日本語では自然と使っていたり理解している言葉や表現でも、いざ英語で言えと言われると、難しいなんてことはよくありますよね。英語力がある人であっても、悩んでしまう表現もあるはずです。
今回ご紹介する「論より証拠」もそんな表現のひとつではないでしょうか。
日本語でもあまり日常会話で使うことはない表現ですが、多くの人が意味を知っているこの表現。英語だとどんな風に言えば良いかピンとこない人もいるでしょう。
そこでこの記事では、「論より証拠」に近い英語表現をご紹介します。知っておくと便利なこともあるでしょうから、ぜひ覚えてみてくださいね。
そもそも「論より証拠」の日本語の意味とは?
日本語の表現と英語表現は完全にイコールにならないことが多いです。ですから、あてはまる英語表現を探すには、まず日本語の意味を正確に知り、それをどう英語で表現できるかを考えることが重要です。
そこでまずは、日本語の「論より証拠」の意味を紐解いてみましょう。
「論より証拠」というのは、文字通り、理論などを論じるよりも証拠を示すことで、事実や物事が明らかになるという意味の言葉です。「あれこれ言うよりも、証拠を出せ」という気持ちのときに使えそうですよね。
証拠を出すことで、物事が解決に至ったり、議論が終結したりするなんてときに使えることわざです。
では、そんな「論より証拠」という日本語のことわざに対する英語表現はあるのでしょうか。
「論より証拠」に近い英語表現
日本語の「論より証拠」に完全にイコールになる英語表現はありませんが、近い意味を持つ英語表現は、いくつかあります。
つまり、類語表現がたくさんあるんですね。それぞれ若干ニュアンスや使い方・使いどころが異なりますから、その点にも触れながら「論より証拠」に近い英語表現をご紹介していきます。
今回ご紹介する表現は、どれもが文章になっているため、使用例とともに重要な単語の意味も解説していきます。
こうした表現が英会話などでスルッと出てくるようになると、英語でのコミュニケーションがもっと楽しくなりそうですね。
Example is better than precept.
この文章は「実例は教訓に勝る」という意味の英語ことわざです。
ここでポイントなのは「precept」という言葉でしょう。あまり日常英会話で出てくる単語ではありませんが、格言・教訓・道徳的な教え・指針といった意味を持つ単語です。
つまり、指針などを述べるよりも、実例を見せることの方が良いということですね。「論より証拠」というよりは「論より実例」といった感じの意味ですが、かなり近いことを言い表しているでしょう。
言って聞かせるより見本を見せろという感じでしょうか。
私の母は、とても素晴らしい母です。決して私たちを叱ったりはしません。そのかわり、良い人間になる方法を教えてくれます。彼女は、周りの人たちから本当に尊敬されています。そんな母を見ていると、論よりも模範の方がずっと良いって感じるんです。
Proof is better than argument.
次にご紹介するこちらの文章は、論より証拠にかなり近い表現でしょう。
意味は「証拠は議論に勝る」といった感じです。「proof」が証拠で、「argument」は議論・口論・主張といった意味を持ちます。
ぐだぐだ議論・口論するよりも、証拠を出した方が早いなんて時に使える表現ですから、使い方や使いどころも日本語の論より証拠に似ていますね。
議論するのはやめて、証拠を示してください!証拠は常に議論に勝ります。(常に論より証拠です)
Evidence is better than debate.
ここまでの表現は、すべて「better than」という比較表現が入っていますね。
日本語の「〇〇より〇〇」も比較表現ですから、論より証拠とこれらの表現が似ていることが感じ取れるでしょう。
こちらの文章は、「議論は証拠に勝る」といったような意味です。
「evidence」も証拠という意味ですが、proofとは少しだけニュアンスが異なります。proofは絶対的な証拠であるのに対し、evidenceはそれよりも証拠としての能力は低め。何かを証明するための資料や材料といった雰囲気です。
感覚的にはproofはその1つの証拠さえあれば、事実を裏付ける証拠として揺るぎませんが、evidenceはいくつか揃えなければ、確固たる証拠としては機能しないかもしれません。
そしてこの文章に含まれるもう1つの重要な単語である「debate」は議論という意味ですが、こちらもproofとevidenceの関係のように、argumentとはニュアンスが異なります。
「debate」には2つの対立する意見があり、その双方が意見交換の討論・議論をするようなイメージです。これは意見交換をして、アイディアを練ったり、どちらの案を採用するかを理性的に話し合う感じです。
一方「argument」は口論するという、対立・言い争いのイメージが強い単語です。
要は「Evidence is better than debate.」という文章は「Proof is better than argument.」をマイルドにしたような表現ということですね。
実際には、上記の「Proof is better than argument.」の方が圧倒的によく使われますが、こんな表現もあるという程度で覚えておきましょう。
The proof of the pudding is in the eating.
「論より証拠」にぴったりな英語ことわざと言えば、これ!実際に英会話や英語の記事などで目にするのは、圧倒的にこちらの言い回しが多いです。
直訳すると、「プディングの証拠は食べることにあり」なんてちょっと不思議な感じになります。
つまり「プディングが美味しいかどうかは、食べてみなければわからない」ということで、転じて「実際にやらないとわからない」「論より証拠」ということです。
こうしたちょっと面白い言い回しがよく使われるのが、とても英語という言語らしいところではないでしょうか。
ここまでご紹介した3つの表現は、使われている単語の意味さえわかれば理解できる一方で、こちらのことわざは、フレーズ単位で意味がわかっていないと理解できないため、丸覚えをおすすめします。
また、確かに「論より証拠」と訳されていることが多いのですが、「実際にやらないとわからない」というニュアンスが強いため、証拠書類・証明書を指し示す場合には使いません。
あらゆる可能性を考えすぎないで。ただ、やってみよう!「論より証拠」って言うでしょ?
まとめ
今回は「論より証拠」に近い英語表現をご紹介しましたが、使えそうなものはあったでしょうか。
今回ご紹介したものは、すべてビジネスシーンで使っても不適切ではありませんから、ビジネスで英語を話しているときに、「論より証拠」のようなことを言いたくなったときなどにも、使ってみると良いでしょう。
ただし、最後の「The proof of the pudding is in the eating.」だけは、かなりフォーマルな場では避けることをおすすめします。

◇経歴
・英日翻訳および翻訳校正
・Webライター(ジャンル:英語・留学・旅行など)
・英会話講師
・カスタマーサポート/コールセンター(イギリスおよび日本・英語使用)
・カフェ店員(イギリス)
◇資格
TOEIC935点
英検準1級
ケンブリッジ英検FCE合格
◇留学経験
・イギリス:約10ヶ月(ロンドン内語学学校)
・グアテマラ:約3ヶ月(アンティグア内語学学校)
◇海外渡航経験
・イギリス:合計5年弱(内1年10ヶ月ワーホリ)
・グアテマラ:合計9ヶ月
合計50カ国に渡航歴あり
◇自己紹介
国内外で翻訳者兼Webライターとしてフリーランスをしています。これまで手がけた記事は1万記事以上。翻訳経験は通算7年位になります。
21歳の頃語学留学で渡英し、その後ワーホリビザ等を取得し、数年ロンドンで働いていました。
グアテマラへのスペイン語留学経験もあります。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.