【ん!の発音3種類】3つの鼻音[m] [n] [ŋ]!!

最終更新日:2019-08-24

鼻をつまむ外国人女性

こんにちは、mikaです。

発音ブログ「子音編」も大詰めになってきました。^^
母音も然ることながら、子音も奥が深いですね。

今回は「鼻音」である[m] [n] [ŋ]の子音をご紹介します!

タイトルにある通り、日本語で置き換えると、「ん」の音です。

「鼻音」は文字通り、「鼻から息を抜くことで出る音」なのです。鼻から音?と思われるかもしれませんが、ハミングをする時って皆さん口を閉じますよね。

これは口への気道を閉鎖しているので口から声は出ていないのです。試しに鼻をつまんでハミングしてみましょう!・・・できませんよね?

これが鼻から出る音「鼻音」なのです。

英語の「ン」ってどんな音?

他の子音には日本人が苦手とする音も沢山ありますよね。

例えば少し前にお話した、ラ行音もそうですし、thの発音や、vの発音などの摩擦音、挙げればキリがありません。

その中でも[m] [n] [ŋ]は、それほど難しくない発音としてスルーされがちですが、実は、簡単に思えるこの[m] [n] [ŋ]の発音の際には厄介なプロセスがあります。

しかし!私たち日本人は知らぬ間に「ン」を英語のように使い分けているのをご存知でしょうか?
(ちなみに日本語ではこれらの「ン」の音を専門的な言い方では「撥音」と呼びます。)

どのように使い分けているのか一緒に確認してみましょう!

例えば以下の単語を声に出して音読して見てください。

※ひらがなの「ん」にご注目ください。

新橋(シ”ん”バシ) shimbashi[m]
パ行、バ行、マ行の前の「ン」

安心(ア”ん”シン) anshin [n]
タ行、ダ行、ザ行、ナ行の前の「ン」

半額(ハ”ん”ガク) hangaku [ŋ]
カ行、ガ行の前の「ン」

さて、何か違いを見出すことができたでしょうか?

口の中の動きや、息の抜ける場所などに集中して、もう一度発音して見ましょう。

分かりましたか?面白いですね!^^

日本語ではどれも表記が同じですが、口の中や、鼻の中や、音がどこから抜けるのかなどの動きには実は違いがあったんですね。

外国人学習者の方が日本語を学習する際には、私達が考えもしない「ン」の難しさがあるようです。

ちょっと脱線してしまいましたが、早速英語の「ン」を学んでいきましょう!

両唇鼻音とは?

まずはアメリカ英語、イギリス英語など気にせず、基本的なところから押さえていきましょう。

[m]

これは両唇鼻音と呼ばれる音です。

さっき発音した単語の中であれば、「新橋」の「ん」です。漢字だとNっぽいですが発音を正確に発音記号で表記すると、shi[m]bashi、そう、[m]の音だったんですね。

この音は「両唇鼻音」という文字通り、両唇を使用して音を出します。

実際に音を出す時のポイントですが、日本語表記で頭の中でイメージし変換し発音した場合、往々にして失敗してしまいます。

例えば、「Simple」をカタカナ表記で表現すると「シンプル」となりますが、日本語の「ン」で発音してしまうのは大間違いです。

日本語の表記でイメージし発音してしまうと、空気が口から漏れてしまいます。

口から出る空気の流れをさえぎり、鼻に空気を送り、鼻孔(鼻の穴)から空気を逃がすようにして出します。最大のポイントは口をしっかり閉じることです。

1.唇をしっかり閉じてください(このとき舌はどこにもつけません)。

2.唇を閉じたまま「ンー」と声を出してください。そうです、その音です!

日本語から想像して「ン」と発音すると失敗しそうな単語は「Simple」以外には例えば以下のようなものがあります。

以下をカタカナで発音してみてください。

Tumblar タンブラー
Rump ランプ
Comma コンマ
Camp キャンプ
Zombi ゾンビ

つぎは、「ン」の時に唇を閉じたままもう一度発音してみましょう。
その際に、[m]を十分に感じながら発音してみましょう。

Tumbler タ[m]ブラー
Rump ラ[m]
Comma コ[m]
Camp キャ[m]
Zombie ゾ[m]

さて、上記の単語の共通点はもうお分かりですか?

そう、「ン」の後続音がパ行、バ行、マ行だった場合、「ン」に該当する音は[m]の音で発音するのです。

もう一度、鼻に空気を送り、鼻孔(鼻の穴)から空気を逃がすようにして出しながら、[m]の音を意識し、ネイティブキャンプ、Naitive Ca[m]pと発音してみましょう!上手くできましたか?これであなたも立派なネイティブキャンパーです!

では2つ目の「ン」の音をみていきましょう。

歯茎鼻音とは?

[n]

これは歯茎鼻音と呼ばれる音です。先ほどの同じ鼻音である [m]の音が、両唇をしっかり閉じて鼻から息を抜くのに対して、これは舌先を歯ぐきの裏に付けてから鼻から息を抜きます。

「んな んに んぬ んね んの」と発音すると舌先が上歯茎にしっかり押し付けられているのが分かりますね。

それが[n]です!上の[m]と比較すると日本語の「ん」に近いかもしれません。

1.口の形は自然に少し開けて、舌先を上の歯ぐきの裏側に付けます。

2.そのままの状態で「ンー」と声を出しながら、鼻に息を送ります。

日本人の場合、この[n]の発音をする場合のコツは、「ン」の時、鼻の中で音が響いていることを感じる事です。日本語の「パンダ」だとやっぱり「ン」がどうしても弱くなってしまいます。

この理由は、舌が前歯のうらの歯茎に、しっかりくっ付いていないということがあげられます。

この舌の動きは日本語ではあまり使用されず、鍛えられていない部分ですので、これを機に[n]…[n]…[n]…[n]と練習してみてくださいね。

練習用の更に5つ単語を用意しました。
準備はいいですか?舌を前歯のうらの歯茎に、しっかりくっ付けて2回ずつ読んでみましょう。

Tinder ティ[n]ダー

wonderful ワ[n]ダフル

fantastic ファ[n]タスティック

pentagon ペ[n]タゴ[n]

unknown ア[n]ノウン

さて、上記の単語の共通点もきっと、もうお分かりですね!

そう、「ン」の後続音がタ行、ダ行、ザ行、ナ行だった場合、「ン」に該当する音は[n]の音で発音するのです。

ネイティブスピーカーだと、タ行、ダ行、ザ行、ナ行を発音する際に舌を前歯の裏にくっ付けて発音するので、「ン」に該当する[n]が直前にあると実は意識せずとも、自然にそうなってしまうんです。羨ましいですね。

私たち、日本人もタ行、ダ行、ザ行、ナ行を発音する際に舌を前歯の裏にくっ付けて発音してはいるものの、その前の「ン」の音の発音の際には舌が訓練されていないため、しっかり[n]の音を出すのが難しいといったところでしょう。

言語的な違いがあるので仕方ないですね。何事も練習あるのみです!頑張りましょう。

では最後に3番目の「ン」の音をみてみましょう!

軟口蓋鼻音とは?

[ŋ]

これは、軟口蓋鼻音と呼ばれる音です。舌の後ろのほうを口蓋(口の天井)に付けて空気(息)の流れをさえぎり、鼻から息を抜くことで出る鼻音です。

「ガギグゲゴ」に小さな「ン」をつけて言うと柔らかく聞こえますよね?「鼻にかかったガ行」ととても似ている音です。

実は日本のアナウンサーもガ行を単語の中で発音する際には、この発音方法で発音しているんですよ!

例えば、「昨夜、未明、1台のトラックが」の「が」の部分です。これは訓練しなければなせない技です。

ニュースを聞く機会があれば、是非気にして聞いてみてくださいね。

発音をポイントは以下です。
1.口の形は自然に少し開けて、舌の後ろのほうを口蓋に付けます。

2.そのままの状態で声を出しながら、鼻に息を送ります。

3.そして、舌を口蓋から放します。

舌の後ろを口蓋に付けたり離したりするので結構舌筋を使います。
さすが英語ですね^^;

ちなみ語末に[ŋ]がきた場合は、日本語の「グ」の様にはっきりとは発音せずに、舌の奥を上の前歯の後ろの歯ぐきにあてて鼻を通して声を出し、その後、その舌を離すと良い響きの「グ」の音が出ます。

実際に、以下の単語で練習してみましょう。

ring [rɪŋ]

sing [sɪŋ]

cling [klɪŋ]

できましたか?

では、最後に語中に入っている単語でもう一度練習してみましょう!2回ずつ読んでみてくださいね。

ポイントは、「ン」の時に、音を鼻の中で響かせることです。丸く響かせるイメージです。

舌は前歯の後ろの歯茎に付けて、離します。
準備はいいですか?では読んでください。

funky ファ[ŋ]キー

Vancouver バ[ŋ]クーバー

English イ[ŋ]グリッシュ

sangria サ[ŋ]グリア

間違えやすい単語

以上3つの「ン」について学んだところで、最後に間違えやすい単語をご紹介します。
違いに注意しながら練習してみてください!

sum sun sung

rum run rung

SIM sin sing

もう一度、発音のポイントをおさらいすると…

[m]...
唇をしっかり閉じ、閉じたまま「ンー」

[n]...
唇の形は自然に少し開けて、舌先を上の歯ぐきの裏側に付け、そのままの状態で「ンー」

[ŋ]...
唇の形は自然に少し開けて、舌先を上の歯ぐきの裏側に付け、そのままの状態で声を出しながら、鼻に息を送り、舌を口蓋から放しながら「ンー」

最後に

様々な子音をご紹介してまいりましたが、レッスンに少しはお役に立っていますでしょうか??

これまでご紹介させていただきました過去の子音について、せっかくなので、最後にちょっとおさらいしてみましょう♪


【くちびる鍛えてあひる口!】[z] [dʒ] [ʒ]を使いわけよう!

これは硬口蓋音や歯茎(しけい)音と呼ばれる[z] [dʒ] [ʒ]の音の出し方についてでした。ここでいうところの歯茎とは前歯の真後の歯ぐきを指します。

簡単そうで、実はちゃんと発音しようとすると難解であるということが判明したこの子音。
有声音や無声音があり、あひる口はどの音の時になるのか覚えていますか?


【英語の発音は複式呼吸!?】似ていて非なるB/F/V編!

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この子音の発音の際のポイントを覚えていますか?

3つとも似かよった音ではありますが、それぞれ、破擦音、摩擦音というところで差がありましたね!

ポイントを押さえて発音すれば、割りと早く上達できる子音でした。


【舌を噛まないように!?"th”の発音】2種類の"th"を使いこなそう!

thにまさか2種類あっただなんて、、、驚きの回でしたね。

両方とも、一瞬だけ前歯に舌をはさむような動きでしたが、実際には舌を噛むのではなく、上の前歯にあてる感覚で発音するのが重要でした。2種類、それぞれどんな違いがあったのか覚えていますか?

Thank you/ This is のそれぞれのthの違いが説明できたら完壁です。


【苦手なんて言わせない、今すぐ克服!】英語の発音LとR

これは多くの方が苦手意識を持っている子音で、英語学習者であれば誰しもが苦しめられるのがこのLとRの発音ですよね。

しかしこのLとRもコツさえ掴んでしまえば、実はそんなに難しいものではなかったということをこの回でしっかり知っていただけたかなと思います!

日本人の場合、ラ行しかないので、綴りがどっちだったかなと迷ったり、LなのにRで、誤まった綴りで記憶してしまう事もLとRの発音がアヤフヤになってしまう原因でもありますよね。

耳からの音の情報に自信がない時は綴りもしっかり確認し覚えましょう。

それではまた!
過去の子音シリーズも参考にどうぞ!