長く英語学習を続けてきていても、実は ”good” と ”well” の違いがハッキリわからない・・・という方は意外と多いものです。なんとなくどちらの言葉も「よい」という意味の単語だと認識していて、その場の雰囲気や経験で使い分けていたりしませんか?
ちなみに ”good” と ”well” の違いについて現役中学生の娘に聞いてみたところ、
「どっちも ”いいね” だけど、”good” は形容詞かな?それで ”well” は形容動詞?」
という答えが返ってきました。
さて、この記事を読んでいるあなたならどう答えるでしょうか?
今回は ”good” と ”well” の違いについて、意味だけでなく文法的な側面からも徹底解説していきます。現時点で違いがハッキリわかる方もそうでない方も、 ”good” と ”well” について理解を深めていきましょう。
goodとwellの違いとは
日本語にするとどちらも「よい」と訳されてしまいがちな ”good” と ”well” ですが、実は文法的にも意味的にも違った性質を持っています。
”good” と ”well” の単語の違い、似ている点、使い分けの方法などについて順番に見ていきましょう。
文法の違い
”good” と ”well” は文法的な役割が大きく異なります。基本的に ”well” は副詞、”good” は形容詞として働きます。
副詞というのは名詞以外を修飾する言葉のことで、形容詞というのは名詞を修飾する言葉のことです。
副詞には、速く、高く、いつも、うっかり、すごく、などいろいろな種類があります。「”速く” 走る」というように、「走る」という動詞を詳しく説明するといった使い方のほか、「”すごく” きれい」という風に形容詞を修飾したり、「”とても” ”速く” 走る」というように他の副詞を修飾することもできます。
形容詞は、美しい、赤い、高い、大きな、豪華な、など日本語で語尾が「い」や「な」で終わる言葉と考えると理解しやすいでしょう。「高い山」といったとき、「高い」が形容詞、「山」が名詞です。名詞である「山」がどんな状況なのかをより詳しく説明(=修飾)していますよね。
日本語と同じように、英語の形容詞の例としてはbeautiful、tall、big、goodなどが挙げられますし、副詞の例としてはquickly、always、accidentally、veryなどが挙げられます。
例文を見ながら、”well” と ”good” の文法的な違いと正しい使い方を確認していきましょう。
<例文>
① よく寝れた?
誤) Did you sleep good?
正) Did you sleep well?
”よく” → 寝る :「寝る」という動詞を修飾している = 副詞の ”well” を使う
② いいアイディアだね!
誤) It’s a well idea!
正) It’s a good idea!
”よい” → アイディア :「アイディア」という名詞を修飾している = 形容詞の ”good” を使う
”well” は副詞、”good” は形容詞として働くことがおわかりいただけたと思いますが、実はその基本的なルールに当てはまらない例外的な使い方もあります。
まず、”well” の例外的な使い方について見ていきましょう。”well” は基本的に副詞としての役割を持ちますが、例外的に形容詞としての役割を持つ場合には「健康な、元気な」という意味になります。
次の例文を見てください。
<例文>
A: How are you all?
B: I’m good.
C:I’m well.
A: みなさん調子はいかがですか?
B: (全般的に)いい調子です。
C: 体の調子はいいです。
BとCの返答は同じように見えるかもしれませんが、“I’m good.” の方は健康面に限らず「全体的にいい感じ」というニュアンスを伝えています。一方、”I’m well” の方は「健康面の調子がいい」というニュアンスを伝えていることになります。
この違いは反対語で比べるとわかりやすいのですが、形容詞としての ”well” の反対語は ”ill” や ”sick” で、”good” の反対語は ”bad” になります。
また、”good” にも例外的な用法があります。次の例文を見てください。
<例文>
I speak English good.
俺、英語うまいんだぜ。
この文章は、文法的には ”I speak English well.” (私は英語を上手に話せます)が正しい言い方になります。”good” を使う言い方は文法的には誤っていることになりますが、アメリカ英語のカジュアルな会話では慣用的にOKとされています。”good” を使うことによって、口語的な英語表現になります。
意味の違い
”good” と ”well” の違いを意味合いの面から見ていきましょう。
”good” は形容詞として以下のような意味を持っています。
①よい
②秀でた、優秀な
③善良な、親切な
④有効な、効果がある
名詞として使う場合は以下のような意味合いになります。
⑤よいこと、幸福、利益
⑥美点
⑦善
”well” は副詞のほか、形容詞や名詞としての意味ももっています。
副詞としては次のような意味を持っています。
①よく
②上手に
③間違いなく、きっと、おそらく
④大いに、十分に
⑤かなり
⑥経済的に豊かな
日本語訳の仕方によってはさらに異なる意味合いを持つこともありますが、共通しているイメージとしては「程度が良い、ハイレベルである」です。
また先述のとおり、”well” が形容詞として使われるときには「健康な、元気な」という意味になります。
”well” が名詞として使われるときには以下のような意味をもちます。
⑦井戸
このように ”good” と ”well” はどちらも「よい」というイメージのある言葉ですが、”good” は性質の良さを、そして ”well” は程度の良し悪しを表しているという違いがあります。
goodの使い方
”good” の使い方について、意味ごとに確認していきましょう。
①よい
That's a good news!
それは良い知らせだ!
②秀でた、上手な
He’s good at cooking.
彼は料理が上手だ。
③善良な、親切な
How good of you!
あなたは親切ですね!
④有効な、効果がある
Running is good for your health.
ランニングには健康増進効果がある。
⑤よいこと、幸福、利益
What good is that?
それがなんの役に立つっていうの?
⑥美点
He said ”there's no good in me”.
彼は「私には長所がない」って言ったの。
⑦善
The theme of this book is good and evil.
この本のテーマは善と悪です。
なお、”I’m good.” という文は「私はよい状態です」という直接的な意味のほかに、「大丈夫です」「結構です」といった断りのニュアンスを表す場合があります。
A: Would you like some coffee?
A: コーヒーはいかがですか?
B: I’m good, thank you.
B: 結構です、ありがとう。
”good” の慣用表現もいくつか確認しておきましょう。
・for good
永遠に、金輪際
I’ll never work with him for good.
彼とは金輪際一緒に働くことはありません。
I’m staying in Italy for good.
私は一生イタリアに居るつもりです。
・in good with 〜
〜に好かれる、〜に気に入られる
I don’t care about anything to get in good with her.
彼女に好かれるためなら何がどうなってもいい。
She's in good with her boss.
彼女は上司に気に入られている。
・be good with〜
〜とうまくやる、〜が得意
She is good with kids.
彼女は子供の相手をするのが得意です。
He’s good with money.
彼はお金の扱いが得意だ。
wellの使い方
”well” の使い方について、意味ごとに確認していきましょう。
①よく
This knife cuts well.
このナイフは切れ味がいい。
②上手に
My brother cooks well.
私の兄は料理上手です。
③間違いなく、きっと、おそらく
His advice may well be meaningful.
彼のアドバイスはおそらく意義のあるものだろう。
④大いに、十分に
The students were well educated.
その学生たちはよく教育を受けていた。
⑤かなり
My country is well behind other countries in gender-blind policies.
我が国は他の国に比べるとジェンダーフリー政策がかなり遅れている。
⑥経済的に豊かな
I'm sure they live well in Australia.
彼らはオーストラリアで贅沢な暮らしをしているはずです。
⑦井戸
Go and draw water from the well.
井戸に行って水を汲んできて。
また、”well” には間投詞の意味もあります。間投詞というのは驚きや喜びなどの感情を表現する言葉で、日本語でいうと「えっ」「おおー」などがそれにあたります。
”well” を間投詞として使う場合には、言いにくいことをいう場合など、何かをためらっている感じを表現することが多いです。
<例文>
Well, I wouldn’t think of it that way.
うーん、私だったらそうは思わないかも。
”well” を使った慣用表現も確認しておきましょう。これらの表現はシンプルでありながらネイティブも日常英会話でよく使う便利なものなので、ぜひマスターしてくださいね。
・as well
〜も ※”too” と同義。文末に使う。否定文では使用しない。
Hanna usually speaks Spanish, but she can speak Japanese as well.
ハンナは普段スペイン語を話していますが、日本語も話すことができます。
I think we should order plastic bags as well.
ビニール袋も注文しておいた方が良いと思います。
・may well 〜
〜するのも理解できる、〜するのはもっともだ
You may well think so.
あなたがそう思うのはもっともなことだ。
You may well be surprised at what she said.
彼女が言ったことにあなたが驚くのも無理はない。
goodとwellの違い まとめ
”good” と ”well” の違いについて解説してきました。「よい」という意味でひとくくりにされてしまいがちな2つの言葉ですが、実は文法的にも異なる性質があることがおわかりいただけたかと思います。
ただ、どちらも基本的で便利な言葉であるからこそ派生表現や例外的な使われ方も多く、理解が難しいと感じることもあるかもしれません。
そんなときは”good” は形容詞として「性質の良さ」を、そして ”well” 副詞として「程度の良さ」を表しているという基本に立ち返ってみてください。
さらに毎日の英会話学習やオンラインレッスンを通じて生の英語のニュアンスに触れていけば、自然と使い分けもできるようになるはずです。ぜひ ”good” や ”well” を実際に使って、使い方をマスターしていってくださいね!
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.