皆さんはoverやaboveという単語を見て、どんなイメージを持ちますか?おそらく、どちらも「上」や「上方」というイメージがあると思います。しかし、これらのニュアンスの違いや、使い方の違いまで理解しているでしょうか。なんとなくわかっているという方も、ネイティブスピーカーに違和感を持たれないよう、ここで違いを理解しておきましょう!
overとaboveの違い
実は、overもaboveも、「上」を表す単語であるという点では同じです。しかも、両方前置詞なので、基本的な使い方も同じ。では、違いはどこにあるのでしょうか。
答えは、同じ「上」でもその捉え方が異なることです。
overの場合は、イメージは何かを超えている状態、何かを覆っている状態です。上を超えているイメージと覚えておくと簡単でしょう。また、何かが動いているイメージもあります。
ですから、例文を作るとしたら以下のような文が適当です。
Birds are flying over the lake.
「鳥が湖の上を飛んでいる」ここで使っているoverは、湖の上を動いている鳥を表すのにぴったりな表現です。
それに対して、aboveは何かよりも上であるという意味です。つまり、何か基準があり、それよりも上であるというイメージです。
その基準となるものと接していないイメージもあるため、レベルであったり、会社や社会での立場を表すときにも使われます。
そして、overと違ってaboveは静止しているイメージも持っています。
先ほどoverを使った例文をご紹介しましたが、その例文を今度はaboveに置き換えてみましょう。
Birds are flying above the lake.
「鳥が湖の上を飛んでいる」日本語訳をしてみると、overでもaboveでも同じになってしまいますが、ニュアンスは違います。この場合、鳥は単に湖の上の方にいることを示しています。
ほんの少しの違いですが、ネイティブスピーカーはoverとaboveの違いを常に意識し、使い分けています。同じような言葉にこそ疑問を持ち、小さな違いがわかるようになりたいですね。
overの意味と使い方
では、overの意味と使い方をより詳しく解説していきましょう。
overの意味は「上」であり、覆いかぶさっているようなイメージ、何かを超えているイメージ、そして動いているイメージがあります。
いくつか例文を見て、overの感覚をつかんでみましょう。
The beautiful sheet is over the table.
「美しい布がテーブルにかぶさっています」こちらは、布がテーブルの覆いかぶさっていることがわかりますね。overの特徴のひとつである「覆う」がポイントになっています。
She must be over forty.
「彼女は40歳を超えているはずです」こちらの例文では、「超える」というニュアンスが含まれていますね。基準となるのは40歳という数字です。このように、overは数字と共に使われることも多いです。
I need to wear a sweater over a t-shirt.
「私はTシャツの上にセーターを着なければならなかった」こちらも、Tシャツをセーターで「覆う」ことがわかる例文です。ここでもしaboveを使ってしまうと、セーターをTシャツの上の方で着ることとなり、意味が通らなくなります。注意が必要ですね。
以上の例文は、何かを覆っていることや、超えていることがわかる例文ではありませんか?このニュアンスが理解できれば、英語もレベルアップすることでしょう。
aboveの意味と使い方
aboveの意味も、訳せばoverと同じ「上」になります。しかし、overと違って静止しているイメージであり、浮いていることが前提です。単に上の方に何かがあると物理的に表現することもありますし、立場や能力において使われることも多いです。
では、使い方を例文で確認しておきます。
Jane is above me in rank.
「ジェーンは私より上役です」こちらの例文では、ジェーンと私の立場の上下を表現していることが見て取れます。物理的な上を表すだけでなく、立場という目で直接見えないこともaboveで表現できます。
I know her ability is above average.
「私は彼女に平均以上の能力があると知っている」能力も立場と同じく目で見えないものですが、このようなものはaboveで表します。何かの上にあることを相手に伝えるのです。
The plane was above the cloud.
「その飛行機は雲の上を飛んでいた」こちらの例文のaboveが示すのは、飛行機が単に雲の上にいたという事実です。overに置き換えても文法的なミスはありませんが、動いているニュアンスがあるのでイメージは多少異なります。
aboveを使う上での注意事項は、接触しているものには使えないことです。例えば、机の上にあるノートについて何か言いたいのであれば、この場合は接触していて、かつ上であることを表すonを使います。
あとでもう少し詳しく解説しますが、今のところはaboveは「浮いている」というイメージを強く持っていてください。
over・aboveを使ったイディオム
overやaboveは、多くのイディオムの中に含まれています。前置詞なので、動詞などをセットになるといろいろな意味になるのです。以下にイディオムをまとめたので、一度暗記してみてください。
Over and above 〇〇に加えて、〇〇の上に
Above and beyond 〇〇に加えて、〇〇を超えて
Take over 連れて行く、引き継ぐ
Sleep over 泊まる
Pull over 脇によって停まる
Run over ひく
では、この中から3つピックアップして、使い方をご紹介しますね。
Over and above
Over and aboveは「〇〇に加えて、〇〇の上に」という意味です。ここまで学習してきたoverとabove、両方が出てきたので覚えやすいですね。
しかし、overとaboveは似て非なることがわかったので、セットで使うとなるとどういうことになるのかと首をひねる方もいるかもしれません。そういうときは、イディオムなので決まり文句として覚えてしまいましょう。ニュアンスを感じ取ることは大切ですが、とらわれすぎると訳が分からなくなってしまうので気を付けてくださいね。
Over and above them, he said “No."
「彼らに加えて、彼までノーと言い出した」文章に意味を付け加える形となるので、文頭に置くか、文末に置くことで修飾していることをアピールできます。
Above and beyond
Above and beyondは「〇〇に加えて、〇〇を超えて」という意味です。
先に例文を見てみましょう。
His score is above and beyond.
「彼のスコアは予想以上です」「予想を超える」という意味でよく使われます。beyondには、想像していたことのさらに奥を示すイメージがあるので、想像を超えたことを表すには最適なのです。
Sleep over
Sleep overは「泊まる」と訳します。
英語で「寝る」はsleepですが、ここにoverを使うことで外泊という意味を付与できます。
前置詞は動詞ほどはっきりとした意味がないのでつい軽視してしまいがちですが、単に寝るのとは意味が違ってくるので決まり文句として覚えておかなくてはなりません。
動詞のsleepがわかればそれほど間違った意味に捉えることはないかもしれませんが、日常会話では誤解が生まれることもありえますね。
I don’t want to sleep over at gramma’s house! Because there is a ghost there.
「おばあちゃんちには泊まりたくないよ!だってお化けが出るんだもん」aboveでもoverでもないonの使い方
さて、先ほど少し触れましたが、ここでは追加として前置詞onの使い方も見ていきます。同じ「上」を表す前置詞なので、混同しないよう、正しく使えるようにしておいた方が良い単語です。
onのイメージは、接触していること、面していること、そして身に着けていることです。浮いているイメージがあったaboveの代わりとして使えないことがわかりますよね。
例えば、以下のような場合にはonを使います。
There are some notebooks on the table.
「机に何冊かノートがある」on the tableは、イディオムのように覚えたかもしれませんね。中学1年生の早いうちに、場所を表す前置詞はおおかた習います。セットで覚えるのは、Where~?という疑問詞を含む疑問文です。その応答文として習っています。
overやaboveと比べると馴染みがある単語で、早いうちから習っているのでニュアンスはなんとなくつかんでいるのではないでしょうか。
また、「服を着る」という動詞は、put onとイディオムで暗記しています。中学生のときには最初からイディオムとして覚えるので、なぜ前置詞がonであるかというところまで気が回らなかったかもしれませんね。確かに暗記してしまえば早いですが、onには身に着けるというイメージがあるので「着る」に使われるのです。
overとaboveの違い まとめ
overは、「〇〇を超えて」「〇〇を覆って」というイメージがありました。その一方で、aboveには「〇〇よりも上」「浮いている」というイメージがあり、静止しているのでしたね。使い方を間違えないよう、意識して使ってみてください。
◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.