英語に興味を持ち、勉強をしている人が海外に行きたいと考えるのは自然なことです。
ところが、異文化を体験することで
カルチャーショックに襲われることがあります。
さらに、逆カルチャーショックというものもありますが、これがどのようなショックかご存知ですか?
そこでこの記事ではカルチャーショック・逆カルチャーショックについてみていきます。
事前に知りたい体験談や対処法などを紹介していきます。
カルチャーショックとは?
外国に旅行や留学などでいよいよ現地を訪れる機会が訪れたときには、それだけで目標を達成したような気持ちになることもあるくらいワクワクします。
英語学習へのモチベーションがさらに上がるという効果もあるでしょう。
しかし、実際には知らない国で経験する生活や文化に戸惑い、日本と比べてそれらがストレスになるケースがあります。
カルチャーショックとは?
カルチャーショックとは英語でCulture Shock、日本語の別表現では文化的衝撃または異文化適応と表現されます。
これらのフレーズからも想像できるとおり、カルチャーショックとは異文化に触れたときに起こる心理的ショック・戸惑いのことを指します。
日本人で言えば、例えば日本からアメリカへ行ったときに、レストランで見るステーキの大きさに「何これ!」とびっくりするようなこともカルチャーショックの一例です。
逆に、日本に来た外国人が多くの日本文化にカルチャーショックを受けていることも想像するとよいでしょう。
カルチャーショックの4段階ステージ
さて、一言カルチャーショックと言っても、その時期によって以下、4つのステージに分かれています。
1. Honeymoon stage
カルチャーショック最初のステージです。景色、匂い、生活ペースから文化的な習慣まで、新しい生活のあらゆる刺激を楽しむハネムーンのようなハッピーな段階です。
2. Negotiation stage
フラストレーションと不安が特徴の段階です。
渡航後、現実が見えてくる約3ケ月くらいで起こります。
イライラしたり、孤立感を感じたりすることがあります。
3. Adjustment stage
この3つ目の段階である6ケ月~12ケ月ほどで適応していくステージに移行します。
すると、生活が徐々に良くなり日々のルーティンが定着し始めます。
4. Adaptation stage
最後に、このステージでは適応段階に到達します。
外国に溶け込み、うまく適応していることを自身でも感じられます。
したがって、孤立感・孤独感はなくなり、日常や周りの友人に慣れることから良い時間を過ごすことができます。
カルチャーショックの克服時期
上で紹介したように、カルチャーショックには段階があります。
そして、カルチャーショックがずっと続くのでもないことも分かりました。
ここで、覚えておきたいのはこれらの段階には個人差があるという点です。
カルチャーショックを数日で克服できる人もいる一方で、数週間、数ヶ月続いてしまう人もいます。
カルチャーショックでは憂鬱な気分になったり、頭痛や不眠といった身体的症状、ストレスや不安を抱える生活、人間関係の問題といった精神的に影響を及ぼす場合があります。
あくまでも目安になりますが、カルチャーショックの克服時期は約6ケ月~1年と言われています。
このころであれば、外国人と英語を使っての生活にある程度慣れていることがイメージできます。
カルチャーショックの例
カルチャーショックは面白いという受け取り方ができれば素晴らしいですが、日本とのあまりの違いにやはりショックを受ける人が多くいます。
初めての海外であれば当然かもしれません。
さて、ここでは実際のカルチャーショックにどのようなものがあるのか例を挙げていきます。
カルチャーショックの例を紹介
カルチャーショックの対象は物事や習慣、そしてその国に住む人や外国人の留学生と多岐に渡ります。
アメリカではすべてのもののサイズが大きい、授業中に何かを食べている人がいる、家族イベントが大好きだし、親は子どもの居場所を知っている必要がある、教師がかなりフレンドリーなどがあげられます。
イギリスでも学校の教師や仕事の上司を含む人のことをファーストネームで呼ぶ、スーパーのレジで見知らぬ店のスタッフからラブやダーリンと呼ばれる、天気の話をよくする、一軒家ではお風呂とトイレが2階にある、クリスマスには電車もお店も一斉に閉まる、ハグをよくする、レストランではチップを払うなどなど、しかもこれらはほんの一部です。
日本人留学生が他の学生と寮をシェアして共同生活をするときにも、あまりの生活習慣の違いに驚き、うまくやっていけないという話を聞くこともあります。
カルチャーショックを楽しもう!
イライラしがちになったり、孤独を感じ海外での生活に支障をきたしてしまうことは誰にとっても良くありません。
しかし、カルチャーショックは海外でのみ得られる素晴らしい体験でもあります。
ここで、心の持ちようについて話をしてみましょう。
カルチャーショックは異文化体験
海外に出るメリットは様々ありますが、英語力の実践、そして異文化を自ら体験することは大きく、これらによって視野が広がり、自分自身に自信がつきます。
海外での経験は魔法の眼鏡を通して、想像もしなかった可能性が見えてくるのです。
海外に出る際には、以下のような気持ちで物事を客観的にみてみる癖をつけることをおすすめします。
・パーフェクトではなくてよいので、事前に滞在国の文化を知っておく。
・海外文化を日本と比べないようにする。
・自分は日本ではなく、海外にいるんだということを意識する。
・日本との違いを笑いにできるくらいの受け取りを意識する。
イギリス在住の筆者も、イギリスならではの不便さなどを「イギリスあるある」として話題にすることがあります。
あくまでも呆れながらも楽しく話します。
電車の遅延は想定内、ドライバーの体調が悪いので1本キャンセルなど、日本では起こらないことがたくさんあり、いちいち深刻に受け取っていたら身が持ちません(笑)
そして大切なことは、滞在先で少しでも多くのコミュニケーションが取れるよう、英語に関して出発前の準備をしておくことです。
会話力が高ければ高いほど、海外生活の環境に適応するときのストレスが軽減します。
留学生であればカウンセラーに相談することも頭に入れておきましょう。
海外の当たり前は日本人にとって当たり前ではない、だからこそ海外に出ることの醍醐味があります。
ぜひ、心を開いてカルチャーショックを楽しむ気持ちを持ちましょう。
逆カルチャーショックとは?
カルチャーショックには4つのステージがあることを述べましたが、実はもう一つの段階があります。
それが「逆カルチャーショック」です。
いったいどのようなショックなのか解説しましょう。
逆カルチャーショックとは?
逆カルチャーショックは、海外で留学や駐在などを経験した人に帰国後起こるカルチャーショックです。
逆カルチャーショックを英語にするとReverse Culture ShockやRe-entry Shockになり、海外での一定期間の滞在を終え、自分の国に再入国した後で発生することがあります。
Reverse Culture Shock/Re-entry Shock
この段階では、帰国時に出発時にはなかったギャップを感じます。
家族、友人、または自分がいた環境が自分抜きで進んでしまった、もはや自分の居場所がないといった気持ちになってしまうことがあります。
逆カルチャーショックの例
カルチャーショックは様々なところで聞くものの、逆カルチャーショックについてはそれほど取り上げられないのではないでしょうか?
そこで、実際にどのようなことが逆カルチャーショックで起こるのか具体例を紹介しましょう。
逆カルチャーショックの例を紹介
海外で素晴らしい体験をし、いよいよ帰国の日となります。
カルチャーショックは良くも悪くも驚きであり、これは逆カルチャーショックも同様です。
例えば、日本に戻ってからの良い面の逆カルチャーショックには、なんといっても日本語でのコミュニケーションの簡単さを改めて感じる点があります。
英語で苦労してきたからこそ、母国語の存在を感じます。そしてサービスのレベルが高いことも挙げられるでしょう。
お店、レストラン、コンビニ、スーパーのお惣菜の豊富さ、そして宅配といったサービスなど全般において質の高さ・スピードに改めて日本版逆カルチャーショックを受けます。
逆に外国で多様性のある世界を体験し、他人のことをいちいち気にしないようなリラックスの文化を経験をすれば、日本は丁寧すぎて窮屈だと感じる人が多くいます。
自分の国に帰国した後に、自分の国なのにも関わらず、このような驚きやズレ、違和感を感じたら、それが逆カルチャーショックです。
逆カルチャーショックの対処法
海外経験をした日本人の約80%もの人が逆カルチャーショックを経験するという話があります。
それだけ、日本と海外の生活、文化、習慣に大きな差があったり、または日本人が真面目であったりするのかもしれません。
最後に、逆カルチャーショックの対処法を紹介しましょう。
逆カルチャーショックの対処法
帰国後に逆カルチャーショックを感じるということは、あなたが留学経験など海外で時間を過ごしたからこそです。
日本を見るときに異なる視点でもみれているということは、豊かな人生にとって良いことだと意識しましょう。
対処法としては、自分の変化を受け入れることを意識し外国で体験した良い面を日本での生活に取り入れてみる、そのような経験・境遇を持つ人のコミュニティに参加してみたりするのも有効です。
多くの人が通る道ということを理解し、焦らず毎日を過ごしてください。
まとめ
本記事では、海外で発生するカルチャーショック、そして帰国後に起こる逆カルチャーショックについてみてきました。
カルチャーショック、そして逆カルチャーショックを感じるのも、あなたが海外で貴重な時間を過ごしたからゆえに起こります。
カルチャーショックは海外での生活の重要な部分であることをお忘れなく、この体験が自分の成長や広い視野を得ることにきっとつながっていきます。
海外から戻ると、また違う国に行きたいという気持ちがむくむくと湧いてくることもあるでしょう。
新拠点ではまた異なるカルチャーショックがきっと発生しますね、ぜひ楽しんでください!

◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。