みなさんは、英語で何かをお願いする時、どのように表現しているでしょうか?「英語に敬語はないんでしょ?」「とりあえずpleaseを付けておけば大丈夫でしょ?」と思っている方は、少し注意が必要です。
日本語の敬語には、丁寧語・尊敬語・謙譲語があり、それらの違いや使い方のルールがはっきりしています。確かに覚えることは多いですが、「この場面でこの関係性の人にはこう言えば良い」というのが決まっているため、使いやすいとも言えます。
一方、英語にも丁寧な表現は存在します。そして、もちろん海外でも丁寧な言葉・表現を使う場面は多いです。英語では「物事をはっきり言うのが良い」と覚えている方も多いかもしれませんが、だからといって何でもズケズケと言って良いわけではありません。また、特にビジネスシーンなどでは、日本語のように婉曲表現が使われることもあります。
今回の記事では、「お願い」をする時に使える表現をご紹介します。覚えておきたい「please」のニュアンスや、丁寧にお願いするときにはどう言ったら良いのかについても解説します。それぞれ例文とともに詳しくご紹介していきますので、ぜひその例文を何度も口に出して練習してみてくださいね。
「Please」のニュアンス
「Please」が持つ基本的な意味としては「どうぞ・どうか・お願いします・すみませんが・何卒」などが挙げられます。確かに、pleaseは付け加えることで、その文を丁寧にする役割があります。
しかし、「何でもpleaseを付けておけば大丈夫」と思っている方は注意が必要です。というのも、命令文に「please」を付けた場合、上から目線に聞こえてしまったり、ややキツめのニュアンスに聞こえたりすることがあるからです。
Please send me the PDF file.
そのPDFファイルを送ってください。
と言った場合、やや上から目線に聞こえることがあります。人によっては、冷たい印象・ぶっきらぼうだと捉えることもあるでしょう。この文には、「送ってくれませんか?」「送ってくれたら嬉しいです」のようなニュアンスはないことに注意してくださいね。
もちろん使う相手との関係性にもよりますが、上司やクライアント、社外の人とのコミュニケーションにおいては、使わない方が無難でしょう。
Send me the PDF, please.のようにpleaseは文末にも置くことができますが、こちらも命令文+pleaseという形は変わらないため、ややキツめの印象を与えます。
なお、公共の場にある注意書きや看板・サインなどにはplease+命令文という形が使われることが多いです。これは、短くシンプルに注意事項を伝えるためです。
No smoking in this area, please.
このエリアでは、禁煙をお願いします。
Please take your rubbish back with you.
ゴミは持ち帰ってください。
丁寧にお願いをする際の英語表現
「何でもかんでもpleaseを付ければ良い」というわけではなく、また使い方によっては相手に対して失礼にあたったり、冷たくぶっきらぼう、上から目線の印象を与えてしまうことがわかりました。
では、丁寧にお願いをしたいときには、どのような英語表現を使えば良いのでしょうか?ここからは、使うと相手への印象もアップする丁寧な言い方をご紹介します。
Could you~,please?
Could you~,please?は「〜してくださいませんか?・〜していただけますか?」というニュアンスを持つ丁寧な表現です。筆者はイギリス在住ですが、日常会話のなかでもこの表現をよく聞きます。
なお、pleaseは文末だけでなく文中(動詞の前)に置くこともできます。
Could you pass me the book, please?
本を取っていただけますか?
Could you send me the email, please?
メールを送っていただけますか?
Could you please send this letter?
この手紙を送っていただけますか?
Would you mind
直訳は「〜することを気にしますか?」となり、相手の様子・気持ちを伺いながら依頼することができる表現です。「〜していただいてもよろしいでしょうか?」「〜してもよろしいでしょうか?」というニュアンスを表すことができます。
Would you mind closing the door, please?
ドアを閉めていただけますか?
Would you be able to
Would you be able toは「~はできますか?」「〜することは可能でしょうか?」といったニュアンスを持つ表現です。Can you~?はタメ口のようなニュアンスになる場合がありますので、仕事の場面では使わない方が良いでしょう。
Would you be able to print this document?
このドキュメントを印刷していただけますか?
Would you be able to have a meeting at your office?
あなたのオフィスでのミーティングは可能ですか?
I was wondering if
I was wondering ifは「〜してくれないでしょうか?」というニュアンスを持ちます。友達や家族に丁寧にお願いする際にも使えます。
I was wondering if you could go shopping.
買い物に行ってくれないでしょうか?
I was wondering if you could help me.
手伝ってくれませんか?
I was wondering if you could look over my report.
私のレポートに目を通してもらえませんか?
I would appreciate it/be grateful if you could
ビジネスメールなどでよく使われる定番の表現です。日本語の「~していただければ幸いです」に近いニュアンスがあります。
I would be grateful if you could send the spreadsheet.
そのスプレッドシートを送ってもらえれば幸いです。
I would appreciate it if you could call me back later.
後でかけなおしていただければ幸いです。
依頼やお願いをする英語表現の注意点
最後に、英語で依頼やお願いをする際の注意点をいくつかご紹介します。使い方を間違えると、自分は丁寧に言っているつもりでも、相手にとって失礼に聞こえてしまう場合があります。
依頼する際にWantは使わない
wantは「~したい」という欲求をストレートに表現する単語です。使う場面によっては子どもっぽい印象を与えることがあるため、ビジネスシーンには適していません。カジュアルな場面、もしくは自分の強い気持ちを直接的に言いたい場合に使うのであれば大丈夫です。
「~したいのですが・~させてください」というニュアンスで言おうとしてI want to~.と言ってもその丁寧な気持ちは伝わりませんので、気を付けてくださいね。
相手に選択の余地を残す言い方を使う
「丁寧にお願いをする際の英語表現」でご紹介した表現は、共通して「相手に選択の余地を残している」ことに気が付くかと思います。
逆に言えば、相手に選択の余地を残さない表現は、依頼する際の丁寧な表現とは言い難いです。例えば、please+命令文は「~してください」となり、相手が「それをしない・断る」という選択の余地がありません。
また、I would like you to~.という表現も、確かにI want you to~.よりは丁寧な言い方ですが、それでも「あなたに~していただきたい」となるため、強い印象を与えます。Would like you toを使ったからといって、必ずしも丁寧になるとは限らない点に注意してくださいね。
相手の情報を知りたい時にも直接的に聞かない
相手の名前や居住地を知りたいこともあるでしょう。その場合も、What's your name?(あなたの名前は何?)のように直接的に聞くのではなく、Can I ask your name?(名前を聞いてもいいですか?)のように言うと、相手に与える印象も大きく変わります。
居住地を聞きたい時も、Where do you live? ではなくMay I ask your address? のように聞くと良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?今回の記事では、「お願い」をするときに使える英語表現についてご紹介してきました。「お願い」と聞くと「please」をイメージするかと思いますが、「please」が持つニュアンスをしっかりと理解して使うことが大切です。
また、併せて、丁寧にお願いや依頼をする際の英語表現の注意点についても解説していきました。それぞれの表現のニュアンスや、使われ方の違いを理解するきっかけになれば嬉しいです。
今回ご紹介したフレーズを自然に使えるようになれば、より英語でのコミュニケーションが印象よくスムーズに進むはずです。ぜひ、この記事でご紹介した例文を何度も口に出して練習し、覚えて使ってみてくださいね。
また、今回学んだ「お願い」をするときに使える英語表現について、「もっと詳しく学習したい」「ネイティブはどのように使い分けているのか意見を聞いてみたい」という方は、ぜひネイティブキャンプのオンライン英会話レッスンを試してみてください!
レッスンでは、ネイティブ講師とマンツーマンで話すことができます。今回ご紹介した「お願い」をするときに使える英語表現をさらに練習しても良いですし、さまざまな「お願い」のシチュエーションを想定して会話の練習をしても良いでしょう。また、日本と海外における「丁寧」な表現の違いなどを、講師とディスカッションするのも良いのではないでしょうか。ぜひ、みなさんの英語学習にレッスンをフル活用してくださいね。
◇経歴
新卒入社した会社ではオーストラリア人上司のもと働いた経験があります。
海外クライアントとのメールや電話でのやりとりは日常茶飯事でした。
現在はWebライターのほか、英日翻訳者としても仕事をしています。
◇資格
TOEIC、TOEFL、IELTSなどの受験経験あり
◇海外渡航経験
学生時代にイギリス留学を経験したほか、アジアを中心にさまざまな国に旅行に行ったり、フィールドワークをしたりしました。
フィールドワークでは英語を使ってインタビューをした経験もあります。
2019年よりイギリス在住で、現在は毎日英語を使っています。
◇自己紹介
子どものころはアメリカ人の先生の英会話教室に通い、大学ではイギリス留学を経験、新卒入社した会社ではオーストラリア人上司を持つなど、英語とは色々な接点を持ってきました。英語はもっぱらリーディングが得意で、毎日洋書を読んでいます。よろしくお願いします!
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.