海外旅行や留学、仕事での長期滞在を計画する際、その国の治安は最も気になるポイントのひとつです。
世界には治安が良く安全に過ごせる国がある一方で、紛争やテロ、犯罪発生率が高い地域もあります。
本記事では、2025年最新の「世界平和指数」に基づいた世界で最も安全な国ランキングをご紹介します。
世界平和指数(GPI)とは?
世界平和指数(Global Peace Index)は、各国の平和度を数値化した国際的な指標です。
この指数は、イギリスの経済平和研究所(Institute for Economics and Peace)が毎年発表しており、163の国と地域を対象に
「社会の安全・治安」
「国内外の紛争状況」
「軍事化の程度」
という3つの観点から評価しています。
世界平和指数は、犯罪率や暴力事件の発生頻度、政治的安定性、軍事費の対GDP比率など、合計23の定性的・定量的指標から算出されます。
これにより、各国の安全性を客観的に比較することが可能となっています。
指数の値は低いほど平和度が高いことを示し、1.0に近いほど安全な国と評価されます。
世界平和指数は、国連や各国政府、国際機関などにも参照される信頼性の高い指標であり、海外旅行者や海外移住を考える人々にとって重要な情報源となっています。
2025年版「世界で最も安全な国」トップ5の紹介
2025年の世界平和指数によると、
世界で最も安全な国トップ5は以下の通りです。
これらの国々は政治的に安定しており、犯罪率が低く、国内外の紛争にほとんど関わっていないという共通点があります。
1位:アイスランド(スコア:1.112)
アイスランドは、2008年から連続して世界平和指数1位を維持している北欧の国です。
警察官が銃を携帯しておらず、殺人率や暴力犯罪の発生率が極めて低いことが特徴です。
アイスランドの治安の良さは、高い教育水準と社会的平等、強いコミュニティ意識によるところが大きいと言われています。
人口約36万人の小国ながら、観光地としても人気が高く、美しい自然景観を求めて世界中から旅行者が訪れます。
2位:アイルランド(スコア:1.303)
アイルランドは、美しい自然と豊かな文化遺産で知られる西ヨーロッパの国です。
政治的に安定しており、暴力犯罪の発生率も低いことから、世界平和指数で常に上位にランクインしています。
アイルランド人は友好的で温かい国民性を持ち、観光客に対しても親切に接する傾向があります。
首都ダブリンをはじめとする都市部でも、昼間の治安は非常に良好です。
ただし、観光客を狙ったスリや置き引きの可能性もありますので、貴重品の管理には十分注意しましょう。
3位:オーストリア(スコア:1.313)
オーストリアは、アルプスの美しい山々と芸術文化で有名な中央ヨーロッパの国です。
国内の治安は非常に良好で、暴力犯罪の発生率も低く、政治的にも安定しています。
首都ウィーンをはじめとする主要都市は、整備された公共交通機関と清潔な街並みが特徴で、女性一人旅でも比較的安心して観光できる環境が整っています。
ただし、観光客が多く集まる観光スポットや駅周辺では、スリや置き引きの被害に注意が必要です。
4位:ニュージーランド(スコア:1.323)
ニュージーランドは、壮大な自然景観と多文化共生社会で知られる南太平洋の島国です。
犯罪率が低く、テロの脅威もほとんどなく、政治的にも非常に安定しています。
マオリ文化を尊重する姿勢や環境保護への取り組みなど、社会的な調和を重視する国民性が、高い平和度に貢献していると考えられています。
『ロード・オブ・ザ・リング』などの映画のロケ地としても知られ、世界遺産に登録された自然公園や景勝地が多数あります。
5位:シンガポール(スコア:1.339)
シンガポールは、東南アジアに位置する都市国家で、厳格な法執行と高度な監視システムにより、極めて高い治安レベルを維持しています。
麻薬や銃器に対する厳しい法律があり、軽微な犯罪に対しても厳罰を科すことで知られています。
近代的な高層ビルと伝統的な文化が共存する独特の都市景観は、多くの観光客を惹きつけています。
公共交通機関も非常に発達しており、清潔で安全な環境が整っています。
ただし、法律が厳格なため、旅行者は現地の規則(ガムの持ち込み禁止、公共の場での飲食禁止など)をよく理解し、遵守する必要があります。
2025年の旅行先、世界一安全な国はアイスランド 日本は殿堂入り
安全な国に共通する特徴とは?
世界平和指数の上位国には、いくつかの共通する特徴が見られます。
これらの特徴を理解することで、なぜ特定の国が安全なのか、また安全な国を選ぶ際に何を基準にすればよいのかがわかります。
社会的・政治的安定性
安全な国々に共通するのは、社会的・政治的な安定性です。
民主主義が機能し、汚職が少なく、政府への信頼度が高い国ほど、平和指数が高い傾向にあります。
例えば、北欧諸国やスイス、ニュージーランドなどは、政治的透明性が高く、市民の政治参加も活発です。
こうした国々では、政治的対立が暴力に発展することが少なく、社会全体が安定しています。
また、社会保障制度が充実していることも重要な要素です。
経済的繁栄と平等性
世界で最も安全な国々の多くは、経済的に豊かで、所得格差が比較的小さいという特徴があります。
経済的な安定と公平な富の分配は、社会の安全性に大きく貢献します。
例えば、北欧諸国では累進課税制度や充実した社会保障により、極端な貧富の差が生じにくい仕組みが整っています。
経済的不平等が少ない社会では、犯罪の動機となる経済的要因が減少し、結果として治安が良くなると考えられています。
教育水準と市民意識
安全な国の多くは、高い教育水準と市民意識を持っています。
質の高い教育が広く普及している国では、市民が法律や社会規範を理解し、尊重する傾向が強くなります。
アイスランドやフィンランド、シンガポールなどは教育に多くの資源を投入しており、識字率や高等教育進学率が非常に高い国です。
こうした国々では、市民が社会的責任を自覚し、互いを尊重する文化が根付いています。
効果的な法執行システム
安全な国々に共通するもう一つの特徴は、公正で効果的な法執行システムです。
警察や司法制度が効率的に機能し、法の下の平等が保障されている国ほど、平和指数が高い傾向にあります。
例えば、シンガポールやスイス、日本などでは、法執行機関への信頼度が高く、汚職も少ないため、法律が適切に執行されています。
警察と市民の協力関係が構築されている国では、犯罪の早期発見や防止が可能になります。
世界の治安のよい国ランキング【2025年最新】治安の良い国はどこ?日本は何位?
日本のランキングとその評価
世界平和指数における日本の順位とその評価について見ていきましょう。
日本は世界的に見ても安全な国として知られていますが、実際のランキングはどうなっているのでしょうか。
日本の現在のランキングとスコア
2025年の世界平和指数において、日本は17位にランクインしています。
スコアは1.525で、前年の9位から順位を下げました。
これは日本の治安状況が悪化したというよりも、他国の順位が上がったことによる相対的な変化と見られています。
日本は特に「社会の安全・治安」の分野で高い評価を受けており、殺人率や暴力犯罪の発生率が低く、警察への信頼度も高いことが評価されています。
東京を含む日本の主要都市は、世界的に見ても治安が良く、観光客にとっても安心して訪れることができる場所として知られています。
日本が評価される理由
日本が治安の良い国として評価される理由はいくつかあります。
まず、強い社会的結束力と規範意識が挙げられます。
日本社会では、他者への配慮や公共空間でのマナーが重視され、個人の行動が社会全体の調和を乱さないよう自制する文化があります。
また、日本の法執行システムの効率性も重要な要素です。
警察官の数は人口比で見ると多くありませんが、交番(派出所)システムにより地域に密着した治安維持活動が行われています。
教育面では、学校教育の中で道徳や公共心を育む取り組みが行われており、犯罪防止に寄与しています。
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安全な国の観光事情と注意点
世界平和指数が高く、安全とされる国々でも、旅行者として訪れる際には注意すべき点があります。
ここでは、安全な国を訪れる際の観光事情と注意点について解説します。
観光地における安全確保の基本
どんなに治安の良い国を訪れる場合でも、基本的な安全対策は怠らないことが重要です。
まず、旅行前にその国の文化や慣習、法律について調べておきましょう。
現地の規則を知ることで、不用意なトラブルを避けることができます。
また、貴重品の管理には十分注意し、パスポートやクレジットカード、現金などは分散して持ち歩くことをおすすめします。
宿泊先のセーフティボックスを利用するのも良い方法です。
特に人混みの多い観光スポットや公共交通機関では、スリや置き引きのリスクがあります。
文化的背景の理解と尊重
安全な国であっても、現地の文化や習慣を尊重する姿勢は非常に重要です。
特に宗教施設や神聖な場所を訪れる際は、適切な服装や行動に気を配りましょう。
例えば、シンガポールでは公共の場所でのポイ捨てや飲食が禁止されていたり、北欧諸国では列に割り込む行為が非常に失礼だとされたりします。
こうした文化的な違いを理解し、尊重することで、現地の人々との良好な関係を築くことができます。
旅行者が注意すべき一般的なリスク
安全な国でも、旅行者は一般的に以下のようなリスクに注意する必要があります:
・観光客を狙った軽犯罪
スリや置き引き、詐欺などは安全な国でも発生します。
特に観光客が多く集まる場所では警戒が必要です。
・自然災害
例えばアイスランドの火山活動やニュージーランドの地震など、安全な国でも自然災害のリスクがある場合があります。
・健康リスク
訪れる国の衛生状況や必要な予防接種について事前に調べておくことも重要です。
また、旅行保険への加入も検討しましょう。
・言語の壁
安全な国でも、言語が通じないことによるトラブルは発生します。
基本的な現地語のフレーズを覚えておくと安心です。
【2025年最新】治安の良い国ベスト20!海外旅行に安全な国を解説
まとめ
2025年版の世界平和指数に基づく安全な国ランキングでは、アイスランド、アイルランド、オーストリア、ニュージーランド、シンガポールがトップ5を占めています。
これらの国々に共通するのは、政治的・社会的安定性、経済的繁栄と平等性、高い教育水準と市民意識、効果的な法執行システムなどです。
日本は17位にランクインしており、特に社会の安全・治安の面で高い評価を受けています。
しかし、新たな犯罪形態への対応や自然災害リスクなど、いくつかの課題も抱えています。
安全な国を訪れる際でも、基本的な安全対策を怠らず、現地の文化や習慣を尊重する姿勢が重要です。
観光客を狙った軽犯罪、自然災害、健康リスク、言語の壁などに注意し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
世界平和指数は海外旅行や長期滞在先を選ぶ際の貴重な情報源となりますが、すべての国には独自の魅力とリスクがあります。
自分の旅行スタイルや目的に合わせて、安全性と共に様々な要素を考慮して行き先を決めることをおすすめします。