“Both” と “too” の2つはどちらも中学英語のかなり初期に出てくる基本単語なのですが、「どう使い分ければいいの?」「違いがよくわからない」と思ってしまう方も多いようです。
“Both” と “too” には “either” という類似した英単語もあり、さらに ”either” には “neither” という否定形の表現があります。そもそも “both” と “too” の違いで苦戦しているところに “either” や “neither” が出てきたとしたら、ますます混乱してしまうのも当然ですよね。
今回は、“both” と “too” の違いや使い分けについてはもちろんのこと、多くの人がつまずきがちな “”either” と “neither” の違いについても合わせて解説していきます。
bothとtooの違い
“Both” と “too” の違いについて解説をする前に、まず2つの単語の「発音」について触れておきたいと思います。
“Both” は日本人が苦手とする発音である「th(θ)」音を使っています。舌を歯で挟んで空気を出す音ですね。
また、「bo」の部分の発音も、アメリカとイギリスでは異なります。発音記号で “both” の読み方を表現すると、以下のようになります。
/bˈəʊθ/ (英国英語)
アメリカ英語では「bóʊ」、イギリス英語では「bˈəʊ」と表記されていますね。アメリカ英語の方がより口をすぼめて「オ」と発音するイメージです。イギリス英語はより口をリラックスさせた状態で、「エゥ」に近い音を出します。
音が聞ける状況にいる方は、ぜひオンライン辞書などで発音を実際に聞いて確かめてみてくださいね。
ちなみに、“too” の方はアメリカ英語とイギリス英語の両方とも /tuː/ という音で同じです。
発音を確認したところで、ここからは “both” と “too” の意味と使い方の違いについての解説に入っていきたいと思います。
bothの意味と使い方
“Both” は「両方、双方」という意味を持つ英単語として知られていますが、実は厳密にいうと形容詞、名詞、接続詞という異なる品詞としての性質を持っています。
代名詞人や物の名称の代わりとなる言葉(it、them、weなど)
接続詞文章と文章を繋げる働きのある言葉(and、or、even if など)
なお、“both” の品詞分類については諸説あり、接続詞ではなく副詞と説明されている場合もあります。今回の解説においては、Longman Japanese Dictionaryの品詞分類に準じています。
ここからは、品詞としての種類別に、“both” の意味や使い方について詳しく解説をしていきます。
形容詞としてのboth
形容詞としての “both” は、「両方の〜」「AとBのどちらも」という意味を持ちます。
私の両親はどちらも医師です。
例文では、「Both(両方の)」→「parents(両親)」というように、「both」が「両親」という名詞を修飾していますよね。このように、名詞を修飾する働きをしているのが、形容詞としての ”both” になります。
他にも、both girls = 両方の女の子、both buildings = 両方の建物、といったように、色々な名詞に対して「両方の」という付加的な意味を付け加えることができます。
形容詞としての “both” を使うときに注意すべきポイントとして、「複数形の名詞の前でのみ使うことができる」ということが挙げられます。
形容詞としての “both” を使うときには、前提として必ず2つのものが存在しており、「その両方ともが◯◯◯である」という風にそれらの性質や状態を述べるという形になるためです。
Both my sisters are doctors.
私の姉妹は2人とも医者です
Both my sister is a doctor.
※実際にはこのような文章を作ることはできないので注意してください。
代名詞としてのboth
“Both” は名詞として使うこともできます。ただし、なにか特定のものを示す一般的な名詞ではなく、「代名詞」という働きをします。
B:Can I try both?
A:魚がいい?鶏肉がいい?
B:どっちも試してみたいんだけど、いいかな?
上の例文での “both” は「(AとBの)両方、ふたつとも、どちらも」という意味を表しています。“Fish”(魚)という名詞と “chicken”(鶏)という名詞の両方ともを指していて、まとめて一つの代名詞としての “both”(魚と鶏の両方) で言い表しているという仕組みです。
大阪は京都とそこまで離れていないので、1日のうちに両方訪れることができる。
“Both” は必ず2つのものを指して「両方」と言い換えるため、常に複数扱いになるということも代名詞としての “both” の特徴です。
また “both” は、言及対象になっている名詞と一緒に使う形で、次のように「〜の両方とも」という意味で使うこともできます。
〜の両方とも
彼女のバッグは2つともレストランで盗難にあってしまった。
私たちふたりとも、あなたたちふたりとも、彼らの両方とも
私たちふたりとも昨日の夜にお好み焼きを食べたの。
あなた達2人の両方が彼のパーティに招かれていないなんて、変だわ。
私たちふたりとも、あなたたちふたりとも、彼らの両方とも
私は彼らの両方ともを私のパーティに誘いました。
そのプレゼントは私達2人からのものです。
接続詞としてのboth
接続詞としての “both” は、“both ◯◯ and △△” という形で使われます。意味は「◯◯と△△の両方とも」です。
少し詳しく説明すると、接続詞としての “both” というのは「相関接続詞」という品詞に当たります。「相関接続詞」というのは、1つの文章中で2つの単語や事柄をペアで使用するときに用いられる単語のことです。
英語では、主に次の5つが代表的な相関接続詞として知られています。
either A or B AかBのどちらか1つ
neither A nor BAでもBでもない
not A but BAではなくB
not only A but also BAだけでなくBもまた
ちなみに、ここでこれら相関接続詞のすべてを理解する必要はありません。「“both ◯◯ and △△” はこういった種類の品詞の仲間なんだなぁ」という程度にイメージしていただければ大丈夫です。
“Both ◯◯ and △△” という形のAとBの部分には、同じ種類の品詞のペアを入れて使います。
例えば、次のような組み合わせです。
The band visited both Niigata and Joetsu.
そのバンドは新潟と上越の両方を訪れた。
リサと海斗はふたりとも香川県出身です。
Lisa is both kind and smart.
リサは優しさと賢さを兼ね備えています。
海斗はハンサムで知的だ。
Kaito can both sing and dance.
海斗は歌うことも踊ることもできる。
トムは時計を売ってお金を工面するほうがよい。
tooの意味と使い方
“Too” は「あまりにも〜すぎる」や「〜もまた」など、複数の意味を持つ英単語です。
あなたのギターの音がうるさすぎます。
私は彼を愛しているが、憎んでもいる。
“Both” と似ているとされるのは、「〜もまた」という意味の ”too” の方ですね。
“Both” には「後ろに来る名詞は複数形でなければならない」「接続詞として使うときには“both A and B” という形にしないといけない」といった決まりが色々とありましたが、“too” の使い方にはそこまで複雑なルールはありません。
「〜もまた」という意味で “too” を使う場合は、単純に「〜もまた」という意味を付け加えたい文や言葉の後に ”too” を置くだけでOKです。
私もあなたの車に乗っていいですか?
あなたも1等賞を取れるかもしれないよ!
B:Me too.
A:この曲好きだわ。
B:私も。
bothとtooの否定文
“Both” と ”too” は、否定文で使う場合には少し注意が必要です。
まず “too” ですが、”too” は「肯定的な内容に対する同意」というニュアンスを持っているため、基本的に否定文では使われることはありません。
では、否定文に同意したいときにはどうすればいいの?ということになりますが、そんなときには “either” や “neither” という表現を使います。こちらについては後述します。
“Both” については、よく意味を考えながら否定文を作る必要があります。
例えば、次のような文章があったとします。
私はりんごとみかんを両方とも食べる。
この文章を否定文にしてみましょう。すると次のようになります。
私は「りんごとみかんを両方とも食べる」わけではない。
“Both” を使った文章を単純に否定文にすると、「両方とも〜」という部分を否定することになり、その結果、部分的には肯定するようなニュアンスになります。これを部分否定と呼びます。
上の例文であれば、次のように訳されてしまったりします。
私はりんごとみかんのうちどちらかを食べる。
「AもBも両方とも〜ではない」と言いたい場合には、 ”both” の否定文ではなく ”either” や “neither” を使った全否定の表現を使います。“Either” や ”neither” については後述します。
関連表現
“Both” や “too” の関連表現として忘れてはならないものに “either” と “neither” があります。
ここからは “either” や “neither” にスポットを当てて解説をしていきます。
either
“Either” は「どちらか一方」という意味をもつ単語です。
“Both” と同じように、形容詞、代名詞、相関接続詞(either A or B で「AかBのどちらか」という意味)として使うことができます。
あなたは英語か中国語のどちらかを話せますか?
“Either” を代名詞として使う場合には、”both” と違って「either+人称代名詞」という形で使うことはできず、「either of+人称代名詞」という形を使うという特徴がありますので注意しましょう。
彼は、私がどちらかを選ばなければならないと言った。
また、“either” を否定文で使うと「どちらも〜ではない」という選択肢全体を否定する内容を表すことができます。
私はどちらの色も好きではない。
また、“either” を文末に使うと、“too” と同じ「〜も」という意味となります。ただしこの使い方は肯定文でのみ可能であり、否定文ではこのような使い方はできないので注意しましょう。
ナナは生の魚を食べないし、ボブもまた食べません。
neither
“Neither” は「どちらも〜でない」という意味をもつ表現で、"either" の否定 = ”not + either” と同じように訳されます。
"Either" の項でも述べましたが、"either" を否定すると「AかBか」という選択肢のどちらも否定することになるため、結果として「AもBも〜でない」という全体の否定になります。
=He doesn’t know either of them.
彼はそのどちらも知らない。
ナナは生の魚を食べないし、ボブもまた食べません。
最初はややこしく感じるかもしれませんが、”not + either” と同じ役割なのだと理解すると逆に便利に感じてくるのではないでしょうか。
まとめ
“Both” と ”too” の意味や使い方の違い、また関連表現である “either” と “neither” についても解説してきました。
少し難解な内容もあったかもしれませんが、英会話や毎日の英語学習の中で実際に使いながら、それぞれの単語の違いや使い方についての理解を深めて行ってくださいね!

◇経歴(英語を使用した経歴)
高校時代にイギリスへ短期留学。
大学院進学の傍ら、TOEICスコアアップや海外留学、海外旅行を経験。
社会人生活を経て、現在は英語に関するWEBコラム記事を執筆中。
◇資格
TOEIC900
◇留学経験
・ロンドン:2週間 Harrow School
・ハワイ島:2週間 Universal English Academy
・バレンシア:3週間 don Quijote Valencia
◇海外渡航経験
留学:イギリス、ハワイ、スペイン
旅行:イタリア、チェコ、アメリカ、メキシコ、韓国、モロッコ、フランス、デンマーク、フィンランド、スイス、ハンガリー、ベルギー、オーストリア
◇自己紹介
ラジオ基礎英語をきっかけに英語の世界へ。理系専攻ながら英語を磨き、留学や旅行で色々な国を訪れた。結婚を機にWEBライティングを始め、現在は二児と共に英語ライフを楽しんでいる。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.