英語の文章では「that」という単語をよく見かけます。
学校で最初の方に習う言葉の一つでもありますが、その一方、いろいろな使い方・役割があって、英語を勉強すればするほど一体この「that」は何なのかと、ちょっと混乱してしまうような状況になってしまうこともあります。
逆にいえば、「that」の使い方・役割をきちんと理解すれば、英語力がアップすること間違いなし。今回はあらためて「that」の全体像を俯瞰してみたいと思います。
まず「that」を大まかに分類すると、「形容詞になる"that”」「指示代名詞になる"that"」「接続詞になる"that"」「関係代名詞になる"that”」の4通りに分けられます。以下、一つずつ解説していきます。自分のペースでゆっくり読み進めたり、何度も繰り返して読んだりして、理解を深めてみてください。
- 形容詞になる"that"
- 指示代名詞になる"that”
- 接続詞になる"that"
- ・名詞節になり、主語になる"that節"
- ・名詞節になり、補語になる"that節"
- ・名詞節になり、形容詞と一緒に使う"that節"
- ・名詞節になり、同格になる”that節"
- ・副詞節になる"that節"
- 関係代名詞になる“that”
- ”that”の種類とまとめ
形容詞になる"that"
「あの」「その」という意味で使われる「that」が、形容詞の働きをする「that」です。形容詞は名詞を修飾します。つまり形容詞は名詞に情報や意味を加えたりするものです。
例えば「dog(犬)」という「名詞」があります。
「that」を加えて「that dog」とすることで、「あの犬」または「その犬」という意味になり、「犬」に意味や情報を加えています。つまり「that」が名詞「dog」を修飾していて、この場合の「that」は形容詞の役割をしているわけです。
形容詞の「that」は名詞の前で使われます。また「that」がつくと冠詞の「a/an」や「the」はつかないのが普通です。
指示代名詞になる"that”
「あれは私のクルマです」「それが私の意見です」「それ、知っている?」「あれ、取ってきてくれる?」など、「何かを指す時に使われる名詞」である「あれ」や「それ」などが「指示代名詞」です。「指示代名詞」は「代名詞」の一つだと考えてください。
「This is a pen.」「That is a notebook.」など、おそらく学校で最初に習う「that」はこの「指示代名詞」です(「this」もこの場合、「指示代名詞」です)。指示代名詞「that」は主語や他動詞の目的語などとして使われます(主語や目的語になるのは、代名詞や名詞です)。
それはいい考えですね!
それが、先生が言ったことです。
あなたはあれ/それを知っている。
あなたはあれ/それを知っていますか?
あれ/それを取ってくれる?
接続詞になる"that"
「that」は接続詞としても活躍します。
接続詞の「that」が使われる場合、「that」が省略されたりして文の構造がなんだかよくわからなくなったりすることもあります。でも決まったパターンがありますので、そのパターンをとらえてくださいね。
接続詞として使われる場合、「that」の後に主語と動詞が含まれる文が続くのが普通です。そして、「that + 文」のかたまりを一般的に「that節」と呼びます(主語と動詞がある部分を「節」と呼びます)。
「that節」には主に2種類あります。「名詞節になる"that節"」「副詞節になる"that節"」です。さらに、「名詞節になる"that節"」には、「目的語になる"that節"」「主語になる"that節"」「補語になる"that節"」「形容詞と一緒に使う"that節"」「同格になる"that節"」などがあります。
「that」を英文内で見かけたら、後ろに文が続いているかどうか確認してみてください。文が続いていたらそれは接続詞として使われている「that」です。 では一つずつ見ていきましょう。
・名詞節になり、目的語になる"that節"
動詞の目的語として使われるのが「that節」の典型的な用法です。他動詞の後ろに「that」が続きます。
私は、彼女は賢いと思う。
名詞節になる「that節」は、「〜ということ」という意味です。上の例文をもし直訳すると「彼女が賢いということを、私は思う」ですね。
そして、上記の「think」のように「that節」を目的語にする動詞が多くあります。以下によく使われるものを挙げます。他にもまだまだたくさんありますので辞書等で確認しましょう。またこの場合の「that」は省略されることもよくあります。
・believe(〜ということを信じる)(〜だと思う)
彼女は黒猫が好運の現われだと信じている。
私は、彼女は来ないと思っている。
・consider(〜だと考える)
彼らは大谷は偉大な選手であると考えている。
・expect(〜と思う、〜だろうと思う)
私は、彼女は怒っているのだろうと思う。
・hear(〜ということを聞く)(〜だとうわさに聞いている)
私は、彼は結婚していると聞いている。
私は、彼は仕事を最近辞めたとうわさに聞いた。
ナンシーが東京に引っ越したと聞いた。
・hope(〜ということを望む)(〜ということを願う)(〜ということを期待する)
マジックショーを楽しむということを望みます。=どうぞマジックショーをお楽しみください。
それがあなたの質問に対する答えになっていることを期待します。=お答えになっておりますでしょうか。
この例文では「that節」の「that」は省略されています。文中の「that」は「answers」の主語になっている指示代名詞です。
・inform(〜ということを知らせる)
私は電子メールでの連絡も可能であるということを知らせた。
・suppose(〜と判断する、〜であろうと思う)
私は、彼は正しいであろうと思う。
また、目的語を2つ取る動詞の目的語になる場合もあります。
私はパーティには行かないだろうと彼女に言った。
この文では「her」と「that I would not go to the party」が「told (tell)」の目的語になっています。
・名詞節になり、主語になる"that節"
目的語になる場合と同様、「〜ということ」という意味になります。
ケンが賢いということは明らかです。
「That Ken is clever」の部分が主語になっています。この場合の「that」は省略しないのが普通です。
・名詞節になり、補語になる"that節"
目的語や主語になる場合と同様、「〜ということ」という意味になります。最も重要な点は、私たちには十分な予算がないということだ。
「A is B.」のBに当たる部分が「that節」になっている形です。「that」は省略されることもありますが、省略されないのが一般的です。
・名詞節になり、形容詞と一緒に使う"that節"
目的語・主語・補語になる場合と同様、「〜ということ」という意味になります。
私は、彼が来ないことを確信しています。
この文では「sure」という形容詞の後に「that節」が使われています。この場合、「that」は省略されることもあります。
・名詞節になり、同格になる”that節"
ある名詞の後ろに続いてその名詞を説明する役割をするのが「同格のthat節」です。この場合「〜という(名詞)」といった意味になります。
彼女は彼が引っ越したという事実を知らなかった。
この文では「the fact」の内容を後ろの「that節(he moved)」が説明しています。このような使い方を「同格」といいます。
彼が試験に不合格だったといううわさは本当だ。
この文では「The rumor」の内容を「that節」が説明しています。同格を表す「that」は省略しないことが多いです。
・副詞節になる"that節"
「that節」は文の中で「副詞的な役割」をすることもできます。これには、(1)理由を表す、(2)判断の根拠を表す、(3)「so/such〜that構文」、(4)「so that構文」などがあります。(1)理由を表す
私は私の弟が試験に落ちて悲しかった。
「that my little brother failed the exam」の部分が、「I was sad」の理由を表しています。
(2)判断の根拠を表す
そんなことをしたなんて、彼女はとても優しいに違いない。
「that she did such a thing」の部分が、「She must be very kind」の判断の根拠を表しています。
(3)「so/such〜that構文」
「so/such〜that構文」は「前から訳した方がいい場合」と「後ろを最初に訳した方がいい場合」があります。また、この構文の場合「that」が省略されることもあります。その指輪はとても高価だったので、私は買えませんでした。
この場合の「so/such〜that構文」は「とても〜なので〜だ」という意味を表します。「that」以下の部分には結論のような内容が来ます。
【後ろを最初に訳した方がいい場合】
そのゲームは小さいこどもでも遊べるように設計されています。
(4)「so that構文」
「so that構文」は「後ろを最初に訳した方がいい場合」と「前から訳した方がいい場合」があります。【後ろを最初に訳した方がいい場合】
あなたの声が聞こえるようにもっと大きな声で話して頂けませんか?
【前から訳した方がいい場合】
私の子供は身長が100センチだったので、その乗り物に乗れませんでした。
この構文の場合も「that」が省略されることもあります。
関係代名詞になる“that”
「that」は関係代名詞としても頻繁に使われます。
「関係代名詞になる"that"」は、(1)主格の関係代名詞の「that」と(2)目的格の関係代名詞の「that」に分けられます。以下例を挙げて説明しましょう。
(1)主格の関係代名詞「that」の例
主格の関係代名詞は、人を指す場合は「who」、人以外のものを指す場合は「which」を使いますが、「that」だと人でも人以外でも使えます。
トムは大阪に住んでいる大学生です。
「lives in Osaka」の主語がなく、それを補っているのが直前の関係代名詞の「that」です。
「that」は「a university student」という主語の代わりをする役割を担っています。このような場合の関係代名詞が、主格の関係代名詞です。なお、「a university student」の部分を「先行詞」といいます。
(2)目的格の関係代名詞「that」の例
目的格の関係代名詞は、人を指す場合は「who」または「whom」、人以外のものを指す場合は「which」を使いますが、「that」だと人でも人以外でも使えます。ルーシーは私が昨日会った少女です。
後半部分の「I met yesterday」には目的語がありません。それを補っているのが関係代名詞の「that」です。「that」の直前の「the girl」が後半部分の「I met」の目的語でもありますが、「that」がその代わりとなり、前半と後半を結んでいる形です。このような場合の関係代名詞が、目的格の関係代名詞です。
目的格の関係代名詞は省略されることが多く、上の文はLucy is the girl I met yesterday.とも書けます。
”that”の種類とまとめ
いかがでしたか?「that」にはいろいろな使い方があることがわかりました。
上でご紹介した以外にも、いろいろなパターンがあります。またそれは、どんな言葉と組み合わされるかによって変わってきたりします。
ですので、ある動詞の意味を辞書で確認する時に、「この動詞とthat(節)を組み合わせるとこんな使い方ができる」といったことにも注意を払ってみてください。
きっと、リーディング力はもちろん、英語での表現力もグンとアップすると思います。使い方が多すぎて覚えるのは大変ですが、ゆっくりでいいので、学習を続けてみてくださいね。

◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.