英語の≪フォニックス学習≫の効果とは!

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カードゲームをする子ども

 

はじめに

昨今、学校教育の中で「話せるようになるための英語教育」の必要性が叫ばれるようになるにつれ、急速に注目度が高まっている《フォニックス学習》
子供の英語教育についてリサーチしていると、必ず目にするようになってきました。

皆さんも、一度は《フォニックス》という言葉をどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?

…とはいえ、知名度こそ上がってきたものの、この《フォニックス学習》、まだまだ一般的な学習内容として、日本の英語教育に浸透しているというわけではなさそうです。

そこで、今回は英語圏での活用法や、第二言語として英語を学んでいる学習者がフォニックスを学ぶにあたっての注意点、英語学習者がこれを学ぶことによって得られる学習効果などについて、《フォニックス》にまつわる様々な疑問にお答えしていきます。

 

 

1.《フォニックス学習》って何?

それでは、さっそく《フォニックス学習》とはどういったものか、詳しくみていきましょう。

フォニックスは、日本では、英語学習者のための発音トレーニングやリスニングの力などと、セットで紹介されることが多いのですが、もともとは、英語圏のネイティブの子どもたちの読み書きのための学習法です。

4歳〜6歳頃の文字学習の導入期に、音のもっとも小さい単位である音素と文字の関係に着目して、その規則を覚え、正しいスペリングで書けるようになる基を築くために取り入れられているものです。

英語の文字と聞くと、私たち日本人はすぐに26文字のABCを(エー・ビー・スィー) という音とともに思い浮かべますが、実は、英語を構成している’音’は、42音あります。

「42音を26文字で表す?」

26文字のアルファベットを単体、もしくは二つ以上組み合わせて、英語に固有の音を一つずつ表記したものがフォニックスです。

ABC=(エー・ビー・スィー) は、単純に文字の名前であって、このままスペリング通りに読んでも、意味を成しませんね。

例えば、”cat”は(スィー・エイ・ティ)ではありませんし、”hand”を(エイチ・エイ・エヌ・ディ)とも読みません。

フォニックスで読みでのABCDは、(ア・ブ・ク・ド…)に近い音になります。
フォニックスは、いわゆる「音のあいうえお表」とも呼べるものです。

▼ポイント▼
◉アルファベットのABCは文字の名前に過ぎない。
◉この26文字の組み合わせで、英語の42音を表したものがフォニックス。
◉フォニックスは、「音のあいうえお表」。

さらに細かく見てみると、フォニックスは、2つの種類に大別されます。

① シンセティック・フォニックス

まず、一つずつの音と、それに対応する文字を注意深く覚えていきます。
こちらは、より’音’にフォーカスしたフォニックスなので、聴覚優位の時期や、第二言語として英語を学んでいる全ての年代の学習者にとって、取り組みやすい内容です。

いくつか、下に例を挙げてみます:

i ) 母音編
・apple, ant などの“a”
⇨日本語の「ア」より少し口を大きく開いて発音する<イギリス英語>
 「ア」と「エ」の中間音で口を思い切り横に開けて出す<アメリカ英語>

・umbrella, underなどの“u”
⇨のどの奥で出す深い「ア」

ii ) 子音編
・sing, sea, seeなどの “s”
⇨日本語の「スィ」に似た音で、「〜です」という時の「ス」から母音を落としたような透き通った音

・shift, shake, sheなどの“sh”
⇨子どもに静かにさせようとして出す「シー」に似た音

というふうに覚えていきます。

この方法だと、アルファベットさえ判別できれば、まだあまりたくさんの語彙を持っていない+全くスペリングを覚えていないほどの幼い時期からでも、導入することができますね。

シンセティック・フォニックスは、英国はもちろん、ドイツなど外国語として英語を学んでいる国々でも、音にフォーカスするという視点を、第二言語学習に応用した形で、とても効果が高いフォニックス指導法として、広く普及しています。

② アナリティック・フォニックス

二つ目は、アナリティック・フォニックスといって、名前の通り、既に綴りを知っているたくさんの単語の中から、音と文字の関係性を「分析」し、ルールを探っていくタイプのフォニックスです。

こちらは、主にアメリカで用いられているようです。

先に①でご紹介したシンセティック・フォニックスと比較すると、単語を見て推測していく視覚優位の学習が中心なので、苦手な音声面へのアプローチとしてフォニックスを捉えている学習者には、やや不向きかもしれません。

どちらかといえばネイティブスピーカー、もしくは年長者向けで、英語固有の音もある程度聞き慣れていて、少しは文章も読める状態であれば、読み書きに役立つでしょう。

というわけで、私の個人的な意見としては年齢にかかわらず、フォニックスを音声面の強化トレーニングのベースに学びたい場合は、①のシンセティックフォニックスをしっかりマスターした後、適宜②のアナリティックフォニックスで復習していく、といった付き合い方が好ましいのではないかと思います。

▼ポイント▼
◉ 音声の習得と合わせてフォニックスを学ぶなら、断然シンセティック・フォニックスがおすすめ

日本の学習者にフォニックス学習の効果は?

次に、EFL環境〔=日常的には全く使う必要のない中、英語を外国語として勉強する環境〕である日本の学習者がフォニックスを習得することで期待できる効果について、お話していきます。

先ほど、フォニックスは、言ってみれば「英語の“音”のあいうえお表」といった位置付けのものだとご説明しましたが、日本人の学習者にとっては、読み書きというより、

・自分自身が「伝わる発音」を習得するためのブースター
・リスニングで困らない素地を作るための土台づくり
・ある程度は、単語を聞いて、正しい綴りおよび意味の推測

に必須のスキルなので、「音声の入門期に必ずやっておくべきこと」という認識を持っているほうがいいくらいだろうと感じています。

自分自身が「伝わる発音」を習得するためのブースター

なお、英語に限らず、誰でも1歳くらいになるまでに、母語になかった音は急速に聞き取れなくなっていきますので、外国語としての英語の音に慣れるまでには長い時間を要します。(語学学習で早期教育が大事だと言われるのは、この音声への慣れの部分についてです。)

この時期を逃して3~4歳を過ぎて初めて英語を聞き始める場合、どうしても発音に母語のアクセントが残ること自体は避けられませんが、フォニックスを真剣にやれば、十分に伝わる英語を話すのには問題ないレベルの発音を身に付けることが可能です。

読み書きは得意、文法もほぼ間違いなくできる、というような英語上級者であっても、中学生以降から英語学習を始め、未だに発音が問題で「同じ文章を紙に書けば伝わるけれど、しゃべると聞き返される」という人は意外に多いものです。

大人の場合は、フォニックスとは言わず、単に「発音矯正」のような呼び方がされているケースが多いようです。

日本語は子音と母音が必ずセットになって発音されますが、フォニックスでは子音と母音を一つずつ練習ところから始めるので、日本語と英語の違いをしっかり意識しながら、英語らしい発音を身につけていくことができるのです。

リスニングで困らない素地を作るための土台づくり

二つ目の「リスニング」分野での効果については、アメリカの高名な言語学者であるトマティス博士が「自分で発音できる音は聞き取れる」と述べています。

フォニックスを身につけ、学習の初期段階から自分の発音を英語にチューニングした形で覚えていく、もしくはしばらく経ってからでも矯正する、ということがリスニングの基礎へと繋がります。

そうすることで、“lush”/“rush”/“lash”/“rash”などの細かな違いがきちんと聞き取れるようになり、言葉の意味がセンテンスの中で理解できます。

加えて、ライティングでも、スペリングのミスも防げますね。

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フォニックスにまつわる疑問あれこれ

さて、ここで、よくお受けする質問にお答えしていきたいと思います。

❶「では、フォニックスには、デメリットはないのですか?」

【Answer
フォニックス学習には、上記でお話ししてきたメリットこそあれ、デメリットはありません。ただ、いくつか注意点はあります。

ネイティブスピーカーの子どもたちやバイリンガル家庭で育っている子どもたちの場合は、生まれた時から日常的に英語の音を聞いて、耳が英語にチューニングされているので、音を聞けばどの単語の、どの音のことかわかります。

よって、音の出し方や口の格好の細かい説明などは必要ありません。

しかし、日本の子どもたちの場合は、生まれた時から1日英語に最低でも1時間程度、毎日継続して触れていないと、英語の音を聞いても「スィ」も「シ」も区別がつきません。

舌の位置をネイティブスピーカーやニアネイティブスピーカーの先生にみてもらいながら進めたり、家庭ではyoutubeなどの動画とともに確認したりしながら、丁寧に音と文字を結びつけていく指導が不可欠です。

その上で、意味もあわせて確認していかなければなりません。

読めるようになったからといって、ネイティブスピーカーのように意味まで理解できているわけではないので、このあたりも注意が必要です。

また、一通り文字と音の対応表を覚えた後は、セグメンテーションといって、単語をシラブルと呼ばれる音節に分けて、フォニックスを当てはめて読むようになる段階へと移ります。

例としては、

couch→c ou ch,
thorn→th or n,
payment→p ay m e n t,
photographer→ph o t o g r a ph er

などです。

セグメンテーション自体は、フォニックスを一通りマスターしたあとなら決して難しいことではありませんが、聞いて音節を正しく数えられ、手を叩くなどして語の持つリズムを体感し、ストレス(強く読む部分)もきちんと確認の上、フォニックスと照らし合わせていく地道な作業も大切です。

これは、ネイティブスピーカーでも大切な学習内容となっています。

❷「フォニックス学習はそんなに効果的なのに、どうして義務教育で必須になっていないのですか?学校で教えていないのはなぜですか?」

【Answer
いくつか理由はありますが、最も大きな理由は、残念なことに義務教育の範囲内で教えられる先生の数が圧倒的に足りていないことです。

様々なフォニックス指導者の養成講座が提供されていますが、最低でも準1級に近い2級くらいの実力がある(更にすでにピーキング能力にたけている)英語の先生にほとんど限られている状態、といって差し支えなさそうです。

英語を専攻していたり、留学の経験があったりするような先生が、さらにスキルアップのために学びを深めるというイメージです。

一応は、「英語育児に興味のあるお母様」も対象に含まれている講座が多いですが、やはり言語学の基礎は勉強したことがあったり、英語か他言語であっても語学を学んだ経験があったり、という方が多いでしょう。

資格の為の学習となると、さらに途中で論文提出なども含まれるため、学生で一日を勉強して過ごせる状態でみっちり三週間程度、社会人では平均的には2、3ヶ月以上見ておく必要があります。

義務教育では、先生方は自分がフォニックスをマスターすることに加え、不平等が生じないように配慮しつつ、子どもたち一人一人のアセスメント作業が必要になります。

一般の小中学校では、すでに英会話をあまり不自由なくこなせるという先生でない限り、このような講座を履修する時間も取れず、義務教育の範囲内では必須にしたくてもできない、という実情があるのです。

もう一つは、語学はやはり時間のかかることなので、一週間に1〜2回、数分だけ説明を聞いて練習しても、ネイティブスピーカーでない子どもたちは、毎日何かしら少しずつでもフォローがなければ、なかなか身につかないことがあげられるでしょう。

現状、多くの小学校で、英語の授業時間を捻出するだけでも課題が指摘されており、尚且つ覚えてそのまま使える、定型表現の練習だけでも時間に対してのボリュームはかなりのものです。

❸「フォニックスさえ身につけば、単語帳はCDだけで良くなりますか?」

ネイティブスピーカーの子どもたちで毎日英語を読み書き、聞き、話していても、フォニックスでカバーできるのは、普段使用している語彙の7〜8割程度だといわれています。

・waterのように、例外が一定数あること、
・曖昧母音の表記も単語によって、ir/or/erなど使い分けること、
・同じowでも単語によって「オウ」と読んだり「アウ」と読んだり、文脈や品詞によって変わるものもある

ためです。

日本語でも、「づつ」や「ちじむ」、「話しをする」など間違い表記はよく見られるので、フォニックスでは「ある程度のルールで正しく読み書きができる」・「発音が格段に上達する」、「継続学習によりリスニングが聞き取りやすくなる第一歩」といった認識でいることが大事です。

❹「おすすめのフォニックス教材を教えてほしい」

まず一番最初にシンセティックフォニックスを始めるあたって、おすすめしているのは、Jolly Phonics元気Englishというところの教材です。

Jolly Phonicsでは、CDとYoutube動画を見ながら、歌や身振りを使って覚えていった上で、年齢に応じて必要なアクティビティブックを揃えることができるので無駄がありません。

フォニックス履修後、一通り読めるようになってから文法にも進んでいける、非常に画期的な教材で、システマティックに基礎全般を固めていくことが可能です。
アプリもあります。

元気Englishも、体や音楽を使って英語に触れ、楽しいワークシートを使って定着させることができ、楽しさと実りある学びを両立させることができる、大変秀逸な教材だと思います。

何と言っても、最大の魅力は開発者のリチャード先生に、メールでご相談も可能なことでしょうか。
(リチャード先生は、日本語が流暢なので、日本語で聞くこともできます。)

小学校英語に特化して開発をされた教材ですが、歌って踊って習慣化し、シリーズをコンプリートすれば中学終了の目標レベルまでカバーできるという、なんともコスパのよい教材です。
アプリも出ました。

フォニックスは、もともとが読み書きに結び付けるために使われる実践的な手法ですから、フォニックスと並行して多聴多読も取り入れられるケースが多いものです。

他にも、Oxford Reading Treeのフォニックス絵本シリーズや、英語を習い始めてすでに半年〜1年くらい経ち、知っている単語が結構ある、英語を聞くこと自体は慣れている、というような場合には、松香フォニックスの「Active Phonics」/「小学生のフォニックスDVDなどもおすすめです。

 

おわりに

今回、フォニックスについて色々な角度からご紹介してきましたが、いかがでしたか?

やはり、日常生活のなかでは必要のない言語を空いている時間を活用して、使えるレベルまで習得するというのは、大人でも難しいことです。

子どもの言語学習では、学習の習慣化ができるよう、家庭でも工夫して英語時間・環境を作り出す手助けが不可欠です。

フォニックスは、あくまで音声学習の強化の基盤であり、読み書きのブースターです

年齢やそれまでの英語への慣れを考慮して、効率的に学習のスピードを調節して、上手に取り入れてみてくださいね。

 

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