「ナメるなよ!」
海外旅行のショッピングやタクシーなどで、口には出さなくても、そう思ったことがある方もいるのではないでしょうか。あるいは、オンラインゲームなどで海外の方にナメられていると感じたことがある方もいるかもしれません。
良い言葉ではないので、使わないに越したことはありませんが、とっさに使うことができれば文字通りにナメられずに済み、結果的に物事がうまくいくこともあります。
また、自分では使わないとしても、この記事でご紹介するフレーズを相手が言っていたら、何かの誤解で相手を怒らせてしまったと気付けます。
そこで、この記事では「ナメるなよ」を英語でどう言うのか、また、その語源についても掘り下げて解説しています。
- 「ナメる」の語源
- stupid/idiot/foolを使った「馬鹿にするな」の表現
- 「からかうな」「ふざけるな」の意味の「ナメるなよ」
- 「見くびるな」の意味の「ナメるなよ」
- 「ナメるなよ」のその他の表現2つ+スラング1つ
- まとめ
「ナメる」の語源
まず始めに、「ナメる」の英語の直訳は無いと言えます。ですが、その意味やニュアンス、あるいは使われる文脈などを紐解いていくことで、同じような意味で使われる英語のフレーズが分かります。
そこで、まずはナメるの語源や意味について見ていきましょう。ナメるは漢字では「舐める」、あるいは「嘗める」と書きますが、当て字であるとされています。元々は無礼の意味である「なめ(無礼)」、または形容詞の「なめし(無礼し)」が動詞化したものと考えられているため、「ナメる」と言う場合、以下の意味を含みます。
·無礼な態度を取る、からかう、ふざける
·軽く見る、見くびる
したがって、「ナメるなよ」というのは、
1.馬鹿にするな
2.からかうな、ふざけるな
3.見くびるな
という意味の表現であることが分かります。
「ナメるなよ」をそのまま英語に直訳することは難しいですが、これらの意味を含んだフレーズを使うことで、ほとんど同じ意味合いを表現できます。
stupid/idiot/foolを使った「馬鹿にするな」の表現
上で見たように「ナメるなよ」は「馬鹿にするな」という意味で使われることがあります。さて、「馬鹿」という日本語を聞いて、どのような英語を思い浮かべるでしょうか。一般的には、
·stupid
·idiot
·fool
の3つが当てはまります。
この章では、そのstupid/idiot/foolを使った「馬鹿にするな」の英語フレーズを4つご紹介します。
Do you think I’m stupid/an idiot?
1つ目のフレーズは”Do you think I’m stupid/an idiot?”です。
そのまま、「俺のことを馬鹿だと思ってるのか?」と訳せますが、言いたいことは「俺は馬鹿じゃない」、つまり、「馬鹿にするな」となります。「ナメるなよ」という表現からは少し遠いかもしれませんが、似たようなニュアンスを表すのに最も簡単な言い回しです。
ちなみに、stupidは形容詞なので、冠詞や定冠詞(aやthe)は不要です。ただし、stupidの後に名詞が続く場合は、次の例のように冠詞、あるいは定冠詞が必要です。
Don’t take me for a fool.
2つ目にご紹介するフレーズは”Don’t take me for a fool.”です。
foolが日本語で言う馬鹿という意味なので、直訳すると「俺を馬鹿だと思うな」といった意味合いになります。takeという単語からは「思う」という和訳は結びつきにくいかもしれませんが、take forで「~だと思う」という意味になります。
英会話の中·上級者の方であれば、”take (it) for granted”(=(それを)当然のことだと思う)という構文と同じと言えば理解しやすいでしょうか。
例えば、
(あなたのために彼の署名を偽造したりしないよ!)私を何だと思ってるの?
となります。
そして、この例で”Don’t take me for a fool.”と言えば、
·あなたに言われたことは、なんでもやるわけじゃない
·文書偽造するほど馬鹿じゃない
というニュアンスで「馬鹿にしないで」、つまり「ナメるなよ」となります。
Don’t make a fool of me.
3つ目は”Don’t make a fool of me.”です。
ここでは”make of”が「~だと思う」、「~だと考える」という意味になります。このことから、“Don’t make a fool of me.”は「俺を馬鹿だと考えるな」=「ナメるなよ」となります。
ちなみに、”make A of B”で「Bを素材にしてAを作る」という他の使い方があり、例えば、“I made a chair of wood.”「木で椅子を作った。」となります。
Don’t treat me like a fool.
4つ目の”Don’t treat me like a fool.”はtreatを直訳すると「扱う」という意味なので、「俺を馬鹿みたいに扱うな」=「馬鹿にするな」となります。stupid/idiot/foolの違い
これまで「馬鹿にするな」の「馬鹿」に着目した表現をご紹介してきましたが、stupid/idiot/foolの違いについて少しだけ解説いたします。
·stupid(形容詞)=馬鹿(な)
·idiot(名詞)=馬鹿な「人」、大馬鹿野郎
·fool(名詞)=思慮に欠ける
という意味になります。
ちなみに、「馬鹿」に相当する英単語として”silly”もありますが、こちらは「お馬鹿さん」や「天然」のような、侮蔑するよりもある程度親しみが込められた表現なので、「ナメるなよ」という文脈には適しません。
「からかうな」「ふざけるな」の意味の「ナメるなよ」
次に「からかうな」「ふざけるな」という意味で「ナメるなよ」を表すフレーズを見ていきましょう。どのフレーズも意味はほとんど同じで、また使うシチュエーションや言い方によって「からかわないで」から「ナメるなよ」のニュアンスを表せます。Are you making fun of me?
1つ目のフレーズは”Are you making fun of me?”です。
名詞のfunは通常、「楽しみ」などを意味しますが、ここでは「おふざけ」といった意味になります。また、先ほど見た”make A of B”の構文が使われていて、「私を素材におふざけを作る」=「私をからかう」となります。
“Don’t make fun of me.”でも誤りではありませんが、”Are you making fun of me?”の方が耳にする機会が多いです。
例えば、外国の友人がふざけてあなたの日本語アクセントを大げさに真似したとします。それに対して単なるリアクションとして
「からかってる?そんなにひどくないでしょ!笑」
一方で、眉間にシワを寄せて顔を近づけて言えば、日本語の「おちょくってんのか?」という感じになるので、「ナメるなよ」という意味合いになります。
例えば、海外旅行に行った際に、道端でつり目のポーズなどをされて馬鹿にされていると感じた時に、その人に対して上のような言い方をすれば「ナメるなよ」というニュアンスになるでしょう。ただし、そのように語気を強めて言う場合は、以下で紹介する表現の方が適しているでしょう。
Don’t tease me.
teaseは「からかう」を意味し、”Don’t tease me.”で「からかわないで」となります。場合によっては「悪意をもって」というニュアンスが含まれることがありますが、基本的には”make fun of”とほぼ同じ使われ方をします。
Don’t mess with me.
部屋が散らかった様子を”messy”と表現しますが、”mess”はその動詞型です。(”dirty”は、服が汚れているとか、やり口が汚いなど、物理的に·実際的に「汚い」という意味です。)
したがって
「からかっただけさ!」
頭の中がごちゃごちゃしている=いらいらしているという時には、”Don’t mess with me!”と言うと、「いい加減にしろ!」に近いかもしれません。
“I've warned you already, don't mess with me!”
「さっき言ったよな!いい加減にしろ!(warn: 警告する)」
「見くびるな」の意味の「ナメるなよ」
「ナメる」の一番のポイントは「見くびる」や「下に見る」という点にあります。
それらを意味する英語フレーズを3つご紹介します。
Don’t look down on me.
1つ目のフレーズは”Don’t look down on me.”で、”look down on”は文字通り「見下す」という意味を表します。
彼女は職に就いていなかったので、彼らに見下されている(=ナメられている)と思った。
この文の女性のイライラが頂点に達して、彼らに発する言葉は
「ナメるなよ!」
ちなみに、単に「(上から下を)見下ろす」と言いたい場合には、”look down at”や”overlook”が使えます。
Don’t diss me.
この”diss”(あるいは、”dis”)は、日本語でも浸透しつつある「ディスる」という言葉の語源で、”disrespect”の省略形、あるいはスラングにあたります。否定の接頭辞”dis”を伴って、「リスペクトしない」ということなので、日本語への直訳は難しいですが、
·失礼をはたらく
·礼儀を欠く
·こき下ろす
といった、相手をなじるような意味合いを持っています。
“Don’t diss me.”=“Don’t disrespect me.”は、あえて直訳するならば、「無礼だぞ」というような意味合いになるかと思いますが、口語的には「ナメるなよ」となります。
Don’t underestimate me.
『見くびるな」の意味で最後にご紹介するのは、”Don’t underestimate me.”です。“underestimate”はCambridge Dictionary(WEB版)によると、“to fail to guess or understand the real cost, size, difficulty, etc. of something”とあり、「実際の価値などを見誤る」となります。
また、“estimate”が「概算、見積もり」を意味することなどから、総じて“underestimate”で「過小評価(する)」という意味になります。これらのことから、”Don’t underestimate me.”は他のフレーズよりも理性的な印象があり、つまり、本当に怒った時に出てくるような言葉ではないということです。
では、どのようなシチュエーションで使うのがふさわしいのでしょうか。
例えば、いつもテストの結果で勝負しているAくんとBくんがいて、Aくんがいつも勝っているとします。今度のテストでもAくんはいつもどおり勝てるとBくんに言いますが、一方で、人知れず塾に通い出したBくんはAくんに対して自信満々に
「ナメるなよ。(俺を過小評価するなよ)」
この場合、Aくんには、Bくんに勝てると思う理由(=いつも勝っている)があり、またBくんにも今度は勝てると思う理由(=塾に通い出した)があることから、今までご紹介してきたフレーズよりも理性的な、落ち着いたシチュエーションで使える、あるいは使うべき表現です。
なお、この使用例では過小評価する側もされる側も理由がありましたが、必ずしもそのような状況でないと使ってはいけないということではありません。
ここで少し余談!
下記記事では「さすがだね」の英語表現についてご紹介しています!この記事を参考にして英語で相手を褒める方法を学んでいきましょう♪♪
「ナメるなよ」のその他の表現2つ+スラング1つ
これまでに見てきた英語表現は、「ナメるなよ」の、
1.馬鹿にするな
2.からかうな、ふざけるな
3.見くびるな
という意味にフォーカスしたものでした。
この章では、直訳すると意味が全く違うけれども、文脈上「ナメるなよ」という意味に置き換えられる表現を2つと、ご紹介するのが少しはばかられるスラングについて解説いたします。
Who do you think I am?
“Who do you think I am?”
俺を誰だと思ってんだ?
漫画やアニメで見かけそうな、今にもケンカが始まりそうなセリフですね。もちろん文字通りの意味としても使えますし、友人に対して冗談まじりに言えば
「ナメるなよ?朝飯前だって!」
※It’s a piece of cake.: 物事が簡単な様。朝飯前。
Watch me!
「ナメるなよ」と訳すには少し意味合いが遠いですが、”Watch me!”で「まぁ、見とけって!」のようなニュアンスを表せます。例えば、2人の男がある女性に声をかけようとしているところ、片方の男は「無理だって」と諦めているのに対して、もう片方の男は、“Watch me!”「まぁ、見とけって!(ナメんなって!)」というような場合です。
Don’t fuck with me.
最後に、「ナメるなよ」のスラングをご紹介します。いわゆるFワードを使った”Don’t fuck with me.”は、実は最も「ナメるなよ」の意味に近いかもしれません。
また「ふざけんな!」という使い方もできます。この記事を読んでいる方が使う必要がないことを祈りますが、海外で、あるいは外国人の方にこれを言われたら、相手を相当怒らせてしまったと考えましょう。
ここでまた少し余談!
下記記事では「ドン引き」に関する英語表現をご紹介しています!ぜひ参考にしてみてください♪♪
まとめ
さて、今回は「ナメるなよ」の語源と、それに関連する13の表現をご紹介いたしました。
英語の表現については、
·Do you think I’m stupid/an idiot?
·Don’t take me for a fool.
·Don’t make a fool of me.
·Don’t treat me like a fool.
·Are you making fun of me?
·Don’t tease me.
·Don’t mess with me.
·Don’t look down on me.
·Don’t diss me.
·Don’t underestimate me.
·Who do you think I am?
·Watch me!
·Don’t fuck with me.
について解説いたしました。
この記事を読んでいただいた方が、これらのフレーズを使わざるを得ない状況にならないことを願います!

東京出身·在住のSaMと申します!大学では哲学を専攻し、スポーツ関係の職に就くも、アイルランドへの語学留学を決意し退社。帰国後、Cambridge英検 FCE、TOEIC920取得。国際的な英語教師の資格であるCELTA、そしてTOEIC990の取得を目指し、現在もNative Campで英語学習を継続中。英語教師・日本語教師・翻訳家・カレー屋さんのパラレルワークを実現すること、そして小説家になるのが夢です!

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.