フィリピンの珍味である「balut(バロット)」をご存知でしょうか?
孵化する前のアヒルの卵を茹でた食べ物で、フィリピンの人達はお酒のおつまみとしても楽しむようです。
見た目のインパクトが強いため、少し勇気が必要かもしれません。しかし変わった料理に挑戦したい人には、おすすめの一品。
今回はフィリピンの珍味バロットの味や食べ方、健康効果などをご紹介します。
- フィリピンの食べ物 balut とは一体何?
- 【バロットの経過日数と特徴の違い】
- balut の食べ方
- balut の健康効果
- フィリピンのbalutを美味しく食べるためのコツ
- balut は日本で食べることは可能なのか?
- balutの歴史
- まとめ
フィリピンの食べ物 balut とは一体何?
「balut(バロット)」とは、フィリピンや東南アジアで食べられている孵化直前のアヒルの卵を茹でた料理です。つまり雛が形成されかけている状態を食べることになります。
その見た目の生々しさから、現地人でも嫌がる人はいるでしょう。
しかし一度食べてしまえば、老若男女問わずその美味しさにハマる人も多いようです。
主に露店などで販売されているストリートフードの1つで、栄養価の高さからフィリピンでは滋養強壮食品ともされています。
アヒルが卵を産んでから16〜21日目の有精卵を茹でたものが「balut(バロット)」と呼ばれ、雛の成形が始まっている状態のため、見た目は少しグロテスクです。
好みは分かれますが、現地では産卵から18日目が1番人気。
しかし日数が経てば経つほど、雛の成形が進んでいますので、初挑戦は14〜16日目がいいかもしれません。
【バロットの経過日数と特徴の違い】
経過日数 |
特徴 |
16日 |
胚部分が小さく、通常の卵のように黄身と白身がほとんど |
18日 |
胚部分の成長が進み、食感が増える |
21日 |
胚成長が完成形に近づき、羽やくちばしもある |
アヒルが卵を産んでから9〜12日目頃の無精卵を茹でた「penoy(ペノイ)」と呼ばれるものもあります。まだ卵の中に雛がいない状態のため、ほぼ普通のゆで卵と同じ見た目です。バロットのグロテスクな見た目が苦手な人はペノイを試してみても良いでしょう。
そもそも日本でアヒルの卵を食べることは中々ないので、どちらを食べても貴重な経験となります。
実際にバロットを買うときは、卵の殻に産卵からの経過日数が書かれているので、お好みの日数を伝えて購入してください。
balut の食べ方
それではバロットの食べ方を見ていきましょう。
まずは卵の殻の尖った上部だけをスプーンの背などで叩いて開け、スープを飲みます。
鶏がらスープのような味をしているみたいです。
バロットは常に温かい状態を保ったまま販売されているため、熱々のスープで火傷しないように注意してくださいね。
スープを飲んだらさらにゆっくりと殻を剥き、中身を食べていきます。塩やお酢をお好みでつけてください。
産卵からの日数によっても中身の見た目に違いはありますが、未発達ながら目やくちばしなど見て分かる部分もあります。
その生々しい見た目から、現地の人でも苦手な人はいるようです。
強烈なビジュアルにより好き嫌いが分かれる一方、バロットを求める客の列が連日絶えないほどの人気があることも否めません。
バロットは実際どんな味?
バロットの味は、一般的なゆで卵よりも濃厚で鳥の旨みが凝縮し、出汁がたっぷりの親子丼のような味という声もあります。
食感は普通のゆで卵に近い部分があったり、柔らかい鶏肉のような感触もあるとのこと。18日目以降であれば、くちばしや骨、羽の部分のパリパリとした食感も楽しめるみたいです。
独特なにおいを感じる人もいるようですが、「美味しすぎる」と虜になる人も多くいます。
精力がつくともされているバロットは、基本的に夕方以降から販売され、露店や自転車販売にて買うことができるでしょう。その場で温かいうちに食べるのが1番美味しいようです。
「バローッ!」と声をかけながら販売している売り子もいるので、その声が聞こえたら買うチャンス。ぜひ呼び止めてみてください。
balut の健康効果
balut(バロット)は高たんぱくに加えビタミンやカルシウム、マグネシウムなど豊富な栄養素が含まれるため滋養強壮に良いとされ、高い健康効果もあります。
もともとアヒルの卵は普通の卵よりも栄養がある上に、孵化直前の卵を茹でることで栄養素を増加させるのです。
またアルコール分解を助けるビタミンB12も含まれ、二日酔い防止の効果もあるとされています。さらには葉酸などの栄養素もあるため、妊婦さんにもおすすめの食べ物として人気があるようです。
加えてコラーゲンやヒアルロン酸など女性に嬉しい美容成分も含んでいて、美肌や美髪効果も期待できるでしょう。嬉しい効果がたくさんありますね。
バロットの栄養価の高さや得られる効果を踏まえて、フィリピンでは大人だけでなく子どものおやつとしても食べられています。
ただし栄養分が豊富すぎるため、食べすぎると高血圧や胃もたれ、頭痛を引き起こす可能性があるため注意が必要です。1日2〜3個まで程度を限度にしましょう。
フィリピンのbalutを美味しく食べるためのコツ
初めてバロットを試す人には、少し抵抗感が生まれるのも事実でしょう。ぜひ以下の美味しく食べるコツを押さえてから挑戦してみてください。
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買ったらすぐに、温かいうちに食べましょう。冷めると美味しさが半減します。
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スープは必ず最初に飲んでください。バロットの味に慣れるためにも最初に飲むのが良いでしょう。鶏がらスープのようだという意見が多いです。
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中身を食べる際は調味料を使うこと。塩や酢が用意されているので、自分の好みに合わせて調整しましょう。中にはにんにくやバルサミコ酢、唐辛子、柑橘系調味料などが用意されていることもあります。
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黄身の部分はまだグロテスクさが少ないのですが、雛の目やくちばし、羽などが分かる部分は苦手な人もいます。どうしても見た目に抵抗がある人は、目をつぶって食べてみてください。口に入れてしまえば鶏肉と卵の中間のような食感で、気にせず食べられるようです。
balutを食べるときの注意点
バロットは加熱されているので基本的には安全なのですが、売られている場所が主に露店のため、衛生環境が不透明な点があるでしょう。
万が一、食中毒にあったときのために市販薬を常備しておくことなどをおすすめします。例えば知り合いの紹介など、信頼できる販売場所を知る術があるのなら、さらに安心です。
初めて食べる方でどうしても不安な場合は、完全に火が通っている部分だけ食べてみるなども1つの方法でしょう。
balut は日本で食べることは可能なのか?
さて、ここまで記事を読んでbalut(バロット)に興味が湧いてきた方もいるのではないでしょうか。しかし「フィリピンまでは行けない、日本にいながら試すことは可能なのか?」と思う方もいるでしょう。
日本でアヒルを食べること自体あまり一般的ではないため、バロットを見つけるのは簡単ではありません。とはいえ、いくつか方法はあるのでご紹介します。
フィリピン料理店に行く
日本にあるフィリピン料理店の中にはバロットを扱っていることもあります。一番手軽に挑戦できる方法です。
その他ゲテモノ料理を提供している居酒屋などでもチャンスがあるかもしれません。
ただし全てのお店で扱っている訳ではないので電話などで事前に確認をしましょう。
アジア食品スーパー
バロットは生鮮食品なので可能性は低いかもしれませんが、アジア食材を扱うスーパーなどで買うことができることもあります。
アジア食品スーパーは、フィリピン人や東南アジア系の人が多く住んでいる地域にあることが多いです。近くに思い当たる場所がある人はぜひチェックしてみてください。
通販購入
フィリピンのオンラインショップや、日本にあるアジア食材店の通販からバロットを入手することもできます。
現地より高額にはなりますが、高級食材ではないため手が出せない金額ではありません。配送料などもかかってしまうデメリットはありますが、他の方法で見つからない場合は通販もおすすめです。
ただしレビューなどを確認し、信頼できるサイトから購入してください。
また通販やお店で買う場合は、自宅で調理する必要があります。
【自宅での調理方法】
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卵を大きな鍋に並べて塩水に漬ける。
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鍋に蓋をし、弱火で約30分蒸し煮。
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卵を定期的に回転させ、均一に加熱する。
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後から食べる分は新聞紙などで巻いて保温。
balutの歴史
balut(バロット)という料理は古くからあるもので、17世紀に中国人からフィリピンに伝えられたとされています。
当時の中国では孵化したアヒルの肉を食べていたようですが、孵化する前に茹でて食べるという調理方法も生み出しました。
現在ではフィリピンの有名な国民的フードのひとつとなっていますが、フィリピンに移住した中国人や中国の商人がバロットを広めたというルーツがあるのです。
フィリピンの人々は中国人が広めたバロットをとても気に入り、爆発的な人気フードとなりました。
またその後、フィリピン人からカンボジア・ベトナム・ラオスなどの東南アジア中に広まったと言われています。
ベトナムではバロットではなくホビロンと呼ばれていますが、違いはなく同じ料理です。
balutの作り方
balut(バロット)はどうやって調理されているのかをご紹介します。
まずは孵化する直前の丈夫な卵だけを選び、太陽の光で5日ほど余熱。その後、42度前後まで加熱したお米の上に袋にいれた卵を置き、熱が逃げないように全体を包んで3日ほど放置したら完成です。
後はバロットをお好みの日数(14〜21日)時点でゆでて食べます。
調理工程を見ると完成までの時間が長く、お米の上に卵を置いている間一定の温度を保たなければならず、手間がかかることが分かりました。
バロットの調理方法は昔からほぼ変わっておらず、今でも似たような作り方が受け継がれています。
まとめ
フィリピンの国民的フードであるbalut(バロット)は、露店や自転車販売などで簡単に手頃な価格で試すことができます。
見た目のグロテスクさに抵抗感を持つかもしれませんが、勇気を出して食べたらドハマりしたという人も多くいるようです。
本記事を通して絶対に食べられないと思った方もいれば、興味が湧いた方もいるでしょう。
「フィリピンには行けないけど試してみたい」という方は日本にいながら食べられる方法もありますし、フィリピンに行く機会がある方はぜひ現地で試してみてはいかがでしょうか。