
「宗教」と聞くと、多くの人が『信仰』や『精神的な支え』といったポジティブなイメージを思い浮かべるでしょう。
しかし、世界には危険な
「カルト宗教」や新興宗教が存在し、中には悲惨な事件を引き起こした団体もあります。
また、実際の事件をモチーフにしたカルトや宗教がテーマの映画も少なくありません。
本記事では、海外の怖い宗教ランキングや、宗教に関連する事件、さらにはカルト宗教に関連した映画についてご紹介します。
宗教とカルトの違い
まず、カルトと宗教は以下のように異なります。
| カルト | ・社会的に問題視される宗教や団体 ・極端な教義を掲げ、信者に対する洗脳や拘束などで知られている ・信者を精神的・肉体的に支配し、経済的に搾取することも多い ・信者が家族や社会からの孤立する原因となり得る ・指導者(教祖)の権力が強く、信者の思考や生活を支配する ・新興宗教として登場した団体が、時間の経過とともにカルトとして危険視されるケースも多い |
| 宗教 | ・信仰を通じて、精神的な支えを求めるもの |
特に、カルトには以下のような特徴があります。
危険視された海外と日本の怖い宗教ランキング
世界には数多くの宗教団体が存在しますが、その中には恐怖を感じるようなカルト教団もあります。
信者を過度に支配し、洗脳し、財産を搾取するような団体もあり、その影響力は計り知れません。
特に新興宗教やカルト団体の中には、集団自殺や殺人事件を引き起こすケースも多く、社会的に大きな問題となっています。
ここでは、特に危険視された宗教をランキング形式で10位までご紹介します。
1位 ジム・ジョーンズと人民寺院(アメリカ)
ジム・ジョーンズが率いた「人民寺院」(Peoples Temple)は、1955年にアメリカ合衆国インディアナ州で創設された社会主義キリスト教系のカルトです。
キリスト教をベースに共産主義や社会主義を取り入れ、人種平等を訴えました。1978年に信者900人以上が集団自殺を遂げた事件で有名です。
信者たちは教祖に従い、毒入りのジュースを飲んで命を絶ちました。
2位 ヘヴンズ・ゲート(アメリカ)
ヘヴンズ・ゲート(Heaven's Gate)とは、アメリカ合衆国カリフォルニア州を拠点に活動した、UFOを信じる宗教団体です。
1997年、39人の信者が宇宙船に乗るために集団自殺を図った事件を起こしました。その後教団は消滅。
彼らは、カルト的な終末思想を信じていました。
3位 オウム真理教(日本)
オウム真理教とは、かつて日本にあったカルト集団でありテロ組織です。
当初は新興宗教団体として活動していましたが、次第に犯罪組織として活動を拡大し、布教の裏で犯罪や洗脳、金銭的な搾取をしていました。
1995年に日本で毒ガスを使った地下鉄サリン事件を起こし、多くの人が犠牲になりました。
新興宗教の名のもとに、化学兵器を使用するなど危険な活動を行っていたカルトです。
4位 太陽寺院(スイス・カナダ)
太陽寺院(Order of the Solar Temple、正式名称:太陽伝説国際騎士団)とは、テンプル騎士団や神秘主義に影響された教祖リュック・ジュレが1980年ごろにスイスで創設したカルト教団です。
1994年10月にスイスとカナダで信者が集団自殺し、犠牲者53名のうち16人が子どもでした。
教祖をはじめ、高学歴かつ社会的地位の高い裕福な白人が信者の多くだったため、全世界に衝撃が走りました。
5位 フォロワーズ・オブ・クリスト(アメリカ)
フォロワーズ・オブ・クリスト(The Followers of Christ)は、19世紀末のアメリカ合衆国カンザス州で発祥したプロテスタントの小規模な教派です。
オクラホマやオレゴン、アイダホなどに教会がありますが、近親者によるリーダーシップの継承や新規入信者の募集停止、儀式中心の礼拝などが原因で、閉鎖的な教派だと見なされる場合もあります。
また、信者が医療を拒否し、信仰による治癒のみを信じることで、子供たちの死亡事故が多発していることで問題視されています。
6位 ラエリアン・ムーブメント(フランス)
ラエリアン・ムーブメント(Raëlian movement)とは、1974年にフランスで創設された新興宗教で、UFOやクローン技術に関連する信仰を持っています。
科学的な進歩を背景にした信仰ですが、社会からの批判も多く受けており、本国フランスでは政府のカルトに関する議会委員会によってカルトと称されています。
7位 マンソン・ファミリー(アメリカ)
マンソン・ファミリー(Manson Family)とは、カリスマ的指導者チャールズ・マンソンが率いた犯罪集団です。
1960年代末〜1970年代初頭にかけてアメリカ合衆国カリフォルニア州にて、集団生活を送っていました。1968年にはロサンゼルス・ハリウッドに数十名のメンバーと移り住み、薬物売買や物乞い、クレジットカードの不正使用などで収入を得ながらファミリーを拡大させていきました。
ハリウッド女優シャロン・テートを含む数名を殺害したこと(テート・ラビアンカ殺人事件)で知られています。
8位 ムーニーズ(統一教会・韓国)
ムーニーズ / 統一教会(正式名称:世界平和統一家庭連合、旧称:旧統一教会・世界基督教統一神霊協会)とは、1954年韓国で文鮮明によって創設された新興宗教です。
キリスト教系の新しい宗教ではありますが、一部の国ではカルト(セクト)として警戒されています。
世界的に大きな影響力を持つ団体で、フランスでの反セクト法のみならず、各国で監視や規制がされているカルトです。信者たちは強制的な結婚儀式や経済的搾取に苦しんでいます。
9位 カルロス・カストネダ派(メキシコ)
カルロス・カストネダ派とは、作家で人類学者であるカルロス・カストネダの著書や思想に影響を受けた信者を指す言葉です。
カストネダは、1960年代〜1990年代にかけて、メキシコ先住民のシャーマン(ドン・ファン)の元での修行体験に関する著書を多数発行。
オカルトやスピリチュアル分野、ニューエイジ運動などに大きな影響を及ぼしました。神秘的な思想と儀式を信奉し、信者たちに厳格なルールを強いる団体として知られています。
カルトや宗教で起きた悲惨な事件
カルト宗教による悲惨な事件は世界中で発生しており、その中には多くの死者を出した衝撃的なものもあります。
信者の盲目的な信仰や指導者の極端な思想によって、無実の人々が巻き込まれることも少なくありません。
以下では、特に有名な事件を詳細に紹介します。
マンソン・ファミリーの殺人事件(アメリカ・1969年)
カルト的集団マンソン・ファミリーの狂信的な信奉者のひとりが、カリスマ指導者チャールズ・マンソンの命令で、ハリウッド女優シャロン・テートを含む5名を惨殺しました。
通称、テート・ラビアンカ殺人事件と呼ばれています。
人民寺院の集団自殺事件(ガイアナ・1978年)
1978年、カルト教団「人民寺院」を率いるジム・ジョーンズは、南米ガイアナ・ジョーンズタウンにて信者918人に毒入りの飲み物を飲ませ、史上最悪の集団自殺事件を引き起こしました。
この事件の被害者数は、2001年9月11日アメリカ同時多発テロ事件が起きるまでアメリカ合衆国国民が犠牲となった最多人数でした。
ウェイコ包囲事件(アメリカ・1993年)
ウェイコ包囲事件とは、1993年、アメリカ合衆国テキサス州ウェイコでカルトのブランチ・ダビディアンとアメリカ合衆国の法執行機関の間で発生した銃撃戦です。
ブランチ・ダビディアンが違法武器を所持している疑いがあったため、米国連邦政府やテキサス州法執行機関、米軍などが合同で作戦を実行しました。
指導者デビッド・コレシュの信者が戦闘に突入し、最終的に80人以上が死亡しました。
太陽寺院の集団自殺事件(スイス・フランス・1994年-1995年)
カルト団体「太陽寺院」は、1994年と1995年にかけて、複数の地域で信者の集団自殺事件を引き起こしました。
総勢74人が死亡し、団体の教祖は終末思想を強調していました。信者の多くが白人富裕層が多かったため、世界的にも衝撃を与えた事件です。
地下鉄サリン事件(日本・1995年)
地下鉄サリン事件(正式名称:地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件)とは、1995年3月20日に東京都でオウム真理教が起こした化学テロ事件です。
運転中の地下鉄内でオウム真理教の信者たちが神経ガスであるサリンを散布し、13人が死亡、50人以上が重症、6000人以上が負傷する大惨事となりました。
乗員や乗客だけでなく、被害者の救助にあたった多くの方が犠牲になりました。
平時の大都市で化学兵器を使用した無差別テロ事件として知られています。
ヘヴンズ・ゲート集団自殺事件(アメリカ・1997年)
ヘヴンズ・ゲート集団自殺事件とは、UFO信仰を掲げたカルトである「ヘヴンズ・ゲート」は、1997年に起こした集団自殺です。
教祖のアップルホワイトを含めた39人が、カルフォルニア州の賃貸住宅にて遺体で発見されました。
集団自殺のきっかけとなったのは、ヘール・ボップ彗星出現。彼らは「彗星に乗る」と信じ、意図的に命を絶ちました。
「ライフスペース」事件(日本・1999年)
ライフスペース事件とは、1999年に自己啓発セミナーの運営者である有限会社ライフスペースの代表が関与した事件で、成田ミイラ化遺体事件とも呼ばれています。
代表は頭部を手で叩くことで病気を治療できると謳い、信者の男性が入院中の家族を病院から連れ出した上に適切な治療を受けさせなかったため死亡。
遺体を治療中として数カ月間保存し続けるという衝撃的な内容でした。
ナイジェリアの宗教テロ(ナイジェリア・2014年)
ナイジェリア・宗教テロとは、ナイジェリアの過激派組織であるボコ・ハラムが起こした宗教テロです。
キリスト教徒が多く住む地域を襲撃したほか、学生寮から女子学生を240名拉致するなど、ナイジェリア国内で学校襲撃や誘拐事件を引き起こし、数百人が犠牲になりました。
韓国の新天地イエス教事件(韓国・2020年)
新天地イエス教事件とは、2020年に韓国で新興宗教団体・新天地イエス教会を巡り、新型コロナウイルス感染拡大のクラスターが発生し、社会的な問題となった出来事です。
感染者名簿の提出が遅れたことなどから団体側が防疫協力に消極的だったとして、指導者を感染症予防法違反などの容疑で起訴しました。この事件をきっかけに、宗教団体と国家との防疫対応をめぐる対立が注目されました。
カルトや宗教が出てくる映画
カルト宗教や宗教を題材にした映画は、多くの人々に衝撃を与え、社会的な問題意識を高めるものとなっています。
実際の事件をモデルにしたものや、カルトの恐怖を描いたフィクションなど多岐にわたります。
以下では、カルトや宗教をテーマにした有名映画のあらすじを紹介いたします。
| タイトル | 国・時期 | 内容 |
| エクソシスト | アメリカ 1973年 |
ワシントンD.C.に住む12歳の少女リーガンは、ある日を境に異常な行動を見せ始める。 母親のクリスは医師や心理学者を訪ねるも原因は不明。 やがて、リーガンは悪魔に取り憑かれたことが判明し、カトリックの神父たちがエクソシズム(悪魔祓い)を行う。 果たして彼らはリーガンを救うことができるのか。 実際の事件を基にした本作は、ホラー映画の金字塔として今なお多くの人に語り継がれている。 |
| ザ・マスター | アメリカ 2012年 |
第二次世界大戦後、帰還兵のフレディ・クエルは精神的な安定を求めてさまよう。 そんな彼が出会ったのが、カリスマ的指導者ランカスター・ドッド。 ドッドは「ザ・コーズ」という新興宗教を立ち上げており、フレディは彼の魅力に引き込まれていく。 しかし、次第にその教義と団体の実態に疑問を抱くようになる。 ポール・トーマス・アンダーソン監督による本作は、実在のカルト団体をモデルにした心理ドラマとして話題となった。 |
| ミッドサマー | スウェーデン 2019年 |
大学生のダニーと彼女の友人たちは、スウェーデンの田舎で行われる「夏至祭」に招待される。 美しい自然に囲まれた村では、白装束をまとった村人たちが温かく迎えてくれる。 しかし、次第に不可解な儀式が始まり、やがてメンバーは恐怖の渦に巻き込まれていく。 日常から切り離された閉鎖的な環境の中、ダニーは恐ろしい決断を迫られることになる。 |
おまけ:宗教に関する英単語
宗教に関する英単語を知っておくと、海外のニュースや映画の理解が深まるだけでなく、英語での議論や文化交流にも役立ちます。
以下に、宗教に関する重要な英単語を紹介します。
基本的な宗教用語
| 単語 | 日本語の意味 | 備考 |
| Religion | 宗教 | 一般的に宗教を指す言葉 |
| Faith | 信仰 | 神や宗教的な教義に対する信仰心を意味する |
| Believer | 信者 | 特定の宗教を信仰している人 |
| Worship | 礼拝 | 神や聖なるものに対する崇拝行為 |
| Sacred | 神聖な | 宗教的に重要で、冒涜してはならないもの |
宗教に関する活動や役職
| 単語 | 日本語の意味 | 備考 |
| Clergy | 聖職者 | 宗教の指導者や聖職者の総称 |
| Priest | 司祭・神父 | カトリックや正教会の聖職者 |
| Monk Nun | 修道士 修道女 | 仏教やキリスト教の修道生活を送る人々 |
| Pilgrimage | 巡礼 | 聖地を訪れる宗教的な旅 |
| Sermon | 説教 | 宗教的な教えを伝えるスピーチ |
宗教の種類と関連表現
| 単語 | 日本語の意味 | 備考 |
| Christianity | キリスト教 | 世界最大の宗教であり、イエス・キリストの教えに基づく |
| Islam | イスラム教 | コーランを聖典とする宗教 |
| Buddhism | 仏教 | 仏陀の教えに基づく宗教 |
| Hinduism | ヒンドゥー教 | インド発祥の宗教で、多神教の要素を持つ |
| Judaism | ユダヤ教 | 旧約聖書を聖典とし、ユダヤ民族の信仰と文化を形成する宗教 |
まとめ
宗教は人々の生活に深く関わるものですが、一方でカルト宗教のような危険な団体も存在します。
これまでの長い歴史を見ると多くの悲劇的な事件が発生しているため、情報を正しく理解することが大切です。
なお、宗教を理解することで、その国の歴史を知ることができる場合もあります。
1つの情報に偏らず、満遍なく知識をつけることで、公平かつ公正に理解を深めましょう。
◇経歴
・新卒で入社した貿易商社にて韓国語英語を使い貿易業務に従事。
・現在は大手総合情報サイトのカスタマーサクセス職に携わる傍ら、副業で韓国語・英語を使用しマーケティングチームの一員として奮闘中。
◇留学経験
・カナダに姉妹校をもつ国際的な高校に入学し、交換留学を経験。
・大学では国際学部を専攻し、国際情勢を英語で毎日学び、卒業論文も
英語で執筆。
・大学在学中に韓国外国語大学という韓国一外国人留学生の多い大学に
留学し、英語と韓国語を同時に学ぶ。
◇海外渡航経験
旅行:タイ、バリ、カナダ、韓国
◇自己紹介
小学生の時に、ナルニア国物語に出会い、英語に目覚めました。
英語が話せたら、色んな人と話せるだろうなぁ、自分の知らない世界を知ることができるんだろうなぁという幼い時に芽生えた純粋な心を今日まで忘れず、”語学”と共に生きてきました!
私は日本生まれ日本育ちですが、在日コリアンのルーツを持っています。第一言語は日本語ですが、母国語にも興味を持ち、小学5年生から独学で勉強をして韓国語検定6級を取得した過去もあります。
語学は人生を豊かにしてくれるものだと心から信じていますし、楽しさを自分のものだけにせず、誰かと分かち合いたい気持ちからライターとして活動を始めました!
今年からオーストラリアに拠点を移し、再度勉学に励みつつ、『自由に働く』ことを夢に掲げていますので、現地の最新情報なども発信できたら嬉しいです。