディンバラのUniversity of Edinburghに1年間の交換留学をしていました。
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.