韓国の結婚事情とは?結婚式や国際結婚のあれこれ

韓国の結婚事情とは

 

日本では晩婚化や未婚化が進んでいると言われていますが、お隣り韓国の結婚事情はどうなのでしょうか?

今回は、現在の韓国の結婚事情や日本とはちょっと違う結婚式の様子、韓国人との国際結婚についてなどを、韓国在住の筆者が実体験も交えて詳しくご紹介します!

 

日韓の結婚事情

 

まずは、日韓の現在の結婚についてデータで比べてみました。

〈平均初婚年齢(2019年度)〉

  男性 女性 データソース
日本 31.2歳 29.6歳 厚生労働省・人口動態統計
韓国 33.4歳 30.6歳 韓国統計庁

 

〈生涯未婚率(2015年度)〉

  男性 女性 データソース
日本 23.4% 14.1% 国立社会保障・人口問題研究所
韓国 23.4歳 5.0歳 韓国統計庁人口census

 

※生涯未婚率とは、「45~49歳」と「50~54歳」の未婚率の平均から50歳の未婚率(一度も結婚したことがない割合)を算出した統計指数。

2つの表からは、日本よりも韓国の方が晩婚化が進んでいる事、そして日本の深刻な未婚率が見て取れます。

 

結婚準備とお金

 

さて、ここからは韓国の結婚について詳しくお話していきたいと思います。結婚の意思が決まってご両親に挨拶をすませたら、いよいよ結婚式や新居の準備に入ります。

 

結婚準備

 

韓国では昔から、男性側が住居を準備するという習わしがあり、今でもそれが引き継がれています。

ここ最近の不動産の高騰により、家の購入代金すべてを男性側の家で用意することは難しくなりましたが、頭金としてまとまった額を男性側が支払うというのが暗黙の了解です。

一方、女性側は「혼수(婚需/ホンス)」と呼ばれるいわゆる嫁入り道具を準備します。買い揃えるものは、結婚生活で必要な家具や寝具、家電、結婚式で着る伝統衣装などになります。

両家の費用の差があまりにも大きいと、結婚自体が破談になったり結婚後まで両家が揉めて裁判まで発展する事も。お金の事はしっかり話し合っておく必要がありますね。

 

贈り物예물と예단

 

日本の様な格式ばった結納は行いませんが、それぞれ金品を贈りあう風習があります。

「예물(礼物/イェムㇽ)」は結婚前の男女が互いに贈りあう記念品の様なもので、ペアの指輪や腕時計が一般的です。

「예단(礼緞/イェダン)」は新婦側から新郎の家族や親戚に贈るもので、昔は絹の織物を贈っていましたが現在では現金を贈ることがほとんどです。

新郎の親戚のどこまで、どれだけの額を贈ったらいいのか、ここでしくじると今後の家族関係にも影響を及ぼすので、新婦が非常に頭を悩ませるところです。

そして新郎側は、この「예단」に対して「봉채(ボンチェ)」または「꾸밈비(クイㇺビ)」という名目で受け取った額の半額相当を新婦側に贈ります。

 

結婚式について

 

結婚式は新婦側の地元で執り行うのが一般的ですが、時代の移り変わりとともに、夫婦の職場付近や新郎側の地元など多様に変化しています。

結婚式の会場となるのは、ホテル・チャペル・専用の結婚式場・伝統韓国式の式場などがあります。

招待客は小規模とされる式でも両家合わせて200人。大規模の式になると400~500人にもなります。

 

式の流れ

 

ホテルや結婚式場で行われる結婚式は、式場こそ日本と似ていますが式の流れは全く違います。気になる韓国の結婚式の一般的な流れは以下の通りです。

■式の前
新婦は結婚式が始まる30分くらい前に「新婦控室」に入って待機します。この部屋には招待客が自由に出入りでき、式前の新婦に挨拶をしたり一緒に写真撮影をしたりします。

結婚式が始まってしまうと新郎新婦と写真を撮る機会はありませんので、式前のこの時間がウェディングドレス姿の新婦と写真を撮れる唯一のチャンスです。

この時新郎は何をしているかというと、受付付近で両家の両親とともに来場者へ挨拶しています。

■入場
まず最初に入場するのは両家の「어머니(オモニ)」、お母さんです。手をつないで入場した後、祭壇のろうそくに火を灯します。

続いて新郎が1人で入場、新婦はお父さんとバージンロードを歩き、新郎に引き渡されます。

■指輪の交換
結婚式を司る「주례(主礼/ジュレ)」が結婚宣言をし、お祝いの言葉などを頂いたら、次は結婚指輪の交換です。交換の儀式自体は日本と同じです。

■友人からのお祝い
チャペルの中ですが、ここで余興が入ります。新郎新婦の友人から歌のプレゼントというのが定番です。ミュージカル仕立てだったり、歌の歌詞に合わせて新郎新婦にキスをさせたり、新郎がサプライズの手紙を読んだりと、短い時間に趣向を凝らした余興がたっぷり詰まっています。

■両親へ挨拶
式が始まって30分もたっていませんが式は終盤、両親への挨拶へ。挨拶は新婦の両親、新郎の両親の順に行われます。

新郎は큰절(クンジョㇽ)という最も丁寧で正式な頭を低く下げるお辞儀を、新婦は立ったまま深くお辞儀をします。

■新郎新婦退場
来場者に向かって一礼したら、新郎新婦で腕を組んで退場します。…が、退場してすぐに写真撮影のため再び会場へ戻ります!

■写真撮影
まずは親族のみ集まって写真撮影。続いて友人たちとみんなで写真撮影をします。

早々と昼食を食べに会場を出て行ってしまう人も多いですが、親しい間柄ならば写真撮影は是非参加してあげて下さい。人が全然いない写真撮影ほど悲しいものはありません。

■ブーケトス
写真撮影が終わったら、最後のイベントブーケトスです。

以前「韓国に伝わる迷信」の記事でご紹介しましたが、韓国には「ブーケを受け取って6ヶ月以内に結婚できなかったら3年間独り」という謎の迷信があります。

そこで韓国では、誰が受け取るかわからないブーケトスではなく、今後結婚することが決まっている女性にブーケを直接手渡しするスタイルが多く取られています。

■ビュッフェ
式が終わると来場者は別の階に用意されているビュッフェ会場へと移動し、受付でご祝儀を渡した際に受け取る食事券を出して中に入り食事を楽しみます。

ビュッフェの場合、席は自由。食事内容は韓国料理に加えお寿司やパスタ、デザートなど様々です。

食事をしていると、伝統衣装に着替え伝統式を終えた新郎新婦が各テーブルを回って挨拶に来ます。そして、挨拶が終わった新郎新婦も一緒にビュッフェ会場で食事を楽しみます。

 

伝統式「폐백(ペペㇰ)」

 

洋式の結婚式が終わると、新郎新婦は韓国の伝統衣装に着替え、親族とともに伝統式「폐백(ペペㇰ)」を執り行います

ペペㇰでは、新郎の親族に伝統的なおじぎ큰절(クンジョㇽ)で挨拶をしたり盃を交わしたりします。

他にも、新郎の両親が栗とナツメを投げ、新郎新婦が広げた布でそれを受け取り、取れた数で子供の数を占うという儀式も。洋風の結婚式とは打って変わって伝統色の濃い内容となっています。

最後に「あなたの人生を背負って生きます」という意味で新郎が新婦を背負って一周してペペクはおしまいになります。

ペペㇰとは新婦が初めて嫁ぎ先の家族に挨拶する儀式なので、新郎の両親と親族に向けてのみ行われ新婦側の家族は蚊帳の外なのが伝統的なスタイルですが、ここ最近は夫婦平等・男女平等の考えの元、両家で行うスタイルも増えています。実際に筆者のペペクの場合も私の親も同様に挨拶をし盃を受けました。

 

参列者の心得

 

もしもこの先韓国の結婚式に招待された時に困らないように、これだけは覚えておいた方がいい参列者側の心得をご紹介します。

■招待状をもらったら
結婚式に参加する予定の場合は、招待状をもらってから別途参加の意向を伝えなくても構いません。一般的な韓国の結婚式が席次の必要のないビュッフェスタイルで人数を確定する必要がないからです。

ただし、出席できない場合にはきちんと連絡を入れ事情を説明するのがマナーです。

■服装
新郎新婦の親族は、韓国の伝統衣装「한복(ハンボㇰ)」を着ますが、招待客が着ることは余りありません。

招待客の服装でのタブーは、日本と同じで白い服。

スポーツウェアの様なカジュアルすぎる服装も失礼に当たりますが、かと言って日本ほどドレスアップする必要はありません。

男性ならば無難にスーツか、デニム+ジャケットの様なカジュアルな人も割と目にします。

女性はワンピースやオフィスカジュアル程度までと日本より許容範囲は広く、足元もストラップのないサンダルやブーツもOK。髪型もアップにせず普段通りです。

つまり、極端に派手だったりカジュアルすぎる服装でなければ基本的に何でも大丈夫なのが、韓国の結婚式です。

■ご祝儀
韓国の結婚式では引き出物が無い事がほとんどで、あってもプチギフト程度。また、食事もコース料理でなくビュッフェスタイルの為、招待客一人当たりにかかる金額は日本より格段に安いと言えます。

そのため、ご祝儀の相場も日本より安くなっていて、友人・知人ならば5~10万ウォン(約5千~1万円)が一般的です。

韓国でもご祝儀には新札が好ましいとされていますが、日本ほどこだわりはないので皺のついたお札でもOK。

ご祝儀を入れる袋は、日本の様な飾りのついた立派な祝儀袋でなくても構いません。結婚式場の受付付近には白い無地の封筒とペンが用意されていて、その封筒を利用する人も沢山います。封筒の後ろに名前をペンで書いて受付に提出し、人数分の食事券を受け取ります。

 


ここで少し余談!

 

下記記事では、韓国語を独学で効率よく勉強する方法をご紹介しています!独学で勉強するにはコツがありますので、是非ご参考にしてください♪

 

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国際結婚事情

 

その他韓国における国際結婚事情をご紹介します。

婚姻届

日本人が韓国人と結婚する場合は、日本と韓国とで婚姻届けを提出する必要があります。日本側と韓国側、どちらを先に提出しても問題ありません。

苗字は変わる?

韓国は夫婦別姓を採用していますので、韓国人と結婚しても苗字が変わることはありません。結婚から6か月以内であれば、大使館及び領事館で手続きをし、日本の戸籍上の姓を変更することも可能です。

韓国で生活するには

結婚しても韓国国籍になるわけではありませんし、永住権が発生する訳でもありません。韓国で生活するには駐日韓国大使館及び領事館で「結婚移民ビザF-6」の取得と、韓国での「外国人登録」が必要になります。

 


ここでまた少し余談!

 

下記記事では、韓国語のことわざをご紹介しています!韓国独特の表現を知ると、国の文化的背景が見えてきますよ♪

 

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おわりに

 

今回は、私の経験から最もポピュラーな結婚までの流れと結婚式をご紹介しましたが、宗教や家族関係によっては結婚までの流れも変わりますし、式場やプランも豊富で結婚式のスタイルも実に多彩です。

あくまでも韓国の結婚式の一例として参考にしていただき、韓国の結婚式やその背景にある文化に興味を持つきっかけとなれば幸いです。