普段から英語に触れている人なら、「a couple of」という表現を聞いたことがあるでしょう。
この表現を「いくつかの」という意味だと思っている人もいるかもしれません。そして、そうした数量をアバウトに表す「a few」や「several」との違いがわからず、なんとなく使っている人もいるのではないでしょうか。
しかし実は「a couple of」は、厳密には「いくつかの」という意味ではなかったりします。そして「a few」や「several」とは違いもあるので、使い分けが必要です。
今回は「a couple of」という表現について、その意味や使い方、そして似た表現との違いを解説していきます。日常英会話でよく出る表現なので、正しく使えるようになると便利ですよ。
「a couple of」の意味とは?
まずは「a couple of」の意味について、詳しくみていきましょう。
冒頭のとおり「いくつかの」という意味ではないなら、一体どういう意味を持つ表現なのでしょうか。
「a couple of」の本来の意味
「a couple of」には、本来「2つの」という意味があります。
日本語で「カップル」と言う場合、それは1組の恋愛関係にある2人を指しますよね。英語でも、「couple」という名詞は、同じ意味になります。(ちなみに結婚した夫婦にも使います。)
そこからイメージ出来るとおり、「a couple of」というのは、2つのものが一組になっているようなイメージの単語なのです。
つまり「I will be there in a couple of minutes.」と言った時は「2分後にはそこにいます。」という意味になるのですね。
厳密に言えば……。どういうことかと言うと、元々は「2つの」という意味を持っていたこの表現ですが、言葉の移り変わりと共になのか、現在では「いくつかの」という意味で使われるようになっているのです。
しかし、「いくつかの」という使い方はインフォーマルなものなことに注意しましょう。特にイギリス英語では、まだまだ正式には「2つの」という取り扱われ方をするので、試験などでは「2つの」という意味で捉えて使う必要があります。
しかし、ビジネスの場で「a couple of」と話し言葉で出てきた場合は、やはり「いくつかの」という意味で使われているかもしれません。あやふやでよく分からなくなってしまった人もいるかもしれませんね。
日本語で例えると、「全然大丈夫」という『全然』の使い方が話し言葉では受け入れられているものの、正式な使い方ではないのと似ています。「全然大丈夫」という表現は新聞やニューススクリプトでは使われませんし、試験でもNGですよね。
「a couple of」の意味と使われ方
「a couple of」の意味と使われ方について、もう少し深掘りしてみましょう。
前述で、「a couple of」はインフォーマルでは「いくつかの」という意味で使われると言いましたが、単に「いくつかの」というだけでは不十分です。
「いくつかの」という意味で「a couple of」を使う場合、「2つ以上」「少数」というニュアンスが含まれています。
「a couple of」が「2~3の」と訳されていることもありますが、ネイティブスピーカーが日常英会話で「a couple of」と言う場合は、この「2~3の」というのが一番しっくりくるかもしれません。
ただし、こうしたアバウトな表現というのは感覚的なものでもあります。「a couple of」と言いつつ、実は4つだったり5つだったりすることもあるかもしれません。
「I will be there in a couple of minutes.(数分後にそこにつくよ。)」と言いつつ、10分待たされる……なんてこともあるでしょう。
これは日本語でも「数分後に着く」と言いつつ、それ以上になることがあるのと同じことですね。ただ、自分が日常会話で「a couple of」を使うときには、「2~3の」という意味で使うことをおすすめします。
イギリス英語でもアメリカ英語でも、「2~3程度」という感覚で使っている人が圧倒的に多いからです。
ちなみに「a couple of」はどんな使い方であっても、数量を表す表現ですから、その後には可算名詞が来ます。不可算名詞のものについて、少量であることを表したいなら「a little of」「a bit of」という表現を使いましょう。
状況によった使い分けが必要
日常会話の範囲であっても、必ず「a couple of」=「2~3の」となるというわけではありません。
たとえば、レストランやカフェのオーダーで「a couple of croissant(2つのクロワッサン)」と言えば、それはほぼ確実に「2つの」という限定的な意味合いになります。これは、オーダーなどの時にあやふやな言い方をすることはないからですね。
また、下記のようなフレーズの場合、「2つ」という限定的な意味になることがほとんどです。
I have lived in London for a couple of years.
私はロンドンに2年住んだことがある。
I bought a couple of glasses.
私は2つのグラスを買った
これは文脈的に、「2つ」であると予測されるからです。つまり「a couple of」という表現は、状況や話者によって意味が若干異なります。
意味を読み取るためには、状況もちゃんと考える必要があるでしょう。また自分が使うときにも、表現したい意味合いに合わせた使い分けが必要です。
とは言え「a couple of」のように、少数を表す表現は他にもあるので、混乱しそうなら「a couple of」は「2つ」を表す時に限定して使うと決めても良いかもしれませんね。
ここで少し余談!
下記記事では、”not at all”の使い方や意味をご紹介しています!ぜひ皆さんの英語学習に役立てて下さい♪♪
「a few」「several」との違いとは?
「a couple of」が、「2つの」「2~3の」といった少数を表す表現であることは、ここまでご説明したとおりです。では、「a few」や「several」とはどんな違いがあるのでしょうか。
「a few」の意味
まず「a few」ですが、これは「少数の」という意味になります。訳す時には「いくつかの」と訳すこともありますが、少数である場合に使われます。
実はインフォーマルで使われる「a few」と「a couple of」はほぼ同じ意味です。「a couple of」を英英辞典で引くと「a few」と書かれていることもあるくらいです。
ただし、「a few」が「2つの」という限定的な意味になることはありません。また「a couple of」のように「2~3の」という感覚もあまりないことにも注意しましょう。
たとえば「I have a few friends.(私には少数の友達がいる。)」と言った場合、話者が「少なめ」と思っていることを表します。ですが、実際の人数は10人を超えることもあるかもしれません。こういうふわっとした表現ができるのが、「a few」なんですね。
ちなみに「I have few friends.」と言うと、ニュアンス的には「私には数人しか友達がいない。」とちょっとネガティブな意味になります。「a」があるかどうかで、同じ少数を表しても、意味がガラっと変わってしまうんですね。
「several」の意味
「several」は「いくつかの」という意味です。「いくつかの」と言っているのですから、大量・多数ではないものの、「a couple of」や「a few」で表す場合よりは数が多くなります。
私の感覚では、「4~6」くらいなら、「several」がしっくり来るのですが、この感覚も話者によって異なります。
ただ、日本語も「いくつか」と言われたときの感覚は人によって違うので、まあそんな感じだと思ってください。基本的には「a couple of」「a few」よりは数が多いことを表します。
しかし、1つ注意しなければならないことがあります。それは、場合によっては「a few」の方が実際の数が多いこともあるということです。
上記で使った「I have a few friends.」というフレーズは、「少なめ」と話者が思っているけど、10人以上いたりすることもあります。
しかし、「I have several friends.」と言った場合は、「数人友達がいる。」「何人か友達がいる。」という意味になり、「a few」のように実は10人以上いたりすることはありません。
これは「several」には「少ない」というニュアンスが含まれず、飽くまで「数個」「数人」といった意味だからです。
ここでまた少し余談!
下記記事では、「Check in」「Check out」の意外な意味についてご紹介しています!ぜひ参考にしてみて下さい♪♪
まとめ
今回は「a couple of」の意味や使い方を説明しつつ、「a few」や「several」にも触れてみましたが、使い方やニュアンスは伝わったでしょうか。
これらの表現は、話者によっても少しズレがあるため、厳密な数まではあまり気にしないことをおすすめします。
各種英語の試験では「a couple of」と出たときは「2つの」と捉えるようにする以外は、厳密なルールはありません。ネイティブスピーカーがどう使っているかを観察しながら、感覚を身につけていきましょう。
また、ネイティブキャンプのレッスンで、講師が普段どんな感覚でこれらの表現を使っているのか質問してみても良いですね。

◇経歴
・英日翻訳および翻訳校正
・Webライター(ジャンル:英語・留学・旅行など)
・英会話講師
・カスタマーサポート/コールセンター(イギリスおよび日本・英語使用)
・カフェ店員(イギリス)
◇資格
TOEIC935点
英検準1級
ケンブリッジ英検FCE合格
◇留学経験
・イギリス:約10ヶ月(ロンドン内語学学校)
・グアテマラ:約3ヶ月(アンティグア内語学学校)
◇海外渡航経験
・イギリス:合計5年弱(内1年10ヶ月ワーホリ)
・グアテマラ:合計9ヶ月
合計50カ国に渡航歴あり
◇自己紹介
国内外で翻訳者兼Webライターとしてフリーランスをしています。これまで手がけた記事は1万記事以上。翻訳経験は通算7年位になります。
21歳の頃語学留学で渡英し、その後ワーホリビザ等を取得し、数年ロンドンで働いていました。
グアテマラへのスペイン語留学経験もあります。