日本語の「大変」という言葉には、大きく分けて2つの意味があります。
一つは、「大変だったね。大丈夫?」というような、辛く苦しい状況を表す意味です。
そしてもう一つは、「大変参考になった」というように、「とても」「非常に」と、状況や状態の度合いが大きいことを示す意味です。
英語で「大変」という場合には、この2つの意味の中でも、さらに細かいニュアンスの違いで使い分ける必要があります。
この記事では、英語で「大変」と言いたい時に使える様々な表現を例文とともに紹介します。
辛い状況にある相手をいたわる時や、ビジネスシーンで感謝の気持ちを表したい時に使える英語表現ばかりです。
「大変」の英語表現
「大変」を意味する表現について、「辛く苦しい」という意味の単語と、「とても・非常に」という意味の単語に分けて紹介します。
「辛く苦しい」という意味の「大変」
「辛く苦しい」という意味で「大変」であることを表す英単語には、次のようなものがあります。
hard
difficult
tough
challenging
terrible
awful
「hard」は、肉体的や精神的に辛い時によく使われます。「hard」が表す「大変」には、「きつい」や「しんどい」というニュアンスが含まれています。
「difficult」は、知識・技術・判断力などが求められる、複雑な問題を解決するのが「大変」であることを指します。そのため、「頭を使うから大変」であると言いたい時は、「difficult」を使います。
「tough」は、「difficult」や「hard」よりも辛く苦しい状況で「大変」であることを表します。
「challenging」は自分の能力が試されている時、そして「terrible」や「awful」はひどく悪い状態を表す時に使います。
「とても・非常に」という意味の「大変」
「とても」という意味で「大変」を意味する単語には、以下のようなものがあります。特によく使われるのは「very」「so」「really」です。
他に「とても・非常に」という意味で使われる単語には、以下のようなものがあります。
extremely
exceedingly
seriously
greatly
remarkably
highly
greatly
「extremely」は「極めて」「非常に」という強い意味で「大変な状態」を指す単語です。「exceedingly」も「極めて」「甚だしく」という意味です。
形容詞「serious」や副詞「seriously」は「ひどく」「深刻な」というニュアンスの単語で、しばしばネガティブな意味で使われます。
逆に「greatly」は「大変感謝している」といったポジティブな文脈で使われることが多いです。
「remarkably」は「注目すべき」「目立った」という意味合いで使われます。
そして「highly」は、「高度に」という意味で、特に学術的な場面で使われることが多い表現です。
日常会話で使う時
日常英語で「大変」という表現を使う時は、相手が困難な状況にいる時に「大変だね」と相手に寄り添う表現を使えるようにしておくと良いでしょう。
辛い・困難な場面
大変な状況の人がいて、その話を聞いた時に「大変だね」と言う時に使う代表的な単語は、「hard」「difficult」「tough」です。
That’s tough.
大変だね
It must be hard.
大変だね
そして、相手の話を聞いて「大変そうだね」と共感する時は、動詞「sound」を使います。
That sounds hard.
大変そうだね
「〜そう」という表現には「look」と「sound」がありますが、直接見たことに対しては「look」を使うのに対し、「sounds」は人から話を聞いたことに対して使います。
その他に「大変」な状況を表す単語の例としては、厳しい試練などに対して「大変だ」という「challenging」という単語があります。
I know that this will be a challenging job.
私はこれが大変な仕事だとわかっている
challengingは「大変」という意味ながら、「挑戦しがいのある」というポジティブなニュアンスを含むことが多いです。
一方、「terrible」と「aweful」は、いずれもひどく悪い状況を指す時に使います。
He got a terrible injury.
彼は重傷を負った
I cannot believe that she committed such an awful crime.
彼女がそんな大変な犯罪を犯したとは思えない
また、「大変」を意味する単語を使わずに、「大変でしたね」と言うこともできます。
I’m sorry to hear that.
それは大変でしたね
I feel for you.
お察しします
「とても」の意味で使う時
「とても」や「非常に」という意味で「大変」と言う場合、最も多く使うのが「very」です。
The man was a very kind person.
その男性は大変親切な人だった
This PC was very expensive.
このパソコンはとても高価だった
また、veryと同じくらいよく使われるのが「so」と「really」です。「so」はveryよりカジュアルな表現です。
Your puppy is so cute!
あなたの子犬とっても可愛いね!
また、「really」は、「Really?(本当?)」と聞き返す表現でおなじみですが、日常英会話では「とても」という意味で頻繁に使われます。
It’s really cold today.
今日は本当に寒い
I really enjoyed the party last night.
昨夜のパーティーは本当に楽しかった
他にも、「とても」という意味で「大変」ということを表す単語はたくさんあります。
This is an extremely important way of thinking.
これは大変重要な考え方です。
The attack on the embassy caused serious damage.
大使館へのテロは大変な被害を生んだ。
seriousはネガティブな意味合いで使うことが多いですが、もちろん日本語のカタカナ語で「シリアスな」と言う時と同じように「まじめな」という意味で使うこともあります。
She takes things too seriously.
彼女は物事をまじめにとらえすぎる
ビジネスシーンで使う時
ビジネスシーンで「大変申し訳ありません」「大変助かります」と言う時は、日常会話とは少し違う表現が使われます。
「大変申し訳ありません」
仕事でミスなどをしてしまった場合に謝罪する時は、「apologize(謝罪する)」という動詞を使います。
We do apologize for any inconvenience caused.
ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません
I apologize for my mistake.
間違いをお詫びします
謝罪するための表現としては「I’m sorry」が思い浮かぶ人も多いと思いますが、ビジネスの場にはあまり適しません。
なぜなら「I’m sorry」には「残念に思う」という意味もあるため、謝罪の意思があるのかどうか不明確になってしまうからです。
明確に謝る意図を示したい時は、「apologize」を使う方が無難です。
ただ、「I’m sorry」もビジネスの場で頻繁に使われます。深刻さの度合いが低い場合は、「I’m sorry」を使っても問題ありません。
I’m sorry for forgetting about the meeting.
ミーティングのことを忘れていました、すみません
また、「I’m sorry」を使って「大変申し訳ありません」と言いたい時は、「I’m」という省略形ではなく、「I am」と略さない形を使うと誠意が伝わりやすくなります。
さらに、「sorry」を「terribly」「extremely」「sincerely」などで強調すると、「大変申し訳ありません」と心から謝罪している意図を示すことができます。
I am terribly sorry for being late.
遅刻して大変申し訳ありません
「大変助かります」
仕事などを手伝ってもらう時や手伝ってもらった時に、「大変助かります」と言いたい場合は、「help」や「helpful」を使います。
まず、これから手伝ってもらう時に「〜してもらえると大変助かります」と伝える時は、以下のような表現を使います。
It would be a great help if you could come with me.
私に同行していただけると大変助かります
また、helpを使わずに、感謝していることを示す動詞「appreciate」を使ってシンプルに感謝を伝えてもOKです。
I'd appreciate it if you did that for me.
そうしていただけると大変助かります
そして、既に手伝ってもらったことに対して「ありがとう。大変助かります」と言う時には、名詞「help」・形容詞「helpful」・動詞「help」を使うことができます。
Thank you. This is very helpful.
ありがとう。とても助かります
It was a great help.
大変助かりました
It helped a lot.
大変助かりました
そして、助けてもらった時も「Thank you for〜」や「I appreciate〜」を使って感謝を伝えることで、「大変助かります」という意味になります。
「大変」の英語表現 まとめ
「大変」と言いたい時に使う英語表現には、大きく分けて「辛い・困難な場面」という意味と、「とても・非常に」という意味の2つがありました。
また、2つの意味に対してそれぞれニュアンスの違う表現がたくさんあり、場面や状況によって使い分ける必要がありました。
英語初心者にとっては、これらの使い分けはハードルが高いかもしれません。初心者の方は、相手につらい状況を打ち明けられた時などには、とにかく「相手に寄り添っている」姿勢を示すと良いでしょう。
中級以上の学習者は、状況に応じて適切な「大変」を意味する表現を使い分けて、英語でより豊かな内容のコミュニケーションをとれるようにしましょう。

◇経歴
東北大学大学院で「日本人の英語習得」について研究、英語で論文執筆・学会発表
◇資格
・TOEIC860点
◇海外渡航経験
ギリス・アメリカ・オーストラリアに留学、フィンランドで学会発表
◇自己紹介
はじめまして。英語学習Webライター・兼・英語学習研究者のなっつるんです。
Webライターという仕事を通して、「日本人の大人がどうやったらラクに英語を覚えられるか」を追求しています。
最近英会話のカンが鈍ってきたと感じ、オンライン英会話のレッスンを受け始めました。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.