
カナダへの海外留学や移住を検討する際、多くの人がまず気になるのが現地での生活費用です。特にここ数年は、世界的なインフレの影響を受け、カナダの物価も上昇が続いています。
この記事では、カナダと日本の物価を具体的に比較しながら、家賃・食費・外食・ホテル代といった生活費の実態を詳しく解説していきます。これから留学やワーホリ、長期滞在を検討している方にとって、現地生活をイメージしやすくなるはずです。
カナダの物価はどれくらい?
2025年現在、カナダの物価はどれくらいなのでしょうか。
日本と比べて生活しやすいのかどうか、以下で見ていきましょう。
世界から見たカナダの物価水準
現在、カナダの生活費は先進国の中でも高めの水準にあります。
とくにバンクーバーやトロントなど都市部で生活する場合、家賃や外食費が大きな負担となりやすいのが特徴です。
基本的な生活費は、都市部では一人暮らしに必要な生活費は、月2,500から3,500カナダドル(約27万円から38万円)が必要とされています。これは、光熱費、食費、交通費、娯楽費などを含めた金額ですが、家賃は含まれていません。
家賃を含めると、さらに2,000カナダドル程度が必要となり、月の出費が50万円近くに達することも珍しくありません。
また、カナダの物価は季節によって生活費の差が大きく、冬は暖房費や輸入食材の高騰によって支出が増えます。夏と比べて月500カナダドルほど余計にかかるケースもあり、年間を通して安定した支出を見込むことは難しいと言えます。
都市ごとの生活費の違い
カナダの物価は都市によって大きく異なります。
物価が最も高いのはバンクーバーとトロントで、特にバンクーバーの家賃はトロントに比べてもさらに10〜15%高いとされています。一方でモントリオールは、主要都市の中では比較的物価が抑えられており、家賃もバンクーバーやトロントに比べて30〜40%安く暮らすことが可能です。 これは、ケベック州の家賃規制や、フランス語圏であることによる需要の違いが影響していると言われています。
アルバータ州のカルガリーやエドモントンは石油産業が盛んで給与水準は高いものの、州税がないことから物価は抑えられ、コストパフォーマンスの良い都市として知られています。
インフレが続く2025年のカナダ
カナダでは2025年現在もインフレーション(インフレ)の影響が顕著に表れています。
食品価格は前年比で平均3〜4%上昇し、特に生鮮食品の値上がりが家計に大きな影響を与えています。エネルギー価格も依然として高止まりしており、冬場の光熱費は家計を圧迫する要因となっています。
カナダ銀行(中央銀行)は、インフレ抑制のために利上げを行った影響で、住宅ローンの金利も上昇し、不動産市場は不安定な動きを続けています。とくに大都市圏では住宅価格と家賃の高騰が顕著で、長期滞在者にとっては避けて通れない問題といえるでしょう。
為替レートの影響
日本人にとって、カナダの物価を考える上で重要なのが為替レートの変動です。
2025年現在、1カナダドル=約107円前後で推移しています。2021年には1ドル=85円程度だった時期もあるため、数年のうちに円換算で25%以上高くなったことになります。物価上昇に加え円安が進行したことで、同じ生活費を支払っていても円に換算すると以前よりも大幅に割高に感じるのが現状です。長期の留学や移住を考える場合には、為替の変動リスクも必ず念頭に置いておく必要があります。
カナダと日本の家賃の比較
カナダで生活するうえで最も大きな出費は家賃です。
ここでは留学や長期滞在で気になるカナダの家賃相場を見ていきましょう。生活する上で必ず必要となる費用なので注目です。
都市部の賃貸住宅事情
バンクーバーのダウンタウンでは、1ベッドルームのアパートの家賃が平均3,000カナダドル(約32万円)を超えています。
東京都心の同程度の物件と比較しても、かなり高額ですね。トロントも同様に高額で、ダウンタウンの1ベッドルームは2,800カナダドル(約30万円)程度から始まります。
これらの物件は、一般的に40~50平方メートルほどの広さがあり、キッチンやバスルームも日本の物件より広めです。しかし、築年数が古い物件が多く、内装や設備の質が家賃の高さに見合わない場合も珍しくありません。
また、バンクーバーやトロントでは空室率が1%を下回ることもあり、好条件の物件を見つけるのは非常に困難です。多くの場合、内見から契約までを数日以内に済ませる必要があり、競争の激しさから提示家賃より高い金額で申し込まざるを得ないケースもあります。
郊外の住宅環境
都心から離れた郊外エリアでは、家賃は比較的手頃になります。
バンクーバー郊外のバーナビーやリッチモンドでは、中心部と比べて30〜40%ほど安く住める物件が多く見つかります。
例えば、バーナビーでは1ベッドルームのアパートが2,000カナダドル(約22万円)程度から見つけられます。公共交通機関も発達しており、スカイトレインを利用すればダウンタウンまで30分程度でアクセスできます。
リッチモンドはアジア系住民が多く、日本食材を扱うスーパーやアジアンマーケットも充実しています。家賃はバーナビーと同水準で、1ベッドルームが1,800~2,200カナダドル(約19~24万円)程度です。
日本の郊外住宅と比べると、カナダの物件は広さに余裕があり、駐車場が標準で付いていることも特徴的です。
住宅設備の違い
カナダの賃貸物件は、日本と異なる特徴が数多くあります。
多くの物件に洗濯機・乾燥機が標準装備されており、キッチンには大型の冷蔵庫やオーブンが備え付けられています。さらに食器洗い機が付いている物件も多く、日常生活に便利な設備が整っています。
一方で、日本の物件のような高い防音性や断熱性は必ずしも十分ではなく、築年数が古い物件では冬に暖房効率が悪く、光熱費が想定以上にかかる場合もあります。物件を選ぶ際には、窓の断熱性や暖房設備の状態を確認することが重要です。
また、カナダでは、地下室(ベースメント)スイートと呼ばれる物件も一般的です。
一軒家の地下階を改装して作られた独立した住居で、家賃は通常のアパートより20~30%程度安価ですが、天井が低く自然光が入りにくいといったデメリットもあります。コストを抑えたい人にとっては魅力的な選択肢ですが、生活環境の快適さとのバランスを考えて検討する必要があるでしょう。
カナダと日本の食費(スーパーマーケット)の比較
カナダのスーパーマーケットの食材は、品目によって日本との価格差が大きく異なります。
乳製品や肉類はカナダの方が安いものが多い一方、魚介類は日本のほうが圧倒的に購入しやすい価格帯となっています。
例えばチーズやヨーグルトは日本より20〜30%ほど安く、牛肉などの肉類も日本の半額程度で購入できる場合があります。ただし牛乳に関しては日本の方が安価で、1リットルあたりカナダでは約3.5カナダドル(約380円)、日本では230円前後と差が出ています。
肉類では特に牛肉の価格差が大きく、良質な牛肉でも日本の半額程度で購入できます。一方で、魚介類は非常に高額で、サーモン以外の魚は日本の2~3倍の価格がつくことも珍しくなく、鮮度や品質も日本と比べると劣る場合があります。魚を日常的に食べたい人にとっては、カナダでの食生活にやや不自由を感じるかもしれません。
野菜や果物は、季節や産地によって価格が大きく変動します。夏は地元産の野菜が豊富で安価ですが、冬になると輸入品が中心となり価格が2〜3倍に跳ね上がります。例えばトマト1キロの価格は夏場であれば3カナダドル程度ですが、冬場には8〜9カナダドルにまで上がることがあります。このように季節ごとの変動が大きいため、時期に応じて食材を選ぶ工夫が欠かせません。
カナダと日本の外食の比較
カナダでは、料理の代金に加えて州税と連邦税(BC州の場合合計12%)、そしてチップ(15~20%)を支払う必要があります。
例えば、25カナダドル(約2,700円)のメインディッシュを注文した場合、最終的な支払額は約35カナダドル(約3,800円)ほどになることも珍しくありません。
カナダのファストフード店では、ハンバーガーのメニューが14~15カナダドル(約1,600円)程度で、値段は日本の2倍以上の価格設定となっています。この価格差は、原材料費や人件費の違いに加え、カナダの最低賃金が日本より高いことが影響しています。
カジュアルなレストランでは、1人あたりの予算は25~30カナダドル(約2,700~3,300円)が一般的です。パスタやサラダ、メインディッシュといった一般的なメニューでも、日本のファミリーレストランと比べると1.5倍から2倍の価格差があります。
もう少しラグジュアリーなレストランになると、2人で120カナダドル(約13,000円)以上は必要で、高級な和食店やステーキハウスでは、一人あたり150カナダドル(約16,000円)を超えることも珍しくありません。
カナダと日本のホテル代・滞在費の比較
カナダのホテル価格は、シーズンや地域によって大きく変動します。
日本のビジネスホテル(8,000〜12,000円程度)に相当するクラスでも、バンクーバーやトロントといった主要都市では一泊200〜250カナдаドル(約22,000〜27,000円)が相場です。日本と比べると、どうしても割高に感じますね。
ラグジュアリーホテルではさらに高額で、一泊400~500カナダドル(約44,000~55,000円)は必要で、観光シーズンにはさらに上昇します。特に、バンフやジャスパーなどの観光地では、夏のピーク時には通常価格の1.5~2倍になることもあります。
長期滞在の場合、多くの旅行者やビジネスマンがAirbnbやVRBOなどの民泊サービスを利用します。バンクーバーダウンタウンのワンベッドルームアパートで、一泊150~200カナダドル(約16,000~22,000円)程度が目安です。キッチン付きで自炊が可能なため、食費を抑えることもできます。
まとめ
カナダの物価は他の欧米諸国と同様に高いですが、その一方で、カナダならではの魅力や体験の価値は計り知れません。
広大な自然、多文化共生社会、そして質の高い教育環境など、お金だけでは得られない魅力が詰まっています。
旅行や留学、移住を検討する際は、これらの物価事情を踏まえた上で、自身の目的や予算に合わせた計画を立ててみてください。
◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇留学経験
イングランドのオックスフォードのOxford English Centreに3週間の語学留学と、スコットランドのエディンバラのUniversity of Edinburghに1年間の交換留学をしていました。
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。