言語を習得するうえで取り組むべき4つの分野があります。
リーディング(読む)、リスニング(聞く)、ライディング(書く)、スピーキング(話す)
どれも大切な分野なのですが、中国の方と会話する際に最も重視すべき分野はどれでしょうか?
答えはリスニングです。
なぜなら中国の方とのコミュニケーションにおいて相手の言っていることがわからないと意思の疎通を図ることができないからです。
相手が何を言っているのかがわかりさえすればこちらの言いたいことは何らかの方法で伝えることができます。
まずはリスニング力を高めよう!!
もちろん他の3つの分野も重要なのですが、中国語を勉強したばかりの状況においてはまずこのリスニング力を高めていくことでとても有利に中国語を学習していくことができます。
聞き取れるようになれば基礎単語が脳に蓄積されるのでより楽にスピーキング能力を向上させることができます。会話力を高めるためにまず聞く力を上達させましょう。
※ちなみに中国語でリスニング力のことを“听力”(ピンインTīnglì )と言います。
この“听力”という言葉は音声を聞き取る聴覚の能力を挿す場合もあれば、英会話などの外国語を聞き取る能力を指す場合もあります。
興味深いのが“力”という感じが用いられていて、聞くことは能力であるという概念が中国語にあるということです。
でもいくらリスニング力が大切だといわれても「自分は中国語の初心者なのにリスニングなんてできないよ…」と思われるかもしれませんね。
大丈夫です!中国語のリスニング力を補う方法は存在します!
そしてその方法は普段の日常会話を通して高めていくことが可能です。
教材を購入したり授業を受けなくても普段から意識していれば確実に身に着けることができます。
このコラムではこの技能について紹介させていただきますので、是非このスキルを身に着けるようにしてください。
聴くことの大切さを理解する!!
スキルの説明の前にまず聞くことの大切さについて理解しておきましょう。
これは外国語の学習に限ったことではありません。なぜ聞くことが大切かというと、
人は良く話を聞いてくれる人に話そうとするからです。
中国語を学びての段階では言語能力に大きなハンデがあります。
そんななかで、中国の方が私たちと話す際にもエネルギーが必要です。
でも、相手に「この人は自分の話をよく聞いてくれるなぁ」と思っていただければ相手の人は喜んで話してくれます。
本当に耳を傾けることは相手のに対する最高の敬意の表現の一つである
いい言葉ですね~。本当にその通りだと思いませんか?立場を置き換えて考えてみましょう。
あなたが他の人に話しているのに相手の人がずっとスマホをいじっていたらどうでしょうか?
「この人は自分の話に興味ないな…」
と思うでしょうし、話したくなくなりますよね。
それと同じで相手の話をよく聞くことで自分が真剣に相手の話を理解しようとしていることをわかってもらいましょう。
不動の世界のベストセラーとして知られる聖書にもこんな言葉があります。
“聞くことに速く、語ることに遅く、怒ることに遅くある”
中国語では
“敏于聆听,不急于说话,不急于动怒”
となります。
言葉はコミュニケーションの一つの方法に過ぎませんが、聞く力を高めることはコミュニケーション能力を高めるだけではなく、人間関係そのものを円滑にすることにもつながります。
中国語の学習のためだけでなく、よりよい人生を送るために是非リスニング力の向上に取り組んでいきましょう!!
アクティブリスニングとは?
これは話を聞くときのスキルの一つのことで、話し手と聞き手の相互理解を確実に図ることができる方法です。
聞き手が話を聞いた後、鏡のように相手の人の考えを映し出すことができるので鏡映(元々は数学用語)とも呼ばれています。
聞き手が相手の話を理解するために積極的に行動することからアクティブリスニングと呼ばれています。
アクティブリスニングにはいくつかの段階があります。
1.十分に集中して大事な点を聞き落とさないようにする。他のことを考えたり、スマホを見たりしないようにする(スマホをマナーモードにするとより会話に集中でき、相手に本気度が伝わる)。
2.言葉の裏にある感情を理解するようにする。
3.聞いた事柄を話し手に確認する。「今おっしゃったことの意味は~ということですよね?」と確認を繰り返しながら話を聞いていく。相手の考えを理解することに注意を集中し、相手の感情を認める。批判はしない
4.3の段階で聞き手が十分に話を理解できていないことが分かれば話し手がその点についてもう一度説明してくれる。
5.相手の考えを理解できていない場合、再度1~4のステップを繰り返す。
まず普段の会話でこのアクティブリスニングを繰り返すようにして、スキルを自分のものにしましょう。
お気づきの通り特別なことをする必要は全くありません。その気になれば誰でもできることです。
でも、実際の日常会話の中でこれを完璧に実行できている人というのは実はそれほど多くなかったりします。
是非、ご家族や友人との会話の中で繰り返し練習して習慣にするようにしてみましょう。
ここで少し余談!
下記記事では、中国語をマスターするための近道をご紹介しています!なかなか中国語学習がはかどらない方はぜひ参考にしてみて下さい♪♪
中国語でアクティブリスニングしてみる
ここでアクティブリスニングにおいて必要となる中国語を紹介します。
第1段階:まず1の段階では特に覚えないといけない中国語はありません。
ただ、スマホをマナーモードにすることで本当に会話に集中していることを相手に伝えられますので、よければこのように述べてみてください。
我把手机调到静音模式
(ピンイン:Wǒ bǎ shǒujī diào dào jìngyīn móshì )
“手机”は携帯電話のことです。“静音模式”はマナーモードを意味しています。
「長くて覚えられないよ~」と思われる方は、スマホを手にして
静音(ピンイン:jìngyīn )
これだけで分かってももらえます。
まずこの段階1で自分が会話に集中していることをアピールしましょう。
第二段階:ここでは相手の感情を理解していることを示すためにうなずいたり相槌を打ったりしましょう。
中国語ではこのように言うことができます。
嗯(ピンイン:Ēn)-「ウン」の意味
是吗…(ピンイン:Shì ma)-「そうですか」の意味
ここはあまり中国語でどういうかを気にしないで大丈夫です。むしろ話を聞くことに注意を集中しましょう。
第三段階:ここで中国語の表現を用いる必要があります。相手の話したことを自分が理解できていることを確認しなければなりません。
「今おっしゃったことの意味は~ということですよね?」という言葉を中国語にするとこのようになります。
你的意思是~吗?(ピンイン:Nǐ de yìsi shì ~ma )
話の途中で繰り返しこのように尋ねることによって自分が相手の話を理解していることを確認していくことができます。
話の序盤で聞き間違えてしまうと後までずっと間違った理解のまま会話が進んで行ってしまいますので相手の方の会話を遮らない程度に確認していきましょう。
ただ、言語能力にハンデがある状態では繰り返し確認してもわからないということがあると思います。
私も何度もそういった状況に局面しました。そんな状況を打破するためにはこの方法を試してみましょう。
「今おっしゃったことの意味は~Aですか?それともBですか?」
你的意思是A还是B?(ピンイン:Nǐ de yìsi shì A háishì B? )
この二者択一の質問をすることで相手の方の言いたいことを絞り込むことができます。
ここで取り上げた表現はアクティブリスニングにおいて核となりますので是非ここでしっかり覚えていってくださいね。
第5段階:第4段階では特に必要な中国語はありません。第5段階ではこれまでの会話の内容の中で理解できなかった部分を再度尋ねる必要があります。
ここでは以下のフレーズを参考にしてみてください。
もう一度話していただけますか?
请再说一遍(ピンイン:Qǐng zàishuō yībiàn )
先ほどおっしゃった~が聞き取れませんでした。もう一度話していただけますか?
刚才你说的~我没听出,可以再说一遍吗?(ピンイン:Gāngcái nǐ shuō de ~wǒ méi tīng chū, kěyǐ zàishuō yībiàn ma )
アクティブリスニングの際のコツと注意点
コツですが、是非“心で聴く”ようにしてみてください。つまり相手の方の言っていることをただの情報として理解するのではなく相手の方の気持ちや感情を共有することができるように努力してみましょう。
※聴くという漢字をよく見てみると“耳”という文字だけでなく“心”という感じも含まれています。人の話を聞くことには心が深く関係しているということは昔も現代も変わっていないんですね~。
注意点ですが、他の人の話をじっくり聞いていると色々思うことがあるものです。
つい、自分の意見を言いたくなってしまいますが、アクティブリスニングの目的は相手の考えを理解することにありますので相手の人の話を遮って自分の意見を述べたり、批判したりしないようにしましょう。
ここでまた少し余談!
下記記事では、「中国旅行」に行くときに覚えておいた方がいい中国語表現についてご紹介しています!旅行をスムーズに進められるようにこれだけはぜひ覚えていって下さい♪♪
最後に
今回のコラムはリスニング力の向上、アクティブリスニングのスキルについて紹介させていただきました。
いかがだったでしょうか?
このスキルは中国語に限らず全ての会話に応用することができます。まさに世界中どこでも通用するスキルです。
このスキルは中国語の言語能力とはまた別の能力ですが、アクティブリスニングのスキルが高ければ高いほど中国語のレベルの不足を沢山補うことができます。
そして、最高の副産物としていろいろな人と良好なコミュニケーションを図ることができ、より充実した人生を送ることができるようになります。
是非、“心で聴く”ことを実践できるように取り組んでみてください。加油!