ビジネスパーソンであれば必ず関わる 「コンプライアンス」
コンプライアンス違反をした企業のトップが記者会見で頭を下げて対応に迫られて社会的制裁受ける・・・そんなイメージはありませんか?
大手企業に勤務している方であれば 「うちの会社はコンプライアンスが非常にうるさいから・・・」 と業務がやりづらい環境になっていると感じた経験もあるかもしれません。
何となく意味は理解できるけど、説明が難しい言葉です。このコンプライアンスは英語だろうけど、このままネイティブに話しても通じるのだろうか・・・?
この記事では「コンプライアンス 」の意味について深く掘り下げて、さらにビジネス英語で役に立つように関連用語について紹介していきたいと思います。
大手企業がコンプライアンスに厳しい理由についても、紹介する関連用語で理解できると思います。
コンプライアンスの語源・意味・使い方
まずは、そもそもコンプライアンスとは、英語ではもともとはどのような意味なのでしょうか。
その語源からビジネスシーンで使われる意味や使い方について紹介していきたいと思います。
英単語としての語源・意味
ビジネスシーンで使われるコンプライアンスの語源は以下の単語です。
・comply(動詞):応じる、守る、従う、調和する
この動詞の名詞形が「コンプライアンス」です。
・compliance(不可算名詞):要求や命令に応じる、従うこと
例文:Our business should be conducted in compliance with the guideline.
(私たちのビジネスはガイドラインに従って行われるべきである。)
ビジネス用語としての意味
コンプライアンスの意味は「従う」こと。
ビジネス用語としての意味を調べてみると「法令遵守」とあります。企業が法律などのルールをきちんと守りながらビジネスを展開していくことです。
もっと言うと、企業は社員にコンプライアンスのトレーニングを十分に実施して遵守させなければけません。もちろん、経営者も同じく遵守が求められます。
私たちが使っているコンプライアンスは和製英語ではなく、そのまま海外でも意味が通じる単語だと認識して大丈夫です。
むしろ、グローバル化によって海外の基準が日本にも押し寄せてきているので、海外の方がコンプライアンスには厳しい印象があります。
いくつか例文を紹介しましょう。
・Our company is very strict about compliance.
弊社はコンプライアンスに対して厳格である。
・We have to take the compliance training by the end of this week.
今週末までにコンプライアンス研修を受けなければならない。
・There is a job offer for a compliance department manager.
コンプライアンス部門マネージャーの求人が出ている。
・Non-compliance should not be accepted.
コンプライアンス違反は許されるべきではない。
・Our company lost public trust due to a compliance violation.
弊社はコンプライアンス違反により社会的信用を失った。
さらに、コンプライアンス違反の事例について紹介します。
・粉飾決算・・・・・・・” Window dressing / Accounting fraud ”
・脱税・・・・・・・・・” Tax evasion ”
・横領・・・・・・・・・” Embezzlement ”
・情報漏洩・・・・・・・” Information leak ”
・データ改ざん・・・・・” falsification of data ”
・知的財産権の侵害・・・” Violation of an intellectual property right ”
・インサイダー取引・・・” Insider trading ”
・賃金未払い・・・・・・” Unpaid wages ”
その地域のローカルルールはあれど、コンプライアンスという言葉は日本と海外は共通の認識があるので、英語で ” compliance ”は通じます。
これらの事例は企業を倒産に追い込んでしまうリスクがあるので、企業は厳しすぎるぐらいにコンプライアンスを徹底しているのです。
ビジネスにおける使い方
コンプライアンスは「法令遵守」という意味ですが、ビジネスにおいては広い意味として捉えることがあり、さまざまシーンで使われます。
つまり、法律を守るだけでなく、社内規定や社会的倫理(モラル)もコンプライアンスに含まれます。
例えば、以下の事例についてもコンプライアンス違反に該当します。
・社内規定違反・・” Violation of company regulation / Violation of internal regulation ”
・ハラスメント・・” Harassment ”
・暴言・・・・・・” Violent language / Abusive language ”
・差別・・・・・・” Discrimination ”
これらは一見すると個人の問題のように見えますが、大手企業であれば風評は瞬く間に拡散されて社会的信用を失墜させてしまう可能性があります。
たとえ大手企業でなくとも、ハラスメントなどのモラル違反は社内の生産性を低下させるリスクがあるのです。
筆者の経験ではありますが、外資系の企業ほどモラルに対して非常に厳格です。
このような行動を取る社員に対しては容赦ない対応しているのを目の当たりにしました。
コンプライアンスを管理する部署
コンプライアンスには全ての者(経営者・社員)が関わってきます。
そして、それらを管理したり問題が発生した時に対応する部署があります。
どこの企業もその重要性は認識しているので専門チームの求人も見かけます。
多くの企業は法務部(Legal department)の中にコンプライアンスチームを配置しています。
前述したようにコンプライアンスは法律に関わることだけでなく、モラルといった事項も含まれます。
人事部(Human resources)や総務部(General Affairs Department)も関連してくるのではないでしょうか。
その他の意味
その他の意味についても紹介します。コンプライアンスは一般的にビジネス用語ですが、以下のような意味もあります。
・服薬遵守・・・” Medication compliance”
これは患者さんが医療従事者の指示に従って、きちんと薬を服用することを指します。英語でも同様の意味です。
そもそもの意味が「応じる」「従う」であることを思い出しますね。
もう一つ、コンプライアンスには全く別の意味があります。物理の分野では「物体の変形のしやすさ」を意味します。
これは、日常英会話でもビジネス英会話でもあまり使うことはないでしょう。
ここで少し余談!下記記事では『ドタキャン』の英語表現をご紹介しています!ぜひご覧ください♪♪
類義語・関連用語
最後にコンプライアンスの類義語や関連する用語を紹介します。
ビジネス英語を学んでいる方にとっては必要な知識ですので、理解しておいて損はないと思います。
紹介する用語は海外でも同じ認識だと思って大丈夫です。
Corporate Governance(企業統治)
コンプライアンスに似た用語で、よく比較されます。
・Corporate・・・企業
・Governance・・統治 *governは統治するという動詞
「企業統治」と言われても意味がさっぱり分からないので、もう少し掘り下げましょう。
コーポレートガバナンスには以下のような目的があります。
・企業の価値を高め、株主に対して最大限の利益を還元する
・コンプライアンス違反を防ぐ
具体的な活動として第三者機関を設置して企業活動を監視したり、社内規定の作成と周知、内部通報窓口の設置などです。
コンプライアンスと非常によく似ており、混同してしまいます。
それは、それぞれ明確な定義があるというより、広い意味を持っているからです。以下のように分けて考えると良いでしょう。
・Compliance・・・・・・・・企業が法律や社会的モラルを守ること
・Corporate Governance・・・企業が自らを管理すること、その体制(Complianceも含める)
Stakeholders(ステークホルダー ・利害関係者)
本来は株主のことを指していましたが、幅広い使われ方をするようになりました。株主だけでなく、経営者、社員、顧客などの利害関係を含みます。
大手企業ほど影響力は強いので、そのステークホルダーは社外の広範囲に及ぶでしょう。
Corporate Social Responsibility(CSR 企業の社会的責任)
企業たるもの、単に自社の利益を求めるだけでなく、ステークホルダーや地球環境へも配慮して社会的責任を果たすべきという考え方。
その中でコンプライアンスは重要な位置付けです。
その他の関連用語
コンプライアンスは法令遵守、広くはルールや倫理まで守るということでしたね。ビジネスパーソンとして守るべき対象となるものを紹介します。
・Law・・・法律
・Regulation・・・規則
・Guideline・・・指針
・Policy・・・政策、方針
・Procedure / Manual・・・手順書、マニュアル
・Standard・・・標準、基準、規範
・Rule・・・ルール
・Ethics・・・倫理
ここでまた少し余談!日本と海外の違いは沢山あります。『オンライン英会話』を使って異文化交流をしてみましょう♪♪
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ビジネスパーソンが細心の注意払うコンプライアンスはそのままネイティブに英語として言っても伝わります。
大手企業ほど社会的な影響力が強くCSRが求められるので、必然的にコンプライアンス に厳格になるのです。
そして、コンプライアンスは法律だけでなく社内規則や倫理まで幅広い意味が含まれるので、周辺知識やその企業の文化に対する理解が必要となります。
ビジネス英語では必要な知識になるので、しっかりおさえておきましょう。
2019年マレーシア移住、マレーシア人とルームシェアで楽しく暮らしています。「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」ことに目覚めて海外大学進学準備中。英語が学習は発音と聞き取りからスタートすることを勧めています。