英語学習のための留学先として人気を集めているフィリピンは、開放的な南国という印象が強いようです。
しかし、フィリピン人の大半はキリスト教徒で、日本人の考え方や過ごし方と異なる点は多いです。そのため、フィリピンへの留学や旅行を考えている方は、事前に宗教に関する知識や守るべきマナーを知っておくと安心です。
今回の記事では、フィリピンの宗教事情や行事、宗教に関する日常生活について詳しくまとめました。
フィリピンに行く予定があるという方は、ぜひ参考にしてください!
フィリピンの基本情報
最初に、フィリピンの基本情報を紹介します。
フィリピンの面積と特徴
フィリピンは日本の約8割程度の大きさである298,170平方キロメートルの面積で、7,641個もの島々で構成されています。
代表的な島には、首都のマニラが位置するルソン島・セブ島・ミンダナオ島・サマール島・ネグロス島などが存在します。また、フィリピンは世界で一番無人島が多い国としても知られています。
フィリピンの気候
フィリピンは熱帯モンスーン気候であり、6〜10月の雨季・11〜2月の涼しい乾季・3〜5月の暑い乾季の3つの季節に分けられます。
地域により多少異なりますが、年間を通して日本の夏の服装で暮らせると考えて良いでしょう。
日本と比較して日差しが強いため、サングラスや帽子などの対策をとる必要があります。雨季の間でも日本の梅雨のように何日も雨が降り続くケースは少なく、短時間で激しい雨が降った後はカラリと晴れることも多いです。
フィリピンの言語
フィリピンの公用語はフィリピノ語と英語です。
フィリピンでは180種類以上の土着語が母語として使われており地域ごとに異なるために、フィリピン人同士でも母語での会話が難しいケースも珍しくありません。
そのため、国民の約9割が第二言語である英語を話せます。
フィリピンは、アジアで最も英語を話す人の割合が高い国だと言われています。
フィリピンが人気の語学留学先になった理由
フィリピン人の英語力が高いこと・留学費用が安いこと・日本から4〜5時間程度のフライトで到着することなどの条件が揃い、フィリピンは語学留学先として日本人から人気を集めています。
このような理由から、フィリピンには非常に多くの語学学校が存在します。
フィリピン留学では、マンツーマンレッスンを活用した効率の良い英語学習ができるだけでなく、休日に美しい海でマリンスポーツも楽しめます。英語学習をしながらリゾート気分を味わえる、そんな魅力的な留学先です!
フィリピンの宗教事情
フィリピンの国教はキリスト教であり、90%以上のフィリピン人がキリスト教を信仰しています。
具体的には、フィリピン人の80%はカトリック、10%がその他のキリスト教に分類可能です。
ただし、ミンダナオ島では人口の2割以上がイスラム教徒であることから、地域により違いがあると言えるでしょう。
東南アジアでは珍しく、キリスト教徒が多いフィリピンですが、なぜフィリピンでキリスト教が根付いたのでしょう?その理由を見ていきたいと思います。
フィリピンでキリスト教が根付いた理由
フィリピンにキリスト教が根付いた理由は、フィリピンが16世紀の中頃からスペインの植民地になり改宗されたためです。
それまでは、土着の宗教とインドネシアから広がったイスラム教が信じられていました。
約330年ものスペイン植民地時代に、キリスト教がフィリピン全体に浸透したのです。
当時、迫害を受けた一部のイスラム教徒が逃げ込んだ先がミンダナオ島であり、現在でもミンダナオ島はフィリピンの他の地域と比較してイスラム教徒の割合が多くなっています。
フィリピンで宗教上禁止されていること
カトリックでは離婚が禁止されていますが、今の時代に離婚を認めていない国は稀です。
しかし、フィリピンは離婚制度が存在しないことから、一度結婚をしたら外国人でもフィリピン国内での離婚が認められません。
フィリピン人と日本で結婚し日本で暮らしている場合は、日本の制度を活用して離婚ができますが、フィリピン人にとって「離婚はタブー」であることを知っておきましょう。
また、カトリックは人工中絶も禁止しているため、フィリピンでは適切な医療機関で中絶手術が受けられません。
フィリピン人の信仰を否定するような言動・行動はしないこと
フィリピンは、比較的熱心なキリスト教徒が多いといわれています。そのため、相手の宗教を軽視する発言や行動はしないようにしましょう。
もちろんフィリピン国内またはフィリピン人の前で、神様の存在やキリスト教の習慣を否定するようなことを、絶対にしてはいけません!
無宗教が多い日本人は、悪気なく相手に不快な思いをさせる可能性が考えられます。日本人は、日常的に宗教と深い関わりがない場合が多いため、海外では特に気を付けましょう。
また、親しい関係ではない場合、なるべく宗教の話自体を避けることで、失礼がないように心がけるといいかもしれません。
フィリピンの祝日と宗教行事
フィリピンには、歴史的な背景・多様な民族性・文化を反映したさまざまな祝日・宗教行事が存在します。
また、祝日には国民的な祝日と地域に特化した祝日があることから、地域ごとに祝日・宗教行事が異なると考えてください。
フィリピン全土で祝われる国民的な祝日
フィリピン全体で祝われる代表的な祝日を一覧にしました。
新年 | 1月1日 |
エイズ治療啓発デー | 2月2日 |
ピープルパワーデー (1986年のピープルパワー革命を記念) | 2月25日 |
聖金曜日 (キリストの十字架上の死を記念する日) | 未定 |
ラボーデー (労働者の権利を祝う日) | 5月1日 |
独立記念日 (1898年のスペインからの独立を祝う日) | 6月12日 |
英雄の日 (独立のために戦った英雄を称える祝日) | 8月の最終月曜日 |
万霊節 (先祖の墓を訪れ祈りを捧げる日) | 11月1日 |
クリスマスデー | 12月25日 |
ラマダン・イード (ムスリムの祝日、ラマダン月の終わりを祝う) | 未定 |
フィリピンの代表的な地域の祝日
地域の祝日は特定の地域または自治体に限定された祝日であり、該当の地域以外では休日扱いになりません。
代表的な地域祝日として、セブ地方の「シヌログ祭り」があります。
シヌログ祭りは毎年1月の第3日曜日に実施され、9日もの間キリスト像「サントーニーニョ」に感謝と祝福を表すためのさまざまなパレードが行われます。
シヌログ祭りはフィリピン全土のみでなく、世界中から多くの観光客が集まる大規模なイベントです。
フィリピンは祝日が非常に多い
フィリピンには全国的な祝日のみで年間20日、地域の祝日も含めるとより多くの祝日が存在します。現在日本の祝日が年間で16日であるのに対して、「フィリピンはお休みが多い」と言って良いでしょう。
日付が固定されている「定められた祝日(Regular Holidays)」は150%、日付が毎年変更される「特別な非労働日(Special Non-Working Days)」に働いた場合は130%の賃金が受け取れます。
フィリピンの祝日は突然変更される⁉
フィリピンの祝日は、毎年8〜9月頃に大統領が発表します。また、年の途中でフィリピン政府の発表により祝日の日程が突然変更されるケースも多いです。
そのため、急遽、前日に翌日が祝日になることも珍しくないのです。フィリピンで長期的に生活をする方には、臨機応変な対応が求められると考えておきましょう。
フィリピンの宗教に関する日常生活
フィリピンの人の90%以上がキリスト教、かつ信仰心が深いクリスチャンが多いです。この章では、フィリピンの宗教に関する日常生活について詳しくご紹介します。
キリスト教に関係した祝日が多く存在する
前の章でお伝えしたフィリピンの祝日の多くは、キリスト教に関係するものばかりです。フィリピン人はクリスマスやホーリーウィークなどの宗教行事を祝日にして、教会を訪れ祈りを捧げたり家族で過ごしたりするのです。
毎週日曜日は教会に行く
フィリピンには街中にいくつもの教会があり、キリスト教徒であるフィリピン人は毎週日曜日の朝に教会の礼拝に参加します。
また、ショッピングモールでミサが開催される・定時になるとお祈りの詩が流れるなどの取り組みにも、フィリピン人の信仰の強さが表れています。お祈りの時間には、買い物客のみでなくスタッフも手を止めてお祈りをします。
最も重要な行事であるクリスマス
フィリピンでは年間の中でも最も重要な行事をクリスマスだと考える方が多く、9月頃からクリスマスの飾り付けが始まります。
このクリスマスムードは4ヶ月も続くことから、フィリピンは「世界一クリスマスが長い国」と呼ばれているのです。クリスマスには家族や親戚が集まり、教会のミサに参加したり豪勢なクリスマスパーティーを楽しんだりします。
フィリピンのクリスマスパーティーはレチェブエナ(noche buena)と呼ばれ、12月25日に開催されます。レチェブエナ(noche buena)はスペイン語で「聖なる夜」「おやすみなさい」という意味を持つ言葉です。
フィリピンでは豚肉料理が好まれる
キリスト教は一般的に肉食を認めていることから、イスラム教やヒンドゥー教のような厳しい食事の制限はありません。そのため、感謝祭やクリスマスには七面鳥・魚・羊などが振る舞われます。
特にフィリピンでは豚料理が多く、豚の丸焼きである「レチョン」、豚足を油で揚げた「クリスピーパタ」、豚の皮・耳・頬肉を玉ねぎなどと炒めた「シシグ」などの伝統料理が人気を集めています。
中でも初めてレチョンを見る方は、驚いてしまうかもしれません。レチョンは現地の人にとって高級料理ですが、お祝いの席やお祭りで必ず登場すると言っても過言ではない定番のご馳走です。
まとめ
フィリピンでは90%以上の国民がキリスト教を信仰しています。フィリピン人には深い信仰心があり、毎週日曜のミサや宗教行事に力を入れるだけでなくキリスト教に関係する祝日が多く存在するのです。
フィリピンに行く予定がある方は、フィリピン人の信仰についても知っておきましょう。
また、フィリピンの祝日や宗教行事について理解を深めれば、これまでと違った点からフィリピンについての理解を深められます。相手の信仰を否定するような行動・言動に注意して、お互いを尊重し合える発言・行動を心がけることも忘れず、国際交流を楽しみましょう。