日本語は、世界一習得が難しい言語の1つとされています。無数の漢字を覚えなければいけないし、書き言葉と話し言葉の違いもわからなければいけないし、何より日本人にしかわからない微妙なニュアンスの言い回しが多すぎるのです。
そのため多くの人が、日本語習得に挫折してしまいます。挫折の大きな原因は、「楽しめなくなること」です。最初は日本の文化に触れ、理解が進むことに喜びを感じることができます。
しかし学習が進みレベルが上がるにつれて、その喜びを感じる機会が減ってきてしまうのです。そうなると、勉強はたちまち苦行となります。今回の記事でお伝えしたいのは、勉強が苦しくなってきた時にぜひ試していただきたい勉強法、「漫画勉強法」です。
日本語の勉強は漫画で!?
「漫画なんかで勉強してもいいの?」と思われるかもしれませんね。確かに、漫画は娯楽の1つです。本来は勉強の合間の息抜きになるようなものですよね。
しかし少し注意をすれば、教科書と同等か、人によってはそれ以上の効果を発揮する教材になりえるのです。
漫画で言語は学べる?
漫画で言語は学べます。言語を学ぶ人にとって、漫画は宝の山と言ってもいいでしょう。
ナチュラルな会話の文章、ナレーターによる説明文、実際に使われるオノマトペ、日本人が実際に使うリアクションなど、そこらの教科書には載っていない題材が溢れているのです。そのメリットと注意点を詳しく見ていきましょう。
漫画で日本語を学ぶメリット
まずメリットを1つずつ解説していきます。
・ネイティブスピーカーがネイティブスピーカーに向けた日本語に触れられる
日本語に触れるだけであれば、一般的な教科書でもできます。しかしそれは「製作者が日本語学習者に向けた日本語」なのです。
そのため、9割の日本人が省略するであろう言い回しが例文として載っていたり、実際にはほとんどの人が普通に使うけど、「お行儀が良くない」とされているために紹介されないセリフなどがあったりします。それらを学べることは、大きなメリットでしょう。
・オノマトペや感嘆詞の例が豊富
「ドドン」「ドカーン」「シーン」などのオノマトペや、「うわー」「ぎゃー」「えっ」などの感嘆詞を細かく扱っている教科書はあまりありません。扱っていたとしても1、2ページでしょう。そこのところが漫画なら、単行本を1冊買えば山のような例が、シチュエーション付きで手に入ります。
・安い
単行本の話が出ましたが、一般的な漫画は600円ほどで売られています。そして単行本1冊のページ数はおよそ200ページです。200ページ分の日本語文の例が600円で手に入る、と考えるとかなりお得ですよね。
・友達と共通の話題ができる
日本人で、漫画の話が全くわからない、と言う人はかなり稀です。ほとんどの日本人に、子供の頃にお気に入りだった漫画があるし、最近では大人向けの漫画もたくさん出版されていますね。
そのため「最近⚪︎⚪︎ていう漫画読んでるんだよね」と会話を始めれば、大概の人が興味を示します。そこからアニメやゲーム、相手の子供時代などに話題が広げることができるのもいいですね。
漫画で日本語を学ぶ際の注意点
漫画を使った日本語の勉強は効果的ですが、気をつけなければならない点もあります。
・絵だけ見て終わらせない
当然ですが、漫画には絵がありますね。作品の中には、絵だけを見て話の流れがつかめてしまうものもあります。
そのような漫画を読み進める時に、ついついセリフを飛ばしてしまいがちです。楽しむために読む分には問題ないのですが、ここで話しているのはあくまで「勉強」です。意味がわからなくても、しっかりと目を通すようにしましょう。
・漫画特有の表現に気をつける
漫画はナチュラルな表現に溢れていますが、ジャンルによっては日常会話では到底使えないような不自然な表現もあります。
「見果てぬ夢よ 永遠に凍りつき セピア色の化石となれ」これは「ベルサイユのばら」に出てくるセリフです。これを読んで「日本ではこうやってポエムのように愛を伝えるのか」となってしまっては大変です。
ハマる人にはハマるかもしれませんが、大抵はびっくりするでしょう。漫画の中で出てきたセリフが実際の会話で使えるものなのかは、しっかりと確かめましょう。
漫画を用いた勉強法
それでは、具体的にどのように漫画で勉強をしていけばいいのかを説明していきます。全体を通して言えるのは「楽しむ」ということです。わざわざ苦しい思いをして、漫画まで嫌いになってしまったらもったいないですからね。
普通に楽しむ
まず、漫画を使った勉強法でもっとも大事なことです。楽しみましょう。
「しっかりと学ばないと」
「ダメだ!わからない!もっと語彙力上げないと…」
というように、自分を追い込むのはNGです。
6、7割理解できればOKにして、作品を楽しむことに集中しましょう。夢中になればなるほど、吸収力も上がります。
キャラクターになりきってセリフを読む
いわゆる「音読」です。音読は、言語の技能を幅広く鍛えることができるスーパー勉強法です。それを漫画でやるのです。キャラクターの感情や、シチュエーションをしっかりと理解できているので、興味を持てない教材に比べて定着率が高くなります。
母国語版と照らし合わせて読む
有名な漫画であれば、自国の言葉で訳されているものもあるはずです。単行本を、母国語のものと日本語のもの2冊用意します。そして同じセリフを見比べてみましょう。
意味はわかるけど、ニュアンスやキャラクターの細かい心理描写までは理解できなかった、というセリフでも、母国語と照らし合わせれば腑に落ちて理解することができるでしょう。
このようにしてフレーズを深く理解すると、それに使われている単語や文法が、しっかりと脳に定着します。
日本語学習におすすめの漫画
ここでは、日本語習得におすすめの漫画を紹介していきます。
・正しい日本語が使われている
・日常で使えるフレーズが多い
・語り合えるファンが多い
などのポイントで選びました。
ワンピース
ワンピースは日本だけでなく世界中でブームを巻き起こしている漫画です。
「悪魔の実」を食べてゴム人間になった少年ルフィが、海賊王になるために仲間と海を旅する、というストーリーです。仲間同士のカジュアルな会話、政治に関するシリアスな会話、お笑いの会話など、バリエーション豊かなセリフに触れることができます。
はじめの一歩
はじめの一歩は一世を風靡したボクシング漫画です。格闘技漫画の先駆け的存在と言ってもいいでしょう。
気弱な少年一歩が、鴨川ボクシングジムの仲間とともに成長していく様子が描かれています。舞台は現代の日本であるため、実用的なフレーズが多いのが魅力です。
ジョジョの奇妙な冒険
ジョジョの奇妙な冒険は、2024年の時点で第9部まで出ている人気シリーズです。スタンドと呼ばれる超能力を持つ登場人物たちが、さまざまな奇妙なトラブルに巻き込まれていきます。
独特な言い回しが多いのですが、しっかりとした日本語が使われているため、勉強にはピッタリでしょう。
デスノート
デスノートも世界的にヒットし、社会現象をまき起こした漫画です。名前を書くとその人間が死に至るというノート「デスノート」を手にした高校生ライトが、その能力を使い世界を変えていく、というストーリーです。
ハッキリ言って、全て理解しようとすると、日本人でも苦労します。しかし実際のところは、難しいところは読み飛ばしてもストーリーは理解できるようになっているので安心です。逆に言うと、日本語の能力が上がるたびに理解できる範囲が増えて、長期間楽しめるという魅力があります。
ドラえもん
日本人なら知らない人はいない国民的漫画です。アニメも映画も、全ての世代に支持を受けており、日本になくてはならない漫画ですね。
ドラえもんは本来子供向けの漫画なので、難しい表現が少なく、日本語学習初心者向けと言えるでしょう。ドラえもんは文化の一部になっているといっても過言ではないので、好き嫌いに関わらずある程度は目を通しておくと良いでしょう。
オンラインで日本語を学習するならネイティブキャンプ!!
ネイティブキャンプは、日本人向けの英語学習サービスですが、外国人向けの日本語学習サービスも行っています。ネイティブキャンプで日本語を学ぶメリットを見ていきましょう!
いつでも好きな時にレッスン
ネイティブキャンプの最大の売りは、24時間365日いつでもレッスンを受講可能ということです。予約をしておくことももちろん可能ですが、予約なしでいきなりレッスンを受けることもできます。
「次の電車まで20分か…よし、ひとレッスンやるか」なんていうこともできちゃいます。
経験豊富な講師陣
言語を教えることは、簡単ではありません。れっきとしたスキルであり、その言語を喋れれば教えられるというわけではないのです。ネイティブキャンプでは、ネイティブスピーカーであるだけでなく、数年以上の日本語講師歴がある人がレッスンを行います。
無料体験レッスンあり!
ネイティブキャンプは、従来の日本語教室とは違います。中には「こういうスタイルの教室は自分に合うのかな?」と不安になる方もいるでしょう。
そのような方のために、ネイティブキャンプでは1ヶ月の無料体験レッスンを行っています。1ヶ月ネイティブキャンプとともに過ごしてみて、入会するかどうか決めることができるのは安心ですよね。
まとめ
「勉強」と聞くとどうしても身構えてしまいがちです。机の前で背筋を伸ばして、みたいにしなければいけないと感じてしまう人がほとんどでしょう。
しかし勉強の仕方は千差万別です。漫画だってアニメだって映画だってゲームだって、使い方次第では立派な教材になる、ということを知っておきましょう。
また、言語の習得はさまざまな方向からアプローチをかけ、総合力を伸ばさなければいけません。いくら理解できても、話せなければ会話にならないし、話せても発音が悪ければ通じません。そのため、一辺倒の勉強だけでは対処しきれないのです。
視野を広く持ち、「勉強」という行為の定義を広げていきましょう。そうすることで、日本語学習がより充実したものになるでしょう。

◇経歴
・アメリカ、オクラホマ州の四年制大学を卒業
・英語学習に関するブログを中心に、英語ライター・翻訳家として活動(現在)
◇資格
・TOEFL503点(大学入学時)
・Bachelor of Arts(文学士号)
◇留学経験
渡航先:アメリカ、オクラホマ州タレクア
留学期間:2012〜2017(5年)
学校名:Northeastern States University
◇海外渡航経験
・高校卒業後に、アメリカのオクラホマ州にあるNortheastern州立大学へ5年間の正規留学を経験
◇自己紹介
高校時代にアメリカの音楽文化に興味を持ち、アメリカへの大学留学を決意したことが、英語学習を本格的に始めることになったきっかけです。渡米後に3ヶ月の語学研修とTOEFL試験をクリアし、正規入学を果たしました。音楽学部にてJazz Studiesを専攻し、複数のバンドでギタリスト・ベーシストとして活動したことは一生の財産です。言葉はその人の価値観を定義付け、語学の習得は世界の見え方を変えます。自分が今も現在進行形で経験している、言語の魅力を発信するために、日々、英語・語学に関する情報発信をしています。