「あの人のボケが好き」という芸人さんはいますか?
会話の流れの中でスッと、人を心から笑わせるボケを言うのはプロの技ですね。
また、笑うことはボケ防止に効果があるとも聞きます。
なんだか世界が暗く見えるときもありますが、楽しく笑って日々を過ごしたいものですね。
今回は、「ボケる」がキーワードの記事になっています。
色々なシチュエーションで「ボケる」を英語で言えるようになりましょう!
ボケるの意味は?
まず、日本語で「ボケる」の意味はどう分類できるのか確認しましょう。
主に意味は3つです。
①お笑い的なボケる
「ツッコミとボケ」のボケです。
②年を取ってボケる
頭の働きがにぶくなることです。
③ぼやける
色が薄れてはっきりしなくなる、色がさめる、話の内容などがあいまいになる
といった意味です。ピントがぼける、論点がぼけるとか言いますね。
どの場合も語源は、「ぼく」や「とぼく」という今では古語となった動詞のようです。
「とぼける」という語が「とぼく」からきていますが、広辞苑によると4つの意味があります。
1.老いて頭の働きが鈍くなる。ぼける。
2.ぼんやりする。
3.しらばくれる。わざと知らぬさまをする。
4.わざと滑稽な言動をする。
確かに、「ボケる」の意味と対応していますね。
①お笑い的な「ボケる」
play the foolやact the foolが「おどける、ばかなことをする」とういう意味で「ボケる」として使えます。
もっと簡単にとらえてjoke「冗談を言う」でいい場合もありますが、jokeは幅が広いので、思っていることが伝わるかは微妙です。
また、ボケとツッコミは英語で表現するとfunny man and straight manです。
しかしお笑いという文化も国によって差があります。
日本の人にはよくわからないアメリカンジョークもあります。
私たちが対になる概念としてボケとツッコミを知っているのと同じようにfunny manとstraight manが認識されているわけではないという点には注意ですね。
「ボケる」を使った例文を見てみましょう!
I can’t think of a way to play the fool now.
ボケが思いつかない。
think of ○○は「○○を思いつく、考える」ですね。
I’ve never seen him act the fool.
彼がボケるところなんか見たことがない。
see+目的語+動詞の原形で「~が○○するのを見る」パターンです。
It’s something only you can do to play the fool there.
あの場でボケるなんてさすがだよ。
仮の主語がitで、意味的にはto play the fool thereがほんとの主語になっています。
Are you joking, or are you serious?
それはボケてるの?それとも本気なの?
jokeの代わりにkidもよく使います!
Provide a funny explanation of the picture.
写真でボケて。
写真の面白い説明をして!ということですね。
日本の芸人さんのボケを英語で
あの芸人さんのボケを英語にしてみました。
面白いボケはたくさんありますが、3つだけ紹介します!
霜降り明星の、宇宙人のネタです。
宇宙人に体を乗っ取られたせいやさんがこう言いました。
I will get u-can qualifications for this guy before I get out of his body.
ユーキャンの資格を取りまくって、こいつに体を返してやる。
南海キャンディーズの、美容師のネタです。
美容師のしずちゃんが、お客さんの山ちゃんにシャンプーをしようとして
Ouch, ouch, ouch, brace yourself for hot water.
熱っ熱っ熱っ お湯加減 大変熱いので気合い入れてください。
最後は、サンドウィッチマンのあの一言です。
定番のフレーズになっていますね。
I don’t understand what you are saying.
ちょっと何言ってるかわかんない。
アメリカのお笑い、Standup Comedy
日本のお笑いや漫才と言えば、ボケとツッコミのコンビが観客を笑わせるスタイルが主流ですが、外国でもこのスタイルが一般的というわけではありません。
アメリカのお笑い文化に欠かせないStandup Comedyをご存じですか?
アメリカではStandup Comedyから人気になった人が、ドラマやハリウッド映画などにもよく登場するほどです。
そんな大人気のスタンダップコメディとは一体どのようなものなのか、英語と日本語でご紹介します。
Standup Comedy
Stand-up comedy is a comic style in which a comedian performs in front of a live audience, usually speaking directly to them.
スタンダップコメディは喜劇の型の1つで、1人のコメディアンが生のお客さんの前で、多くの場合直接話しかけつつ、ネタをします。
In stand-up comedy the comedian usually recites a fast-paced succession of humorous stories, short jokes called "bits", and one-liners, which constitute what is typically called a monologue, routine or act.
スタンダップコメディアンはたいてい、面白い話やbitsと呼ばれる短いジョークなどで速いペースで続けて話し、その話全体はmonologueやroutine、あるいはactと呼ばれます。
Some stand-up comedians use props, music or magic tricks to enhance their acts.
より良いネタにするため、小道具や音楽、マジックを取り入れる人もいます。
Stand-up comedy is often performed in comedy clubs, bars, neo-burlesques, colleges, and theaters.
スタンダップコメディはコメディークラブ、バー、ネオバーレスク、大学、劇場などで見ることができます。
Outside of live performance, stand-up is often distributed commercially via television, DVD, and the internet.
生のパフォーマンス以外では、テレビやDVD、インターネット上で見ることができます。
説明はこんな感じですが、実際のものがどんなものなのか少しだけ紹介します。
Ellen DeGeneresという有名なコメディアンのStandup Comedyの一部です。
訳をつけるより、ところどころ説明をつけることにします!
I do have an injury that’s kind of a problem for working out now.
So I was having pain in my third and fourth toe.
If you don’t know – one had roast beef and the other had none.
kind of やや、ちょっと
work out 運動する
have pain in ○○ ○○が痛い
ここでクイズです!
最後の1文で観客が笑うのですが、どういうことでしょうか?
「もし分からないのなら―ローストビーフを食べたのと、なにもなかったの。」
という和訳自体は難しくありませんが、roast beefから何が言いたいのか分からなくなる人も多いのではないでしょうか。
roast beefのくだりについては、彼らがみんな知っているThis Little Piggyという子供の遊び歌からきています。
2文目でmy third and fourth toe「足の中指と薬指」が出てきました。
「それが何のことなのかわからないなら―」ということで、子供の童謡でわざわざ説明するというのがボケですね。
こうやってアメリカの文化を知ることができるのも、スタンダップコメディの魅力だと思います。
興味があればYouTubeなどで見てみてくださいね。
文化の違いを知るだけでなく、このあるあるネタは日本でもアメリカでも通じるんだという発見もあったりして面白いです。
ここで少し余談!
「ボケる」と関連付けて、意味は異なりますが「パクる」という表現!
英語でどのように表現するかパッと出てくる人は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、そんな「パクる」の英語表現をご紹介します!
②年齢的な「ボケる」
2つ形容詞を押さえていればバッチリです。
senile
seniorとつづりが近いですね。「ぼけた」、「老齢による」という意味があります。
英英辞書には“confused and unable to remember things because of old age”とあります。
「年齢のため、ボケていて物事が思い出せない」ということですね。
go senileやbecome senileあるいはget senileで「ボケる」という動詞的な意味になります。
He is too young to be senile.
彼はまだボケるには早い。
My grandfather is getting senile with age.
祖父は年を取ってボケてきた。
My mother worries about going senile.
母はそのうちボケるのではないかと心配している。
名詞にするとsenilityで「老年、老衰」となります。
Grandma is now past eighty, but rather than slipping into senility, she’s in even better shape than ever.
おばあちゃんは80歳を過ぎても、ボケるどころかますます元気だ。
Grandpa’s senility is getting increasingly worse.
おじいちゃんのボケがだんだんひどくなっている。
また、老衰はsenile decayで、老人性認知症はsenile dementiaと言います。
He was known to suffer from senile dementia and was often seen walking in the area.
彼は老人性認知症にかかっていると知られていて、その地域をうろうろしているところがよく見られた。
The cause of death was senile decay.
死因は老衰だった。
forgetful
動詞のforgetにfulという接尾語がついています。「忘れっぽい」、「物忘れがひどい」という意味です。
さっきのseniorで基本的には事足りるかと思いますが、まだ若い方でももともと忘れっぽい性格だとか「なんだか最近忘れっぽいな~」というときに「ボケてる」って使いませんか?
I’m so forgetful that I have to make a note of everything.
私はすごく忘れっぽいので、なんでもメモを取っておかなければいけない。
He is forgetful of things.
彼はよく物忘れをする。
I’m getting forgetful these days.
最近忘れっぽいんです。
③ぼやけるという意味
That outfit has a nice design, but the color is blurred.
あの服はデザインは良いが、色が少しぼけている。
The picture is blurred.
その写真はぼけている。
blurred「ぼやけた」はblur「~をぼかす」がもとの形容詞で、写真などについては、blurryやfuzzyも同じように使えます。
fuzzyというのは、ファジー理論(あいまい理論)のファジーですね!
この例文は、次のように言い換えることもできます。
The picture is out of focus.
その写真はピントがずれている。
色やカメラのレンズの話だけなく、議論などの焦点についても動詞blurが使えます。
Too many issues will blur the focus of the talk.
争点が多すぎると、議論の焦点がぼけてしまう。
「焦点を失う」という風に考えて、こんな風にも言えます。
The discussion has lost its focus.
議論の焦点がぼけてしまった。
「論点を見失う」とするならこうなります。
The story misses the point.
話の焦点がぼけている。
ちなみにですが、bokehという英単語をご存じでしょうか。
わざと背景をぼかす手法で撮られた写真ってありますよね。
ポートレートというカタカナ語にもなっているやつです。
あのぼんやりした状態を表現するのが、このbokehという名詞です。
単にピンボケしているのではなく、表現手法として効果がある意図的なものですね。
たまたま「ボケ」に似ているとかではなく、完全に日本発の言葉です。
スペリングがbokeではないのは、「吐く、もどす」を意味するbokeという単語と区別するのがひとつです。
またbokeだとhopeやropeのようにoが「オゥ」で発音されて「ボゥク」になり「ボケ」ではなくなってしまいます。
2000年ごろに海外の写真雑誌で紹介されて広まったようです。
ネットで調べるとbeautiful bokeh やgreat bokehのコツについてたくさんのサイトで説明されています。
またまた少し余談!
こちらも○○ルの表現、「ディスる」。この「ディスる」に関する英語を紹介する記事を載せておきますので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
最後に
「ボケる」の意味を3つに分けてご紹介しました。
英会話の中でボケて相手を笑わせられたらかなりのレベルですよね。
なかなか会話の中でスラっと言うのは難しいと思うので、フリートークのレッスンの中で先生と大喜利をしてみるのはどうでしょうか。
お題や写真を自分で調べておいて先に考えておけば、レッスン時間ももったいなくありません!
先生は苦しいかもしれませんが。
また、英会話・英語学習というのはボケ防止に良いそうですね。
覚えることも色々ありますし、外国語で話すというのはやはり頭を使います。
Ted Talkにもバイリンガルの脳がもつ利点というテーマのものがありました。
bokehという英語も紹介しました。
他にも調べてみると「これそのまま英語なんだ」という英語が見つかります。
言葉の世界は面白いことがたくさんありますね。
高校卒業までは授業科目の1つでしかなかった英語。大学の夏休みにふとネイティブキャンプに出会い、英語が一番の趣味に。その夏休み明けの初TOEICで945点を取得し、半年後に英会話教室の講師になりました。兵庫県出身です。理系です。なんでもチャレンジしたいので、海外に行くときは初めての食べ物やアクティビティにトライします。フィリピンで15メートルの高さから海に飛び込んで、足が底に着いたときは驚きました。