今回のテーマは「比較級と最上級」です。比較級・最上級というと、学校の英語教育の中では、多くの生徒が最初につまずくポイントです。
「比較級と最上級が分からなくて、それから英語の授業についていけなくなった…」という人も多いでしょう。
特に、単語が変化するときの変則性が多くの人を混乱させます。ルールがあるのかないのか分からないあやふやなところが、英語学習者の鬼門となっているのです。
この記事では、比較級と最上級のルール、および変則性まで細かく解説し、一緒にこの英語学習のつまずきポイントを克服していきます。分からなくなったときにすぐに見られるように、ぜひブックマークやリンクの保存などをしておいてください。
英語の比較級と最上級について
具体的な文法を学んでいく前に、そもそも比較級と最上級とは何なのかを確認しておきましょう。
「比較級」と「最上級」という言葉の意味が分からなければ、これからお話することはほとんど理解できません。
比較級とは
比較級とは、形容詞と副詞が変化した単語のことを言います。
副詞―very, gradually, silently, immediatelyなどの形容詞や動詞を説明する単語。
1つのものに対しては、形容詞・副詞はそのまま使えますが、2つの物を比較するときには、使用する形容詞・副詞を別の形に変えなければいけません。その変化した形の形容詞・副詞を「比較級」と呼びます。
例えば、「高い建物」があったとします。これを英語にすると、tall buildingとなりますね。
しかし、高い建物が2つあって、そのうちのより高い方を指したい場合は、形容詞のtallを比較級にして、taller buildingとしなければいけないのです。逆に、高くない方の建物について話したいのであれば、「背が低い」という意味のshortを比較級にして、shorter buildingということができます。
Tall・taller、short・shorterの変化についてはこの後すぐ説明しますね。
最上級とは
比較級は「2つの物を比較するために変化した形容詞・副詞」でした。
それに対して最上級は、「複数のものの中で最上のものを説明するために変化した形容詞・副詞」です。
例えば、高い建物が3つあって、その中で最も高い建物を指したいときに、tallを最上級にして、tallest buildingとします。
比較級の作り方
ここからは、具体的な比較級・最上級の作りかたを解説していきます。まずは比較級からいきましょう。
「音節」に関すること
もういい加減、比較級の作り方を説明したいのですが、その前に「音節」について解説しなければいけません。
比較級・最上級を理解する上では欠かせないことなので、しばしご辛抱を。
「音節(syllable)」とは、簡単に言うと「母音の数」です。
英語は(というかほとんどの言語は)「子音」と「母音」で成り立っています。母音はa,e,i,o,uのことで、子音はそれ以外の音のことです。
ザックリとした認識ですが、「1つの単語の中で使われている母音の数=音節」ということになります。
最後の母音はカウントされない、語尾のyも母音として扱う、などの例外はありますが、ここではとりあえずこのような認識でかまいません。
そしてこの音節の数によって、比較級・最上級の変化の仕方が変わる、ということを覚えておいてください。どのように変わるのかにも注目して、ここからの解説を見ていきましょう。
比較級の作り方(本編)
比較級は
・比較級にしたい語の前にmoreを置く
この2つの方法で作ることができます。Moreは「もっと、より」を表す副詞ですね。
「この2つをどうやって使い分けるの?」という疑問を持った方もいるでしょう。もちろん好きな方を選べるわけではありません。
ここで、先ほどの「音節」についての知識が活きてきます。基本のルールはこうです。
・2音節の単語はerを付ける、もしくはmoreを前に置く
・3音節以上の単語はmoreを前に置く
これさえ守っていれば、比較級はほぼ問題ないでしょう。
なお、1音節なのにmoreを使ってしまった、3音節以上なのにerを付けてしまった、という場合でも、会話では問題なく通じるので、そこまで神経質になる必要はありません。英作文や試験ではマイナス点になりますが。
では実際に、比較級を使った例文を使って、このルールを確認していきましょう。
私のかばんはあなたのものより大きいです。
カバンの大きさを比較している例文です。Bigは1音節の単語なので、語尾にerを付けることで比較級にできます。
gが2つになっているのは、そのほうが言いやすいからですね。このような変則的な変化がちょこちょこありますが、少しずつ覚えていけばいいので、現時点ではそこまで気にする必要なありません。
「erを付ける」という基本的なルールを、まず意識するようにしてください。
また、thanという単語も気になりますね。
Thanは前置詞・接続詞の単語で、「~よりも」という意味です。比較級の文章では頻繁に出てくるので、覚えておきましょう。この文章はもう1つの文章よりもシンプルだ。
Simpleは、erを付けて比較級にするタイプの2音節の形容詞です。More simpleと言っても普通に通じますが、正式にはsimplerです。
サルはネズミよりも賢い。
Clever(賢い)は2音節の形容詞ですが、erでもmoreでもどちらでも大丈夫です。ただ、clevererは若干発音が難しいので、無難にmore cleverとする人が多いです。
あなたの健康は、仕事よりも大事です。
今回は、健康と仕事を比較して、どちらがよりimportantかという話をしています。Importantは、im・por・tantと3音節なので、erではなく、moreを使わなければいけません。
The smaller one.
どちらのカップがいいですか?
小さい方で。
「どっち?」と聞かれて、「~の方」という返答をするときにも、比較級は便利です。このような使い方も練習しておきましょう。
彼の案の方が良いと思うな。
Betterはgoodの比較級です。見てわかる通り、erでもmoreでもない完全な例外ですね。
このような例外もちょくちょくあるので、出会うたびに覚えていきましょう。
最上級の作り方
つづいて、最上級の作り方を見ていきましょう。基本的なルールは、比較級と似ています。
・比較級にしたい語の前にmostを置く
・最上級の語の前にはtheを付ける
この3つが最上級のルールです。
例外や、スペルによって細かい変化は多少ありますが、このルールさえ守っておけば基本的には大丈夫です。
ここに一番大きなソファーを持ってきて。
先ほども出てきましたが、bigは1音節の形容詞なので、estを使います。Theも忘れずに。
私は、この中で一番背が高いです。
グループの中でもっとも背が高い、ということを言いたいときは最上級が使えます。
amongという単語もチェックしておきましょう。「~の中で」という意味の前置詞です。最上級を使った文章ではよく出てきます。
これはこの店でもっとも高いジャケットです。
Expensiveはex・pen・siveと、3音節で成り立っています。最後のeは音節としてカウントしません。そのため、単語の前にmostを付けることで最上級にします。
また、ルールというわけではありませんが、最上級を使う際は、in the store, among us, out of など、「どの範囲で1番なのか」が分かる句を文に組み込むと、伝わりやすくなります。
この例文でも、ただThis is the most expensive jacketとだけ言うと、「世界一高いジャケットなのかな?」と思われかねません。
多くの人が、これが音楽史上もっともよいギターソロだと言う。
変則的な最上級を使った例文です。先ほどのgoodがbetterになったように、goodは最上級だとbestになります。
ちなみに、文法的には間違いですが、「最高!」ということを表すためにbestestという言い方をすることもあります。正式ではない、冗談交じりのカジュアルな表現ですね。
比較級と最上級の一覧
最後に、形容詞の比較級と最上級の一覧を紹介します。
もちろん、存在する全ての形容詞を載せることはできませんが、主要な形容詞の変化を覚えて、その感覚を身に付けていってください。
また、例外の変化をする単語も複数載せているので、チェックしておきましょう。
原級(もともとの形)―比較級―最上級、の順番で載せていきます。
large – larger – largest
small – smaller – smallest
fast – faster – fastest
high – higher – highest
tall – taller – tallest
fat – fatter – fattest
big – bigger – biggest
sad – sadder – saddest
nice – nicer – nicest
good – better – best
bad – worse – worst
little – less – least
much – more – most
fur – further – furthest
happy – happier – happiest
simple – simpler – simplest
busy – busier – busiest
tilted – more tilted – most tilted
tangled – more tangled – most tangled
precious – more precious – most precious
famous – more famous – most famous
important – more important – most important
beautiful - more beautiful – most beautiful
expensive – more expensive – most expensive
interesting – more interesting – most interesting
difficult – more difficult – most difficult
dangerous – more dangerous – most dangerous
難しいポイントは、1音節の変化のさせ方です。最後の文字が2つになったり、yで終わる単語は、yがiに代わったりといった、細かい不規則性があります。
ただ、このような不規則性は、ルールを覚えて全ての単語を当てはめるよりも、単語ごとに少しずつ覚えたほうが効率的です。
その過程で、細かいルールが自然に身に付いていきます。焦らずに、できる範囲の単語から変化を覚えていきましょう。
まとめ
比較級と最上級の一番の難所は、やはり変化の規則性・不規則性です。厳しく決まっているのかと思いきや、そこそこの数の例外がある、というところが、勉強していていまいちしっくりこない、と感じる人が多いです。
特に真面目な人ほど、このような曖昧な項目を苦手に感じる傾向にあります。一回で全てをマスターしようとせずに、「まぁ、そのうち覚えられるだろう」くらいの気持ちで、地道に習得していくのが得策でしょう。
また、比較級・最上級のような文法項目は、実践で使うことが高いハードルとなりがちです。例文を実際に口に出して練習し、実践を想定して学習をしていくことが重要になります。
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◇経歴
・アメリカ、オクラホマ州の四年制大学を卒業
・英語学習に関するブログを中心に、英語ライター・翻訳家として活動(現在)
◇資格
・TOEFL503点(大学入学時)
・Bachelor of Arts(文学士号)
◇海外渡航経験
・高校卒業後に、アメリカのオクラホマ州にあるNortheastern州立大学へ5年間の正規留学を経験
◇自己紹介
高校時代にアメリカの音楽文化に興味を持ち、アメリカへの大学留学を決意したことが、英語学習を本格的に始めることになったきっかけです。渡米後に3ヶ月の語学研修とTOEFL試験をクリアし、正規入学を果たしました。音楽学部にてJazz Studiesを専攻し、複数のバンドでギタリスト・ベーシストとして活動したことは一生の財産です。言葉はその人の価値観を定義付け、語学の習得は世界の見え方を変えます。自分が今も現在進行形で経験している、言語の魅力を発信するために、日々、英語・語学に関する情報発信をしています。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.