何らかの行動や状態が、普通の程度を超えている時に、日本語では「○○すぎる」、あるいは漢字を使って「○○過ぎる」とよく表現します。
例えば、「あなたの料理、美味し過ぎでいつも食べ過ぎる」「この夏、あまりにも暑すぎるよ」「あなた少し勉強しすぎじゃない」「この服は私には大きすぎるな」「AIは便利だけど使いすぎるなよ」、などなど。
さてでは、こうした「○○すぎる」という表現、英語ではどう言うのでしょうか?
実は英語にはさまざまなフレーズがあって、状況や文脈に応じて適切なものを選択しなければなりません。内容によって、複数の表現が使える場合もあれば、最適なものが決まってくる場合もあります。
今回はこうした「○○すぎる」の英語表現について、たくさんの例文を交えながら、使い方、使い分けのポイント、ニュアンスの違い、読み方などを解説していきたいと思います。
なお、前述のように、「すぎる」「過ぎる」というように、ひらがなで書く場合もあれば漢字を使って書く場合もあり、どちらがいいかはその内容によったりします。ですので、今回の記事中では、この2つの書き方をあえて混在させています。
また、「郵便局の前を通りすぎる」「あっという間に時が過ぎる」など、「すぎる」「過ぎる」には場所を通過したり時間が経過するという意味もありますが、今回の記事ではそれらの意味ではなく、あくまで、行動や状態が普通の程度を超えている場合の「すぎる」「過ぎる」に絞って解説していきたいと思います。
too (much)
普通の程度を超えているという意味の「○○すぎる」を英語で表す時によく使われるのが「too」です。多くの和英辞書では最初に出てくる単語です。
「Too」は、日常会話でも、ビジネスシーンやフォーマルな場でも使うことができます。読み方(発音)は数字の「2(two)」と同じです。
まずシンプルな使い方としては、「too cold」「too hot」「too hard」「too early」というように、形容詞や副詞の前に「too」を付けて、程度がはなはだしいことを表現する方法があります。
今日は寒すぎる。
彼は英語の勉強を一生懸命やり過ぎだよ。
この「too」を不定詞「to+動詞」と組み合わせた「too〜to〜」のフレーズもよく登場します。
寒過ぎて外出できない。
「too〜to〜」は、もし直訳するならば、「〜するには〜すぎる」という意味です。上の例文ならば「外出するには寒過ぎる」ですね。
実際そのように訳されることもありますが、「too〜to〜」の場合、「〜すぎるので〜できない」と前から訳すのが一般的です。上の例文だと、「寒過ぎて外出できない」となります。
この場合、文中には「not」などの否定語は入っていませんが、「〜できない」というように否定的な意味になることに注意しましょう。
このカレー、辛すぎて食べられない。
また、「too」は、分量が多いことや程度が大きいことを表す「much」と組み合わせて「too much」の形でもよく使われます。この場合の「much」は名詞になったり副詞になったり形容詞になったりします。
食べ過ぎた。
お酒の飲み過ぎは健康によくありません。
彼は最近働きすぎているようだ。
彼女はいつも息子に多すぎるお金を与えます。
数えられるものについて表現する場合は、次のように「too many」を使います。
彼は母親の誕生日にキャンドルを買いすぎました。
excessively
「Excessively」は「過度に」という意味の副詞です。「Too much」と同じように使えますが、やや固めの言葉なので、どちらかというと日常会話よりもフォーマルな場や学術的な文脈で使われることが多いです。
その患者は薬を摂取し過ぎました。
古い地域の開発は不可欠ですが、過度に行わないように注意する必要があります。
彼女は優秀なビジネスマンだったが、働きすぎが原因で重病を患った。
immoderately
「Immoderately」は「過度に」「節度なく」といった意味の副詞です。「過度に」という意味では「excessively」の同義語であり、同じように使えます。
「適度に」という意味の副詞「moderately」の語頭に、否定の意味を表す「im」が付いた英単語です。「Excessively」と同様、やや固めの言葉です。
患者が薬を飲み過ぎていないか確認してください。
イベントの中止に対して国民が過度な反応を示しているようだ。
over
「Over」は「〜を超えて」などの意味を持つ前置詞・副詞ですが、この「over」が語頭に付いて、「〜し過ぎる」「〜し過ぎの」という意味になる英単語があります。
overwork:働き過ぎる
overeat:食べ過ぎる(過去形はoverate、過去分詞はovereaten)
overrate:過大評価する
over-reach:度を越す、行きすぎる
overreact:過剰反応する
oversized:大きすぎの
over-active:活動しすぎの
over-anxious:心配しすぎの
over-excited:興奮しすぎの
over-optimistic:楽観的すぎる
over-protective:過保護の
overrated:過大評価された
この他にも、まだまだたくさんあります。名詞や副詞もあります。
これらは「○○すぎる」に関連する表現を短く一語で表せるので、自分がよく使いそうな言葉をいくつか覚えておくと便利です。
私はいつも食べ過ぎる。
彼が毎日働き過ぎではないかと思うのは、私の心配し過ぎでしょうか。
going overboard
「Overboard」は、「船べりから海へ」「船外に」といった意味の副詞です。これが「go overboard」という熟語になると「やりすぎる」「言いすぎる」「度を越す」といった意味になります。
何について「やりすぎ」たり「言いすぎ」たり「度を越して」いるのかを示したい場合は、「with」や「on」といった前置詞を使って後に続けます。
彼はいつも飲み過ぎていました。
化粧をしすぎると、美しいというよりむしろ醜くなってしまいます。
far too
最初にご紹介した「○○すぎる」の「too」をさらに強調して「とても〜すぎる」「ひどく〜すぎる」「あまりに〜すぎる」「めちゃくちゃ〜すぎる」などと言いたい場合はどうすればいいでしょうか?
普通「strong」を強調して「very strong」と言ったりしますが、残念ながら「very too」というように「very」を使うことはできません。
「Too」を強調する方法の一つとして、「far too」という表現があります。
放課後サッカーをやって、もう疲れ過ぎ。
今日はあまりに寒過ぎて泳げません。
もっとも、「far too」は主に会話で使われるカジュアルな表現ですので、学術論文などでは使わない方が無難です。これは次の「way too」も同じです。
way too
「Far too」と同様に、「too」を強調したい時には、「way」を使って「way too」と表現することもできます。この場合の「way」は強調に使われる副詞です。
あのスカートは値段がむちゃくちゃ高すぎでした。
午前3時に起きるのはすごく早すぎませんか?
前述のように、「way too」も主に日常会話で用いられる、カジュアルな表現です。
過剰な イディオム
さて次に、人の行動などが「過剰である」「やりすぎである」「行き過ぎである」というようなことを表現する、使いこなせるとちょっとかっこいい、ユニークなイディオムを3つほどご紹介したいと思います。
「Lack restraint」と「cross the line」と「over the top」です。
lack restraint
「Lack」は「〜を欠いている」「〜が無い」という意味の動詞、「restraint」は「制限」「抑制」という意味の名詞です。
これらを組み合わせ、「lack restraint」で「抑制を欠いている」、つまり、何かが「過剰な行いをしている」「やりすぎである」「行き過ぎである」「勝手気ままだ」といった意味になります。
私の上司は何をやるにもやりすぎなんだよな。
この新聞の報道は最近行きすぎているように感じられる。
cross the line
日本語でも「一線を越える」というフレーズがありますが、その英語版とも言えるのが「cross the line」です。
直訳すると「線を横切る」ですが、日本語と同様、「やり過ぎる」「やってはいけない限界を越える」といった意味合いで使われます。「Step out of line」とも言います。
やりすぎた。
一線を越えてしまったことに気づいても遅過ぎる。
over the top
「Over the top」は「度がすぎて」「やり過ぎて」「大げさで」といった意味のイディオムです。
以下の例文のように、be動詞に続けて「be over the top」としたり、「go」などの動詞に続けて副詞的に使ったりします。
彼の政治活動は不適切で行き過ぎだったと言われている。
ジョージは危うくやりすぎそうになりましたが、妻のアドバイスのおかげで思いとどまりました。
まとめ
いかがでしたか。今回は、日常生活でよく使う「○○すぎる」のさまざまな英語表現を、多くの例文とともに見てきました。
カジュアルな表現もあれば、ちょっと固めの、フォーマルな場が似合う表現もあります。状況に応じて、上手に使い分けてくださいね。それではまた。

◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.