「リスニング力を上達させるには…?」とネイティブに聞くと、「英語の映画やドラマを観ること!」と必ず返ってきます。
確かにアメリカやイギリスの映画やドラマは、生のネイティブの会話や発音を体感するのには最高の教材。
ストーリーも壮大、映像技術も手が凝ってて、純粋に観ることを楽しんでしまいますよね。
特に海外ドラマは、刑事もの、医療もの、刑務所もの、サバイバルものなど、多くのジャンルがあるのも魅力の一つ。
中でも、知的でハイソな熱い英語会話を楽しめるのが法曹もののドラマ。
ストーリーも敷居を感じさせないコミカルでスタイリッシュなものが多く、裁判シーンになると、白熱した言葉のバトルに先が見えなくてハラハラさせられちゃいますよね。
しかし一度、法曹ものの海外ドラマを見たことがある人ならわかると思いますが、専門用語や独特な言い回しのオンパレード!!
聴き取れないだけかと思いきや、英語字幕にしても、何が何だかわからない。
ということでここでは、裁判ドラマがさらにわかるようになるため、「弁護士・検察官」を中心とした裁判用語についてわかりやすく解説していきます!
弁護士・検察官を英語でいうと…
「弁護士を英語で」と聞いて、一番最初に出る単語は何ですか?
そう、lawyerですね。
英語学習者が一番始めのの方に覚える単語なので、なじみがあるでしょう。しかし残念ながら、法曹もののドラマを観ていると、以下の二つの単語の方が「弁護士」を表す単語として頻出です。
・attorney
・counsel
何度もでてくる単語なので、ぜひ覚えてしまい、ストレスなくドラマのストーリーに没頭しましょう。
では実際、これら3つの単語にどんな意味の違いがあるのか見てみましょう。
lawyer
米国ではシンプルに法律学校を卒業した人のことを指します。つまり司法試験(米ではThe bar exam)に受かっていなくても、法律のことを勉強していればlawyerと名乗ることができます。
A lawyer is someone who studies law. It doesn’t matter whether he or she passes the bar exam or not.
(lawyerは、法律を勉強している人のことで、司法試験に受かったどうかは関係ないです。)
attorney
ロースクールを卒業、試験に受かり、法律事務所に入ってクライエントをとるようになった弁護士をattorneyと称することが一般的です。
An attorney is someone who graduated from law school and passed the bar exam.
(attorneyは、法律学校を卒業し、司法試験を受かったもののことです。)
They work for law firms and represent their clients by profession.
(彼らは法律事務所で働き、クライエントの代弁することを専門職業としています。)
counsel
主に、裁判の最中の弁護士の呼び方です。確かにドラマを観ていても、裁判シーンではこの呼び方が使われるケースが多いです。
An attorney can be addressed as a counsel in court.
(弁護士は法廷ではcounselと呼ばれることがあります。)
では、弁護士の英語での言い方がわかったところで、次は弁護士の裁判上のライバルである「検察官」についてなんと言うのか学んでみましょう。
prosecutor
検察官は英語ではprosecuteです。ちょっと聞きなれない感がありますよね。
この単語に親しむために、もう少し詳しくみていきましょう。
気づかいた方もいると思いますが、prosecutorは動詞のprosecuteから来ています。
この動詞の意味は、
①起訴する
②請求する
③遂行する
と主に分けられます。ですが、法曹ドラマを観ているとだいたいの意味で「起訴する」と意味で使われています。
例文をみてみましょう。
He was prosecuted for election fraud but got away with it.
(彼は選挙違反で起訴されたが、まんまと逃げおおせた。)
この「起訴する」という動詞から生まれたのが「起訴する人=検察官」prosecutorになります。
では実際に検察官ってどんな仕事をしているのか、ちょっと曖昧な人のために、次では弁護士と検察官の仕事についてわかりやすく紹介していきます。
合わせて読みたいお仕事シリーズ!警察官に関する英語表現はこちらから!
弁護士と検察官の仕事
弁護士と検察官の仕事の違い。なんとなくわかっているようでも、いざ誰かに説明するとなると「あれ?」と思うようなところもあるのではないでしょうか。
ここでは2つの仕事の主な内容を紹介し、ついでに英語での言い方も覚えてみましょう。
弁護士
弁護士とは簡単に言えば、トラブルの当事者(※)からの依頼を受け、彼らの主張を法律的知識を用いて代弁する人のことです。
※トラブルの当事者のことを民事訴訟の場合は原告・被告と呼び、刑事訴訟の場合は被疑者、被告人と呼びます。
例 An attorney gives advice related to the law to their clients and represents them in court.
(弁護士は法律に基づいた助言をし、法廷でクライエントの代弁をします。)
検察官
実を言うと私は、『HERO』という検察官を主人公にした日本のドラマで、初めて検察官という職業があるということを知りました(笑)。
それはさておき、検察官というのは刑事事件の際、警察によって逮捕された容疑者を犯人かどうか検証、有罪に相当するとした場合に起訴するのが主な職業です。
裁判の場では被疑者(被告人)を弁護する弁護士と真っ向から対立する形になるので、ドラマなどではライバルや敵同士のように描かれているのが多いですね。
A prosecutor has the authority to decide whether a criminal should be prosecuted or not.
(検察官は容疑者を起訴するかどうかを決定する権限をもっています。)
ここでおまけとして弁護士と検察官以外の、裁判までにかかわる職業を見てみましょう。
警察
事件があった場合、まずは警察が事件の犯人の疑いのある者を逮捕し、検察が容疑者を起訴するに足るための資料や証拠を固めます。
ちなみによく刑事ものの海外ドラマで、警官や刑事が犯人を拘束する際に言っている文言はミランダ警告と言って、以下の通りになります。
You have the right to remain silent.
(あなたには黙秘権がある。)Anything you say can and will be used against you in a court of law.
(なお、供述は、法廷であなたに不利な証拠として用いられる事がある。)You have the right to have an attorney present during questioning.
(あなたは弁護士の立会いを求める権利がある。)If you cannot afford an attorney, one will be provided for you.
(もし自分で弁護士に依頼する経済力がなければ、公選弁護人を付けてもらう権利がある。)(Wikipediaより引用)
ここでも弁護士を表すのは attorneyになっていますね!
裁判官
裁判官は英語ではjudgeです。よくドラマの中では黒いマントを着て、法壇で「静粛に」とトントンやっているイメージですね。(ちなみにあのトントンする道具は、ガベルと言うらしいです。)
察しがつくとは思いますが、裁判官の主な仕事は裁判を進行、弁護士、検察の両主張を聴き、裁決を下すのが役割です。その他にも裁判事務をこなすことも重要な任務の一つとなっています。
A judge is a person in a court who is in charge of deciding whether criminals are guilty or not and how they should be punished.
(裁判官とは、法廷で被疑者が有罪か無罪か、どのような罪がくだされるべきかを判断する者である。)
陪審
日本でも欧米の陪審制にのっとった裁判員制度(citizen judge system)が2009年に施行されることとなりました。
陪審制とは、民間から無差別に選んだ陪審員たちが被告人または被告の有罪無罪や責任の有無を協議し、判断する制度となっています。
この陪審制のことをJury system、陪審員のことをjuryと英語では言います。裁判のシーンでは頻出の単語となるので、覚えておきましょう。
ちなみに名作映画『12人の怒れる男』(原題『12』はこの陪審制をテーマにしていて、タイトルの12は陪審員のメンバーが基本的に12人(少ないときは6人~)というところからきています。
Jury is a group of members who are selected citizens. They discuss about the facts of a case to decide whether a criminal is guilty of a crime.
(陪審員とは選ばれた市民で、事件の事実について話し合い、容疑者(※刑事事件の場合)が有罪か無罪かを判断する。)
その他、法律関係の基本的な単語を紹介します。TOEICのテキストにもでてくるレベルのものなので、覚えておいて損はないでしょう。
・lawsuit/suit(訴訟)…a civil(criminal) suit(民事、刑事訴訟)
・trial(裁判)
・court(裁判所、裁判機関)
・plaintiff(原告、提訴人)
・defendant(被告、被告人)
・witness(目撃者、証人)
・convict(有罪を宣告する)
・charge(告発する)
…ちなみによくドラマでは、証言台にでるまでに目撃者を保護する証人保護プログラム(United States Federal Witness Protection Program)がよく描かれていますね。
もし外国人が被疑者となってしまったら…
現在日本では、フィリピン、ベトナム、中国人を始めとしたたくさんの外国出身の方が働きにきています。
その中にはまだまだ日本語に不慣れな人たちがいます。もしそんな彼らが事件の被害者や被疑者、または証人となってしまった場合、どうやって自分の発言や意見を行えばいいのでしょうか。
そんな時のためにいるのが、法廷通訳人という存在の人たちです。
法廷通訳人とは、日本語を理解しない人に代わって、起訴から判決を受けるまでの間、彼らの言葉を日本語に翻訳・通訳を担当するのが主な仕事です。
法廷通訳は学歴不問で資格がなくてもなれる職業ですが、裁判では言葉尻一つとっても陪審員に与える影響は大きく、状況説明を的確に通訳しないと裁判の結果にも反映してしまうことから、かなりの語学力が必要とされている仕事です。
需要が多いのは、中国語、ベトナム語、ポルトガル語、フィリピノ(タガログ語)語、英語という順番ですが、現在は人出不足が懸念されています。
もしこのブログを読んでいる人の中で興味があるという人は、ぜひ裁判所の公式ホームページ内にある通訳人の項目を見てみましょう!
同時通訳って難しい?「同時通訳士」というお仕事をご紹介します!
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここでは弁護士と検察官を中心にして、法曹系の英語をみていきました。
以下が、簡単なまとめとなります。
・弁護士は英語で、lawyer/attorney/counsel
・検察は、prosecutor
・その他、裁判官はjudge、陪審はjury
・裁判に関わる外国人の証言を通訳・翻訳する仕事として、法廷通訳人というものがある。
ここでは主に基本的な法律用語を学びましたが、法曹系の海外ドラマではかなり頻出の単語たちとなっています。これをきっかけに法律用語を英語でどんどんと学んで、将来は法廷通訳人をめざすのも一つの手ではないでしょうか?

京都府出身で高校から英語を専攻。大学の英文科を卒業後、都内で食品メーカーの営業職として就職。英語からは離れた生活を送っていました。 食べること、料理をすることが大好き! 海外旅行をするたびにご当地グルメを食べつくし、帰国後自宅で再現する事が趣味です。 人と話すことも大好きなので不自由なく世界中の人をコミュニケーションをとりたいと思い、しばらく離れていた英語学習を再開し、オンライン英会話を活用しながら猛勉強。 不自由なくコミュニケーションをとれるようになってからは、色んな情報を吸収できるようになり、得た情報をシェアしたいと思いブログを始めました。 なんでも楽しむことをモットーに生きています!